フランチャイズの専門弁護士がよくあるトラブル・活動内容・費用を解説
最終更新日: 2024年02月26日
- 第三者から無断で自社が開発したフランチャイズの商標やイメージを模倣され困っている。
- フランチャイズ契約を締結し加盟店となったものの、本部から契約違反を指摘され、違約金を請求された。どうにかできないだろうか。
- 本部と加盟店とのトラブルを弁護士に相談したら、弁護士はどのような対応をするのだろう。
フランチャイズ契約を利用すれば、本部側は短期間に事業を拡大でき、加盟店側は事業をすぐに収益化しやすく、双方にメリットがあります。
しかし、本部・加盟店間の利害対立でトラブルが発生した、第三者が自社に無断で商標・イメージを模倣した、というケースが跡を絶ちません。
そこで今回は、フランチャイズの紛争解決に携わってきた専門弁護士が、本部側・加盟店側でよくあるトラブル等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- フランチャイズの本部側は、加盟金やロイヤリティの回収ができない、商標侵害が発生した等のトラブルが発生しやすい
- フランチャイズの加盟店側は、加盟金や本部との連携がうまくいかない、契約解除の際に本部とトラブルが発生しやすいなどの点に注意する
- 本部と加盟店とのトラブルを弁護士に相談すれば、弁護士はトラブル解決に全力を尽くす
フランチャイズ本部側によくあるトラブルを弁護士が解説
本部側が加盟店とフランチャイズ契約を結べば、加盟店へ指導および援助する代わりに加盟金やロイヤリティの支払いを受けられ、加盟店の増加で事業を急拡大できる可能性があります。
ただし、加盟店とのトラブルや第三者の商標侵害等に注意が必要です。
加盟金・ロイヤリティの回収
加盟金とはフランチャイズ加盟時に支払うお金です。一方、ロイヤリティとは毎月継続的に本部へ支払うお金です。
加盟金が回収できないと、本部側は加盟店へ指導や援助ができません。
加盟店が事業を開始後、ロイヤリティをなかなか支払わない、売上や利益を誤魔化してロイヤリティの負担を軽減しようとするなどのケースも想定されます。
このような場合は、加盟店の売上・利益を正確に調査したうえで、加盟店を指導し、場合によっては法的措置をとる必要があります。
契約内容に関するトラブル
フランチャイズは、本部が経営のノウハウを加盟店に教え、事業の順調な拡大を目指す仕組みです。
しかし、経営のノウハウを得た加盟店は、やろうと思えば、フランチャイズ契約終了後もフランチャイズチェーンと同内容の事業の継続ができ、さらに第三者に事業をさせることも可能です。
これでは、自社の独自のノウハウが流出し、事業経営に大きな影響が出るおそれがあります。
したがって、契約終了後に加盟店が類似事業を行わない条項(競業避止義務)を前もって契約書に盛り込んでおく必要があります。
商標侵害
自社ブランドが安定した人気を保っているのはよいのですが、第三者がその人気を利用し、勝手に商標やロゴを使う、または酷似した商標やロゴを用いて、消費者を惑わすおそれがあります。
放置すれば自社のブランドの価値が毀損する事態も想定されます。
第三者の商標侵害を発見したら、速やかに弁護士と相談し、今後の対処法を話し合いましょう。
損害賠償
フランチャイズ契約の解除時に加盟店から加盟金の返還を求められたり、加盟店とのトラブルにより損害賠償を請求されたりするおそれがあります。
加盟金は基本的に返還されない点を告げ、加盟店の損害賠償請求に納得できない点があれば、しっかりと反論し、本部側の主張を伝えましょう。
弁護士に依頼した場合は、なるべく話し合いで迅速な解決が図れるよう、加盟店側に交渉の働きかけを行います。
フランチャイズ加盟店側によくあるトラブルを弁護士が解説
加盟店となれば、本部のブランド・経営ノウハウ・仕入れ先との関係等を利用して短期間で事業を収益化しやすい利点があります。
ただし、自分の店の売上問題や、クレーム対応等に注意が必要です。
店舗の売上問題
フランチャイズ契約後、店の売上げがなかなか伸びない状態となり、契約を解除したいケースもあるでしょう。
しかし、加盟店が解除を申し出ると、本部から法外な違約金請求を受けトラブルに発展する可能性があります。
冷静に本部とのトラブルを解決したいのであれば、弁護士のサポートを受けましょう。
契約書に違約金の記載があるのか、請求額は適正なのか等を弁護士に慎重に判断してもらい、助言を受けながら交渉または訴訟の準備を進めていきます。
クレーム対応
加盟店の従業員のミスで顧客を怒らせ、クレームに発展するケースが想定されます。
顧客が加盟店にしつこく謝罪を求めたり、慰謝料と称し金品を要求する可能性があります。また、本部にクレームがいく場合もあるでしょう。
加盟店が本部に相談しても、「とにかく客に謝罪しろ」と言われるだけでは、有効なアドバイスと言えません。
加盟店の店長が直接弁護士と相談し、対応を話し合った方が迅速な解決を図れる可能性は高いです。
ネットトラブル
加盟店と顧客がトラブルとなり、SNSやインターネット掲示板で誹謗中傷を受ける可能性があります。
加盟店の外観や店長・店員の顔等を無断で乗せ、損害を加える等の悪質な投稿があったときは、速やかに投稿の削除、拡散防止に努めましょう。
ただし、契約時に本部から得たマニュアルや、本部の指示を参考に誹謗中傷に対応しようとしても、必ずうまくいくとは限りません。
一方、弁護士は悪質な投稿の削除依頼の方法や、投稿者の特定、法的措置まで熟知しているため、弁護士の助けを借りて誹謗中傷の解決を進めた方がよいです。
本部の体制問題
本部の体制に関する問題は、主に次のようなケースが想定されます。
- 加盟時の本部の指導、説明が現実から著しくずれていて、加盟店の経営が行き詰まっている
- 本部が契約で明記された研修を十分に行わない
- 加盟店のエリア(テリトリー)内に他店舗を出店した 等
本部が契約上の義務を守らない場合、正しい対応を求め、要求が聞き入れられない場合は法的措置(損害賠償請求)を検討しましょう。
フランチャイズビジネスにおける弁護士の活動内容
加盟店も本部も、法的なトラブルが発生しそうな場合または実際に発生した場合は、フランチャイズの紛争解決に豊富な実績を持つ弁護士と相談しましょう。
対応を依頼された弁護士は、ケースに応じ適切な助言や措置を講じていきます。
契約書の作成・見直し
契約書には、契約期間中、そして契約終了後も、本部・加盟店が守らなけれならない条項を明記します。
具体的には次のような条項を定めておけば、契約期間中・終了後も守らなければならない取り決めの確認が可能です。
- 契約期間について
- 商標の使用許諾
- 加盟金やロイヤリティの金額、支払方法等
- 本部側のノウハウ提供義務
- 加盟店側のマニュアル遵守義務
- テリトリー権:本部が加盟店に対し、営業地域を特定する権利
- 競業避止義務:契約終了後、加盟店が類似事業を行わない義務
- 守秘義務:業務上知りえた秘密を他に漏らしてはならない義務
- 中途解約の違約金
弁護士に依頼すれば、本部・加盟店それぞれの権利義務を明確化した、完成度の高い契約書を作成できます。
また、本部側が作成した契約書をチェックし、問題点があれば改善方法を提案します。
体制強化
フランチャイズ本部が弁護士と顧問契約を結べば、法務体制を強化できます。
顧問弁護士は本部や加盟店で起こる法律問題や、クレーム対応・商標権の侵害に悩んでいる等といった問題に対して、継続的なサポートが可能です。
たとえ問題が起こらなくても、弁護士は社内規定の整備や、契約書のリーガルチェック等にも対応します。
法律チェック
本部・加盟店の事業に関する契約内容の把握や判断に迷ったときなどに弁護士がアドバイスをします。
特にフランチャイズ契約は、複数の契約関係が絡み合った契約です。
内容は複雑であり、本部の解釈と加盟店の解釈が大きく違ってしまう場合もあるでしょう。
契約内容をめぐり双方が対立した場合、弁護士は該当する法律や裁判例に則り、どう解釈するのかを説明します。
交渉代行
弁護士は本部・加盟店に代わり交渉が可能です。
たとえば、クレーム問題の場合、不当な要求を行うクレーマーに、本部・加盟店の担当者が交渉を試みて、「法律上このような規定があるので、その要求には対応できない」と主張したとしましょう。
クレーマーは「自分はお客である」という意識が高く、主張したのが本部であっても、加盟店であっても「お客の要求を拒むとは生意気な!」と、ますます反感を強くするおそれがあります。
一方、弁護士の場合は、クレーマーはお客ではないので対等な話し合いが可能です。
そのため、弁護士が交渉を任されれば、法律を根拠にクレーマーの行為が違法となる点を鋭く指摘し、不当な要求をしないよう強く主張できます。
フランチャイズに強い弁護士の特徴
自社に顧問弁護士がいないときは、まず弁護士選びから始めましょう。
ただし、フランチャイズに関するトラブルを相談したい場合、弁護士なら誰でもよいわけではありません。
こちらでは、弁護士を選ぶポイントについて取り上げます。
実績豊富
フランチャイズの法的トラブル解決に数多く携わってきた弁護士を選びましょう。
経験豊富な弁護士は、次の方法でチェックできます。
- 法律事務所のホームページに、フランチャイズに関する紛争の相談実績や相談事例、コラム等が豊富に掲載されている
- フランチャイズの法的問題に関する著作本を執筆している 等
上記の内容が確認できれば、フランチャイズの紛争解決に精通しているとみて間違いないでしょう。
諦めない姿勢
どのような不利な状況でも必ず依頼者側に立って弁護活動を行う弁護士が理想的です。
本部または加盟店が損害賠償を請求されているときは、弁護士はその経緯をヒアリングし、的確なアドバイスをします。
また、裁判に発展した場合は、問題解決までに1年以上かかる可能性があるので、迅速に和解できるよう相手方へ交渉を働きかけます。
依頼者の意向を踏まえつつ、相手の言い分も聴きながら交渉条件を調整し、和解成立に尽力します。
親身な対応
依頼者から問題が発生した経緯や現状、どのような解決を望むかについて聞き取り、丁寧な回答や提案ができる弁護士を選びましょう。
本部または加盟店の担当者に「このような対応をしているから裁判になるんだ!」等と、責めるような姿勢の弁護士は信頼関係を構築できません。
まずは法律事務所で相談するときに、弁護士の助言や説明を受けながら、その人柄もチェックしましょう。
そして「この弁護士になら任せられる」と判断したら、委任契約を締結しましょう。
フランチャイズに対応してくれる弁護士費用
フランチャイズに関するトラブルで弁護士にサポートを依頼する場合、弁護士費用が発生します。
弁護士費用は各事務所が自由に設定できるので、費用に差が出ます。費用の目安は、次の通りです。
- 契約書作成:10~20万円程度
- 訴訟に関する費用:着手金22万円~、成功報酬13~20%程度
着手金は、弁護士にサポートを依頼した場合、必ず支払わなければならない費用です。
成功報酬は、弁護士が交渉成立や勝訴したとき支払う費用で、「経済的利益の〇%」という形で報酬を定めている事務所もあります。
フランチャイズに関するトラブルなら今すぐ弁護士に相談を
今回はフランチャイズに関する問題解決へ尽力してきた専門弁護士が、フランチャイズのトラブル対応に弁護士が果たす役割等を詳しく解説しました。
本部と加盟店の対立、顧客とのトラブルを放置していては、深刻な事態となるおそれがあります。早く弁護士と相談し、対応を協議する必要があります。
弁護士のサポートを受けて、慎重に問題解決を進めましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。