詐欺をしてしまったら自首すべき?専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月17日
- 詐欺を犯してしまい自首するべきか悩んでいる
- 詐欺罪で自首を成立させるための要件を知りたい
- 詐欺事件で自分ひとりで自首をする勇気がわかない
近年、振り込め詐欺などの特殊詐欺が増加したために詐欺事件が厳罰化しています。SNSなどを通じて気軽な気持ちで犯罪に加担してしまうことも少なくありません。
しかし、詐欺行為であることを知らないバイトであろうと初犯であろうと、逮捕され実刑になる可能性は十分にあるため、早期に自首を検討する必要があるでしょう。
そこで今回は、多くの詐欺事件を解決してきた刑事事件専門の弁護士が、詐欺を犯したときに自首するメリットはあるのか?そもそも自首とはどういうことか、また弁護士に相談するメリットは何かについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 詐欺罪では自首することで逮捕回避・不起訴などの可能性が高まる
- 自首の成立要件は捜査機関に発覚する前に自発的に申告すること
- まずは詐欺罪での対応実績が豊富な弁護士に相談することが大切
詐欺をしてしまったら自首?まずは基礎知識を確認
詐欺を犯して自首することの意味について解説します。
- 詐欺とは?適用される法律・刑罰
- そもそも「自首」とは?
- 詐欺における自首の成立要件
1つずつ見ていきましょう。
詐欺とは?適用される法律・刑罰
詐欺とは、相手が財物を交付したくなる意思を起こさせる詐欺行為をし、相手を錯誤に陥らせて財物を交付させる行為をいいます。
詐欺罪については刑法246条で「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する」と規定しています。
詐欺罪の刑罰は懲役のみであり、罰金刑はありません。罰金刑の定めがないということは、詐欺罪は犯罪の中でも比較的重い刑罰の犯罪です。
詐欺罪が成立するためには、
- 相手をだます欺罔行為(ぎもうこうい)
- 被害者の錯誤
- 財産処分または財産上の利益の移転
- 因果関係
のすべて要件を満たす必要があります。
そもそも「自首」とは?
自首とは、捜査機関に犯罪が発覚する前に、犯罪行為を行った者が自発的に自己の犯罪行為を申告してその処分を求める意思表示のことをいいます。
刑法では、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減刑することができる」と規定しています(刑法第42条)。
自首により刑が軽減されることがありますが、必ず刑の減刑が受けられるというわけではないので注意が必要です。
しかし、自首するということは、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを自ら申告することでもあるので、逮捕や勾留などの身柄拘束を回避できる可能性が高まります。
詐欺における自首の成立要件
ここでは詐欺における自首の成立要件を解説します。
詐欺において自首が成立するためには、
- 捜査機関に発覚する前に
- 自発的に申告すること
が必要になります。
発覚前とは、詐欺の犯罪行為が警察などの捜査機関に認知されていない、あるいは認知されていても犯人がわからない状況をいいます。そのため、捜査機関に指名手配されてから出向いても自首にはなりません。
捜査機関に申告するとは、犯人が自発的に罪の申告をすることをいいます。警察での取り調べに対して犯罪事実を供述しても、これは受動的な応答であり、自発的な申告には該当しないので注意が必要です。
自ら警察署に出向いて申告することで自首が成立し、その後は警察で取り調べを受けます。警察が逮捕状を請求して裁判所がこれを認めると、逮捕され身柄拘束を受けるか在宅事件になります。
詐欺をしてしまった場合に自首するメリット
ここでは詐欺をした場合に自首するメリットについて解説します。
- 逮捕回避の可能性が高まる
- 不起訴になる可能性が高まる
- 万が一の量刑が軽くなる
それでは1つずつ見ていきましょう。
逮捕回避の可能性が高まる
詐欺をした場合に自首する1つ目のメリットは、逮捕回避の可能性が高まることです。
捜査機関は、逮捕の理由と必要性がなければ被疑者を逮捕することができません。逃亡や証拠隠滅の可能性がある場合に、被疑者を逮捕できます。
しかし、自ら警察に出頭して事件の真相について正直に供述すれば、逃亡や証拠隠滅のおそれは低いと判断されやすくなり、逮捕の可能性も下がります。
逮捕を回避できれば、被疑者は釈放されて事件は在宅事件に切り替わります。検察官の面談に呼び出されたりすることもありますが、在宅事件となれば通常通りの生活が送れます。
不起訴になる可能性がある
詐欺をした場合に自首する2つ目のメリットは、不起訴になる可能性があることです。
自首することは、通常は自分の犯した罪を反省していると受け取られるため、犯人の供述は捜査機関に信用してもらいやすくなります。
たとえば、詐欺罪で逮捕された場合、捜査機関はまず被害者の話を聞きますが、被疑者が被害者と異なる供述をしても、被疑者の話を信用してもらえない場合があります。
しかし、自首することで、被疑者がたとえ詐欺行為にどのような背景があったのか、状況を聞いてもらいやすくなります。
内容によっては検察官も自首したことを情状として認め、不起訴処分にする可能性もあります。不起訴処分になれば前科もつきません。
万が一の量刑が軽くなる
詐欺をした場合に自首する3つ目のメリットは、万が一の量刑が軽くなることです。
自首することでその刑を減刑できると刑法は規定しています(刑法第42条)。ただし、自首すれば必ず刑が減刑されるというわけではありません。
詐欺罪の刑罰は最高で10年の懲役刑となりますが、これが減刑されると最高で5年になります。減刑が受けられれば執行猶予になる可能性も高くなるでしょう。
また、自首したことを被害者が知ることで、示談が成立しやすくなる可能性も高まります。自首により犯人が罪を認めて反省していると、被害者も認めやすいからです。
たとえ起訴されたとしても、被害者と示談が成立していれば、情状として検察官に認められ量刑が軽くなる可能性も高まるでしょう。
詐欺をしてしまったら弁護士に自首の相談を
詐欺をしてしまったら弁護士に自首の相談をすることがおすすめです。弁護士に相談することのメリットは、以下の3つです。
- 自首に付き添ってくれる
- 逮捕回避に向けて動いてくれる
- 示談を進めてくれる
1つずつ解説します。
自首に付き添ってくれる
詐欺をしてしまい弁護士に自首の相談をすることの1つ目のメリットは、自首に付き添ってくれることです。
自首することで、刑の減刑や逮捕や勾留を回避できる可能性はあります。しかし、いざ自首するとなると、その後、自分はどうなってしまうのか不安に思うことでしょう。
弁護士に相談することで、あなたの行為が犯罪行為にあたるのかの判断を含め、事案に応じて捜査機関への出頭の要否を回答してくれます。
そのとき、弁護士が警察署に同行することも可能です。弁護士が自首に同行することで、その後は身元引受人ともなってくれるため、家族や会社に警察から連絡がいくこともありません。
逮捕回避に向けて動いてくれる
詐欺をしてしまい弁護士に自首の相談をすることの2つ目のメリットは、逮捕回避に向けて動いてくれることです。
弁護士に自首の相談をすることで、その後の逮捕回避に向けた対応をしてくれます。
逮捕は理由と必要性がないとできません。弁護士が「証拠隠滅の可能性がない」「逃亡のおそれがない」ことを証明することで、在宅捜査になるように手続きをすることが可能になります。
詐欺事件では、犯罪が発覚すると逮捕される可能性が高く、一度逮捕されると最長で23日間もの長期にわたり刑事施設に拘束されてしまいかねません。初動の早い弁護士に相談することが重要になります。
示談を進めてくれる
詐欺をしてしまい弁護士に自首の相談をすることの3つ目のメリットは、示談を進めてくれることです。
詐欺事件では、被害者との示談が成立しているか否かにより、その後の刑事手続の流れも大きく変わることになります。
示談が成立していれば、逮捕の必要性もなくなり、たとえ逮捕されていたとしても早期に釈放されるでしょう。不起訴を獲得するうえでも示談の成立が重要です。
詐欺事件を多く解決してきた刑事事件専門の弁護士に相談することで、示談交渉の方法や被害者への謝罪の仕方などのアドバイスを受けられます。
まとめ
今回は、多くの詐欺事件を解決してきた刑事事件専門の弁護士が、詐欺を犯したときに自首するメリットはあるのか?そもそも自首とはどういうことか、弁護士に相談するメリットについて解説しました。
詐欺行為を犯してしまい自首を考えている場合は、できるだけ早い時期に弁護士に相談することが何よりも重要です。まずは、自首について相談してみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。