詐欺で逮捕されたくない!弁護士が解説する警察対応と示談交渉のコツ
最終更新日: 2026年04月10日

「ただアルバイトをしただけ」
「知人に頼まれて名義を貸しただけ」
など、あなた自身に「詐欺のつもりはなかった」としても、ある日突然、警察から連絡が来て詐欺の疑いをかけられるケースは少なくありません。
ご自身が詐欺事件の加害者として捜査対象になっていると知れば、誰でもパニックになり、「どうしよう」「逮捕されてしまうのか」と強い不安に駆られるはずです。
しかし、このような状況で最も重要なのは、まず落ち着いてご自身の置かれた状況を正確に把握することです。
衝動的な行動は、かえって事態を悪化させる可能性があります。
この記事では、詐欺事件の加害者となってしまった方が、逮捕を回避し、不起訴処分や執行猶予といった有利な結果を得るために、どのような対応をすべきかを弁護士の視点から詳しく解説します。
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そもそも詐欺罪とは?成立する要件
詐欺罪は、刑法第246条に定められている犯罪です。単に「嘘をついた」だけでは成立せず、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 欺罔(ぎもう)行為:
相手を騙す行為のことです。財産を交付させるために、重要な事実について嘘をついたり、真実を隠したりする行為を指します。(例:「必ず儲かる」と嘘の投資話をする、「息子が事故を起こした」と身分を偽るなど) - 錯誤:
欺罔行為によって、相手が騙されて事実と異なる認識を持つことです。 - 処分行為:錯誤に陥った相手が、自らの意思で財産を交付・処分することです。
(例:お金を振り込む、商品を渡すなど) - 財産の移転:
処分行為によって、財産(お金や物など)または財産上の利益が、加害者または第三者に移転することです。 - 因果関係:
①〜④までが一連の流れとして繋がっていることが必要です。
そして、これらの行為について「最初から相手を騙して財産を得よう」という故意(意図)があったと認められる場合に詐欺罪が成立します。
しかし、「詐欺のつもりがなかった」という主張は、客観的な証拠(やり取りの履歴、口座の動きなど)から「騙す意図があった」と判断されれば、認められないことがほとんどです。
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意図せず加害者になりやすい詐欺のケース
近年、本人は詐欺と認識しないまま、結果的に犯罪の片棒を担いでしまうケースが急増しています。特に以下のようなケースは注意が必要です。
- 闇バイト(受け子・出し子):
「高額報酬」「書類を受け取るだけ」といった甘い言葉に誘われ、特殊詐欺(オレオレ詐欺、還付金詐欺など)の現金受け取り役(受け子)やATMからの引き出し役(出し子)になってしまうケース。
末端の役割でも、逮捕されれば実刑判決となる可能性が高い非常に危険な行為です。 - 給付金・助成金の不正受給:
知人やコンサルタントから「誰でも貰える」と誘われ、受給資格がないにもかかわらず、持続化給付金や家賃支援給付金などを申請してしまうケース。
名義を貸しただけでも詐欺の共犯(共同正犯)と見なされます。 - 副業・情報商材詐欺への加担:
「簡単に儲かる」という情報商材を購入し、そのマニュアルに従ってSNSなどで他人を勧誘した結果、自身が詐欺の加害者側になってしまうケース。 - SNSでの個人間融資や投資話:
SNSを通じて知り合った相手から「口座を貸してくれたら謝礼を払う」「投資資金を送金してほしい」などと頼まれ、安易に応じた結果、犯罪収益の移転に関与してしまうケース。
これらのケースでは、罪の意識が低いまま関与してしまう方が多いですが、「知らなかった」では済まされず、厳しい刑事罰が科される可能性があります。
詐欺事件で逮捕される可能性と逮捕後の流れ
詐欺事件で被害届が提出されると、警察は捜査を開始します。
被害額の大きさ、計画性・組織性の有無、証拠隠滅や逃亡のおそれなどを考慮し、逮捕の必要性があると判断されれば、ある日突然、逮捕状を持って警察がやってきます。逮捕されてしまった場合、以下のような流れで手続きが進みます。
逮捕(最大72時間)
- 警察での取調べ(〜48時間):
逮捕後、警察署で取調べを受けます。 - 検察官への送致(〜24時間):
警察は48時間以内に、事件と身柄を検察官に引き継ぎます(送致)。
この逮捕期間中は、たとえ家族であっても面会(接見)することはできません。しかし、弁護士であればいつでも接見が可能です。
勾留(最大20日間)
送致を受けた検察官は、24時間以内に、さらに身柄拘束を続ける必要があると判断した場合、裁判官に「勾留」を請求します。
勾留が認められると原則10日間、延長が認められるとさらに最大10日間、合計で最大20日間、警察署の留置場で身柄を拘束されながら取調べが続きます。
起訴・不起訴の決定
検察官は、勾留期間が満了するまでに、被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)を最終的に決定します。
逮捕・勾留されると、最大で23日間も社会から隔離されることになり、会社や学校を解雇・退学になるなど、社会生活に計り知れないダメージを受けます。
警察から連絡が!逮捕を回避するための正しい警察対応
警察から「話を聞きたい」と任意出頭を求める連絡があった場合、それはあなたが被疑者(容疑者)として捜査対象になっている可能性が高いサインです。
この段階での対応が、その後の運命を大きく左右します。
やってはいけないNG対応とリスク
不安な気持ちから、以下のような対応を取ってしまうと、状況は一気に悪化します。
- 無視・出頭拒否:
「怖いから」と電話を無視したり、正当な理由なく出頭要請を拒否し続けたりすると、「逃亡のおそれあり」と判断され、逮捕状が請求される可能性が非常に高まります。 - 安易な嘘をつく:
その場しのぎの嘘や曖昧な供述は、後々、客観的な証拠と矛盾が生じ、信用性を失います。「反省していない」「事実を隠蔽しようとしている」と見なされ、不利な状況を招きます。 - 証拠隠滅を疑われる行為:
スマートフォンの履歴を削除したり、関係者と口裏を合わせたりする行為は、証拠隠滅と判断され、逮捕の必要性を高めるだけでなく、罪が重くなる可能性があります。 - 被害者への直接の連絡:
謝罪や示談のために自分で被害者に連絡を取ろうとすることは絶対に避けるべきです。被害者からは「脅されている」「口封じをしようとしている」と受け取られかねず、警察に通報されれば即座に逮捕されるリスクがあります。
取り調べで話すべきこと・話すべきでないこと
取調べでは、供述した内容が「供述調書」という法的な証拠として記録されます。一度作成されると覆すのは困難なため、何を話し、何を話さないかは極めて重要です。
- 話すべきこと:
客観的な事実に沿った内容。もし「詐欺の意図はなかった」のであれば、なぜそう思ったのか、具体的な経緯や事実を冷静に説明する必要があります。
ただし、どのような説明が有利に働くかは専門的な判断を要するため、事前に弁護士と打ち合わせをすることが不可欠です。 - 話すべきでないこと:
記憶が曖昧なこと、推測や憶測、他人の悪口や責任転嫁、感情的な反論などは話すべきではありません。不利な評価につながる可能性があります。 - 黙秘権の行使:
あなたには、話したくないことについて話さない権利(黙秘権)があります。
不利な質問をされたり、どう答えていいか分からなかったりした場合は、「黙秘します」または「弁護士と相談してから話します」と伝えることができます。
黙秘権の行使自体が、あなたにとって不利益に扱われることはありません。
供述調書で注意すべきポイント
取調べの最後に、警察官は供述調書を作成し、あなたに署名と押印(指印)を求めます。これは最も注意すべき局面です。
- 内容を必ず確認する:
読み聞かせを求め、一言一句、自分の話した内容とニュアンスが合っているかを確認してください。 - 違う部分は訂正を求める:
「騙すつもりはなかった」と話したのに「騙すつもりでした」と書かれているなど、少しでも意図と違う表現があれば、必ず訂正を要求してください。
訂正に応じてくれない場合は、署名を拒否できます。 - 納得できなければ絶対に署名・押印しない:
一度署名・押印してしまうと、その内容に同意したことになり、後の裁判で「警察に無理やり書かされた」と主張しても、ほぼ認められません。
すぐに弁護士に連絡すべき理由
警察から連絡が来た、または家族が逮捕されたという段階で、一刻も早く弁護士、特に詐欺事件を含む刑事事件に精通した弁護士に連絡すべきです。その理由は以下の通りです。
- 適切な取調べ対応のアドバイス:
弁護士は、どのような事実を話し、どのように黙秘権を使うべきか、具体的なアドバイスができます。
不当な取調べが行われていないか監視することも可能です。 - 逮捕・勾留の回避:
弁護士が代理人として警察に出頭(同行)したり、検察官や裁判官に対して「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」ことを示す意見書を提出したりすることで、逮捕や勾留を回避できる可能性が高まります。 - 早期の示談交渉:
弁護士は、速やかに被害者の連絡先を検察官から入手し、示談交渉を開始できます。早期の示談成立は、不起訴処分獲得の最大の鍵です。 - 精神的な支え:
逮捕されるかもしれないという極度の不安の中で、唯一の味方となり、法的な視点からあなたとあなたの家族をサポートします。
不起訴処分・執行猶予を目指すための示談交渉のコツ
詐欺事件において、前科をつけずに事件を終結させる「不起訴処分」や、実刑を回避する「執行猶予付き判決」を目指す上で、被害者との示談が最も重要な弁護活動となります。
なぜ示談交渉が重要なのか?
示談とは、当事者間の話し合いによって民事上の紛争を解決することです。詐欺事件において示談が成立し、被害弁償(騙し取った金銭の返還)が行われることには、以下の重要な意味があります。
- 被害の回復:
被害者の財産的な損害が回復されたことを意味します。 - 処罰感情の緩和:
被害者が加害者の謝罪を受け入れ、許し(宥恕:ゆうじょ)を示すことで、「加害者を厳しく罰してほしい」という感情が和らいだことを検察官や裁判官に示すことができます。
検察官は、事件を起訴するかどうかを判断する際に、この「被害回復の有無」と「被害者の処罰感情」を非常に重視します。
そのため、示談が成立している場合、特に初犯で被害額が比較的少額なケースなどでは、「起訴猶予」による不起訴処分となる可能性が格段に高まります。
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示談交渉を成功させる3つのポイント
① 迅速な対応
事件が発覚したら、可能な限り早く示談交渉に着手することが重要です。
時間が経てば経つほど捜査は進み、被害者の処罰感情も固まってしまうため、交渉は難しくなります。
逮捕される前の段階で示談が成立すれば、逮捕そのものを回避できる可能性もあります。
② 誠意ある謝罪
示談は、単にお金を払えばよいというものではありません。
加害者本人が作成した謝罪文を弁護士を通じて被害者にお渡しするなど、真摯に反省している態度を示すことが、被害者の感情を和らげ、交渉を円滑に進める上で不可欠です。
③ 適切な示談金の提示
示談金は、被害額の全額弁償が基本です。
それに加えて、被害者が被った精神的苦痛に対する慰謝料や迷惑料を含めた金額を提示するのが一般的です。
相場を理解し、誠意が伝わる適切な金額を提示することが、早期解決の鍵となります。
詐欺事件における示談金の相場は?
詐欺事件における示談金の額に、明確な法的基準はありません。しかし、一般的には以下の要素で構成されます。
- 被害弁償:
騙し取った金額の全額。これが示談の最低ラインです。 - 慰謝料・迷惑料:
被害額に上乗せして支払う金銭です。
金額は、被害額の大きさ、事件の悪質性、被害者が受けた精神的苦痛の度合いなどによって変動します。
数十万円から、被害額の2〜5割程度が目安となることもありますが、ケースバイケースです。
一括での支払いが原則ですが、どうしても資金が用意できない場合は、弁護士を通じて分割払いの交渉を行うことも可能です。
弁護士に示談交渉を依頼するメリット
示談交渉は、必ず弁護士に依頼すべきです。
加害者本人やその家族が直接交渉しようとすると、以下のようなリスクがあり、ほぼ成功しません。
- 連絡先を教えてもらえない:
警察や検察は、二次被害を防ぐため、加害者本人に被害者の連絡先を教えることはありません。
弁護士が介入することで初めて、連絡先の開示を受けられる可能性が生まれます。 - 被害者の感情を悪化させる:
加害者から直接連絡があれば、被害者は恐怖を感じ、感情的になって交渉を拒絶する可能性が非常に高いです。
冷静な第三者である弁護士が間に入ることで、客観的な話し合いが可能になります。 - 法的に有効な示談書を作成できる:
「加害者を許し、刑事処罰を求めない」という宥恕(ゆうじょ)文言を含んだ示談書を適切に作成し、後々のトラブルを防ぎます。
この宥恕文言の有無が、検察官の判断に大きく影響します。
詐欺事件を弁護士に依頼した場合の流れと費用
ご相談から事件解決までの流れ
- 法律相談:
電話やメールで法律事務所に連絡し、相談の予約をします。 - 弁護士との面談:
事務所で弁護士と面談し、事件の詳細を話します。弁護士は今後の見通しや弁護方針、費用について説明します。 - 委任契約:
方針と費用に納得すれば、委任契約を締結します。 - 弁護活動開始:
・在宅事件の場合:弁護士が警察に連絡し、取調べへの同行や、示談交渉を開始します。
・身柄事件(逮捕された)の場合:直ちに接見に向かい、取調べへのアドバイスをします。並行して、勾留を防ぐための活動や示談交渉を進めます。 - 事件の終結:
不起訴処分、略式命令(罰金)、または公判請求(裁判)を経て、事件が終結します。 - 成功報酬の支払い:
契約内容に応じた成功報酬を支払います。
弁護士費用の内訳と目安
弁護士費用は事務所や事案の難易度によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 相談料:
30分5,000円〜1万円程度(初回無料の事務所も多い) - 着手金:
事件を依頼する際に支払う費用。
30万円〜50万円程度が相場。結果にかかわらず返金されないことが一般的です。 - 成功報酬:
事件の結果に応じて支払う費用。
不起訴処分を獲得した場合で30万円〜50万円程度、執行猶予付き判決を獲得した場合で30万円〜50万円程度が相場です。 - 接見日当:
逮捕・勾留中に弁護士が接見に行くたびに発生する費用。
1回あたり3万円〜5万円程度。 - 実費:
交通費、郵便代、示談金の振込手数料など、弁護活動で実際にかかった費用。
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まとめ
「詐欺のつもりがなかった」としても、客観的な事実から詐欺罪の疑いをかけられ、逮捕・起訴されるリスクは誰にでもあります。
詐欺事件は、初動の対応がその後の結果を大きく左右します。
もし警察から連絡が来たり、ご家族が逮捕されたりした場合は、決して一人で抱え込まず、早い段階で弁護士に相談してください。
早期に弁護士が介入することで、逮捕や勾留を回避し、被害者との示談を成立させ、前科のつかない「不起訴処分」を獲得できる可能性は飛躍的に高まります。
多くの法律事務所では無料相談を実施しています。まずは勇気を出して、専門家である弁護士に連絡することから始めてください。それが、あなたの未来を守るための最も確実な第一歩です。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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