不倫の示談金(慰謝料)は減額可能?高すぎる場合の対処法と交渉ポイント

最終更新日: 2026年02月04日

不倫慰謝料の減額は可能?高すぎる場合の対処法と交渉ポイント

不倫相手の配偶者から、突然、内容証明郵便や連絡が届き、そこに記載された慰謝料や示談金の金額を見て、不安を感じていませんか。

「300万円なんて、とても支払えない」
「支払わなければ会社に知られてしまうと言われた」
「このまま放置すると、何か法的な問題になるのではないか」

このような状況に直面すると、冷静な判断が難しくなるのも無理はありません。

ただし、相手が提示してきている金額は、あくまで相手側の主張や希望にすぎず、その金額を直ちにそのまま支払わなければならないわけではありません。

不倫の慰謝料請求は、法律上は民事上の損害賠償請求であり、当事者間の話し合いによって解決される「示談」という形をとるのが一般的です。痴漢や暴行などの刑事事件における示談とは性質が異なり、支払いに応じないからといって、逮捕や刑事処分に結びつくものではありません。

請求額が相場と比べて高額である場合には、切な手順を踏むことで、減額を求めることが可能です。

この記事では、提示された示談金(慰謝料)が適正かどうかを判断するための基準と、金額が高すぎる場合に相場水準まで調整するための具体的な考え方や交渉のポイントについて、弁護士の視点から解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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請求された示談金(慰謝料)が高すぎるか判断する基準

相手から提示された示談金(慰謝料)について「高いのではないか」と感じた場合、まず確認すべきなのは、その金額が過去の裁判例などに基づく一般的な相場から大きく外れていないかという点です。

請求する側は自由に金額を提示できますが、その金額がそのまま法的に認められるとは限りません。相場から大きく乖離している場合には、交渉によって減額できる可能性があります。

まず確認:「刑事事件」の示談金とは異なる

金額を検討する前提として、不倫の慰謝料請求が「民事上の問題」であることを理解しておくことが重要です。

不倫の慰謝料は、「支払わなければすぐに逮捕される」「前科がつく」といった刑事事件の示談とは性質が異なります。そのため、「応じなければ会社や警察に伝える」といった言動があったとしても、過度に不安を感じて拙速に高額な示談書に署名する必要はありません。

まずは冷静に、以下の相場と照らし合わせて検討することが大切です。

示談金(慰謝料)の相場を知る

慰謝料(示談金)の金額は、請求する側の一方的な判断で決まるものではなく、これまでの裁判例の積み重ねによって、一定の目安(相場)が形成されています。

日本の裁判実務における不倫慰謝料の一般的な相場は、次のように整理されています。

状況慰謝料の目安
離婚に至らない場合約50万円〜100万円
離婚に至った場合約100万円〜200万円

たとえば、相手夫婦が離婚していないにもかかわらず、300万円や500万円といった金額を請求されている場合には、相場と比較して高額であるといえ、減額を求める余地があるケースと考えられます。

さらに減額を主張できる「5つの理由」

相場との比較に加えて、次のような具体的な事情がある場合には、慰謝料額についてさらに調整される可能性があります。

減額理由主なポイント
① 婚姻関係の破綻不倫以前から夫婦関係が実質的に破綻していた場合(別居期間が長いなど)には、慰謝料請求自体が認められない、または大きく減額されることがあります。
② 婚姻期間、子の有無婚姻期間が比較的短い場合や、夫婦間に未成年の子がいない場合には、慰謝料額が抑えられる傾向があります。
③ 経済的事情自身の収入や資産状況からみて、請求額の支払いによって生活が著しく困難になる事情がある場合には、減額が考慮されることがあります。
④ 不倫の期間・態様不倫関係の期間が短い、関係の回数が限定的であるといった事情がある場合も、減額の要素となり得ます。
⑤ 謝罪・反省の有無早い段階で誠実に謝罪を行い、反省の意思を示している場合には、金額の調整に影響することがあります。

なお、これらの事情があったとしても、当事者同士で直接交渉を行うと、感情的な対立が生じ、話し合いが進まなくなるケースも少なくありません。そのような場合には、専門家を介した対応を検討することも選択肢の一つとなります。

減額交渉を進める際の注意点とポイント

慰謝料請求を受けた際、ご自身で交渉を行うと感情的なやり取りになり、かえって状況を悪化させてしまうことも多いです。

特に、不倫慰謝料の内容証明が届いた場合は、法的な対応が求められます。弁護士に相談することで、法的な根拠に基づいた冷静な対応が可能になります。

安易な接触と金額提示は避ける

  • 請求者に直接連絡を取る:感情的なやり取りは状況を悪化させ、言質(不利な発言)を取られる可能性があります。
  • 示談書にサインする:内容を精査する前にサインすると、その後の減額交渉が極めて困難になります。
  • 「少しでも払う」と約束する:支払い義務を認めることになり、その後の減額交渉が難しくなります。

弁護士に依頼した場合の一般的な流れ

最も有効なのは、請求書が届いた時点で早期に弁護士に相談し、交渉窓口になってもらうことです。

  • 受任通知の送付:弁護士が代理人として相手方に通知し、直接のやり取りを止めることで精神的な負担を軽減します。
  • 証拠の確認:相手が提示する証拠が、法的に有効かどうか(違法な収集ではないかなど)を確認します。
  • 減額の主張:判例や相場を示しながら、具体的な事情に基づいて合理的に減額を求めます。
  • 和解・示談の成立:合意が整った場合は、弁護士が内容を確認した上で法的に有効な示談書を作成します。きちんとした合意書がないと、紛争の再発などの問題が起こりやすくなります。

弁護士費用を考慮しても減額のメリットがあるか?

弁護士費用がかかる点はありますが、請求額が相場を大きく上回っている場合には、結果的に減額分が費用を上回るケースも少なくありません。経済的にも心理的にも、専門家に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。

4. よくある質問(FAQ)

Q. 慰謝料の請求を無視し続けるとどうなりますか?

慰謝料請求を放置することは、望ましい対応とは言えません。

放置していると、裁判(訴訟)に進む可能性があります。裁判になった場合、慰謝料に加えて、訴訟費用や遅延損害金(請求日から発生する利息)の支払いまで認められることがあります。

請求を受けた際は、内容を確認したうえで、早めに弁護士へ相談し、法的な観点から適切な対応を検討することが大切です。

Q. 相手が「示談書にサインしないと訴える」と言っています。サインしてもいいですか?

示談書の内容を弁護士に確認する前にサインすることは避けたほうがよいでしょう。

一度サインをすると、その示談書が法的に有効な契約となり、後から「金額が高すぎる」などの理由で変更を求めることは非常に難しくなります

まずは「内容を確認してから返答します」と伝えたうえで、弁護士に相談することをおすすめします。

5. まとめ

不倫の慰謝料請求は、感情的な問題であると同時に、法的な検討が欠かせない分野です。請求額が高額だと感じた場合でも、事情によっては減額の余地があることがあります。

また、金額面以外でも、請求側から様々な付随的な要求をされているケースもあるでしょう。

まずは、弁護士に相談し、ご自身の状況にどのような要素があるのかを整理し、弁護士に代理交渉をしてもらうことが、適切な解決につながる一番の近道でしょう。

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