不倫慰謝料の減額は可能?高すぎる場合の対処法と交渉ポイント
2025年11月10日

「高額な慰謝料を請求されたが、とても支払えない」「提示された金額が妥当なのか分からない」
このような不安を抱え、弁護士にご相談に来られる方は少なくありません。感情的になりがちな不倫問題ですが、法的な観点から整理することで、請求額を見直す余地がある場合もあります。
請求された金額が必ずしも支払わなければならない金額とは限りません。まずは冷静に、減額交渉を有利に進めるための法的知識を確認しましょう。
2. 慰謝料の減額交渉を可能にする「法的根拠」
2-1. 慰謝料の相場を知っておく
慰謝料の金額は、請求する側が自由に決められるものではなく、過去の判例に基づいた相場があります。減額交渉を成功させるには、相手の請求がこの相場や法的根拠から逸脱していることを指摘する必要があります。
日本の裁判実務では、不倫慰謝料の相場は次のように整理されることが多いとされています。
| 状況 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| 離婚に至らない場合 | 約50万円〜100万円 |
| 離婚に至った場合 | 約100万円〜200万円 |
たとえば、離婚していないにもかかわらず500万円を請求されている場合などは、相場と比較して減額を求める余地があると考えられます。
2-2. 減額を主張できる主な理由
以下の事情が認められる場合、金額が調整され、大幅な減額が認められる可能性があります。
| 減額理由 | 主なポイント |
|---|---|
| ① 婚姻関係の破綻 | 不倫前から夫婦関係が実質的に破綻していた(不倫が離婚の直接的原因でない)場合。 |
| ② 婚姻期間、子の有無 | 婚姻期間が短い、または子がいない場合 |
| ③ 経済的事情 | 支払いにより生活が著しく困難になる場合。 |
| ④ 不倫の期間・態様 | 不倫の期間が短い、または関係が一時的なものであった場合。 |
| ⑤ 謝罪・反省の有無 | 早い段階で誠実に謝罪している、または反省の意思を示している場合。 |
※ただし、上記事由があるからといって必ず慰謝料が低額になるわけではありません。
3. 減額交渉を進める際の注意点とポイント
慰謝料請求を受けた際、ご自身で交渉を行うと感情的なやり取りになり、かえって状況を悪化させてしまうことも多いです。
特に、不倫慰謝料の内容証明が届いた場合は、法的な対応が求められます。弁護士に相談することで、法的な根拠に基づいた冷静な対応が可能になります。
3-1. 安易な接触と金額提示は避ける
- 請求者に直接連絡を取る:感情的なやり取りは状況を悪化させ、言質(不利な発言)を取られる可能性があります。
- 示談書にサインする:内容を精査する前にサインすると、その後の減額交渉が極めて困難になります。
- 「少しでも払う」と約束する:支払い義務を認めることになり、その後の減額交渉が難しくなります。
3-2. 弁護士に依頼した場合の一般的な流れ
最も有効なのは、請求書が届いた時点で早期に弁護士に相談し、交渉窓口になってもらうことです。
- 受任通知の送付:弁護士が代理人として相手方に通知し、直接のやり取りを止めることで精神的な負担を軽減します。
- 証拠の確認:相手が提示する証拠が、法的に有効かどうか(違法な収集ではないかなど)を確認します。
- 減額の主張:判例や相場を示しながら、具体的な事情に基づいて合理的に減額を求めます。
- 和解・示談の成立:合意が整った場合は、弁護士が内容を確認した上で法的に有効な示談書を作成します。きちんとした合意書がないと、紛争の再発などの問題が起こりやすくなります。
3-3. 弁護士費用を考慮しても減額のメリットがあるか?
弁護士費用がかかる点はありますが、請求額が相場を大きく上回っている場合には、結果的に減額分が費用を上回るケースも少なくありません。経済的にも心理的にも、専門家に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。
4. よくある質問(FAQ)
Q1. 慰謝料の請求を無視し続けるとどうなりますか?
慰謝料請求を放置することは、望ましい対応とは言えません。
放置していると、裁判(訴訟)に進む可能性があります。裁判になった場合、慰謝料に加えて、訴訟費用や遅延損害金(請求日から発生する利息)の支払いまで認められることがあります。
請求を受けた際は、内容を確認したうえで、早めに弁護士へ相談し、法的な観点から適切な対応を検討することが大切です。
Q2. 相手が「示談書にサインしないと訴える」と言っています。サインしてもいいですか?
示談書の内容を弁護士に確認する前にサインすることは避けたほうがよいでしょう。
一度サインをすると、その示談書が法的に有効な契約となり、後から「金額が高すぎる」などの理由で変更を求めることは非常に難しくなります。
まずは「内容を確認してから返答します」と伝えたうえで、弁護士に相談することをおすすめします。
5. まとめ
不倫の慰謝料請求は、感情的な問題であると同時に、法的な検討が欠かせない分野です。請求額が高額だと感じた場合でも、事情によっては減額の余地があることがあります。
また、金額面以外でも、請求側から様々な付随的な要求をされているケースもあるでしょう。
まずは、弁護士に相談し、ご自身の状況にどのような要素があるのかを整理し、弁護士に代理交渉をしてもらうことが、適切な解決につながる一番の近道でしょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。





