傷害罪の示談金はどれくらい?相場・流れ・交渉のポイントを徹底解説!
2025年02月21日
- カッとなってしまい、相手を殴打し負傷させてしまった。何とか示談で解決したい。
- 相手を殴って負傷させてしまった場合、示談金はいくらくらい必要か?
- 傷害罪に問われたとき、示談をどのように行えばよいのか知りたい。
相手を殴ったり蹴ったりして負傷させた場合、加害者は「傷害罪」に問われる可能性があります。
傷害罪で有罪になった場合、15年以下の懲役(2025年6月1日以降は拘禁刑)に処されます。
ただし、相手(被害者)と示談が成立した場合、不起訴処分や減刑となる可能性もあるでしょう。
そこで今回は、刑事問題に携わってきた専門弁護士が、傷害罪の示談金の相場、傷害罪に問われた場合の示談の流れ等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 傷害罪の示談金の相場は傷害の内容等に応じて差があるが、およそ30万~180万円である
- 被害者と示談が成立すれば、不起訴処分になる可能性がある
- 傷害罪に問われ被害者との示談を目指したいのであれば、速やかに弁護士と相談しよう
傷害罪の示談金
傷害罪に問われ不起訴処分や減刑を目指したいのであれば、被害者との示談が必要です。
示談金額は被害者の傷害の程度や治療費等によって違いますが、大まかな相場はあります。
相場
傷害罪に問われた場合の示談金額の相場は、まず軽傷か重傷かによって異なります。
- 軽傷:約30万~150万円
- 重傷:約50万~180万円
軽傷か重傷かで示談金額に100万円近い差が出てくるのは、被害者の精神的苦痛や休業損害等も考慮されるからでしょう。
軽傷だからといって必ずしも少額の示談金額に収まるわけではないので、注意しましょう。
内訳
示談金の主な内訳は、次の通りです。
- 治療費:加害者に負わされたケガの治療費用
- 休業補償:ケガで仕事を休んだ場合の営業補償
- 慰謝料:被害者の精神的苦痛を緩和するための損害賠償
示談金額には、負傷の治療費や休業の補償だけでなく、加害者の暴力によって受けた被害者の精神的苦痛も含まれます。
傷害罪の示談金の決め方
傷害罪に問われた場合の示談金額は、損害の大きさと、加害の悪質性によって変わります。
被害者の損害が大きく、加害の悪質性が高いと認められる場合、示談金額は高額になるでしょう。
損害の大きさ
被害者が比較的軽傷(例:打撲、創傷)ではなく、骨折や内臓に損傷を受けた等、重傷の場合は、治療費が高額になるでしょう。
被害者が次のような事態になった場合、示談金額は数百万円に上るケースもあります。
- 手術や長期入院を必要とする:被害者の苦痛や不便さが大きい
- 後遺症が残った:後遺症に対する慰謝料や逸失利益の追加賠償が必要
被害者が重傷を負い入院治療が長引く場合や後遺症がある場合は、示談金は増額される可能性が高いです。
内容の悪質性
加害者が被害者に苦痛を加えようと用意周到に準備していた場合、悪質性が高いため、示談金額は高額となるでしょう。
次のようなケースは悪質性が高いといえます。
- 計画性:被害者の襲撃計画を何日も前から準備していた
- 凶器:被害者を襲撃するためサバイバルナイフや出刃包丁、釘バット等を準備していた
- 共犯:被害者を襲撃するため仲間と犯行に及んだ
- 被害者が多数に上った
一方、加害者が単独で突発的に、素手や足で被害者1名を負傷させた場合、悪質性が高いとはされない可能性もあります。
傷害罪の示談の流れ
傷害罪ですでに加害者本人が逮捕されている場合、被害者と自由に連絡がとれません。
警察・検察の理解や被害者の同意等、様々なハードルをクリアし、示談を目指す必要があります。
申告
まず警察や検察に被害者と示談交渉をしたい旨を申述しましょう。
ただし、すでに逮捕されている場合は、自分のスマートフォン等で自由に連絡することはできません。
警察や検察へ次のように伝え、示談交渉の機会が得られるよう申し出ましょう。
- 被害者へ直接謝罪したい
- 被害者のケガの状態を聞きたい
- 示談金を支払いたい
警察や検察が被害者の電話番号を教える可能性は低く、警察や検察が被害者に意向確認する形がとられるでしょう。
弁護士に私選弁護人を依頼している場合は、示談の機会がつくれるように警察や検察に働きかけるでしょう。
意向確認
警察や検察が被害者に示談の意向確認をします。
被害者は次のような理由で加害者とは交渉したくないと、拒否する場合もあるでしょう。
- 加害者と会うのが腹立たしく、直接話し合いをしたくない
- 暴力を受けた恐怖心がある、加害者からの報復が怖い 等
「弁護士を交渉役にし、示談を進めたい」との意思を被害者に伝えた場合は、法律の専門家である弁護士との交渉であれば応じてもよいと、被害者が同意する可能性もあります。
交渉開始
被害者が応じればすぐ示談交渉を開始します。
示談交渉をしている間も、捜査機関による刑事手続はどんどん進んでいくため、一刻も早く交渉を成立させなければなりません。
交渉で問題となるのは「示談金額」です。加害者や被害者は金額の目安・算定方法がわからないため、揉めるおそれがあります。
弁護士が加害者の代理人となれば、交渉役として示談金の適正額を算定し、被害者に提示可能です。弁護士を立てればスムーズに交渉が進むでしょう。
交渉成立
被害者と示談が成立した場合は、合意内容を「示談書」にまとめます。示談書には、次のような示談内容を明記しましょう。
- 加害者は被害者に誠心誠意謝罪し、二度と暴力行為を行わない
- 示談金額、支払方法、支払期限
- 被害者による被害届や刑事告訴を取り下げる
- 被害者から検察官に「嘆願書(加害者に寛大な処分を求める書面)」を提出する
- 加害者と被害者は以後、今回の問題を蒸し返さない
示談書は2通作成し、加害者・被害者が1通ずつ大切に保管しておきます。
示談金支払い
加害者は取り決めた示談金額を、指定された方法で指定期日までに支払わなければなりません。
被害者が示談金額の入金を確認できなければ、被害届や告訴状の取下げ、嘆願書の提出は行われないでしょう。加害者は非常に不利な立場となってしまいます。
加害者が検傷害の罪で起訴され、有罪判決を受けた場合、「15年以下の懲役(2025年6月1日以降は拘禁刑)または50万円以下の罰金」に処されます(刑法第204条)。
出典:刑法|e-GOV法令検索
報告
示談が成立したときは、加害者から警察や検察に示談成立を報告しましょう。加害者は示談書の写しを提出し、被害者は嘆願書を提出します。
示談書や嘆願書には強制力がないため、これらの書類を確認してどのような処分をするかは検察官次第です。
加害者は示談が成立したからといって油断せず、刑事手続がどのように進められていくのかを注視しましょう。
傷害罪で示談が成立する加害者側のメリット
被害者との示談交渉に成功すれば、前科が付かない可能性や、早期に釈放される可能性があります。
また、起訴され刑事裁判が開かれても、減刑や執行猶予付き判決が言い渡される可能性もあるでしょう。
不起訴獲得
示談交渉に成功すれば、加害者は不起訴処分となる可能性が出てきます。
不起訴処分を得られた場合は加害者に前科が付かず、以後、傷害罪を追及されるリスクから解放されます。
ただし、次のようなケースでなければ、示談が成立しても不起訴処分とはならない可能性があるでしょう。
- 被害者のケガが比較的軽傷である
- 突発的な傷害事件だった
- 加害者が初犯または前科1犯程度である
傷害による被害の深刻さや、加害の悪質性が高い場合、起訴される可能性が高いです。
早期釈放
示談交渉に成功すれば、早期釈放となる可能性もあります。
被害者との示談が成立せず、刑事手続が進められていくと、逮捕から数えて最大23日間、留置施設で身柄を拘束されるかもしれません(刑事訴訟法第205条)。
示談成立には被害者の意思も表れているので、検察官・裁判官は被害者に加害者に対する処罰感情はないと判断し、早期の釈放となる可能性があります。
減刑
示談交渉に成功すれば、たとえ起訴されても減刑となる場合があります。
起訴されれば刑事裁判が開かれます。加害者は「被疑者」から「被告人」と呼び方が変更され、無罪判決を受けない限り「前科」が付いてしまう点に注意しましょう。
ただし、裁判官が次のような点を考慮し、減刑や「執行猶予付き判決」を決める可能性もあります。
- 被告人は真摯に反省している
- 被害者とはすでに示談が成立している
- 被告人は終始、捜査に積極的に協力した
- 重大な傷害事件とはいえない
執行猶予付き判決とは、執行猶予期間中(1年〜5年)、通常の社会生活を送り、執行猶予期間を無事に経過すると、裁判官からの刑の言渡しの効力が無効となる判決です。
傷害罪の示談交渉のポイント
傷害事件を起こした後、示談交渉をしたいのであれば、加害者には冷静な対応が求められます。
どのような対応をしてよいかわからないときは、速やかに弁護士と相談しましょう。
謝罪
まずは誠心誠意、被害者への謝罪が必要です。
「通行中に肩がぶつかり、カッとなって殴った」「相手に文句をいわれて蹴ってしまった」という場合、突発的に生じたトラブルといえます。
また、被害者の負傷の程度が軽い場合、示談成立により不起訴となる可能性も考えられます。
一方、「自分の肩にぶつかった相手が悪い」「文句をいった相手に非がある」と、相手に責任を転嫁しているだけでは、加害者の立場はどんどん不利になるでしょう。
示談交渉を行う前提として、加害者の謝罪が必要です。興奮状態になっている自分自身を落ち着かせ、被害者に謝罪後、示談を申し込みましょう。
冷静な対応
加害者が逮捕された場合、警察や検察の事情聴取の一方で、被害者との示談も進めなければなりません。
加害者が留置施設に勾留された場合、身体的・精神的な負担は増すでしょうが、冷静な対応が求められます。
警察や検察への捜査協力で手一杯なため、自分だけでは被害者との示談交渉を満足に行えないと判断したときは、弁護士の力を借りる方がよいです。
弁護士は法律の知識に精通し、示談交渉の経験も豊富なため、被害者と理性的に話し合いを進められます。
弁護士への相談
傷害事件を起こしたときは、速やかに弁護士と相談した方がよいです。
逮捕前に弁護士と相談できれば、次のようなアドバイスが得られるでしょう。
- 速やかに被害者との示談を進める必要性
- 警察に逮捕された後の対応
- 事情聴取を受けるコツ
- 弁護士はいつでも面会に応じられること
- 弁護士が取り得る弁護活動
加害者が相談後、弁護士に私選弁護人を依頼すれば、弁護士は速やかに警察・検察への対応、被害者との示談交渉を進めていきます。
加害者が私選弁護人を立てる前に逮捕された場合、「警察に家族と連絡をとりたい」と願い出て、家族に私選弁護人を選任してもらいましょう。
刑事事件に強い弁護士は、法律事務所のホームページやサイトを確認して選べることができます。
- ホームページに「刑事事件の交渉実績年間〇〇件」と具体的な件数が明示されている
- サイトに傷害事件の話題や、示談の成功事例が豊富に掲載されている
- 示談の手順や刑事手続の流れ、弁護士に依頼した場合の弁護士報酬(目安)が明記されている 等
なお、24時間365日にわたり、いつでも弁護士と相談できる法律事務所であれば安心できます。
傷害罪の示談交渉は春田法律事務所にお任せを
今回は刑事事件の示談交渉に尽力してきた専門弁護士が、傷害罪の示談金の相場や、示談交渉を成功させるポイント等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は傷害事件に関する示談交渉、刑事裁判に実績豊富な法律事務所です。傷害罪に問われたときは、まず被害者との示談交渉の進め方を弁護士とよく相談しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。