過失傷害で逮捕される?逮捕の条件は?専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月22日
- 過失傷害で逮捕されるのか知りたい
- 過失傷害で逮捕されたら何の罪に問われるのだろう
- 過失傷害で逮捕されたらすべきことについて把握しておきたい
あなたの不注意などで相手を傷つけてしまい、これから逮捕されるのかもしれない、と悩んでいる方もいるかもしれません。過失傷害で逮捕となるには一定の条件があり、逮捕される可能性やすべきことについても理解しておく必要があります。
そこで本記事では、過失傷害に詳しい専門弁護士が、過失傷害で逮捕されるのかとその可能性、逮捕条件、問われる罪、逮捕後の流れ、すべきことについて解説していきます。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 過失傷害では容疑があるだけでは逮捕されるとは限らない
- 過失傷害で逮捕されたら過失傷害・業務上過失致死傷等罪・重過失致死傷等の罪に問われる可能性がある
- 過失傷害で逮捕されたら実績豊富な専門弁護士に相談しよう
過失傷害とは?逮捕される可能性は?
まずは、過失傷害罪とはどのような犯罪なのか、また過失傷害罪で逮捕される可能性はどれくらいなのか説明します。
過失傷害とは
過失傷害とは、加害者が意図的に傷害を与えるつもりがなかったにもかかわらず、過失があったことが原因で、相手に傷害を負わせた場合を指します。
過失とは不注意・ミス・あやまちのことです。また、傷害とは、人の生理機能に対して障害を与える、もしくは人の健康状態を不良にさせてしまうことです。
加害者が結果の発生を予見・回避できる可能性があるにも関わらず、その義務を怠り事件を起こすと、過失傷害として扱われるでしょう。
逮捕される可能性
過失傷害で逮捕される可能性について説明します。
過失傷害というと、すぐに逮捕されるイメージを持っている人が多いかもしれませんが、「逮捕」とは人の自由を強く制限する処分です。単純に容疑があるだけで、必ずしも逮捕されるとは限りません。
事案や状況で異なりますが、過失傷害で逮捕される可能性は一般的には比較的低いといわれています。
なぜなら、過失傷害は、加害者が意図的に相手に傷害を与えたものではなく、あくまでも過失が原因で傷害が発生するものであり、多くの場合は警察から事情聴取を受ける程度で済むことが多いとされているからです。
過失傷害によって被害者が死亡するなどの深刻な場合には、過失致死罪の疑いで逮捕されることがあります。また、加害者が酒気帯び運転をしていた場合、運転中に違反行為をしていた場合など、加害者に重大な過失があった場合には、逮捕される可能性が高いでしょう。
過失傷害で逮捕される条件
過失傷害で逮捕される条件とはどのようなものでしょうか?ここでは以下2点を解説します。
- 現行犯逮捕
- 逮捕状
現行犯逮捕
過失傷害で現行犯逮捕されるケースは、比較的稀ですが発生する可能性もあります。
現場の状況や目撃証言などから加害者の過失が明らかであり、被害が深刻とされた場合には、現行犯逮捕となるでしょう。
現行犯逮捕された場合は弁護士に相談して、早期釈放や不起訴などに向けて迅速な対応をしましょう。
逮捕状
過失傷害では、以下のケースにおいて逮捕状が出される可能性があります。
- 過失傷害が重傷や死亡事故につながった場合
- 加害者が事故後に逃走し、車両運転処罰法違反などの疑いがある場合
- 加害者が過失傷害を起こした後、証拠隠滅を試みた場合
逮捕状が出された場合には速やかに弁護士に相談し、適切な対応をすることが重要です。
過失傷害で逮捕されたら問われる罪
ここからは、過失傷害で逮捕されたら問われる主な罪について、以下4点を解説します。
- 過失傷害
- 業務上過失致死傷等罪
- 重過失致死傷等罪
過失傷害
過失傷害罪は、加害者が注意を怠ったことが原因で、傷害が発生した場合に問われる罪のことです。
過失傷害罪の例として、スポーツやゲームなどで、意図せず相手に怪我を負わせた場合などが考えられます。
過失傷害罪には、過失致死罪よりも軽い刑罰が科せられることが一般的ですが、被害者に対する損害賠償責任が問われることがあります。
(過失傷害)
第二百九条 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
業務上過失致死傷等罪
業務上過失致死傷等罪とは、業務で必要な注意を怠ってしまったがために人を死傷させた罪です。
刑法第211条の業務上過失致死罪に、以下のとおり規定されています。
(業務上過失致死傷等)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
たとえば、医師や建設作業員などの職業において、注意義務を怠り、人を死傷させるなどの場合に適用されることがあります。
また、交通事故において、運転者が注意義務を怠り、人を死傷させた場合にも適用されることがあります。
業務上過失致死傷等罪には、過失致死罪や過失致傷罪と同様に、業務上の注意義務を怠ったことが要件とされますが、その注意義務は一般人に比べてより厳格に求められます。刑罰では、懲役刑や罰金刑が科されることがあります。
重過失致死傷等罪
重過失致死傷等罪は、一般的な過失致死傷罪や業務上過失致死傷等罪よりも、より過失の程度が重い場合に適用される刑罰です。
重過失致死傷等罪は、過失の程度が一般的な過失致死傷罪や業務上過失致死傷等罪に比べて、重いものとされています。犯人が極めて軽率であったり、重大な注意義務を怠った場合に適用されるでしょう。
過失傷害で逮捕された後の主な流れ
過失傷害で逮捕された後の主な流れについて、以下3点の順番で解説します。
- 勾留
- 起訴・不起訴
- 裁判
勾留
検察官が勾留請求した場合、当日午後または翌日に、裁判官との面談が実施されることとなります。面談を経て、裁判官が10日間の勾留をするかしないかの決定を出していきます。
勾留しない判断が出された場合は釈放となり、在宅事件として扱われるでしょう。
勾留期間は、原則として勾留された日から10日間です。状況等によって10日間の延長もあります。
起訴・不起訴
過失傷害は、被害者が軽傷を負った場合でも、刑事訴訟法に基づいて起訴されることがあります。
具体的には運転や作業などの過程で、予見可能にも関わらず、加害者が危険性に気付かず他人に軽傷を負わせた場合、起訴され過失傷害罪に問われることがあります。
また、被害者が死亡した場合は、過失致死罪が適用される可能性があります。
ただし、過失傷害の状況によっては、警察が立件せずに、被害者と被害者側の意向を確認したり、示談が成立した場合は、刑事訴訟が行われない場合もあるでしょう。
過失傷害で逮捕・起訴された場合は、弁護士に相談することが重要です。
弁護士に相談の上、正確な法律解釈や事件の詳細を確認し、最善の防御戦略を立てることが必要です。
裁判
過失傷害の裁判では、被告人が過失によって被害者に軽傷を負わせたとされ、その責任を問われます。以下に、過失傷害の裁判の概要を記載します。
- 裁判の手続き
過失傷害の裁判では、まず警察による捜査が行われます。捜査が進むと、検察庁が起訴を決定し、裁判所での裁判が開かれます。裁判においては、公判と呼ばれる手続が行われます。被告人は、弁護士を雇って裁判に臨みます。
- 裁判の内容
公判では、検察側が被告人に対して罪状を説明し、被告人や証人の証言などが聞かれます。被告人側は、自分の無罪を主張するために、証人を呼んだり、証拠提出などが可能です。また、弁護士が裁判を進めるための意見や主張を述べます。
- 裁判の判決
裁判の最後に、裁判官が判決を下します。過失傷害で被告人が有罪判決を受けた場合は、罰金などの刑が科されるでしょう。
過失傷害の裁判は、刑事訴訟法に基づき、公正な手続きが行われます。
被告人は、自分の主張をはっきりとし、弁護士のアドバイスを受けながら裁判に臨むことが大切です。
過失傷害で逮捕されたら弁護士に相談を
過失傷害で逮捕された場合、弁護士に相談することをおすすめします。
その理由としては、法律や手続きに詳しい弁護士が、状況に合わせて適切なアドバイスをくれるためです。
過失傷害に関する法律・刑事手続きには、専門的な知識が必要のため、自分一人で理解することは難しい場合があります。弁護士に相談することで、自分の権利や法的手続きについて、正確な情報を得ることができるでしょう。
逮捕後、警察や検察から取り調べを受けることとなりますが、弁護士がついている場合、自分の権利を守ることができます。また、被害者とのやり取りもスムーズに進む可能性があるでしょう。
過失傷害事件で精神的な負担を大きく感じる人もいます。過失傷害事件に実績豊富な弁護士に依頼すれば、法律的なサポートだけでなく、精神的な面でも安心して過ごせるでしょう。
過失傷害で逮捕された場合は、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
本記事では、過失傷害で逮捕されるのか、その可能性・逮捕される条件・問われる罪・逮捕後の流れ・すべきことについて解説しました。
過失傷害は状況に応じて逮捕されるか、起訴されるかなどが異なります。一般の方では判断が難しいものも多いため、過失傷害で逮捕された、もしくは逮捕されそうなときは一刻も早く弁護士に相談しましょう。