自己破産とは?条件・費用・デメリット・流れを弁護士がわかりやすく解説
最終更新日: 2026年06月02日

「借金がどれだけ頑張っても返せない」
「毎月の返済だけで精いっぱいで、生活が成り立たない」
「このまま続けていけば限界が来る」
そんな状況に追い詰められたとき、法律が用意している解決策のひとつが「自己破産」です。
自己破産は、裁判所に申し立てを行い、借金の返済義務を法的に免除してもらう手続きです。すべての借金(一部例外を除く)の返済義務がなくなり、生活を一からやり直せます。
「自分には無理かもしれない」「財産を全部取られてしまう」「家族に迷惑をかけてしまう」——そうした不安や誤解を持っている方が多くいます。
この記事では、自己破産の仕組み・条件・費用・デメリット・流れを弁護士がわかりやすく解説します。
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自己破産とは?仕組みと他の債務整理との違い
自己破産は、裁判所に申し立てを行い、「免責決定」を受けることで借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
税金・養育費など一部の例外を除き、ほぼすべての借金が対象になります。
「借金がゼロになる」という点では最もインパクトの大きい手続きですが、一方で財産の処分や資格制限など、デメリットもあります。
他の債務整理との違い
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。
| 手続き | 借金の減り方 | 裁判所 | 自宅 | 資格制限 |
|---|---|---|---|---|
| 任意整理 | 利息カットのみ(元本は減らない) | 不要 | 守れる | なし |
| 個人再生 | 元本を最大5分の1に減額 | 必要 | 守れる | なし |
| 自己破産 | 全額免除(免責) | 必要 | 原則手放す | 手続き中あり |
自己破産は借金を最も根本的に解決できる手続きです。
ただし自宅の処分や職業制限など影響が広い分、自分の状況に合っているかを慎重に判断する必要があります。
どの手続きが適しているかは、借金の金額・収入・資産・職業によって異なります。
3つの手続きの違いや選び方については、以下の記事でわかりやすく解説しています。
自己破産の主なメリット
すべての借金の返済義務がなくなる
自己破産最大のメリットは、免責決定により借金の返済義務が法的に消滅することです。
消費者金融・クレジットカード・銀行カードローン・個人からの借金など、ほぼすべての借金が対象です。
ただし、以下は免責の対象外です。
- 税金・社会保険料
- 養育費・婚姻費用
- 罰金
- 故意または重大な過失による損害賠償
これらは自己破産後も支払義務が残ります。
弁護士受任後すぐに督促が止まる
弁護士に依頼すると受任通知が各債権者に送られ、貸金業法の規定により直接の取り立て連絡が止まります。
給与差し押さえがすでに始まっている場合も、自己破産の手続き開始決定により中断されます。
「収入がないと申立てできない」は誤解
「収入がなければ自己破産できない」と思っている方がいますが、これは誤解です。自己破産の条件は「支払不能状態」であること。失業中・無収入・生活保護受給中でも申立ては可能です。
メリット・デメリットの詳しい比較については、こちらの記事で詳しく解説しています。
自己破産ができる条件
自己破産が認められるためには、主に2つの条件を満たす必要があります。
支払不能状態であること
「支払不能」とは、現在の収入・資産では継続的に借金を返済することが客観的に困難な状態のことです。
借金の総額が多いほど認められやすくなりますが、明確な金額の基準はありません。
重要なのは「今の状況で返済を続けるのが難しいか」という点です。無職・低収入・多重債務などの状況がある場合、支払不能と判断されることが多くあります。
免責不許可事由に該当しないこと
以下のような事情がある場合、免責が認められない可能性があります(免責不許可事由)。
- ギャンブルや投機(FX・株など)による借金
- 浪費・射幸行為による借金
- 虚偽の申告
- 財産の隠匿
ただし、これらに該当しても「裁量免責」という制度があります。
ギャンブルや浪費が原因であっても、反省の状況・生活の改善・弁護士のサポートなどを総合的に判断して、裁判所が免責を認めるケースが多くあります。
「ギャンブルが原因だから自己破産できない」と諦める前に、弁護士への相談をおすすめします。
条件の詳細・免責不許可事由の具体例については、こちらの記事で詳しく解説しています。
自己破産のデメリットと注意点
自己破産には、借金がゼロになる大きなメリットがある一方で、知っておくべきデメリットもあります。
財産が処分される
自己破産では、一定額を超える財産は処分の対象になります。
【主な処分対象】
- 現金(99万円超の部分)
- 預貯金
- 不動産(自宅を含む)
- 自動車(一定額以上)
- 生命保険(解約返戻金が一定額以上)
【処分されないもの(自由財産)】
- 99万円以下の現金
- 生活に必要な家具・家電
- 給与(差押禁止部分)
自宅を残したい場合は、個人再生の「住宅資金特別条項」の利用を検討してください。
信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト)
自己破産を行うと、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に事故情報が登録されます。
登録期間は機関によって異なりますが、5〜10年程度です。この期間中は新規ローン・クレジットカード・スマートフォンの分割払いが難しくなります。
ただし、デビットカードや交通系ICカードは引き続き利用できます。家族の信用情報には原則として影響しません。
手続き中に一部の職業に就けない
自己破産の手続き期間中(免責決定が出るまで)、一部の職業に就業制限がかかります。
制限がかかる職業の例:弁護士・司法書士・公認会計士・税理士・宅地建物取引士・保険外務員・警備員など
免責決定後は制限が解除されます。制限期間はおおむね数ヶ月〜1年程度です。
官報に氏名・住所が掲載される
自己破産の手続き開始と免責決定の際、官報(国の公告紙)に氏名と住所が掲載されます。
ただし、官報を日常的に確認する人はほとんどいないため、実生活で知人・職場に知られるケースは多くありません。
デメリットの詳細・家族への影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産にかかる費用
自己破産の費用は「裁判所に納める費用」と「弁護士費用」の2種類があります。
裁判所費用
裁判所に納める費用は、手続きの種類によって大きく異なります。
- 同時廃止事件(財産がほとんどない場合):約1〜3万円
- 管財事件(一定の財産がある場合):約20〜50万円以上
自己破産を申し立てると、まず「同時廃止」か「管財事件」かが決まります。
財産がほとんどない方の多くは同時廃止となり、費用を抑えられます。
弁護士費用
弁護士費用の相場はおおむね40〜100万円程度です。
多くの事務所で分割払いに対応しており、手続き中に返済がストップする期間を活用して積み立てるケースが一般的です。
「費用が払えないから申立てできない」という状況でも、まず相談してみることをおすすめします。
費用の詳しい内訳・管財事件と同時廃止の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
自己破産の流れと期間
手続きの流れ
STEP1:弁護士に相談・依頼
借金の状況・収入・資産を伝え、自己破産が適しているか確認します。依頼後すぐに受任通知が送られ、督促が止まります。
STEP2:必要書類の収集・申立書の作成
収入・資産・借金の状況を証明する書類を収集します。弁護士がサポートするため、書類の種類が多くても対応できます。
STEP3:裁判所に申立て
弁護士が裁判所に申立書を提出します。
STEP4:破産手続開始決定
裁判所が申立てを審査し、破産手続開始を決定します。
STEP5:免責審尋・免責決定
裁判官との面接(免責審尋)を経て、免責が認められれば「免責決定」が下ります。これにより借金の返済義務が消滅します。
期間の目安
- 同時廃止事件:申立てから免責決定まで約3〜6ヶ月
- 管財事件:約6ヶ月〜1年以上
手続きの各ステップの詳細・各フェーズの注意点については、こちらの記事で解説しています。
家族・仕事への影響
家族への影響
自己破産をしても、家族が連帯保証人でない限り、返済義務が家族に及ぶことはありません。家族の信用情報にも原則として影響しません。
配偶者・子どもの進学・就職・結婚にも影響はありません。
ただし以下の点には注意が必要です。
- 家族が連帯保証人になっている借金:保証人に請求が及ぶ
- 自宅が共有名義の場合:持分の扱いについて弁護士に確認が必要
仕事への影響
自己破産を理由とした解雇は法律上禁止されています。
手続き中の資格制限(前述)に該当しない職業であれば、仕事を続けながら手続きを進められます。勤務先への通知も原則としてありません。
家族・仕事への影響の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産が向いている人・向いていない人
自己破産が向いている人
以下に当てはまる方は、自己破産が適している可能性があります。
- 借金の総額が非常に多く、任意整理・個人再生でも返済の見通しが立たない
- 収入がない、または今後も継続的な収入の見込みがない
- 自宅など守りたい不動産がない
- 資格制限の対象となる職業に就いていない
自己破産が向いていない人
以下に当てはまる場合は、他の手続きを先に検討することをおすすめします。
- 自宅(持ち家)を手放したくない → 個人再生の住宅資金特別条項が有効
- 資格制限の対象となる職業に就いており、手続き中も仕事を続けたい → 任意整理または個人再生
- 安定した収入があり、利息をカットすれば返済できる → 任意整理
「どれが自分に向いているかわからない」という場合は、弁護士への無料相談で確認することをおすすめします。
こんなご相談が多く寄せられています
【ケース1】収入が激減し、複数社への返済が限界に
40代男性。転職を機に収入が大幅に減少し、消費者金融・クレジットカード合わせて5社、総額300万円の返済が毎月の収入を超える状態に。
任意整理を検討しましたが、利息をカットしても元本の返済額が収入に対して過大なため、自己破産の方向で検討を進めることになりました。
【ケース2】「ギャンブルが原因では自己破産できない」と思い込んでいた
30代男性。パチンコが原因で作った借金200万円。「ギャンブルが原因では免責してもらえないはず」とご自身で判断し、1年以上放置していたとのこと。
裁量免責という制度があること、反省と生活改善の状況によっては免責が認められる可能性があることをご説明しました。
【ケース3】失業中・無収入で「収入がないと申立てできない」と誤解していた
30代女性。失業中で無収入。「収入がなければ自己破産できない」と思い込んでいたためご相談が遅れたとのこと。
自己破産の条件は「支払不能状態」であることであり、無収入でも申立て可能であることをご説明しました。
【ケース4】自営業廃業後、事業ローンと個人の借金が残った
50代男性。自営業を廃業し、事業ローンと個人の借金合わせて約500万円が残った状態でご相談。
事業者の自己破産は個人と手続きが一体となる場合があることをご説明し、状況を整理しながら方針を検討することになりました。
これらはほんの一例です。状況は人それぞれ異なりますので、「自分のケースでは無理かもしれない」と感じていても、まずはご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 自己破産すると家族にバレますか?
A. 自己破産の手続きで家族に通知が届くことは原則ありません。
官報に掲載されますが、日常的に官報を確認する人はほとんどいないため、知られるケースは多くありません。
ただし、家族が連帯保証人になっている場合は保証人への請求が発生するため、家族への影響が出ます。
Q. 自己破産すると職場にバレますか?
A. 勤務先への通知は原則ありません。
ただし、弁護士・税理士・警備員など資格制限がある職業の方は手続き中に就業制限がかかります。
資格制限に該当しない職業であれば、仕事を続けながら手続きを進められます。
Q. 自己破産後も賃貸住宅に住めますか?
A. はい。自己破産しても現在住んでいる賃貸住宅の契約が直ちに解除されることはありません。
ただし、信用情報に事故登録がある間は新たな賃貸契約の審査が通りにくい場合があります(保証会社の審査が不要な物件は契約できることがあります)。
Q. ギャンブルや浪費が原因でも自己破産できますか?
A. ギャンブルや浪費は免責不許可事由に該当しますが、「裁量免責」という制度により、反省の状況・現在の生活改善などを総合的に判断して免責が認められるケースが多くあります。
「ギャンブルが原因だから無理」と自己判断する前に弁護士へご相談ください。
Q. 自己破産後、いつからローンを組めますか?
A. 信用情報機関の事故登録が解除される5〜10年後以降、通常通りローンの審査を受けられます。
解除されるタイミングは機関によって異なります。
Q. 自己破産すると車を没収されますか?
A. 一定額(目安:20万円程度)を超える価値の車は処分の対象になります。ローンが残っている場合はローン会社に引き上げられます。
仕事上どうしても車が必要な場合は、弁護士に相談することで対応策を検討できる場合があります。
Q. 年金や生命保険はどうなりますか?
A. 年金受給権は処分の対象外です。
生命保険は解約返戻金が一定額を超える場合、解約して換価する対象になることがあります。
ただし換価後に同等の保険に再加入することは可能です。
Q. 自己破産の手続き中も仕事を続けられますか?
A. 資格制限の対象となる職業(弁護士・税理士・警備員など)を除き、仕事を続けられます。
免責決定後は資格制限も解除されます。制限の対象かどうかは弁護士にご確認ください。
Q. 自己破産後に再び借金をすることはできますか?
A. 免責決定後に借金をすることは法律上禁じられていません。
ただし、信用情報の事故登録が残っている期間(5〜10年程度)はローン・クレジットカードの審査が通りにくい状態が続きます。
Q. 自己破産と個人再生はどちらが向いていますか?
A. 自宅を守りたい・安定した収入がある場合は個人再生、借金の総額が非常に多い・収入がなく返済の見込みが立たない場合は自己破産が向いています。
どちらが適切かは状況によって異なるため、弁護士への無料相談で確認することをおすすめします。
まとめ
- 自己破産は裁判所を通じて借金の返済義務を免除する手続き
- 条件は「支払不能状態」であること(無収入でも申立て可能)
- ギャンブル・浪費が原因でも「裁量免責」により認められるケースが多い
- 自宅は原則処分の対象、仕事への影響は職種によって異なる
- 費用は裁判所費用+弁護士費用(多くの事務所で分割払い対応)
- 手続き期間は同時廃止で3〜6ヶ月、管財事件で半年〜1年以上
- 家族の信用情報への影響は原則なし
「自分には無理かもしれない」「どの手続きが向いているかわからない」という状況でも、春田法律事務所では初回無料相談を受け付けています。
LINEでもご相談いただけます。一人で抱え込まず、まずはご連絡ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
職員が丁寧にお話を伺います初回無料











