誘拐に強い弁護士に相談するメリットと活動内容とは?問われる罪の詳細も紹介
最終更新日: 2023年09月13日
- 誘拐事件を起こしてしまった、どのような罪に問われるのだろう
- 誘拐で逮捕されたら、弁護士に依頼したほうがよいのだろうか
- 弁護士は不起訴や減刑のため、どのような対応を行うのだろう
被害者を誘拐する理由や目的はいろいろとあります。財産上の利益を得るため、性交を行うため、身代金目的のため、そして別居中の子どもを連れ出すため等があげられます。
どのような理由があろうと、他人を騙し・誘い出して、連れ去る行為をすれば誘拐の罪に問われる可能性があります。
そこで今回は、多くの誘拐事件に携わってきた刑事事件の専門弁護士が、誘拐事件で問われる罪、弁護士に相談するメリット等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 誘拐で逮捕された場合、誘拐した相手・誘拐の目的によって、問われる罪が異なる
- 弁護士をたてれば不起訴処分や減刑、精神的な負担の軽減も期待できる
- 弁護士は逮捕・勾留回避や示談交渉等、様々な対応をとる
誘拐で問われる罪を弁護士が解説
誘拐で逮捕された場合、誘拐した相手・誘拐の目的によって、それぞれ問われる罪が異なります。
こちらでは未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等について説明しましょう。
未成年者略取及び誘拐
未成年を略取(暴行や脅迫して連れ去る)または誘拐(相手方を騙して誘い出す)により、自己または第三者の実力的支配に移す行為をした場合、「未成年拐取罪」が適用されます。
本罪が適用されると「3月以上7年以下の懲役」に処されます(刑法第224条)。
たとえ未成年者の同意を得て連れ出したとしても、本罪に該当する可能性があるので注意しましょう。
なぜなら、本罪の保護法益は未成年者の自由の他、監護者(親)の監護権も含まれるからです。そのため、未成年者が同意していたとしても、保護者の同意なく連れ去ったならば、本罪が成立します。
なお、別居中の子どもを連れ出す行為も未成年拐取罪に該当する可能性があります。少なくとも、連れ去る方法が粗暴で強引なものであった場合は、子どもの実の親であれ本罪が適用される可能性があります。
営利目的等略取及び誘拐
営利、わいせつ、結婚または生命・身体に対する加害の目的で拐取した場合、「営利目的等拐取罪」が適用されます。
本罪が適用されると「1年以上10年以下の懲役」に処されます(刑法第225条)。
営利目的とは、自らが財産上の利益を得る、または第三者に財産上の利益を得させる目的の略取行為です。
なお、未成年を略取または誘拐した場合でも、わいせつを目的としていたならば、本罪が適用され、未成年拐取罪より重い罪に問われてしまいます。
身の代金目的略取等
拐取・誘拐された人の「安否を憂慮する者」の不安につけこみ、財物を交付させる目的であったならば、「身代金目的拐取罪」が適用されます。
本罪は誘拐に関する罪の中で最も重く「無期懲役または3年以上の懲役」に処されます(刑法第225条の2)。
安否を憂慮する者とは、親子や夫婦等の近親者が該当します。
その他にも、拐取・誘拐された人の安否を親身になって心配するのが、社会通念上当然とみられる特別な関係にある人も含まれます。
なお、単なる友人・知人は「憂慮する者」に当たりません。
誘拐を弁護士に相談するメリット
誘拐の嫌疑がかけられ逮捕されてしまったら、なるべく早く弁護士に相談し対策を検討しましょう。
逮捕前に弁護士(私選弁護人)を選び、依頼していたならば、逮捕直後から弁護士の手厚いサポートが受けられます。
不起訴処分を目指す
逮捕直後から弁護士と面会できるならば、本人は誘拐の経緯や逮捕へ至った状況を正確に伝えられます。
その本人の報告を聴き、弁護士は今後の対応をいろいろと説明します。
説明後、弁護士は被害者との示談交渉を図ります。
誘拐に関する罪は親告罪なので、示談による解決が有効となります。示談がうまくいけば、被害者側から提出済みの被害届や告訴を取り下げてもらえます。
つまり、示談が成立すれば、検察官から不起訴と判断される可能性も高くなるのです。
減刑の可能性
弁護士は本人(加害者)が減刑となるよう、あらゆる弁護活動を行います。
たとえば、本人が公訴を提起される前に、略取または誘拐した人を安全な場所に解放したときは、解放による刑の減軽(刑法第228条の2)を主張し、罪が軽くなるよう弁護します。
そのため、弁護士と相談するときは、誘拐後どのような行動をとったか、なるべく具体的かつ正確に伝える必要があるでしょう。
精神的な不安の軽減
逮捕直後に弁護士へ相談できたなら、精神的な負担の軽減も図れます。
逮捕された状態で本人が何もしないでいれば、どんどん捜査や刑事手続きは進んでいきます。
逮捕後、検察官が引き続き警察の留置施設や拘置所に拘束する「勾留」を、裁判所に請求、それが認められた場合、最長20日間も拘束される事態になります。
その間に厳しい取り調べが行われ、精神的に追いつめられる可能性もあるでしょう。
弁護士がいれば、本人は証拠隠滅・逃亡のおそれもない、と警察・検察側に主張し、早期の身柄解放に尽力します。
早期に解放されれば本人は自宅へ戻れるので、精神的にも安定します。
誘拐で弁護士がする主な活動内容
もしも誘拐事件の嫌疑がかかったら、弁護士は不起訴や減刑を得るために、様々な活動を行います。
逮捕された本人が罪を認めている場合、認めていない場合に分けて説明しましょう。
認めている場合
本人が誘拐を認めている場合、不起訴や減刑を得るためには、真摯に反省し、二度と誘拐事件を行わないと誓い、罪と向き合う姿勢を示す必要があるでしょう。
逮捕・勾留回避
警察が犯罪を行ったと疑われる人を逮捕・勾留するのは、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるからです。
弁護士は、本人が逃亡・証拠隠滅を行う可能性はない、と警察に主張し逮捕状を請求しないよう説得したり、裁判所にも逮捕状を発付しないよう求めたりしていきます。
弁護士の主張が通れば、逮捕・勾留をされずに済むでしょう。
示談交渉
弁護士は被害者側と示談交渉を進めます。弁護士は加害者の謝罪の意を伝えた後、交渉を開始します。
もちろん交渉のときは、加害者側の一方的な主張に終始するわけではありません。
被害者の身体の状態・精神的な状態等を踏まえ、示談金額・示談の条件を提示し被害者側と協議していきます。
被害者側と示談金額・示談条件について合意できれば、その後は示談書が作成されます。
示談書の作成は任意ですが、後日トラブルが生じないよう文書化を行います。示談書では主に次のような内容が明記されます。
- 加害者と被害者の氏名等
- 合意内容(被害者が被害届の取り下げをすること、事件の口外をしない等)
- 示談金額および支払方法、期日
示談書の内容を双方が最終確認後、署名・押印すれば完成です。
示談が成立すれば、被害者から告訴や被害届を取り下げてもらえる他、不起訴処分を獲得する可能性は高くなります。
贖罪寄付
贖罪寄付とは、加害者の「改悛の真情」(過ちを反省し、悔い改めること)を表す方法の一つです。主に被害者との示談ができなかった場合、とられる方法です。
加害者が寄付したお金は、受任弁護士を通じて、最寄りの弁護士会へ申し込みができます。
寄付金は、日本弁護士連合会・各地の弁護士会の法律援助事業基金に充当され、弁護士の法律援助を必要とする方々のために使用されます。
事件への反省を込めてなされる贖罪寄付は、裁判所による情状の資料として評価されています。
ただし、寄付後に被害者が翻意し示談金の要求を行った場合、寄付を理由に、その要求を拒むことはできません。
更生環境の整備
更生環境の整備は、たとえば加害者の家族等が監督者となる等、加害者の更生を図る環境が整備された、という意味です。
更生環境の整備を行ったので、今後は同じ過ちが繰り返されないよう、しっかりと周りが監督する、という意思表示を検察や裁判所、被害者にアピールできます。
認めていない場合
本人が犯行を否認し続けるだけでは足りません。弁護士と相談しながら慎重に対応を決めていく必要があります。
刑事裁判の段階では、まず弁護士が検察官の証拠を確認しなければいけません。その後、証拠開示請求を行い、開示された証拠を精査します。
精査後、本人(被告人)と弁護士とが、綿密に検察側の証拠へ目を通し、検察官の立証を崩す方策について検討する必要があるでしょう。
そして、検察官の証拠に対しすべて不同意を主張し、証人となった方々の証言の不合理な部分を反対尋問で指摘したり、本人(被告人)が有利となる証拠を積極的に提出したりします。
本人の無罪を勝ち取るため、弁護士はケースに応じた柔軟な対策を進めていきます。
まとめ
今回は多くの誘拐事件に携わってきた刑事事件の専門弁護士が、誘拐事件で問われる罪、弁護士のサポートを受ける有効性について詳しく解説しました。
ただし、誘拐事件は示談金を被害者に渡せば、簡単に解決できる犯罪ではありません。被害者や家族の恐怖・不安を思いやり、真摯に被害者側へ謝罪する姿勢が大切です。
誘拐事件を引き起こしたら、弁護士に相談して早期の問題解決を目指してみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。