個人再生にかかる期間は?手続きから完済まで全体の流れを弁護士が解説
2026年06月08日

「個人再生を使いたいが、どれくらいの期間がかかるのか」と疑問に思っている方に向けて、手続きの流れと各段階の期間を弁護士が解説します。
個人再生は、破産と同様に裁判所を通じた法的手続きのため、任意整理と比べて時間がかかります。
ただしその分、借金を大幅に減額できるうえに自宅や財産を手放さずに済むという大きなメリットがあります。
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個人再生の期間は3段階で考える
- 申立て準備期間:弁護士依頼~申立て準備完了(約6~12か月)
- 手続き期間:申立て〜裁判所の認可決定まで(約5〜6ヶ月)
- 返済期間:認可後の分割返済(原則3年~最長5年)
合計すると、依頼から完済まで概ね4年〜6年半が目安です。
Step1 弁護士への相談・依頼
弁護士に依頼すると、破産や任意整理と同様に受任通知が債権者に送られ、取り立てがストップします。この後、申立に向けた準備が始まります。
Step2 必要書類の収集・申立準備(6〜12ヶ月)
収入証明書・家計収支表・財産目録・債権者一覧など多くの書類を準備します。弁護士が主導して進めますが、依頼者側も書類提出の協力が必要です。
弁護士費用や必要書類が速やかに準備できる場合は約2ヶ月での申立てが可能ですが、ほとんどの依頼者が債務整理を必要としている状況から、一括での弁護士費用の準備は困難です。
そのため、債権者の取り立てがストップしている間に弁護士費用を6~12か月程度で分割して積み立て、その間に並行して必要書類を準備することになります。
個人再生にかかる弁護士費用の詳しい内訳については、こちらの記事で詳しく解説しています。
Step3 裁判所への申立て
準備が整い次第、管轄の地方裁判所に個人再生を申立てます。
Step4 個人再生委員との面談・履行テスト(申立て後〜手続期間中)
裁判所の判断によっては、「個人再生委員」(裁判所側の弁護士)が選任されることがあります。個人再生委員との面談を経て、毎月一定額を積み立てる「履行テスト」が行われます。
履行テストとは、「再生後も継続して返済できること」を証明するための積立です。たとえば月5万円の返済計画であれば、認可前の数ヶ月間、毎月5万円を実際に積み立てます。この積み立てたお金は、再生委員の費用に充てられ、残金がある場合は返却されます(裁判書によって運用が異なる場合があります。)。
履行テストは申立て直後から再生計画案の認可まで手続と並行して続きます。
Step5 開始決定(申立てから1~2ヶ月後)
書面審査や個人再生委員の意見を踏まえて、裁判所が再生手続開始決定の判断をします。
Step6 債権調査(申立てから2ヶ月後~3か月後)
裁判所から債権者に再生手続開始決定の通知及び債権届出書送付され、債権者は債権の届出をします。
再生債務者(申立人)は、債権者が届け出た債権の認否をし、必要に応じて異議を申述します。
Step7 再生計画案の提出(申立てから3〜4ヶ月後)
債権調査で確定した債権を元に、法律のルールに従って減額された債権をどのように弁済するのか(返済額、返済期間等)を記載した再生計画案を提出します。
Step8 書面決議、意見聴取(申立てから5〜6ヶ月後)
小規模個人再生においては、書面決議が行われ、再生計画案に対して、積極的に不同意をする債権者は不同意の意見を出します。同意または意見がない債権者は何も出さないことになります。
その結果、①債権者総数の半数以上が不同意、または、②不同意の債権者の債権額の合計が、総額の2分の1を超える場合のみ、再生手続は廃止となり、個人再生は認められなくなります。
給与所得者等再生においては、書面決議は行われず、再生計画案に不認可事由があるかどうかの意見聴取のみを行います。実務上、債権者から不認可事由があるとの意見が出ることはほとんどありません。
書面決議や意見聴取を経て、問題が無ければ、再生計画の認可決定がされます。
Step9 認可後・返済開始(認可決定から1ヶ月後)
認可決定後、再生計画に従った分割返済が始まります。
返済期間の目安(原則3年~最長5年)
個人再生の返済期間は、再生計画で定めた金額を原則3年(36回)で完済するスケジュールです。事情によっては最長5年(60回)の延長が認められる場合があります。
返済額は元々の借金から大幅に減額された金額(最低弁済額)になります。最低弁済額の基準は以下のとおりです。
| 借金総額 | 最低弁済額の目安 |
|---|---|
| 100万円以下 | 全額 |
| 100万〜500万円 | 100万円 |
| 500万〜1,500万円 | 総額の5分の1 |
| 1,500万〜3,000万円 | 300万円 |
| 3,000万〜5,000万円(上限) | 総額の10分の1 |
※清算価値(財産の価値)が最低弁済額を上回る場合は、清算価値が返済額の下限になります。
個人再生中の生活への影響
手続き中は主要な財産を処分せずに済む
自己破産と異なり、個人再生では財産(自宅・車など)を処分せずに手続きを進められる点が大きな特徴です。住宅ローンがある場合は「住宅資金特別条項」を利用することで自宅を維持できる可能性があります。
住宅資金特別条項を活用して自宅を守る方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
信用情報への登録
個人再生を行うと信用情報機関に事故情報が登録されます。登録期間は完済から5〜7年が目安です。クレジットカードの新規発行やローンには影響が出ます。
官報への掲載
個人再生は官報(国の公告機関紙)に氏名・住所が掲載されます。ただし官報を日常的に確認する人はほぼいないため、実生活への影響はほとんどありません。
よくある状況と対応例
ケース①:住宅ローンが残っている持ち家の方
▶ 状況:
住宅ローンが残り15年あり、自宅を絶対に手放したくない。消費者金融・クレカで合計400万円の借金があり返済が苦しい。
▶ 対応例の考え方:
個人再生の「住宅資金特別条項」を利用することで、住宅ローンを継続して支払いながら、他の借金(消費者金融・クレカ)を大幅に減額できます。
400万円の借金は最低弁済額の基準では100万円程度に圧縮できる可能性があります。
→ 自宅を守りながら借金を減らしたい方に最も向いている手続きです。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
ケース②:任意整理から個人再生に切り替えたケース
▶ 状況:
任意整理で月3万円の返済を1年続けてきたが、収入が減り返済が難しくなった。個人再生への切り替えを検討している。
▶ 対応例の考え方:
任意整理の途中でも、個人再生または自己破産に切り替えることは可能です。任意整理から個人再生に切り替えた場合、これまでの返済実績は保証されず、改めて個人再生の手続きを行います。
残債が多い・破産ではなく住宅等の財産を守りたい・継続収入があるという条件が揃う場合は個人再生が適切な選択になります。
→ 「このまま任意整理を続けるか切り替えるか」の判断は弁護士との相談が不可欠です。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
任意整理が向いているケースや個人再生との違いについては、こちらの記事で解説しています。
よくある質問
Q. 会社員と自営業者で手続きが違うか?
A. 個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。安定した給与収入がある会社員は給与所得者等再生を利用できる場合があります。
どちらが適切かは弁護士に確認してください。
Q. 手続き中に返済はしなくていいか?
A. 受任通知後は対象債権者への返済がストップします。ただし履行テスト期間中は毎月の積み立てが必要です。住宅ローンは継続して支払います。
Q. 手続きが途中で認可されない場合はどうなるか?
A. 小規模個人再生では、再生計画が否決・不認可になることがあります。その場合は、給与所得者等再生か自己破産への切り替えを検討することになります。
弁護士と密に連絡を取りながら進めることが重要です。
Q. 返済中に収入が減ったらどうなるか?
A. 再生計画の変更申立が可能な場合があります。返済が難しくなった場合はすぐに弁護士に相談してください。
放置すると計画が取り消され、一括返済を求められるリスクがあります。
Q. 個人再生後にローンは組めるようになるか?
A. 信用情報の登録が解除される完済後5〜7年後からローン審査が可能になります。
住宅ローンについては、個人再生の実績があっても審査が通るケースはありますが、金融機関によって判断が異なります。
まとめ
- 手続き期間は、申立て準備に約6〜12ヶ月、申立てから認可決定まで5~6ヶ月
- 返済期間は原則3年
- 依頼から完済まで合計4年〜4年半が目安
- 財産を処分せずに手続きできることが最大のメリット
- 住宅ローンがある場合は住宅資金特別条項で自宅維持を目指せる
- 完済後5〜7年で信用情報の登録が解除される
- 手続き中に状況が変わった場合は早めに弁護士に相談する
個人再生を検討されている方は、春田法律事務所の無料相談をご利用ください。借金の総額・収入・資産状況をもとに、個人再生が適切かどうか、手続きの見通しとともにご説明します。
自宅を守りたい・車を残したいなどのご希望も合わせてお聞かせください。
任意整理・個人再生・自己破産の3つの手続きの違いについては、こちらの記事でわかりやすく解説しています。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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