音信不通の配偶者と離婚するには?方法とステップ・注意点・ポイントを解説
最終更新日: 2023年11月09日
- 離婚するため夫と連絡を取りたいが音信不通で困っている
- 配偶者と音信不通でも離婚を進める方法があれば知りたい
- 音信不通の配偶者と離婚をスムーズに進めるために必要な準備があれば知りたい
配偶者と離婚をしたいのに、全く連絡が取れなくなり困っているという方がいるかもしれません。
離婚の話し合いが進まないからと、自分だけ離婚届に署名し市区町村役場へ提出しても、その届出は無効です。
音信不通の配偶者と離婚するためには、然るべき手続きを踏んで離婚を進めていく必要があります。
そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、音信不通の相手と離婚するための方法、音信不通で離婚するためのステップ等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 連絡が取れない配偶者との離婚も、基本的には協議、調停、裁判という流れで進められる
- 配偶者の行方がわからず連絡も取れない場合、住民票等から所在を把握する
- 配偶者と関係のある人(家族や友人等)と連絡が取れるようなら、連絡を仲介してもらう
音信不通の相手と離婚するための方法
配偶者と連絡が取れない場合でも、原則として協議、調停、裁判という形で離婚手続きを進めていきます。
こちらでは、協議、調停、裁判離婚のそれぞれについて説明します。
協議
配偶者と何とか連絡を取り、まずは話し合いで離婚の合意を目指します。
離婚するときは、子どもの親権をどうするのか、養育費の支払いや慰謝料、財産分与等、取り決めるべき内容は多岐にわたります。
なお、配偶者に電話やメールをしても反応はないものの、住所は知っているという場合は「内容証明郵便」を送付してみましょう。
内容証明郵便とは、配偶者へ送った請求内容、送付・送達についての記録が郵便局に残る郵便です。
離婚に関しての記載内容は法定されていませんが、概ね次のような事項を明記する必要があります。
- 内容証明のタイトル:「協議離婚について」
- 協議離婚の希望を明記
- 協議離婚をしたい理由
- 取り決めるべき離婚の条件
- 差出人の住所と氏名
なお、内容証明郵便を送付しても法的な効力はないので、相手から無視される可能性があります。
ただし、相手に心理的な圧力を加える効果はあるので、相手側が「離婚を話し合いたい。」とアプローチしてくるかもしれません。
調停
協議離婚で話がまとまらない、配偶者が交渉にいつまで経っても応じようとしない、という場合は「調停離婚」で解決を図ります。
相手方の住所地または当事者が合意で定めた家庭裁判所に、「夫婦関係調整調停(離婚)」を申し立てます。
配偶者と連絡が取れなくとも住所がわかっていれば、原則として「申立書の写し」が配偶者の住所に送付されます。
調停では、家庭裁判所から選出された調停委員が夫婦それぞれの意見を聴いたうえで、合意へ向けた助言や解決案等を提示します。
調停で夫婦が合意に達すれば、家庭裁判所は調停調書を作成します。
裁判
調停でも夫婦の合意ができなかった、配偶者が調停の場に出席しなかった、という場合は調停不成立となります。
調停不成立となれば、夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所に訴え、裁判離婚で解決を図ります。
なお、配偶者の行方または配偶者の生死がわからないときは、調停を省略し訴訟を提起しても構いません。
裁判は、公開の法廷で夫婦がそれぞれ原告と被告に分かれて主張や証拠提出を行います。
もしも、配偶者の居場所がわからない場合は、公示送達という方法がとられます。公示送達を行えば、所在不明の相手に裁判書類を送達したものと扱われます。
また、相手が裁判を欠席し、何らの回答をしなくとも、裁判所の方から判決が言い渡されます。
音信不通で離婚するためのステップ
最終的に配偶者の行方がわからなくとも、裁判で離婚に関する判決が言い渡されます。
ただし、できるだけ夫婦が話し合い、双方の納得による離婚の合意が望まれます。
行方が判明している場合
配偶者がどこにいるのかわかっているならば、電話やメール、LINE、内容証明郵便等の手段を用いて連絡を取りましょう。
ただし、音信不通の状況ならば、様々な方法で連絡を試みようとしても、着信拒否になっている、連絡先が変更になってしまった、という事態も考えられます。
自分の力では、配偶者を説得し離婚の協議に進めないと判断した場合は、弁護士を代理人に立て、配偶者に連絡を取ってもらいましょう。
配偶者は本格的に離婚の手続きが進んでいるとプレッシャーを受け、話し合いに応じる可能性が高くなります。
行方がわからない場合
配偶者が自宅を飛び出してから実家に戻っているのか、それとも新たにアパートやマンションを借りて住んでいるのか、不明なケースがあります。
その場合には、市区町村役場で配偶者の住民票や戸籍附票を取得すれば、居場所がわかるかもしれません。
自分では書類の収集が難しい場合、弁護士が代わって書類を集め、居場所の確認を進めることもできます。
音信不通の相手と離婚するときの注意点
配偶者と音信不通になっても、なるべく円滑に離婚を進めていきたいのあれば、次の点に注意しましょう。
冷静な対応が大事
配偶者と音信不通となり話し合いがまったく進まない場合も、焦りは禁物です。
協議、調停を配偶者に働きかけ、音信不通の状態のまま不成立に終わっても、最終的に裁判離婚で解決を図れます。
裁判を経れば、配偶者の同意がなくても離婚届の提出は可能です。離婚手続きを進めたいのであれば、法律に従い、冷静に対応していきましょう。
離婚条件の取り決めが必要
配偶者が音信不通のままでも、離婚条件を整理し、いつでも提示できるように準備をしておきましょう。
配偶者が協議、調停に出席しなかった場合、訴訟を提起し、離婚の成立を目指します。
たとえ被告(音信不通の配偶者)がいなくても、原告(自分)が離婚のときにどのような条件を望むのか、それを裏付ける証拠の提示が必要となります。
配偶者に連絡がとれなくとも、離婚条件の整理と証拠の収集はしっかりと行っておきましょう。
音信不通の相手と離婚をスムーズに進めるためのポイント
配偶者と音信不通になっていても、離婚を進めたいのであれば、次のような対応を検討しましょう。
周りへの協力依頼
配偶者が自分とは連絡を取りたがらなくても、配偶者の職場の同僚や家族、友人等と連絡を取れている可能性があります。
配偶者と連絡が取れている人を通じ、居場所を聞いてみたり、連絡を仲介してもらったりして対応するのもよい方法です。
弁護士への相談
配偶者とまったく連絡がとれず、居場所すらわからなければ弁護士に相談してみましょう。
配偶者と連絡がとれない場合の対応を、弁護士が丁寧にアドバイスします。
弁護士に依頼をすれば、配偶者の居場所の確認や交渉、調停や裁判の手続きも任せられます。
まとめ
今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、音信不通となってしまった配偶者と離婚する方法等について詳しく解説しました。
家庭裁判所に訴訟を提起すれば、最終的には配偶者の同意なくして離婚が可能です。話し合いが進まなくとも、当事者には冷静な対応が求められます。
配偶者と音信不通になり離婚の交渉が進まないときは、なるべく早く弁護士に相談し、アドバイスを受けましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。