【男性向け】離婚準備のポイント!子供がいる場合の対応とは?

最終更新日: 2024年11月29日

男が離婚準備を進める際のポイントは?不利となる条件や有利に進めるためのポイントを解説

  • 離婚を話し合う場合、夫の方が妻に慰謝料や財産分与を支払うのだろうか?
  • 離婚の準備を十分しておかないと、男性が不利になると聞いて不安を感じている
  • 離婚のときに、有利に話し合いを進められるポイントがあれば是非知りたい

離婚のとき、妻の方から夫と同居している家を出るというケースがほとんどです。

また、子どもの親権も妻となる可能性が高く、婚姻中に妻と協力して得られた財産の分配や養育費等を、夫の方で支払う必要が出てきます。

自分の収入や婚姻中に得た資産等を十分把握しないまま、離婚の条件を妻と取り決めると、財産分与や養育費の支払い等で過剰な負担を強いられるおそれがあります。

そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚準備を男性(夫)がすべき理由、有利に離婚を進めるためのコツ等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 離婚を話し合うとき、妻から請求される条件として主に財産分与、慰謝料、養育費があげられる
  • 離婚の話し合いで行き詰ったら、調停や裁判で解決を図る
  • 妻と離婚を話し合う前に、自分の収入・妻との共有財産をしっかりと把握しておく

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

離婚準備を男性がすべき理由

一般的には、妻より夫の年収の高い家庭が多く、離婚成立後に妻が子どもを連れて、夫と同居している家を出ていくケースがほとんどです(離婚前からすでに別居している場合も多い)。

そのため、妻と子どもが離婚後の生活に困らないよう、夫は妻へ財産の分配や、子どもの養育費を支払う義務を負う傾向があります。

協議離婚を行うとき、妻側の主張に負け、夫が極端に不利な離婚条件をのんでしまうケースが多いのはこのためです。

不利な条件で離婚が成立しないためにも、話し合う前に自分の収入・資産はもちろん、離婚原因が誰にあったのか等をよく把握する必要があります。

離婚準備しなければ男性が不利となる条件

夫が妻側から請求される条件は、主に「財産分与」「慰謝料」「養育費」があげられます。

こちらでは、それぞれの条件を取り決めるときの算定方法、そして注意点について解説しましょう。

財産分与

婚姻中に夫婦が協力して得た財産は、財産分与をして離婚のときに清算・分配します。

財産分与の割合は夫婦で自由に決めて構いませんが、夫婦で1/2ずつ分配するのが一般的です。預金はもちろん、夫婦の合意があれば婚姻中に購入した自動車や不動産、家財道具も分配可能です。

ただし、婚姻前に夫婦それぞれが得た財産、夫婦の一方への贈与物、相続財産は、基本的に「特有財産」として財産分与の対象外となります。

次のような財産が特有財産です。

  • 婚姻前に得た現金、預金
  • 婚姻前に購入した家や自動車
  • 配偶者に贈与された物
  • 相続のときに得た遺産 等

ただし、これらの財産もケースによっては財産分与の対象となる可能性があります。

たとえば、婚姻前に開設した預金口座を、そのまま妻との共有口座として生活費等に利用したら、財産分与の対象になってしまいます。

どのような物が妻との共有財産なのかそれとも特有財産なのか、しっかり区別しないと、本来は特有財産となる物まで分配対象になるので注意が必要です。

慰謝料

夫側が原因(浮気やDV等)で離婚する場合は、妻から慰謝料を請求される可能性があります。慰謝料の金額は夫婦の話し合いで自由に取り決めできます。

なお、協議離婚や調停離婚で話し合いがまとまらず裁判離婚で解決を図った場合、慰謝料の金額は50万円〜300万円が目安となります。

ただし、離婚理由が夫の数十回にもわたる「不貞行為(浮気相手と肉体関係を持つ)」や、妻や子どもへの暴力・虐待だった場合、裁判所からより高額な支払い命令を受けるケースがあります。

養育費

養育費は未成年の子どもが自立するまで支払う養育の費用です。親権の無い親が支払う側となります。支払う期間や支払方法は夫婦で自由に決められます。

ただし、養育費は子どもの生活を維持するためのお金なので、慎重に支払う金額を考えておきましょう。

妻に言われるがまま養育費の金額を承諾したら、かなり高額な費用負担になってしまい、後々トラブルのもとになる場合もあるので注意が必要です。

夫婦双方が納得できるよう、養育費の金額は裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を参考に算定しましょう。

養育費が毎月どれくらいになるか、事例をあげて算定すると次の通りです。

  • 養育費を支払う親:夫(会社員、年収820万円)
  • 受け取る親(親権者):妻(パート店員、年収180万円)
  • 子ども(1人):7歳

→算定表を参考にすると約84,000円

事例では毎月約84,000円の支払いが目安となります。

出典:養育費・婚姻費用算定表 | 裁判所

男性がすべき離婚準備の方法

夫婦でよく話し合ったものの、離婚条件が平行線のままの場合は、調停離婚・裁判離婚で解決が図れます。

こちらでは、協議離婚・調停離婚・裁判離婚について解説します。

協議離婚

まずは夫婦で話し合いを行いましょう。

夫婦の事情に応じて決めなければいけない条件をピックアップし、具体的な内容を取り決めていきます。

主に次のような準備を行っておきましょう。

  • 離婚条件の確認:親権や慰謝料、財産分与をどうするか決めておく
  • 資産の確認:自分の収入・共有財産を確認し、どれ位の金額なら離婚給付の支払や分配が可能なのか、金額を具体的に算定しておく
  • 夫側の離婚原因の有無:離婚の原因が夫側にあるのかをよく確認する
  • 妻側の離婚原因の有無:離婚の原因が妻側にあるのかをよく確認する

離婚にはお互い合意していても、離婚条件の細かな部分で揉める可能性があります。夫婦が直接会うと感情的になって話し合いが進まないなら、弁護士をたてましょう。

弁護士に妻との協議を任せられるので、理性的に話し合いが進められます。

調停離婚

協議離婚で話し合いがまとまらなければ、調停離婚に進みます。

離婚のための調停を行う場合、相手方の住所地または当事者が合意で定めた家庭裁判所に、「夫婦関係調整調停(離婚)の申立」をします。

調停は非公開で行われ、基本的に夫婦双方の出席が必要です。

調停時には家庭裁判所から選ばれた調停委員(2名)が夫婦の言い分を聴き、夫婦の主張の隔たりを埋めるアドバイスや解決案も提示します。

調停のときは自分の言い分をしっかりと主張するため、「陳述書」の準備を行いましょう。

陳述書は事前に家庭裁判所へ提出する書類です。

陳述書には、主に次のような内容を記載します。

  • 氏名や年齢、現住所
  • 職業や勤務先
  • 当初の生活状況はどうだったか
  • 離婚を決意した理由
  • 現在の生活状況はどうだったか
  • 最終的に自分がどうしたいのか

客観的な事実を簡潔に記載しましょう。

提出は任意ですが、裁判官や調停委員が陳述書の内容を吟味できるので、調停当日は円滑に話し合いが進められます。

裁判離婚

調停離婚も不成立だった場合は、家庭裁判所へ離婚訴訟を提起し、裁判官から決定してもらいます。

訴訟を提起する前に、法定された離婚事由に該当しているかよく確認しましょう(民法第770条)。

裁判は公開の法廷で開かれ、「原告」「被告」となった夫婦が、自分の主張や証拠を提示します。

たとえば、離婚の原因が妻の浮気だった場合、夫からの離婚や慰謝料請求が認められるためには、不貞行為の証拠が必要です。

夫は裁判前に提出するための証拠を集める必要があります。主に次のような証拠物が強力な証拠能力を有します。

  • 妻と浮気相手との性行為の画像・動画等
  • 妻と浮気相手がラブホテル等に出入りする画像・動画等
  • 妻の浮気の自白を録音したテープ等

その後、裁判官は原告・被告の主張や証拠、その他一切の事情を考慮し、判決を言い渡します。

なお、判決前には裁判官から和解勧告を勧められるので、和解に夫婦が応じたら「和解離婚」の成立も可能です。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

離婚準備で男性が有利に進むためのポイント

協議離婚・調停離婚・裁判離婚の手続きを有利に進めるため、様々な準備を行っておいた方がよいでしょう。

こちらでは、有利に進めるためのポイントを3つ取り上げます。

弁護士への相談

離婚の準備を進める前に、まずは弁護士に相談した方がよいでしょう。

弁護士は離婚前に行うべき準備、話し合いで妻と取り決める内容等をわかりやすく説明します。

弁護士に依頼すれば妻との話し合いがもつれた場合、その後の調停の申立てや訴訟手続きだけでなく、調停や公開の法廷で夫側にたった主張もするので、頼もしい存在といえます。

資産の把握

自分の収入や妻との共有財産を把握します。

しっかりと資産を把握していれば、財産分与や養育費等をどれ位の金額までなら支払えるのか、説得力をもって妻はもちろん、調停委員や裁判官にも主張できます。

前もって資産の内容を一覧表に記載しておけば、すぐに相手側へ提示できるので便利です。

スムーズな対応

妻が離婚成立前、すでに別居している場合、妻から婚姻費用(夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用)の支払を請求される可能性があります。

民法において「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と明記されています(民法第752条)。

離婚に向け協議している最中でも、互いに生活を保持する義務があるので、収入の多い夫が、収入の少ない妻に対して金銭を支払う必要があるのです。

離婚の交渉が長引けば、婚姻費用の負担も重くなるので、弁護士のサポートを受けながら、迅速に離婚手続きを進めていきましょう。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

まとめ

今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、男性(夫)が離婚を支障なく進めるための準備等について詳しく解説しました。

ただし、自分の主張だけではなく妻の希望も聴きながら、穏便に交渉を進める心がけが大切です。

男性(夫)が離婚の準備をしたいなら、まずは弁護士に相談し、対応を話し合ってみてはいかがでしょうか。

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