離婚したい男の理由とするべき準備について専門弁護士が解説
最終更新日: 2024年01月08日
- 男性はどのような理由で離婚を決意するのだろう?
- 妻と離婚を話し合うとき、決してしてはならないNG行為があれば知りたい
- 男性が離婚したい場合、事前に確認しておくべきポイントがあれば教えてほしい
夫が離婚したい理由はいろいろあるものの、「性格が合わない」という理由が圧倒的に多くなっています。
どのような理由でも、妻に離婚を切り出すときは、気を付けるべき点があります。妻とのトラブルを避けつつ、円滑に離婚手続きを進めたいものです。
そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、男性が離婚する主な原因、離婚のときに考慮しておくべきポイント等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 夫が離婚する決意をした動機は、「性格の不一致」が圧倒的に多い
- 離婚したいからと勝手に離婚届を出すと、ペナルティを受ける可能性がある
- 妻に離婚を切り出す前に離婚する理由やリスクを整理しておく
離婚したい男の主な理由
現在、離婚するかどうか悩んでいる男性の方々は、夫がどのような理由で妻に離婚を切り出すのか、関心があるでしょう。
司法統計年報(最高裁判所事務総局)が集計した申立ての動機を参考に、夫が離婚する動機についてみてみましょう。
出典:令和3年司法統計年報(家事編) | 最高裁判所事務総局
性格・価値観の不一致
様々ある離婚理由のなかで最も多い割合となっています。
離婚調停等で夫が申立人となり明示した動機の中で、「性格が合わない」という理由が、申立人(夫)総数17,160人のうち、10,161人と約6割を占めています。
ただし、離婚理由を複数あげる夫も多く、申立人が「性格が合わない」という理由だけで離婚に踏み切っているわけではありません。
異性関係
「異性関係」という理由が、2,178人と1割以上となっています。
異性関係が離婚理由となるケースは主に次の通りです。
- 妻に不倫された
- 自分(夫)に好きな人ができ交際したいので別れたい 等
調停離婚や裁判離婚で解決を図る場合、妻の不倫が理由で離婚の他に慰謝料を請求したいならば、「浮気相手と肉体関係があった。」という証拠の提示が求められます。
逆に、自分(夫)が浮気相手と肉体関係になり、「有責配偶者」となった場合、自分の方から離婚を妻に要求しても、調停離婚や裁判離婚では認められない可能性が高いです。
モラハラ・DV
離婚の理由として「精神的に虐待する(モラハラ)」という理由が3,561人約2割、「暴力を振るう(DV)」という理由が1,477人で1割弱と、合わせて3割近い高い割合となっています。
精神的な虐待(モラハラ)とは、主に次のような言葉の暴力を受けたケースが該当します。
- 「全然給料が上がらないじゃないの、この役立たず!」
- 「あなたは何もできないわね!能無し!」
- 「近づかないで汚らわしい!」 等
セックスレス
離婚の理由として「性的不調和(セックスレス)」という理由が、1,919人とこちらも1割以上となっています。
お互いの関心が薄れ、夫婦間のセックスに性的興奮や快感をおぼえなくなったケースが該当します。
単に男性機能が低下した、お互い歳をとり自然にセックスの回数が減ってしまった、というだけで離婚に発展するわけではありません。
離婚したい男が決してしてはいけない2つのこと
男性が離婚を決意した場合、まずは妻と冷静に話し合う必要があります。
離婚が進まないからと感情を露わにしたり、軽率な行動をとったりすると、予想外のトラブルに発展するかもしれません。
相手への批判
妻に離婚を切り出したとき、激しい反対にあい、理由を問い詰められる事態になるかもしれません。
そのようなときに自分も激怒し口論となってしまえば、離婚の話し合いは進まなくなります。
たとえ離婚したい原因が妻の方にあっても、相手を侮辱したり声を荒げたりせず、冷静に説明しましょう。
勝手に離婚届を出す
離婚の協議で夫婦の意見の隔たりが大きく、離婚の条件が決まらなくても、妻の合意を得ずに、勝手に離婚届を市区町村役場へ提出してはいけません。
そのような届出は無効となる他、刑事罰を受ける可能性があります。下表をご覧ください。
刑罰 | 内容 |
有印私文書偽造罪 | 離婚届等の署名・押印を偽造した場合に適用。 罰則:3か月以上5年以下の懲役刑を受ける(刑法第159条第1項)。 |
偽造有印私文書行使罪 | 偽造した離婚届を役所へ提出した場合に適用。 罰則:3か月以上5年以下の懲役刑を受ける(刑法第161条第1項)。 |
電磁的公正証書原本不実記載罪 | 公務員に嘘の申立をして、戸籍等の文書に間違った記載をさせたとき適用。 罰則:5年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑を受ける(刑法第157条第1項)。 |
協議離婚ではなく調停離婚または裁判離婚で離婚が決まった後であれば、妻の合意なくして離婚届の提出が可能です。
離婚したい男が押さえるべきポイント
離婚を決意したならば、いきなり妻に離婚を切り出すのではなく、話し合う前に離婚のリスクや行うべき作業を今一度確認しましょう。
こちらでは、離婚前に押さえておくべき4つのポイントを説明します。
理由整理
妻との話し合いのときは、妻のどのような部分が原因で自分は婚姻を継続したくないのか、まず離婚理由を整理します。
妻から理由を問いただされ、「お前といるのが何となく嫌になった。」と返答しても到底納得はされないでしょう。
自分が離婚を切り出すときには、しっかりとその理由を答えられるようにしておきましょう。
リスク列挙
離婚の話し合いを進める前に、どのようなリスクの発生が予想されるのか列挙し、対策を検討しておきましょう。
夫が妻に離婚を切り出し、離婚の話し合いを進めると、次のリスクが想定されます。
- 婚姻費用を請求されてしまう:無職または低収入の妻が別居した場合、自分が生活費の支払いをしなければいけない可能性がある
- 子どもの親権が妻にいってしまう:裁判離婚で親権を決めるとき、母親の方が親権者に選ばれる可能性は高い
- 養育費の支払を要求される:親権を持たない親は子の育成費用を支払う必要がある
- 財産分与を取り決める:夫婦で協力して得た財産を分与しなければいけない
- 年金分割:婚姻期間中に厚生年金に加入していた場合、離婚時の年金分割について協議する
基本的に夫の方が年収は高く、持ち家をそのまま所有するケースが多いため、妻が有責配偶者となるような場合を除き、金銭的な負担を行う必要があります。
証拠集め
妻が離婚原因をつくった場合、その証拠を収集し、慰謝料請求の準備を進めましょう。
ただし、夫婦の話し合いで慰謝料についての取り決めができなかったならば、調停離婚や裁判離婚で、慰謝料を決める必要があります。
たとえば、妻の浮気が理由で離婚し、慰謝料を得たいときは、浮気相手と性交したという確実な証拠を提出しなければいけません。
その場合、探偵事務所に調査依頼をすれば、次のような証拠書類等を取得できます。
- 調査報告書
- 浮気現場の画像・動画
- 浮気相手とのやり取りの録音 等
プロの作成した調査報告書等は証拠能力が高く、裁判所に証拠書類・証拠物として提出が可能です。
自分で証拠集めが難しい場合は専門家に依頼し、確たる証拠が得られれば、慰謝料請求は認められるでしょう。
弁護士への相談
妻と離婚の協議を円滑に進めたいならば、離婚問題に詳しい弁護士へ前もって相談しておきましょう。
弁護士は、相談者の悩みや不明点をよく聴いたうえで、夫の事情に応じた的確なアドバイスを行います。また、弁護士を代理人にすれば、妻との交渉も任せられます。
離婚問題に詳しい弁護士は、法律事務所のホームページを参考に選びましょう。
ホームページ内にこのような記載があれば、協議・調停・裁判離婚に豊富な実績がある弁護士といえます。
- 離婚に関する相談実績等が明示されている
- 離婚に関する事例や、話題が豊富に掲載されている
- 協議・調停・裁判離婚の手続きの流れ、費用が明確に記載されている
まとめ
今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、男性(夫)が離婚を決意する原因や注意点、離婚の手続きを支障なく進めるときのコツ等について詳しく解説しました。
離婚の協議を行うときは、自分一人で何とかしようとせずに、弁護士の力を借りた方が、交渉を有利に進められます。
離婚を決意したら、まずは弁護士に相談し、今後の対応を話し合ってみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。