刑事事件における不起訴とは何か?主な理由・メリット・目指す方法を解説!

最終更新日: 2023年09月18日

刑事事件における不起訴とは何か?主な理由・メリット・目指す方法を解説!

  • そもそも刑事事件の不起訴とはどのような処分なのだろう
  • 刑事事件を起こしてしまった・・・何とか不起訴にならないだろうか
  • 不起訴処分を目指すには、やはり弁護士の協力が必要不可欠なのだろうか

不起訴とは、検察官が起訴しないと決める処分です。不起訴になると刑事裁判は行われず、事件が終結します。

検察官が不起訴処分を決めるのは、被疑者を起訴できる証拠が集められなかった場合だけではありません。

そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、不起訴処分はどのようなときになされるのか、不起訴処分を目指す方法等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 検察官は被疑者が反省し、罪も軽微で、被害者との示談が成立している場合、不起訴処分を決める可能性が高い
  • 不起訴処分となれば、刑事裁判が行われず前科も付かない
  • 被疑者が不起訴処分を目指すならば、弁護士と互いに協力して対応する必要がある

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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刑事事件における不起訴とは

不起訴とは、検察官が起訴しないと決める処分です。不起訴となると刑事裁判にかけられず、勾留されている場合は自宅に戻れます。

不起訴となるケースはいろいろと存在し、主に「起訴猶予」「嫌疑不十分」「告訴の取り消し等」「心身喪失」があげられます。

それぞれについて解説していきましょう。

出典:令和4年版犯罪白書|法務省

起訴猶予

起訴猶予とは、被疑者に犯罪の嫌疑が十分認められるうえ、訴訟条件も欠けていないが、検察官の判断で訴追を不要と判断する処分です。

ただし、どのようなケースでも起訴猶予になるわけではありません。

被疑者が比較的軽い罪にとどまり、被疑者が真摯に反省し、被害者とも示談が成立した場合、当該処分となる可能性があります。

2021年の不起訴処分149,678件のうち、102,625件が起訴猶予でした。起訴猶予の割合が全体の68.6%と、不起訴処分の7割近くを占めています。

嫌疑不十分

嫌疑不十分とは、捜査機関が捜査をしたものの、犯罪の成立を認定すべき証拠が十分揃わなかった、というケースです。

嫌疑不十分で不起訴処分になれば、再逮捕されるリスクも無くなります。

2021年度は33,183件が嫌疑不十分で不起訴となっており、全体の22.2%と、起訴猶予の次に高い割合となっています。

なお、嫌疑不十分のため不起訴ではなく、「処分保留」で一旦釈放された場合、後日、捜査機関が新たな証拠を発見すれば、再逮捕・起訴される可能性があります。

告訴の取り消し等

親告罪の告訴取り下げがあれば不起訴処分となります。

親告罪とは、被害者による刑事告訴がない場合、加害者を処罰できない犯罪です。

被害者が刑事告訴すれば警察は慎重な捜査をもとに、事件の証言・証拠を収集し、被疑者を逮捕・送検します。

しかし、その後に被害者の気が変わり、告訴を取り下げてしまうと、親告罪の要件を満たさなくなり、被疑者(加害者)は不起訴となります。

2021年度は6,141件(全体の4.1%)が告訴取り下げ等で不起訴となっています。

心神喪失

被疑者が心神喪失の状態の場合は不起訴処分となります。

例えば、統合失調症の患者が錯乱状態となりナイフを振り回し、看護師が負傷した、等のケースがあげられます。

心神喪失とは、精神の障害により被疑者が是非の弁別能力、または行動を制御する能力が欠けていたというケースです。

心神喪失で不起訴となるケースはわずかで、2021年度は432件(全体の0.3%)にとどまります。

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刑事事件で不起訴処分となるメリット

被疑者が不起訴処分を受ければ、刑事裁判が開かれずに捜査は終了し、前科も付かない点がメリットです。

裁判が行われない

検察が不起訴を判断すれば、刑事裁判が開かれないので、被疑者は平穏な日常生活に戻れます。

ただし、起訴猶予の場合、被疑者を起訴する証拠が揃っているものの、諸般の事情で検察官の裁量により起訴を見送り、不起訴処分となっているため、事情の変化で起訴されてしまうリスクもゼロではありません。

当然、再び事件を起こしたならば、また不起訴処分を受けることが難しくなります。
そのため、起訴猶予後は油断せず、自ら反省し、二度と刑事事件を起こさないよう、軽率な行動を戒める心がけが必要です。

前科がつかない

「前科」とは、有罪判決を受けた経歴です。不起訴処分になった場合、前科はつきません。

検察官が起訴・不起訴を判断する場合、裁判官が刑事裁判の量刑を判断する場合、注目する判断材料の一つが前科です。

つまり、前科が全くないならば、検察官が不起訴処分を決める可能性、裁判官が執行猶予付き判決を下す可能性は高くなります。

逆に前科があれば、検察官から起訴相当と判断されたり、裁判官から実刑判決を言い渡されたりするリスクは高いです。

なお、不起訴処分を受けても、「前歴」は残ってしまいます。前歴とは、捜査機関に犯罪の疑いをかけられ捜査対象とされた経歴です。

前歴があっても、捜査機関等から不利な扱いを受けるおそれはほとんどないものの、他人から前歴を知られていまい、悪い噂がたつ等、実生活に影響が出るリスクはあります。

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刑事事件で不起訴処分を目指す方法

不起訴処分を得られれば、被疑者はすぐに実社会へ戻れます。

ここでは、被疑者が事実を否認しているケース、事件を認めているケースに分け、不起訴処分を得る方法について解説します。

事件を否認している場合

被疑者が刑事事件について否認するならば、たとえ逮捕されても否認を貫き不起訴となる可能性もあります。

被害者や目撃者の証言が誤っている場合もあり、証言としてあまり信用できない、起訴するに足る証拠が足りないならば、嫌疑不十分として不起訴となるでしょう。

否認を貫くならば、被疑者は捜査機関の取り調べに熱くならず、冷静な対応が求められます。

この場合も、弁護士に相談・依頼をすれば、弁護士は被疑者が無罪である事実を、本人に代わって主張します。

逮捕された場合はその一報を聞いた家族から、弁護士に弁護を依頼してもらったうえで、対応を協議していきましょう。

逮捕直後から被疑者本人と弁護士が面会できるなら、弁護士の捜査機関への働きかけで勾留を回避し、早期の解放も期待できます。

事件を認めている場合

被疑者が刑事事件について認めているならば、逮捕後すみやかに弁護士と面会し、今後の対応を話し合いましょう。

余裕があれば、逮捕前に「警察から逮捕されるかもしれない。」と弁護士に打ち明け、弁護を依頼しておいた方が無難です。

そうすれば、弁護士と共に自首する「自首同行」、被害者との和解を目指す「示談交渉」等が可能となります。自首同行や示談交渉は共に、検察官が不起訴処分を決めるときの「諸般の事情」の一つとなります。

また、親告罪の場合、示談により被害者から告訴を取り下げてもらえば不起訴となります。

ただし、示談が成立するには、被疑者の納得する示談金額の提示はもちろん、被疑者(加害者)の深い反省と、被害者への謝罪が大前提です。

その他に、弁護士は警察官から取り調べを受けるときのポイントも教えるので、事件の経緯の他、被疑者が真摯に反省し、積極的に捜査へ協力する旨もうまく伝えられます。

まとめ

今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、検察官が不起訴と判断するケース、不起訴となるメリット、刑事事件で不起訴処分を目指す方法について詳しく解説しました。

警察から逮捕されたとしても、まずは慌てずに、抵抗せずに冷静な対応をとりましょう。取り調べに関しても、事実と違う点はしっかりと否認し、容認するべき点は正直に認めましょう。

逮捕後、弁護士(私選弁護人)と早い段階で面会できれば、勾留回避や示談交渉等スムーズな対応が可能です。

不起訴処分となるには弁護士の協力の下で、被疑者本人も最善の方法を選ぶ必要があるでしょう。

刑事事件で逮捕されたら、慌てずに弁護士と相談し、今後の対応を話し合ってみてはいかがでしょうか。

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