過去の不倫に対する慰謝料請求とは?訴えられたらすべき5つのことも解説

最終更新日: 2023年10月31日

過去の不倫に対する慰謝料請求とは?訴えられたらすべき5つのことも解説

  • 過去の不倫に対して時効はないのだろうか
  • 過去の不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されて対応に困っている
  • 過去の不倫で慰謝料を請求された場合、弁護士はどのような対応をできるのか

過去の不倫に関して、不倫された側から慰謝料を請求される可能性はあります。

しかし、慰謝料の請求にも時効はあり、時効が成立していれば慰謝料を支払う必要はありません。慰謝料の請求をする側も、された側も冷静な対応が求められます。

そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、過去の不倫でも慰謝料請求されるのか?請求が有効かを判断する基準等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 過去の不倫に対し慰謝料が認められるか否かは「消滅時効」「除斥期間」で判断する
  • 過去の不倫で訴えられた場合、慰謝料請求の金額を確認後、減額交渉も可能
  • 過去の不倫に対し慰謝料を請求されたときは、弁護士に相談した方がよい

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

過去の不倫でも慰謝料を請求される?

不倫相手との関係をすでに解消していたものの、その配偶者から慰謝料を請求されてしまう可能性もあります。

そもそも法律に「不貞行為(不倫)が解消されていたなら、慰謝料請求はできない。」という規定はありません。

つまり、今になって以前の不倫が発覚し、不倫された方の配偶者が不倫相手を突き止め、慰謝料の支払いを請求するケースも想定されるのです。

過去の不倫が有効かを判断する基準

過去の不倫に対する慰謝料請求があった場合、どれだけ時間が経っていても、無条件に支払いへ応じなければいけないわけではありません。

慰謝料請求にも「消滅時効」「除斥期間」があり、時効や期間の経過を主張すれば、支払いを免れる可能性があります。

消滅時効

民法では「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。」、慰謝料請求権の時効が成立すると規定しています(民法第724条第1号)。

つまり、不倫相手だった人の配偶者が、不倫の事実および不倫していた自分を知った日から3年以内に慰謝料請求しなければ、時効の成立を理由に支払い拒否が可能です。

ただし不倫相手の配偶者が、たとえ自分の顔は知っていても名前や住所がわからず、慰謝料請求の対象として特定できていなかった場合、時効期間のカウントは開始されないので注意が必要です。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

除斥期間

消滅時効の他、「不法行為の時から二十年間行使しないとき。」にも除斥期間が成立し、慰謝料請求権は行使できなくなります(民法第724条第2号)。

不倫相手と自分との不倫関係が始まった日から20年経過すれば、慰謝料の支払い拒否が可能です。

つまり、不倫相手の配偶者が、不倫の事実および不倫していた人物(自分)を特定できたとしても、不倫関係の始まった日から20年が経過していたなら、もはや慰謝料請求はできなくなります。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

過去の不倫で訴えられたらすべき5つのこと

過去の不倫で慰謝料が請求されている以上、請求した側の記憶も曖昧になっている可能性があります。

慰謝料を請求した側から言われるがまま、慰謝料を支払う前に、5つの対応を検討しましょう。

事実確認

内容証明郵便や訴状等で慰謝料を請求された場合は、内容をしっかりとチェックし、事実と違っている部分があれば反論します。

内容証明郵便や訴状等を出したかつての不倫相手の配偶者が、現在も肉体関係が続いているかのような主張をしていれば、きっぱりと否定しましょう。

慰謝料請求金額の確認

過去の不倫相手の配偶者が請求した慰謝料の金額を確認しましょう。

慰謝料の相場は、不倫相手とその配偶者が離婚しているなら100万円〜300万円程度、婚姻関係が継続しているなら数十万円〜100万円程度です。

たとえば内容証明郵便や訴状等に、慰謝料が1,000万円などと記載されている場合、適正な金額とは言えません。

慰謝料減額交渉

過去の不倫の事実を認めるにしても、かつての不倫相手の配偶者から慰謝料として請求された金額が、相場よりも明らかに高すぎる場合は、減額交渉を行いましょう。

当事者双方が冷静になり、話し合いで解決できれば理想的です。しかし、お互い感情的になって協議が難航しそうな場合、弁護士に依頼し相手方と交渉してもらった方が無難です。

冷静な対応

不倫された方の配偶者からみれば、慰謝請求は不倫した張本人への正当な責任追及といえます。

一方、不倫をした自分からすれば、過去の過ちであり「何を今更、責められる必要があるんだ。」と、不満を言いたくなるかもしれません。

しかし、消滅時効や除斥期間を経過していないならば、慰謝料請求は有効です。

請求された本人は感情的にならず、冷静に請求内容を確認し、自分の言い分や反論すべき点を整理しましょう。

弁護士への相談

過去の不倫で慰謝料を請求された場合は、なるべく早く弁護士に相談し対応を協議しましょう。

弁護士は相談者から、過去の不倫の経緯をヒアリングしたうえで、次のようなアドバイスを行います。

  • 請求内容に相違はないかの確認
  • 慰謝料請求が消滅時効や除斥期間に達しているかのチェック
  • 請求金額は適正なのかを判断
  • 交渉を進める手順やコツ等の助言

事前にいろいろと助言してもらえば、交渉を有利に進められます。

過去の不倫を弁護士に相談するメリット

弁護士に相談すれば、慰謝料を交渉するときに次のようなメリットがあります。

慰謝料請求有効性の判断

弁護士に相談すれば、慰謝料請求が消滅時効や除斥期間となっていないかどうかを、正確に確認できます。

弁護士に依頼すれば、消滅時効や除斥期間になっている場合、自分の代わりに請求した相手に主張できるので安心です。

慰謝料を請求した配偶者が時効や除斥期間に納得しない場合は、裁判等で弁護士がその事実を主張・立証します。

慰謝料の試算

かつての不倫相手の配偶者から請求された金額が、適正かどうかについて弁護士が改めて試算を行います。

請求した側へ適正な金額の主張をする場合も、弁護士が理由をあげながら丁寧に説明し、納得してもらえるよう尽力します。

減額の可能性

かつての不倫相手の配偶者から請求された慰謝料の金額に、自分が納得いかない場合、弁護士へ依頼すれば、説得力のある減額の主張を任せられます。

たとえば、かつての不倫相手と自分が職場の同僚だった場合、次のような事実をあげ、請求した側の譲歩を引き出します。

  • かつての不倫相手と本人は以前、親密な関係だったが数年前に関係を解消している
  • 本人は不倫を後悔し、自ら異動を申し出て、完全に不倫相手と関係を断っている
  • 関係の解消後、不倫相手との連絡手段(例:SNS、LINE)を削除し、電話やメールも受信を拒否している
  • 不倫相手と本人との間に子どもができたり、堕胎したりした事実もない 等

支払いを請求した側は弁護士の主張に納得し、減額に応じる可能性があります。

代理交渉

弁護士に交渉を任せれば、慰謝料の支払いを請求した側と自分が直接面談する必要もないので安心です。

示談交渉に関する取り決めは弁護士が進めるので、交渉の過程で当事者がトラブルとなるリスクもありません。

負担の軽減

自分が仕事や家事に追われているとき、いきなり慰謝料の支払いを請求されると、その対応にも時間を割かなければならず、負担は大きくなるでしょう。

しかし、弁護士をたてれば相手との交渉や、訴訟を提起された場合の対応、証拠書類等の準備等をほとんど委任できます。

まとめ

今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、過去の不倫に対する慰謝料請求を受けた場合の対応方法等について詳しく解説しました。

過去の不倫について慰謝料請求を受ければ、不満を抱くかもしれません。しかし、請求を受けた側は弁護士のサポートも受けながら、冷静に対応していく必要があります。

不倫の慰謝料請求を受けたら、慌てずに弁護士へ相談し、今後の対応を話し合ってみてはいかがでしょうか。

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