家賃滞納者には内容証明郵便!効果的な理由と送付手順・ポイントを徹底解説

最終更新日: 2024年12月09日

家賃滞納者には内容証明郵便!効果的な理由と送付手順・ポイントを徹底解説

  • 賃借人の滞納分の家賃を支払わせたい、有効な方法はないか?
  • 家賃滞納者に内容証明郵便を送付するメリットについて知りたい
  • 内容証明郵便を送付するときは、前もって弁護士に相談した方がよいのだろうか?

賃借人に滞納分の家賃を支払わせる方法の1つに、「内容証明郵便の送付」があります。

賃借人への催告書を内容証明郵便で送れば、滞納分の家賃支払いに応じる可能性があります。

そこで今回は、不動産問題の解決に携わってきた専門弁護士が、家賃滞納者に内容証明郵便を送るメリット、内容証明郵便を送った後の対応等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 内容証明郵便を送付すれば家賃滞納者に催告した証明となり、家賃滞納者へ心理的なプレッシャーを与えられる
  • 内容証明郵便で送付する催告書には、期日までに家賃を支払わなければ、契約の解除や法的措置をとる旨を明記する
  • 賃貸借問題に詳しい弁護士からアドバイスを受けつつ、内容証明郵便の手続きを進めた方がよい

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

家賃滞納者に内容証明郵便が効果的な理由

内容証明郵便は郵便の内容、差出人や宛先を郵便局が証明するサービスです。ただし、家賃滞納者に内容証明郵便を送っても支払いを強制できるわけではありません。

強制力はないものの、家賃支払いに関する催告書を内容証明郵便で送れば、催告した証拠となり、滞納者へプレッシャーを与える効果があります。

証拠として残る

内容証明郵便を利用すれば、家賃滞納者へ確かに催告したという証拠が残ります。

内容証明郵便には、滞納者へ送付された催告書の内容を証明する効果があるのです。家賃滞納者は、「そのような催告書は知らない」という言い逃れができません。

催告書を送った重要な証拠となるため、家賃滞納者が何か月分の賃料を滞納しているのか、指定期日に滞納分を支払う要求、期日までに支払わない場合はどうなるかについて、具体的に記載しましょう。

内容証明郵便は法的措置(明け渡し請求訴訟など)を行うときに、証拠として裁判所に提出します。

相手にプレッシャーを与えられる

催告書に記載した内容により、家賃滞納者は賃貸人が契約解除や自分を立ち退かせるため裁判所に訴える準備を進めている状況がわかります。

明け渡し請求訴訟で、内容証明郵便を証拠として提出されると、家賃滞納者に対する裁判官の心証は悪くなると思うでしょう。賃貸人側の主張が通る可能性は高いと恐れる可能性が高まります。

家賃滞納者は「このままだと、自分は訴えられて住居から追い出されてしまう」と強いプレッシャーを感じ、滞納分の家賃の支払いにすぐ応じ、あるいは話し合いを申し出る可能性があります。

家賃滞納者へ内容証明郵便を送るステップ

催告書を内容証明郵便で送る場合、一般の郵便物とは違った方法で手続きを進めていきます。

送付の準備にやや手間がかかり、通常の郵便料金に加え手数料がかかるので注意しましょう。

催告書の作成

催告書には、家賃滞納者への具体的な要求を記載します。

何か月分の家賃を滞納しているか、支払いの期日や支払わないと賃貸借契約を解除する旨、法的措置も行うと明記しましょう。

ただし、家賃滞納者を脅迫するような内容を記載してはいけません。

このまま家賃滞納を続けた場合、どのような対応をとるのかについて、簡潔にわかりやすく記載しましょう。

送付

内容証明郵便を送付するときは、同じ内容の催告書を3通準備しましょう。

1通は家賃滞納者への送付用、残り謄本2通は差出人用と郵便局の保存用です。

なお、謄本の字数・行数制限があるので注意しましょう。縦書き・横書きによって制限が異なります(句読点等の記号も1文字にカウント)。

縦書きは、1行20文字以内かつ1ページ26行以内です。
横書きは、次の3種類のいずれかの字数・行数を選びましょう。

  • 1行20字以内かつ1ページ26行以内
  • 1行13字以内かつ1ページ40行以内
  • 1行26字以内かつ1ページ20行以内

送付費用は、次の通りです。

  • 内容証明の加算料金:1枚480円~
  • 郵便物の料金:110円~
  • 一般書留の加算料金:480円~
  • 配達証明料:350円~

合計約1,420円以上の費用がかかります。

家賃滞納者へ内容証明郵便を送った後の対応

内容証明郵便を送付した後、家賃滞納者がどのように反応するかで、賃貸人のとるべき対応は異なります。

家賃滞納者がいかなる反応をしても、慌てず冷静に問題解決のための手続きを進めていきましょう。

家賃支払いに応じる場合

家賃滞納者が慌てて賃貸人との話し合いを申し出てきたときは、家賃支払いを行うのか、それとも賃貸物件を退去するのかについて、話し合いましょう。

家賃滞納者の事情に応じて、次のような取り決めがあり得ます。

  • 遅くなるかもしれないが家賃滞納分を支払い、賃貸借契約を継続したい→支払期日を改めて決定し、期日内に支払いが完了すれば契約を継続する
  • 家賃を支払えないので退去したい→賃貸借契約を解除し、期日内の退去を約束させる(場合によっては、滞納分家賃の支払いを免除する)

賃貸人と家賃滞納者が取り決めに合意した場合は、「合意書」を2通作成しましょう。文書化しておけば、双方が取り決め内容を忘れる心配もありません。

家賃支払いに応じない場合

内容証明郵便を送付しても家賃滞納者が無反応だった場合、支払期日に滞納分の家賃が振り込まれていない事実を確認したうえで、賃貸借契約を解除しましょう。

そして、賃貸物件の所在地を管轄する裁判所に、明け渡し請求訴訟を提起します。

明け渡し請求訴訟では賃貸人が原告、家賃滞納者が被告となります。

原告勝訴の判決が下った場合、被告に賃貸物件の明け渡しが命じられます。それでも家賃滞納者が物件に居座っている場合は、強制執行の申し立てが可能です。

家賃滞納者に内容証明郵便で送る催告書の作り方

内容証明郵便で郵送する催告書は、家賃滞納者に賃貸人であるあなたの意思表示が明確に伝わるよう、簡潔に文面を作成しましょう。

家賃滞納者を脅迫するような内容は、深刻なトラブルに発展する可能性もあり記載してはいけません。

記載項目

催告書には次のような内容を記載します。

  • 表題「催告書」
  • 受取人(家賃滞納者)の氏名・住所
  • 差出人(賃貸人)の氏名・住所
  • 未払い賃料金額
  • 期限を過ぎても滞納された状態であること
  • 指定期日までに未払いの家賃を支払うべき旨
  • 家賃の支払が確認できない場合、賃貸借契約を解除し、法的措置をとる旨

平易でわかりやすい文章となるよう、なるべく感情を抑えつつ、要点をまとめて記載しましょう。

テンプレート

催告書の文例を紹介します。文例を参考に、滞納の状況に合わせた催告書を作成しましょう。

【催告書の文例】

         催告書

住所 東京都〇〇区〇〇 〇〇ハイツ〇〇号室
氏名 〇〇〇〇様

〇〇ハイツ〇〇号室の家賃についてご連絡いたします。

毎月の家賃を口座振替でお支払いいただいております。

しかし〇~〇月分の家賃のお支払いが確認できませんでした。

滞納分家賃〇〇円の催告を致します。

令和〇年〇月〇日までに下記振込先にお支払いください。

振込先    〇〇銀行〇〇支店
普通預金口座 〇〇〇〇〇〇
口座名義   〇〇〇〇

期日までに支払われなければ、賃貸借契約を解除します。

賃貸借契約を解除後、法的措置をとらせていただきます。

                       以上

令和〇年〇月〇日

                東京都〇〇区〇〇
               (賃貸人)〇〇〇〇

家賃滞納者へ内容証明郵便を送るときのポイント

家賃滞納者が内容証明郵便を受け取れば、心理的なプレッシャーを受け、慌ててあなたに連絡をとる可能性があります。

ただし、内容証明郵便を送ったからといって、滞納者が必ず滞納分の家賃を支払うとは限りません。内容証明郵便を送付しつつ、今後の手続きの準備も始めておきましょう。

必要書類の準備

内容証明郵便を送付する場合には、必要書類の準備が必要です。

  • 催告書:受取人(家賃滞納者)への送付用
  • 催告書謄本2通:差出人(賃貸人)の保管用、郵便局の保管用
  • 封筒:受取人、差出人の氏名住所記載
  • 内容証明料を含む郵便料金

並行して、裁判所への明け渡し請求訴訟提起に必要な書類の準備も進めましょう。

  • 賃貸借契約書
  • 固定資産評価証明書
  • 代表事項証明書(賃貸人が法人・管理会社の場合)
  • 内容証明郵便控え
  • 内容証明郵便の配達証明書

訴訟を弁護士に任せる場合、委任状の作成も必要です。

訴訟の必要書類も準備しておけば、支払期日に滞納分の家賃が振り込まれなかった場合、速やかに裁判手続きを進められます。

本人・連帯保証人のみへの送付

内容証明郵便を利用し家賃滞納者本人の他、連帯保証人にも催告が可能です。

連帯保証人は主債務者と連帯して、債務の履行を保証する立場の人だからです。

家賃滞納者が家賃を支払わなくても、連帯保証人が支払えば、契約解除や訴訟提起の必要はありません。

ただし、家賃滞納者の親族だからといって、連帯保証人でない人へ内容証明郵便を送付し、催告を行ってはいけません。

専門家への相談

内容証明郵便の郵送を検討するのであれば、法律の専門家である弁護士へ事前に相談しましょう。

弁護士は友人・知人から紹介してもらうのもよいですが、自分でインターネットを利用して選べます。まずは法律事務所のホームページをよく確認してみましょう。

  • 不動産トラブルや立ち退き交渉等に関する成功実績、相談実績件数が明記されている
  • 不動産問題の交渉や裁判の成功事例、トピック等が豊富に掲載されている
  • 不動産問題の交渉や裁判の手順、費用の目安が明示されている

上記のような内容が確認できるなら、不動産問題の解決に実績豊富な弁護士と言えます。

弁護士は家賃滞納の状況を詳しくヒアリングし、次のようなアドバイスを行います。

  • 催告書を作成するコツ
  • 内容証明郵便を利用するメリット・注意点
  • 内容証明郵便を送っても、支払いを拒否された場合の対応
  • 弁護士にサポートを依頼する有効性

内容証明郵便に関する不明な点があれば、どんどん質問してみましょう。

家賃滞納者への内容証明郵便を弁護士に相談するメリット

弁護士に相談し、サポートを依頼すれば、あなたの代理人として家賃滞納問題の解決に尽力します。

弁護士に内容証明郵便の作成・提出の他、様々な対応を任せられます。

書類の作成・送付を依頼できる

あなたに代わって、弁護士は家賃滞納者へ送付する催告書の作成が可能です。法律に則った効果的な文面を作成できます。

内容証明郵便は謄本の作成等、面倒な手続きがありますが、弁護士に全て任せられるので安心です。

家賃滞納者が話し合いを持ちかけてきた場合も、弁護士に交渉を任せられます。

交渉を代行

あなたに代わり、弁護士が家賃滞納者と交渉します。

弁護士は法律の専門家であり、かつ第三者なので、感情的にならず滞納分の家賃支払いを説得できます。

また、家賃支払いが難しい状況であれば、弁護士は賃貸人であるあなたと相談のうえで、家賃滞納者へ自主的に退去するよう説得も可能です。

弁護士が代理人であれば、家賃滞納問題を柔軟に解決できます。

訴訟の手続きを代行

内容証明郵便による催告で家賃滞納が解決できなければ、裁判所に訴えを提起し、家賃滞納者を賃貸物件から立ち退かせる法的な措置が必要です。

明け渡し請求訴訟の訴えは賃貸人だけでも提起できますが、弁護士に任せれば、よりスムーズに裁判手続きを進められます。

弁護士は訴えを提起する方法について熟知しているので、訴状の作成のコツや、どのような書類が必要なのかも把握しています。

必要書類は、弁護士の指示のもと、賃貸人であるあなたも協力して収集しなければいけません。ただし、裁判所への書類提出は弁護士に任せられます。

裁判が開始された場合も、弁護士はあなたの立場にたって主張を行い、勝訴判決が得られるように最善を尽くします。

家賃滞納者へ内容証明郵便を送りたいなら春田法律事務所に相談を

今回は不動産トラブルの解決に携わってきた専門弁護士が、内容証明郵便の送付の手順、催告書を作成するポイント等について詳しく解説しました。

長期にわたって家賃を滞納しているからといって、家賃滞納者への強引な取り立てや、脅迫文のような催告書を送付する方法は厳禁です。賃貸人であるあなたには冷静な対応が求められます。

春田法律事務所では初回相談サービスを無料で提供しています。家賃滞納問題を何とかしたいなら、まずは気軽に弁護士と相談し、有益なアドバイスを受けましょう。

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