離婚で財産を守りたい方へ:隠すリスクと法的に守る方法

2025年11月26日

離婚で財産を守りたい方へ:隠すリスクと法的に守る方法

長年かけて築いてきた財産を、離婚によって手放すことへの不安は誰にでもあります。
特に、経営者や資産家、高収入の会社員など、財産規模が大きい方にとっては、財産分与が今後の生活設計に直結する重大な問題です。

中には「一時的に隠してしまえばよいのでは」と考える方もいますが、これは非常に危険な行為です。
財産隠しは違法行為にあたる場合があり、発覚するとかえって不利な立場に追い込まれることもあります。

この記事では、違法な「隠す方法」ではなく、法的に正当な理由で財産分与の対象外とできる「特有財産」の考え方や、財産を適切に守るための方法を解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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財産隠しが発覚した場合のリスク

弁護士による法的な調査手段

仮に財産を隠したとしても、相手方の弁護士は法的手続きを通じて財産の所在を調査できます。
主な方法としては、次のようなものがあります。

  • 調査嘱託(銀行・証券会社)
    裁判所を通じ、銀行や証券会社などに対して口座情報や取引履歴の開示を求める手続き。

  • 23条照会
    弁護士法23条の2に基づき、弁護士会を通じて、官公庁や企業に対して、必要事項を調査・紹介する制度です。

違法な財産隠しによる不利益

財産隠しが発覚すれば、裁判官や調停委員からの信頼を失い、親権・慰謝料など他の条件交渉にも悪影響を及ぼします。

また、相手方からの不必要な詮索を受けることにもなり、離婚に向けての協議が長期化するデメリットも生じます。

合法的に財産を守るための方法

財産を守るための最も有効な手段は、「特有財産」を正しく主張・立証することです。

特有財産とは

特有財産とは、夫婦の協力とは関係なく取得した財産を指します。
次のような財産は、原則として財産分与の対象外となります。

  • 結婚前から所有していた預貯金や不動産
  • 結婚中に相続や贈与によって得た財産(親からの生前贈与、遺産など)

特有財産を立証するためのポイント

特有財産と認められるには、夫婦の協力によって得たものではない客観的な資料で示すことが重要です。

財産の種類

主な立証資料

弁護士のサポート内容

婚姻前の預貯金

婚姻届提出時点の預金残高証明書、通帳履歴

結婚後の共有財産と混ざっていないかを確認・分析

相続・贈与財産

遺産分割協議書、贈与契約書、振込履歴

資金が生活費などに流用されていないかの立証を支援

事業用資産

法人登記簿、会計帳簿

事業資産と個人資産を区別し、評価の妥当性を主張

財産分与を最小限に抑えるための交渉戦略

自社株・不動産の評価を慎重に行う

自営業者や経営者の場合、会社の株式事業用不動産の評価が重要な争点になります。
弁護士は会社の財務内容を精査し、過大な評価がなされないように適正な評価額を主張します。

また、財産分与では「資産」から「負債」を差し引いて計算するため、事業用借入金や住宅ローンなどの負債も考慮し、総合的なバランスを取ることが大切です。

弁護士を代理人に立てるメリット

財産分与の話し合いは感情的になりやすく、冷静な判断が難しい場面もあります。
弁護士を代理人に立てることで、相手との直接交渉を避けつつ、法的根拠に基づいた冷静な交渉が可能になります。
交渉の主導権を確保することが、財産を守るうえでの重要なポイントです。

まとめ:財産を守るには「法的な戦略」が不可欠

財産を多くお持ちの方にとって、離婚は感情の問題であると同時に、法的な戦略が求められる場面でもあります。
違法な財産隠しに頼るのではなく、まずは弁護士に相談して財産状況を正確に把握することが第一歩です。

当事務所では、離婚問題に加えて企業法務や資産承継にも精通した弁護士が、あなたの財産を法的に守るための最適な方法を一緒に検討します。

「財産をできるだけ守りたい」「どこまでが分与対象になるのか知りたい」――そんなお悩みをお持ちの方は、まずは無料相談をご利用ください。

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