家宅捜索の前兆とは?よくある疑問と正しい対応法を弁護士が解説!

2025年02月21日

家宅捜索の前兆とは?よくある疑問と正しい対応法を弁護士が解説!

  • 警察署で任意の取調べを受けた。次は家宅捜索されるのだろうか?とても不安だ。
  • 家宅捜索のときは自宅をパトカーが取り囲むのだろうか?心配で夜も眠れない。
  • 家宅捜索されるとき、どのような対応をとればよいのだろう?

家宅捜索は、犯罪の証拠を収集する目的で捜査員が被疑者宅に立ち入り、証拠物を探し差し押さえる手続きです。

家宅捜索のときに、自宅の証拠物はもちろん、家財道具も没収されてしまうのではないかと不安な方もいるでしょう。

そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、家宅捜索の前兆や、家宅捜索にどのように対応すべきか等を詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 家宅捜索の前兆に気づくケースは少ないが、警察から取り調べを受けた後、家宅捜索が行われる可能性がある
  • 捜査員が家宅捜索を行うときは、必要な物だけを押収していく
  • 家宅捜索されるか不安なときは、刑事事件に強い弁護士と相談してみよう

刑事事件に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

家宅捜索の前兆はあるか

被疑者やその家族が、警察の家宅捜索の前兆に気づくケースはほとんどないでしょう。

捜査員から家宅捜索の前に「これから〇〇さん宅へ、家宅捜索に行きます」という、事前予告は行われません。

被疑者に事前予告したり、気づかれたりすると証拠隠滅のおそれがあり、家宅捜索の意味がなくなってしまうからです。

捜査員は被疑者が在宅しているときに確実に家宅捜索するため、事前に張り込みを実施していることもあります。

被疑者が1日中自宅にいる日や帰宅時間、家族等の出入りの状況を確認後、最適な日時を選び、家宅捜索を実行に移すでしょう。

家宅捜索の可能性がある前兆

被疑者や家族が家宅捜索に気づくのは、非常にまれなケースです。

ただし、「そろそろ捜査員が家宅捜索に来るかもしれない」という予測は立てられるでしょう。

事前に取り調べを受けている

被疑者が警察署で任意の取り調べを受けていた場合、家宅捜索が行われる可能性があります。

任意の取り調べが強制的でないとしても、被疑者の次のような態度が家宅捜索の準備を進めるきっかけになるかもしれません。

  • 事情聴取で被疑者の発言が二転三転し、証拠物を収集する必要性が出てきた
  • 証拠がある場所を質問したら、被疑者が激しく動揺した
  • 証拠物の話題になると、被疑者が不自然にはぐらかす 等

犯罪の決め手となる証拠を持っているのであれば、家宅捜索される前に自主的に提出した方が、不起訴処分や減刑につながるかもしれません。

共犯者が逮捕されている

被疑者本人や共犯者が警察に逮捕されている場合、近々それぞれの自宅が家宅捜索される可能性があります。

被疑者本人や共犯者を逮捕したにもかかわらず、十分な証拠物を押収できなかった場合、警察は自宅を捜査し、証拠の収集を行うことでしょう。

自分の家族に迷惑をかけたくないならば、逮捕後の取り調べのとき、素直に証拠の在り処を告げた方がよいです。

疑われている

警察から犯罪を疑われているときに、家宅捜索を受ける場合もあるでしょう。

警察は証拠が十分に揃っていないと、被疑者の逮捕はできません。そのため、証拠を揃える目的で家宅捜索を行うケースもあるのです。

家宅捜索の結果、罪を犯したと疑うに足りる証拠が見つかったときは、被疑者はそのまま逮捕されてしまう可能性もあります。

家宅捜索の流れ

家宅捜索はある日突然開始されるので、事前に告知するケースはありません。

なお、家宅捜索が行われる時間帯は、被疑者本人や家族が在宅している可能性が高く、早朝が多いといわれています。

訪問

裁判官が捜索差押許可状(令状)を発付した後、捜査員による家宅捜索が実行されます。3〜5人くらいの捜査員が家宅捜索に参加するのが一般的です。

家宅捜索は、次のいずれかの手順でが開始されます。

  • 令状を所持した捜査員が外で待機→被疑者が出てきた時点で令状を見せ捜査開始
  • 被疑者が必ずいる時間帯を見計らい逃走経路に捜査員を配置→インターフォンを鳴らして令状を見せ捜査開始

家宅捜索で捜査員が自宅を訪問したときは、抵抗せず家宅捜索に協力しましょう。

捜索

捜索とは、犯罪にかかわる証拠物を発見するため、警察や検察の捜査員が一定の範囲を調べる作業です。俗に「ガサ入れ」と呼ばれます。

捜査員は証拠物の捜索に手馴れているので、被疑者が指示に従えば、的確に必要な証拠物だけを見つけていきます。捜索の過程で、家の中の物を雑に扱うようなことはありません。

ただし、被疑者が証拠物がある場所を黙秘するときは、時間をかけ徹底的に捜索される可能性があります。

押収

被疑者の犯罪に関する証拠物が押収されます。

押収する物は捜索差押許可状の「差し押さえるべき物」欄に明記されており、家宅捜索に無関係な家財道具等は押収されません。

家宅捜索で押収された物が返還されるか否かが気になる方もいるでしょう。

少なくとも次のような押収物は返還されません。

  • 被疑者が所有権を放棄した押収物
  • 没収対象となるもの:覚せい剤や改造拳銃、爆薬、火炎瓶、賄賂(収賄罪の場合)等

上記以外のものは基本的に被疑者へ返還されます。押収物のうち留置の必要がないものは、刑事事件の処分が出る前に返還可能です。

返還のタイミングは一般的には次の通りです。

  • 被疑者が起訴された→刑事裁判終了後
  • 被疑者が不起訴になった→不起訴処分後

押収物の返還は警察署で行われるため、被疑者や家族が自宅に持ち帰る必要があります(返還時点で刑務所に収容されている場合、捜査員が刑務所へ返しに来る)。

家宅捜索でよくある疑問

家宅捜索でよくある疑問に回答します。

近所に知られないか

被疑者本人や家族の対応によっては、家宅捜索を近所の方に知られてしまう可能性があります。

家宅捜索をする場合、被疑者宅をパトカーで取り囲み、重武装の警官隊が突入するような方法はとりません。捜査用のワゴン車(警視庁・〇〇県警察などとペイントされていない車両)を使用するケースが多いです。

私服の捜査員が対応するので、被疑者・家族が指示に従っていれば、近所の方には気づかれないでしょう。

ただし、家宅捜索は予告なく行われるため、被疑者や家族が動揺し、玄関前で捜査員とトラブルが発生すると、騒ぎを聞きつけて周囲の人たちが集まってくるかもしれません。

拒否できるか

家宅捜索は捜索差押許可状に基づく強制処分のため、被疑者本人や家族は拒否できません。

家宅捜索の拒否や、捜査員を威圧する等して抵抗する行為は、「公務執行妨害」になり、逮捕されるおそれもあります。捜査員の指示に従い、冷静に対応しましょう。

被疑者や家族が積極的に協力すれば、捜索は数時間程度で終了します。

不在の場合はどうすればよい

被疑者本人が不在でも家族が在宅していれば、家族に立ち会ってもらい、家宅捜索が可能です。

被疑者も家族も不在の場合は、警察が電話連絡を行い被疑者をすぐに帰宅させた後、家宅捜索を開始する場合も多いです。

家宅捜索への対応ポイント

捜査員が家宅捜索で自宅に来ても、慌てず冷静に対応しましょう。

家宅捜索で不安を感じるときは、弁護士に相談した方がよいです。

令状の内容確認

まず捜査員から示された捜索差押許可状(令状)の内容を確認しましょう。捜索差押許可状には次のような事項が記載されています。

  • 被疑者の氏名および年齢
  • 被疑物が疑われてる罪名
  • 捜索すべき場所(住所)、身体又は物
  • 差し押さえられるべき物
  • 有効期間
  • 許可年月日、裁判所・裁判官氏名・押印
  • 請求者の官公職氏名

令状の内容を正確に弁護士へ伝えれば、適切なアドバイスを受けられます。

押収リストの取得

家宅捜索で自宅にある物が押収されたときは、必ず「押収品目録交付書」を受け取りましょう。

押収品目録交付書は、捜査員が押収物の一覧を作成し、所有者等に交付するための書類です。弁護士が弁護活動を行う場合に、当該交付書が有力な資料となります。

被疑者・家族は取得した交付書を大切に保管し、忘れずに弁護士に提出しましょう。

捜索証明書の請求

家宅捜索で押収しなければならない証拠物がなかったときは、被疑者・家族は捜査員に「捜索証明書」の交付を請求しましょう。

捜索証明書は被疑者側に有利な証拠で、弁護士が弁護活動を行うとき利用できます。

ただし、当該証明書を取得したからといって、「二度と同じ場所で家宅捜索はされない」という保証はありません。

弁護士への相談

家宅捜索を受けることが不安な場合は、事前に弁護士と相談しておきましょう。

弁護士は相談者から事情を聴いたうえで、次のアドバイスをします。

  • 家宅捜索を受けた場合の対応
  • 家宅捜索を受けた場合のリスク
  • 押収品目録交付書や捜索証明書の取得の必要性
  • 弁護士に依頼すれば、弁護士の立ち合いも可能である点
  • 家宅捜索の結果を弁護活動へどのように活かすか

相談の上で弁護士に私選弁護人を依頼すれば、家宅捜索のときすぐに弁護士の的確なアドバイスを得られたり、家宅捜索に弁護士を立ち合わせたりする方法もとれます。

ただし、刑事事件に強い弁護士を選ばなければ、十分なサポートが得られない場合もあり得ます。

刑事事件に強い弁護士を選ぶ場合、まず弁護士のホームページやサイトに、具体的な相談実績数や家宅捜索に関する話題が多数掲載されているか確認しましょう。

その後、相談予約を行い、実際に弁護士と相談してみて、私選弁護人を依頼しても大丈夫か否かの判断をしましょう。

家宅捜索の前兆を感じたら弁護士に相談するメリット

「近々、家宅捜索を受けそうだ」と感じたときは、速やかに弁護士と相談し、私選弁護人を依頼した方がよいです。

弁護士がサポート役となれば、被疑者の立場に立った弁護活動を進めていきます。

不当・違法な捜索と戦ってくれる

弁護士は不当・違法な捜索を行う警察や検察に対し、法律に則った方法で対応します。

家宅捜索は突然行われますが、その捜索が時には違法であるケースもあるでしょう。弁護士は家宅捜索のときに立ち合いを求める等して、捜査を監視します。

弁護士は法律に精通し、警察や検察への対応にも慣れているので、捜査員の迂闊な捜索・押収を防止できるでしょう。

家宅捜索の不当な事実を主張してくれる

弁護士は違法捜索の有無をチェックし、状況に応じた弁護活動を展開していきます。

押収品目録交付書や捜索証明書等の内容を確認後、違法な捜索だったという事実が発覚する場合もあります。

刑事裁判等の場で、弁護士は「違法な捜索で収集された証拠なので、証拠としての採用は認められない」と主張し争っていくことになるでしょう(違法収集証拠排除法則)。

家宅捜索の前兆があるときは春田法律事務所までご相談を

今回は多くの刑事事件を担当してきた専門弁護士が、家宅捜索に対応するためのポイント等を詳しく解説しました。

春田法律事務所は刑事事件に関する交渉や裁判の実績が豊富な法律事務所です。まずは家宅捜索が行われたときの対応について、弁護士とよく相談しましょう。

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