ストーカーで自首すべき?メリットは?専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月22日
- ストーカー行為をして後悔している、自首をしたいけれどその勇気がない
- 元交際相手が警察にストーカー被害を相談したかもしれない、自首した方がよいだろうか
- ストーカー行為で自首するとき、弁護士と相談したらどのような対応が期待できるか
ストーカー行為を行っても被害者が警察に相談する等、相手方が何らかの行動をしなければ、事件が発覚しないこともあるでしょう。しかし、警察が被害者から事情を聴き捜査を始めると加害者は逮捕される可能性があります。
ストーカー事件として問題化する前に自首した方が、穏便に解決できる可能性が高くなります。
そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、ストーカー行為で自首をするメリット、逮捕され有罪となった場合に科される刑罰、自首のとき弁護士に期待できる対応等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 自首すれば、ストーカー行為を反省し、積極的に問題解決を図ろうとする意思が伝えられる
- 逮捕され有罪となれば、最長2年の懲役刑に処される可能性がある
- 自首の前に弁護士と相談すれば、自首するときの同行や、被害者との示談も任せられる
ストーカーで自首する?逮捕される?
ストーカー行為とは、特定の人に対する好意の感情、またはその好意がかなわず怨念の感情でつきまとい、まちぶせ、押しかけや無言電話等を繰り返す行為です(ストーカー行為等の規制等に関する法律第2条第4項)。
ただし、被害者が警察にストーカー被害を相談しても、被害者の生命・身体に危機が迫っていると判断されない限り、いきなり逮捕されることはないでしょう。最初は警察から呼び出され、被害者に近づいたり連絡を取ったりしないよう、「警告」されるだけでしょう。
ただし、それでもストーカー行為を続ければ、公安委員会から「禁止命令」が出されます。禁止命令を無視して更につきまとい等を行えば、警察によって逮捕されてしまいます。
自分の立場が悪くなる前に、自首をした方が穏便に解決できる可能性は高くなります。
出典:ストーカー行為等の規制等に関する法律 | e-Gov法令検索
ストーカーで自首するメリット
自首するのであれば、早くした方がよいです。ストーカー加害者が自首するメリットは主に次の3つです。
事件化を防ぐ
元交際相手にストーカー行為をして、警察が捜査を開始すれば、被害者からの指摘で加害者はすぐに特定されてしまいます。逮捕は時間の問題です。
しかし、被害者が「禁止命令」等を申し出る前に自首すれば、事件化することなく済む可能性が高くなります。警察の取調べに協力すれば、厳重な注意を受けるだけで自宅へ戻れるかもしれません。
警察から呼び出しを受けたときは素直に応じましょう。被害者に対しては弁護士を立てて、示談交渉を進めた方がよいです。
弁護士が示談交渉を申し出れば、被害者も話し合いに応じる可能性があります。被害者と示談が成立すれば、その後に逮捕・勾留されるリスクは、ほとんどないでしょう。
示談成立後は、被害者と会ったり、連絡を取ったりすることがないよう注意しましょう。
不起訴処分の可能性が高まる
加害者が禁止命令を受けてもなおストーカー行為をやめなければ、逮捕されてしまう可能性が高いです。
一方で、自首をして「罪を償う」と申し立てれば、被害者との示談成立や積極的に捜査へ協力した、悪質性が軽微だった等、様々な事情が考慮され、起訴猶予(不起訴処分の1つ)になる可能性があります。
起訴猶予とは、被疑者にストーカー行為の嫌疑が十分認められ、訴訟条件も欠けていないが、検察官の判断で訴追を不要として不起訴処分にすることです。
罪が軽くなる
加害者が自首し、被害者が被害届等を取り下げたとしても、ストーカー犯罪は非親告罪であるため、検察官によって起訴されてしまうこともあります。
その場合、刑事裁判に進みますが、裁判所が、被告人(加害者)は自首し被害者との示談も既に成立している等の諸事情を考慮し、執行猶予付き判決を言い渡す可能性もあります。
執行猶予付き判決とは、刑罰の執行を一定期間待ってもらえる判決です。執行猶予期間中は自宅で生活でき、刑務所に収容されることはありません。日常生活を送りつつ、問題を起こさずに執行猶予期間が経過すれば、刑の言い渡しの効力自体が消滅します(刑法34条の2)。有罪となっても、日常生活への影響が少ない判決です。
ただし、事件化されないケースや不起訴となるケースとは異なり、「前科(有罪判決を受けた経歴)」が付いてしまいます。前科が付くと、再び犯罪を行い有罪判決となったときは、重い刑罰に処される可能性があるので注意しましょう。
ストーカーで自首しないと科される刑罰
ストーカー行為で自首せずに警察によって逮捕され、裁判所から有罪判決を受けると、重い刑罰を受けるおそれがあります。
出典:ストーカー行為等の規制等に関する法律 | e-Gov法令検索
ストーカー行為
ストーカー行為をした者は、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます(ストーカー行為等の規制等に関する法律第18条)。
なお、懲役とは、加害者を刑務所に拘禁して、労務作業を行わせる刑罰です。また、罰金とは、加害者に一定の金額の支払いを命じる刑罰です。
いずれの刑罰を言い渡されても前科が付いてしまいます。
禁止命令等違反(ストーカー行為)
禁止命令に違反しストーカー行為をした場合は、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」に処されます(同法第19条)。
既に加害者が公安委員会から、つきまとい等や(GPSによる)位置情報無承諾取得等をやめるよう命令されていたにもかかわらず、ストーカー行為をした場合に適用される刑罰です。
禁止命令等違反(ストーカー行為以外)
加害者が禁止命令に違反した場合、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます(同法第20条)。
同法第18条・19条より刑罰は軽いものの、それでも「前科」は付いてしまいます。
ストーカーで自首する場合は弁護士に依頼
ストーカー行為を深く反省し自首する場合も、弁護士のサポートがあれば円滑に手続きが進みます。
自首のときに、弁護士が行う活動は次の通りです。
自首すべきかの判断
加害者が自首をするか悩んでいる場合、弁護士が相談に乗ります。
どのようなストーカー行為をしたのか、警察から「警告」を受けたか、公安委員会から「禁止命令」を受けたか等、いろいろな事情を聴いて、自首についてアドバイスをします。
加害者ひとりで自首する勇気がなければ弁護士が同行することも可能です。
自首同行
加害者本人が希望すれば、弁護士も自首に同行します。
加害者と打ち合わせし自首の準備を整えたうえで、弁護士が警察署の担当者に連絡するので安心です。
連絡時に自首する日時を調整し、時間通りに加害者と弁護士が警察署へ向かいます。
自首したときは、弁護士が本人に代わって警察官にストーカー行為の経緯を説明します。
また、警察の取調べを受けるとき、どう返答すべきかも教えてもらえるので、加害者本人が発言する場合も、慌てずに対応できます。
被害者との示談交渉
弁護士は自首同行だけでなく、早くから被害者と示談交渉を開始します。
弁護士に示談交渉を任せれば、示談金額の相場や被害者が納得しそうな条件も、経験的に把握しているので、円滑な交渉が期待できます。
示談の主な内容は次の通りです。
- 加害者は被害者に謝罪し、二度とストーカー行為をしないと誓う
- 示談金額や支払方法、支払い期日
- 加害者は再犯防止のため、医療機関で治療を受ける
- 被害者は被害届を取り下げる
- 加害者、被害者はどちらも今回の事件を蒸し返さない 等
示談内容に双方が合意すれば、合意書に署名押印して示談成立です。
合意書を作成するのは、双方が条件を忘れないための書面として保管するだけでなく、捜査機関や裁判所に、示談が成立した証拠として提出する役割もあります。
なお、加害者と被害者は最後まで顔を合わせずに示談が進められます。
まとめ
今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、自首をするメリットや、自首するとき弁護士がどのような活動をするのか等について詳しく解説しました。
ストーカー行為を反省し自首したいのであれば、速やかに弁護士と相談し、準備を進めましょう。