万引き事件における被害届の提出や取下げについて

最終更新日: 2022年07月12日

はじめに

その場では捕まらなかったが後日被害届は出されるのかという加害者側の相談や、現行犯逮捕できなかったけれど被害届は出せるのかという被害者側の相談はよくあります。

そこで今回は被害届の意義や被害届を警察は受け付けてくれるのか、被害届を取り下げるとどうなるのかといった事柄についてご説明したいと思います。

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被害届とは

「被害届を出す」、「被害届を取り下げる」とよく言われますが、被害を訴える、処罰を求めるという意味で使われていることが多いように思います。

被害届とは、犯罪があった事実を被害者が捜査機関に届け出ることを言います。

このように被害届は犯罪がありましたということを警察に伝えるだけですから、それを聞いた警察に捜査をすることや犯人を処罰することを義務付ける効果はありません。

法律上、「司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。」(刑事訴訟法第189条2項)と規定しています。

つまり、被害の申告を聞いて、犯罪が発生していると警察が判断したときには捜査がなされますが、そうでなければ捜査は開始されません。

そして、犯罪が発生しているかどうかの判断は被害者や目撃者の供述内容のほか、それを裏付ける証拠がありそうかどうかという点も考慮されます。

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万引き事件の被害届 出し方

店員や保安員が犯人を現行犯逮捕している場合であれば、最寄りの警察署に電話で通報して、被害届の書式に被害内容など必要事項を記入することになります。

では、その場では犯人を現行犯逮捕していない場合はどうでしょうか。この場合、防犯カメラ映像や、店員、保安員の被害申告の内容からしてその人物が万引きをしたことが強く疑われる場合には警察も被害届を受け付け、捜査を開始するでしょう。

他方、防犯カメラ映像からは犯行が明らかではなく、また例えば、店員や保安員の目撃状況も途中で被疑者の追跡が途切れていたりする場合には、証拠が不十分として警察は被害届を受け付けてくれないかもしれません。

しかし、被疑者に事情聴取を実施すれば被疑者が犯行を素直に認める可能性もあるわけですから、少なくともそのような捜査はするべきでしょう。

このように警察が被害届を受け付けない場合には、弁護士に相談して、告訴状を作成し、告訴をすることも検討すべきです。告訴をすれば警察は捜査する義務を負うことになります。

万引き事件で被害届を出さないことはあるのか

万引き事件では、犯人を現行犯逮捕していなくても、防犯カメラ映像や目撃者の供述内容から、逮捕状に基づき通常逮捕できる場合があります。

もっとも、万引き事件は現行犯逮捕をしなければ立件できないと誤解しているお店の方は多いようです。そのため、現行犯逮捕できなかったときには、犯人逮捕を諦めて、被害届を出さないお店もあるでしょう。

他方、現行犯逮捕した場合であっても被害届が出されないことがあります。被疑者が素直に万引きしたことを謝罪し、示談金を支払って被害金額を弁償した結果、お店が被害届を出さないことがあるからです。

このようなかたちで被害届が出されないこともありますので、犯行は素直に認め、早々に示談交渉をするべきでしょう。

万引き事件で被害届が取り下げられた場合

犯人がお店と示談交渉をして、示談金を支払うことで被害金額の弁償をした結果、お店が示談書にサインをして捜査の継続や犯人の処罰も求めないことを表明し、被害届の取下げに応じる姿勢を見せることがあります。

被害届が取り下げられれば、それで事件は終結になるものと考えるのが一般的な感覚だと思います。

しかし、前述のとおり、被害届というのはあくまで犯罪があったことを警察に申告するというものです。

一旦、犯罪事実を申告し、犯罪事実があると警察が判断した場合、捜査を続けるかどうかは警察の判断に委ねられますので、被害者がコントロールすることはできません。

ですから、示談が成立して被害届を取り下げると被害者が表明すれば、それで事件終結になるとは限らないのです。

もっとも、初犯で被害金額も小さい微罪処分相当の事案で、しかも警察が未だ本格的に捜査に着手していない段階であれば、被害者が被害届を取り下げるといって捜査や処罰を望まない意思を表明した場合には、警察もそれ以上捜査を続けない可能性はあるでしょう。

被害届を出した後の万引き事件の捜査

万引き事件の重要な捜査はやはり、店内の防犯カメラ映像の精査です。犯人が入店してから退店するまでの全ての行動を追跡できないか精査します。

もっとも、店内の全ての行動が映っている必要はなく、被疑者がポケットやカバンに商品を入れるところが防犯カメラ映像に映っていればそれだけでも十分な証拠となります。なぜなら、万引き(窃盗罪)はお店を出た時点で成立するのではなく、ポケットやカバンに商品を入れた時点で成立するからです。

もっとも、一旦は万引きをしようとしてポケットに入れたけども、退店する前に考え直して他の商品棚に置いてきたという弁解がなされる可能性があります。

商品を戻したとしてもポケットに入れた時点で窃盗罪が成立していることに変わりはないのですが、直ぐに翻意して商品を戻したとなると、お店に被害が発生していませんので、起訴すべき事案かどうか微妙になります。

現行犯逮捕であれば、その場でその商品を持っているかどうか確認することができますので、このような弁解の真偽を判断することが難しいのは現行犯逮捕していないケースです。

なお、商品棚の商品が欠けているかどうかを調べれば盗まれたかどうかわかるのではないかとも思えますが、欠品している理由にはお店側の在庫管理ミス、他の客による万引きなど他の理由もありえますので決定的な証拠にはなりません。

最後に

以上、万引き事件における被害届にまつわる事項をご説明しました。

万引き事件の加害者になってしまった場合には、逮捕を回避し、早急に被害弁償などの示談交渉をしていくことが重要です。

万引き事件の弁護については刑事事件、窃盗事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。

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