窃盗で逮捕されたら?不起訴・前科回避のために今すぐできる対策とは
最終更新日: 2025年08月04日
突然、自分や家族が窃盗事件で警察に事情聴取されたり、逮捕されたりすると、気が動転してしまうものです。
「前科がついてしまうのでは」「会社や学校に知られたらどうしよう」——そんな不安を感じるのも無理はありません。
結論からいえば、弁護士に早く相談することで、不起訴や会社や学校への発覚することを回避できる可能性は大きく広がります。
弁護士は、身柄の早期解放、被害者との示談、取り調べ対応の助言など、心強い味方となります。
この記事では、窃盗事件の一般的な流れから、起訴・不起訴の確率、弁護士の具体的な活動内容、費用や相談事例まで、丁寧に解説していきます。
窃盗で逮捕される確率とよくあるケース
窃盗事件は、刑法犯の中でも最も多い犯罪の一つです。特に、スーパーやコンビニでの万引きは日常的に発生しており、防犯カメラや警備体制の強化により、現行犯での逮捕に至るケースも増えています。
警察庁「犯罪統計資料(令和5年版)」によれば、令和5年の窃盗罪の検挙率は43.5%でした。
(出典:警察庁 犯罪統計資料)
約2件に1件が検挙されていることになり、「軽い気持ちだった」「謝れば済む」という認識では済まない現実があることがわかります。
たとえ被害額が少額であっても、刑事手続きに進めば重大な結果を招きかねません。
逮捕から起訴までの流れと起訴率
窃盗事件で逮捕された場合、以下の手順で刑事手続きが進みます。
- 逮捕
- 警察で最大48時間の取り調べ
- 検察に送致され、さらに24時間以内に勾留の判断
- 勾留:10日間+10日間延長により最大20日間身体拘束される可能性あり
- その後、起訴または不起訴の決定
この間、本人は家族とも面会できない可能性があり、不安がさらに強まります。特に、逮捕直後の対応次第で、その後の処分が大きく変わることがあります。
何の対策も取らなければ、起訴されるリスクは高くなります。
しかし、弁護士を通じて示談が成立し、誠意ある反省の意思を示せば、不起訴となる可能性も十分あります。
示談の流れと示談金相場
示談とは、被害者に謝罪と被害弁償を行い、処罰を望まないという意思を確認して書面にまとめる手続きです。
窃盗事件において、「できれば前科は避けたい」「被害者に誠意を示したい」と考える方にとって、示談の成立は極めて重要なポイントです。実際に、示談が成立していれば、検察官が不起訴にする可能性が高まります。
ただし、示談交渉は非常に繊細なものであり、方法を誤ると示談交渉がまとまらなくなるおそれもあります。ここでは、示談の基本的な流れと、示談金の相場感について、初めての方にも分かるよう丁寧にご説明します。
示談の一般的な流れ
1. 弁護士が被害者に連絡を取る
加害者本人やその家族が直接連絡することは、法的にも、感情的にもトラブルの原因になります。被害者は怒りや不安を抱えていることが多く、専門家である弁護士が間に入ることで、冷静かつ適切に話を進めることが可能になります。
2. 謝罪と被害弁償の申し入れ
被害者に対して、「深く反省していること」「心から謝罪すること」「損害をきちんと弁償する意思があること」を伝えます。
このとき、加害者の経済的状況なども踏まえた上で、示談金の金額を提示します。
3. 被害者の意思を確認
謝罪や被害弁償の提案に対して、被害者が合意すれば、示談成立となります。
ただし、被害者の感情や状況によっては拒否されることもあります。
4. 示談書の作成・締結
示談が成立したら、双方で内容を明文化した「示談書」を作成します。
この書面には「加害者を許し、加害者に対する刑事処罰を望まない」という一文を入れるのが一般的です。
5. 検察官への報告・提出
作成した示談書は、弁護士を通じて検察官に提出されます。これにより、不起訴処分に向けた重要な判断材料になります。
示談金の相場感(窃盗事件の場合)
示談金とは、謝罪の気持ちと被害弁償の意味を込めて支払う金銭のことです。被害額だけでなく、被害者の精神的負担、事件の態様、加害者の態度などを踏まえて金額が決まります。
おおよその目安は以下の通りです。
- 万引き(少額の商品の場合):3万円〜10万円程度
- 金品の盗難(高額商品や複数回):10万円〜50万円程度
- 職場の備品や金銭などの窃取:30万円〜100万円を超えることも
被害金額が同じでも、加害者の態度が誠実であるかどうか、反省しているかどうかによって金額が上下するケースが多くあります。
不起訴を目指すには?
不起訴を得るためには、いかに「再犯の恐れがない」「反省している」「社会復帰が可能」と示せるかがポイントになります。
不起訴のために有効な手段は以下の通りです。
- 示談成立と被害者の「処罰意思なし」
- 謝罪文や反省文の提出
- 生活環境の改善(就労、通院などの証明)
- 家族や勤務先の協力書
こうした対応は、弁護士と二人三脚で丁寧に準備する必要があります。
弁護士の活動内容と役割
弁護士の役割は、単に「弁護する」だけではありません。窃盗事件において、弁護士が果たす具体的な役割は以下のとおりです。
身柄解放に向けた働きかけ
逮捕された後、「このまま長く拘束されるのでは」と家族も本人も不安を抱えます。
弁護士は、警察や検察、裁判所に対して「この人を勾留する必要はありません」と意見書を提出し、できる限り勾留を避けるよう働きかけます。
もし勾留が決まってしまった場合でも、不服を申し立てる「準抗告」を行い、早期釈放を目指します。
このような働きかけがなければ、最大で23日間(勾留+延長)身柄を拘束される可能性があります。
仮に起訴された場合でも、弁護士が早期に「保釈請求」を行い、早期釈放を目指します。
示談交渉と手続きの代行
窃盗事件では、被害者との示談成立が不起訴の大きな鍵を握ります。
しかし、加害者本人や家族が被害者に連絡しようとすると、感情的なトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
弁護士が間に入ることで、丁寧で誠実なやり取りが可能になります。被害者への謝罪や被害弁償の提案、示談金額の調整、示談書の作成から検察官への報告まで、すべてを弁護士が代理で進めてくれます。
取り調べへの備えと助言
警察や検察の取り調べでは、思ってもいなかった質問をされたり、緊張から不利な発言をしてしまったりすることがあります。
弁護士は、事前にどのような質問がされやすいか、何に気をつけるべきかを具体的にアドバイスしてくれます。
また、黙秘権(答えたくないことは答えなくていい権利)の使い方や、うっかり矛盾のある供述をしないよう注意点を教えてくれます。
不起訴・処分軽減に向けた証拠整理
処分を軽くするためには、検察や裁判所に「この人はもう同じことを繰り返さない」と思ってもらうことが大切です。
そのために弁護士は、以下のような資料の準備や作成をサポートします。
- 反省文:本人が心から謝罪し、反省していることを伝える文書
- 上申書:家族や職場など、周囲の人が「今後見守ります」と誓う文書
- 通院記録や診断書:万引き依存や精神的な問題がある場合、その治療状況を証明
- 生活再建の計画:今後の就労や生活態度に関する改善プラン
これらの書類を適切なタイミングで提出することで、不起訴処分や執行猶予付き判決の可能性が高まります。
家族への情報提供と精神的サポート
本人が逮捕されている間、家族は「どうすればよいかわからない」「このまま一生前科がつくのでは」と強い不安を抱えています。
弁護士は、今どういう状況にあるのか、今後どうなる可能性があるのかを、わかりやすく説明してくれます。
また、必要な書類の準備や今後の動き方についても具体的にアドバイスしてくれるため、精神的な支えとなる存在です。
弁護士費用の構成と相場の目安
弁護士費用は、大きく「相談料」「着手金」「報酬金」「実費・示談交渉費」などに分かれます。
相談料(初回)
多くの法律事務所では、初回相談は無料です。窃盗事件の場合、逮捕直後の場合早急な対応が必要なこともあり、電話・メールでの簡易相談も無料で受け付けているところが増えています。
着手金(依頼時に必要な費用)
案件に着手する際にかかる費用で、弁護活動を開始するための基本料金です。
窃盗事件では、20万円〜40万円程度が相場です。事件の複雑さや、身柄の有無(在宅事件か否か)によって変動します。
報酬金(結果に応じて支払う成功報酬)
不起訴や執行猶予など、依頼者にとって有利な結果が出た場合に発生します。
こちらも20万円〜40万円前後が一般的な目安です。無罪獲得など特に難易度が高い案件では増額されることもあります。
実費・示談交渉費用
示談を進める場合、被害者との連絡や書類作成、交通費などに伴う費用がかかります。
これも含めて10万円前後を目安に見ておくとよいでしょう。
※上記はあくまで一例であり、事務所ごとに料金体系は異なります。正式な見積もりを出してもらい、納得のうえで依頼することが大切です。
よくある状況と対応例
複数回の万引きが発覚した会社員(40代男性)
コンビニでの万引きを複数回繰り返していたことが、店舗の防犯カメラから発覚し、現行犯で逮捕。警察の調べで過去の映像も確認され、以前にも万引きについて捜査されたことがあったことから、常習性を疑われ、検察は起訴の方針を示していました。
ご家族からの依頼で弁護士が即日接見し、本人の強い反省の意志を確認。示談交渉を進め、被害店舗と合意成立。反省文、医療機関の通院記録、家族の監督体制の強化を示す資料を検察官に提出しました。
最終的に不起訴処分が決定。弁護士が入っていなければ、起訴→有罪→前科となっていた可能性が高かったです。
高校生の息子がコンビニで万引きしてしまった(40代女性)
警察から連絡を受けた母親がパニック状態で弁護士へ連絡。弁護士が即日接見し、本人に今後の流れを説明しました。
後日、被害店舗に謝罪文と示談の申し入れを行い、合意を得ました。家庭裁判所送致の後、保護観察処分にとどまり、少年院送致は回避。
母親は「最初に相談していなければ取り返しがつかなくなっていた」と話していました。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
よくある質問(FAQ)
Q:示談すれば必ず不起訴になりますか?
→ 示談が成立すれば不起訴になる可能性は高まりますが、必ず不起訴になるというわけではありません。検察官が総合的に判断します。
Q:初犯でも起訴されることはありますか?
→ はい。初犯でも被害額が大きい、反省が見られないなどの事情があれば起訴される可能性があります。
Q: 家族が逮捕されたら、何をすればいいですか?
→ まずは落ち着いて、刑事事件に詳しい弁護士に相談しましょう。本人が連絡できない状況でも、家族からの依頼で弁護士は動くことが可能です。
Q:弁護士費用が払えない場合は?
→ 分割払いを利用できる場合があります。費用だけであきらめず、まずは相談してください。
Q:警察や検察から職場や学校に連絡されますか?
→ 原則、連絡されることはありません。ただし報道されたり長期欠勤したりすれば発覚のリスクがあります。早期解決が重要です。
まとめ:まずは相談から始めましょう
窃盗事件は「ほんの出来心」であっても、人生を左右する重大な結果につながりかねません。
しかし、早い段階で弁護士に相談することで、不起訴や早期釈放など有利な結果を得られる可能性が高くなります。
誰にも相談できずに一人で悩まず、まずは無料相談から一歩を踏み出してください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。