盗撮は初犯なら刑罰は軽い?量刑相場と執行猶予の可能性を解説

2025年12月08日

盗撮は初犯なら刑罰は軽い?量刑相場と執行猶予の可能性を解説

「盗撮の初犯であれば、罰金程度で済むだろう」という考えが一般的かもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。

この記事では、盗撮の初犯で問われる可能性のある犯罪と具体的な刑罰、罰金刑や懲役刑の量刑相場、そして執行猶予が付く可能性について、網羅的に解説します。また、刑罰を軽くするために被疑者が取るべき行動についても具体的に説明します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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目次

盗撮の初犯で問われる可能性のある犯罪と刑罰

盗撮行為は「盗撮罪」という特定の罪名が存在しないため、どのような行為であったかによって、適用される法律や刑罰が異なります。主な法律としては、2023年に新設された「性的姿態等撮影罪」と、各都道府県で定められている「迷惑防止条例」があります。これらに加えて、犯行の状況によっては「住居侵入罪」や「軽犯罪法違反」といった罪に問われる可能性もあります。

このセクションでは、それぞれの犯罪がどのようなケースで適用され、どのような刑罰が科される可能性があるのかを具体的に解説していきます。

2023年施行「性的姿態等撮影罪」が適用されるケース

2023年7月13日に施行された「性的姿態等撮影罪」は、正式には「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」、通称「性的姿態撮影等処罰法」といいます。この法律は、従来の迷惑防止条例では対応しきれなかった巧妙化する盗撮手口や、被害の深刻化に対応するために制定されました。

性的姿態等撮影罪が適用されるのは、性的な部位(下着で隠されている部分を含む)や、性的な行為を撮影する行為、または盗撮目的でカメラなどの機器を設置する行為です。

具体的には、公共の場所や公共交通機関内での盗撮はもちろんのこと、私的な空間での盗撮、さらには性的姿態を撮影するための機器の設置や、それを記録する行為全般が対象となります。

法定刑は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」と定められており、従来の迷惑防止条例と比較して大幅に厳罰化されている点が特徴です。これにより、盗撮行為に対する国の姿勢がより厳しくなったといえるでしょう。

各都道府県の「迷惑防止条例違反」になるケース

性的姿態等撮影罪が新設される以前から、盗撮行為の取り締まりに広く用いられてきたのが、各都道府県が定める「迷惑防止条例」です。この条例は、公共の場所における痴漢行為やつきまとい、粗野な言動など、公衆に著しく迷惑をかける行為を規制するもので、盗撮行為もその対象に含まれます。

性的姿態等撮影罪が「性的な姿態の撮影」に特化しているのに対し、迷惑防止条例はより広範な「公衆に著しく迷惑をかける行為」を対象としています。そのため、性的姿態等撮影罪が適用されないような、例えば、公共の場所でつきまとい行為と併せて行われた盗撮や、直接的な撮影には至らないが、スマートフォンを不審な位置に差し入れる行為なども、条例違反に問われる可能性があります。

多くの都道府県では、迷惑防止条例違反の法定刑は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とされており、常習犯の場合にはさらに重い刑罰が科されることもあります。

性的姿態等撮影罪の施行後も、盗撮行為に付随して行った行為が条例の定める「公衆に著しく迷惑をかける行為」に該当する場合、性的姿態等撮影罪と同時に迷惑防止条例違反として立件されるケースがあります。

その他の関連犯罪(住居侵入罪・軽犯罪法違反など)

盗撮行為は、それ自体が罪に問われるだけでなく、その行為に付随して別の犯罪が成立する場合があります。特に注意が必要なのが「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」です。

盗撮目的で他人の住居や敷地、あるいは管理されている建物に無断で侵入した場合、これらの罪が成立します。住居侵入罪・建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金」と定められています。

また、直接的な撮影行為には至らなくても、盗撮目的で他人の様子をのぞき見する行為は「軽犯罪法違反」に問われる可能性があります。軽犯罪法第1条23号では、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」は「拘留または科料」に処すると定めています。拘留は1日以上30日未満の身柄拘束、科料は1,000円以上1万円未満の金銭徴収です。

このように、盗撮行為は複数の罪に問われるリスクがあるため、単一の法律違反として捉えるべきではありません。

盗撮の初犯は罰金刑になる可能性が高い

盗撮の初犯では、その悪質性や被害者との示談の有無によって刑事処分が大きく異なりますが、多くの場合、正式な裁判を経ない「略式起訴」による罰金刑で終結する傾向があります。これは、前章でご説明した性的姿態等撮影罪や迷惑防止条例違反といった犯罪が適用された場合でも、特に悪質性が低いと判断された場合に多い傾向です。

しかし、これはあくまで一般的なケースであり、どのような処分になるかは個別の事案によって異なります。次章では、具体的な罰金額の相場や、罰金刑が前科となることについて詳しく解説していきます。

初犯における罰金の量刑相場は約30万~50万円

盗撮の初犯で罰金刑となる場合、その具体的な金額は一般的に30万円から50万円程度が量刑相場されています。この金額は、適用される法律(性的姿態等撮影罪か迷惑防止条例違反か)、犯行の態様、被害の程度、被害者との示談の有無など、さまざまな要素によって変動します。

たとえば、被害者に与えた精神的苦痛が比較的軽微で、かつ迅速に被害者との示談が成立している場合など、悪質性が低いと判断されれば30万円程度の罰金となることが多いです。

一方で、撮影された部位が悪質であったり、犯行場所がプライバシー性の高い場所であったり、被害者が複数であったりするなど、態様が悪質とみなされる場合は50万円を超える罰金が科される可能性も十分にあります。また、示談が成立していない場合も、罰金額が高くなる傾向にあります。

罰金刑でも前科はつく?略式起訴とは

「罰金刑であれば前科はつかない」と誤解されている方もいらっしゃいますが、これは間違いです。罰金刑は有罪判決の一種であり、罰金が確定した時点で「前科」がつきます。この前科は、今後の人生においてさまざまな場面で影響を及ぼす可能性があるため、軽視できない事実です。

多くの罰金刑のケースで用いられるのが「略式起訴(略式手続)」です。これは、被疑者が自身の罪を認め略式起訴に同意していることを前提に、検察官が事案が軽微であり100万円以下の罰金または科料が相当と判断した場合に適用される手続きです。

略式起訴では、公開の法廷で裁判を開くことなく、書面審理のみで刑が確定します。この手続きによって、被疑者は裁判所に出向く必要がなく、比較的短期間で事件が終結するというメリットはありますが、たとえ裁判所に行かなくても罰金刑が確定すれば前科がつくことになります。この点をしっかりと理解しておくことが重要です。

初犯でも懲役刑(実刑)になる悪質なケースとは?

盗撮は初犯であれば罰金刑で済むことが多いとお考えかもしれません。しかし、犯行の態様や被害の状況によっては、たとえ初犯であっても懲役刑、さらには刑務所に収監される実刑判決が下される可能性があります。

ここでは、単なる初犯というだけでは安心できない、特に悪質と判断される4つの具体的なケースについて解説します。

常習性や余罪が多数ある場合

初犯であっても、捜査の過程で常習性が認められたり、多数の余罪が発覚したりした場合は、実刑判決のリスクが格段に高まります。例えば、警察がスマートフォンやパソコンを解析した結果、過去に撮影した盗撮画像や動画が多数発見された場合、「今回が初めて」という弁解は通用しません。

裁判所は、常習性を再犯の危険性が高い根拠とみなし、厳しい処分を下す傾向にあります。これは、反省の態度が不十分であると判断されることにも繋がります。

住居侵入など犯行態様が悪質な場合

犯行の「態様」が悪質であると判断された場合も、初犯であっても実刑の可能性が高まります。例えば、盗撮目的で他人の住居や敷地に侵入する、巧妙な手口で特殊な小型カメラを設置して長期間にわたり撮影する、特定の被害者を執拗に狙う、といった行為がこれに該当します。

これらの行為は、計画性が高く、被害者のプライバシー侵害の程度が極めて深刻であるとみなされます。そのため、裁判所はこのような悪質な態様を重く見て、実刑判決を下す必要性が高いと判断する傾向にあります。

児童ポルノに該当する場合

被害者が18歳未満の児童であった場合、事態は非常に深刻になります。この場合、性的姿態等撮影罪や迷惑防止条例違反に加えて、「児童ポルノ製造罪」が成立し、刑罰が格段に重くなります。

自動ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、または公然と陳列する目的で児童ポルノを製造した場合における児童ポルノ製造罪の法定刑は「5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金」などと定められており、一般的な盗撮行為よりもはるかに重い刑罰が科されます。

児童を対象とした性的搾取は社会的に極めて悪質な犯罪と見なされるため、たとえ初犯であっても実刑判決となる可能性が非常に高くなります。

被害者との示談が成立していない場合

被害者との示談が成立しているかどうかは、量刑を決定する上で極めて重要な要素です。示談が不成立であるということは、被害者の処罰感情が依然として強いことを意味します。検察官や裁判官は、被害者の感情を重視するため、示談ができていない場合は、被害者の処罰感情が強いと判断し、より重い刑罰を科す傾向にあります。

特に、被害者が加害者に対して厳罰を望む上申書などを提出した場合は、実刑のリスクがさらに高まることを認識しておく必要があります。

盗撮で懲役刑になっても初犯なら執行猶予がつく?

盗撮事件で拘禁刑の判決が下されたとしても、初犯であれば直ちに刑務所に収監される事態を回避できる「執行猶予」が付される可能性があります。執行猶予とは、刑の執行を一定期間猶予し、その期間を問題なく過ごせば刑の言い渡しが効力を失う制度のことです。

では、どのような場合に執行猶予がつく可能性が高いのでしょうか。このセクションでは、執行猶予制度の基本的な意味と、どのような場合に執行猶予がつきやすいのかについて詳しく解説していきます。

執行猶予がつく可能性が高いケースとその条件

執行猶予付き判決を得るためには、法律上の条件と、裁判官が判断する際の有利な事情が重要になります。法律上の条件としては、言い渡される判決が3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金であること」、そして「過去に拘禁刑以上の刑に処せられたことがないこと(または拘禁刑に処処せられた後、一定期間が経過していること)」が挙げられます。

これらの条件を満たした上で、裁判官が執行猶予を判断する際に特に考慮する有利な事情としては、次のような点が挙げられます。

  • 被害者との示談が成立していること
  • 深い反省の情が具体的に示されていること
  • 再犯防止策が具体的に講じられていること(例:専門機関でのカウンセリングや治療)
  • 家族などが監督する体制が整っていること

これらの事情が総合的に評価され、再犯の恐れが低いと判断されれば、執行猶予が付される可能性が高まります。

2025年から導入されている「拘禁刑」とは

2025年6月1日から、日本の刑罰制度に「拘禁刑」が新たに導入されました。これは、従来の「懲役刑」(刑務作業が義務付けられている刑罰)と「禁固刑」(刑務作業が義務ではない刑罰)を一本化した新しい刑罰です。拘禁刑の目的は、受刑者一人ひとりの特性や再犯リスクに応じて、刑務作業だけでなく、再犯防止のための指導や教育、職業訓練などをより柔軟に実施し、社会復帰を促すことにあります。

2025年6月以降、性的姿態等撮影罪は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」へと変更されます。これにより、盗撮事件の判決においても、単なる刑務作業だけでなく、より個別の事情に応じた再犯防止のためのプログラムが適用される可能性があり、今後の量刑判断に影響を与えることが予想されます。

盗撮事件で刑罰を軽くするために今すぐできること

ここでは、刑事処分を少しでも軽くするために、今すぐに取るべき具体的な行動を解説します。最も重要な被害者との示談交渉をはじめ、反省の態度を示す方法、そして事件が発覚していない場合の自首の検討など、実践的な内容をご紹介します。処分が決定する前に迅速に行動を起こすことが、ご自身の未来を守る上で非常に重要となります。

最優先は被害者との示談交渉を成立させること

刑事処分を軽くするための行動の中で、被害者との示談交渉は最も重要な要素です示談とは、弁護士を通じて被害者の方に謝罪し、示談金を支払うことで、刑事事件としてだけでなく、当事者間の民事的な紛争も含めて解決する合意を指します。

示談が成立すると、被害者の方が受けた精神的苦痛が金銭的に賠償され、被害者があなたを許す(宥恕する)意思を示したと評価されます。このことは、検察官や裁判官があなたの処分を決定する上で、極めて大きな影響を与えることになります。

なぜ示談が重要?不起訴処分獲得の可能性が高まる

示談がなぜそれほどまでに重要なのか、その最大の理由は「不起訴処分」を獲得できる可能性が飛躍的に高まるからです。不起訴処分とは、検察官が事件を起訴しない、つまり裁判にかけないと決定することです。

これを得られれば、裁判が開かれることはなく何よりも「前科」がつくことを避けられるという最大のメリットがあります。特に、被害者の方との間で被害者の宥恕(許し)の意思を示す文言を盛り込んだ示談が成立した場合、検察官は「当事者間で既に解決済みであり、国が刑罰権を行使してまで裁判にかける必要性は低い」と判断しやすくなります。このため、示談の成立は不起訴処分の獲得に直結する、非常に強力な要素となるのです。

盗撮事件における示談金の相場

盗撮事件における示談金の具体的な相場は、一概に「いくら」と決まっているわけではありませんが、一般的には30万円から100万円程度が目安とされています。この金額は、事案の具体的な内容によって大きく変動します。

例えば、撮影された部位や内容(顔が写っているか、下着が写っているかなど)、被害者の方の処罰感情の強さ、撮影した画像の拡散の有無、そして加害者側の経済力などが考慮されます。単純にスカート内を撮影した場合と、住居に侵入して裸体を撮影した場合では、被害者の方が受ける精神的苦痛の度合いが異なるため、示談金額も大きく変わるのが一般的です。

反省の意を示し、再犯防止策を具体的に講じる

被害者との示談交渉と並行して、真摯に反省している態度を示すこと、そして再犯防止のための具体的な策を講じることが非常に重要です。口先だけの反省では、検察官や裁判官には伝わりません謝罪文を真心を込めて作成する、盗撮に使用したスマートフォンやカメラなどの証拠品を自ら破棄する、もし性的な依存症が疑われる場合は専門のクリニックでカウンセリングや治療を受けるといった具体的な行動が求められます。

これらの行動は、「二度と過ちを繰り返さない」というあなたの強い意志を客観的に示す証拠となり、刑事処分を軽くする上で有利に働く可能性が高まります。

事件が発覚していない場合は自首を検討する

もし、まだ捜査機関に犯行が発覚していない段階であれば、「自首」を検討することも有効な選択肢となり得ます。

刑法第42条に定められている通り、自首した場合には刑が減軽される可能性がありますただし、単に警察署に行って「私がやりました」と伝えるだけでは、必ずしも法律上の「自首」が成立するわけではありません。

法律上の自首が成立するには、捜査機関に犯人として特定される前に、自発的に自身の犯罪事実を申告するなどの要件を満たす必要があります。自首すべきかどうかの判断は非常に難しく、法的な知識が必要となるため、必ず弁護士に相談した上で行うべきです。

一人で悩まず、早期に弁護士に相談する

もし盗撮事件を起こしてしまい、不安な気持ちでこのページをご覧になっているのであれば、どうか一人で抱え込まず、できる限り早い段階で弁護士にご相談ください。逮捕されているか否かにかかわらず、初動の対応がその後の人生を大きく左右するといっても過言ではありません。

早期に専門家のサポートを得ることで、刑事処分を軽減し、社会生活への影響を最小限に抑えることが期待できます。次のセクションでは、弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットについて詳しく解説します。

弁護士に依頼する3つの大きなメリット

弁護士に依頼することで得られるメリットは多岐にわたりますが、特に重要な3つのポイントに絞ってご紹介します。弁護士のサポートは、単に法律的な助言にとどまらず、被害者との示談交渉の代行、身体拘束からの解放に向けた活動、そして会社や学校といった社会生活への影響を最小限に抑えるための具体的なアドバイスまで、ご自身の将来を守るための活動を総合的に含んでいます。

メリット1:被害者との示談交渉をスムーズに進められる

弁護士に依頼する最大のメリットの一つは、被害者との示談交渉をスムーズに進められる点です。多くの場合、被害者の方は加害者本人との直接の接触を拒否されますし、個人情報保護の観点から警察も加害者本人に被害者の連絡先を教えることはありません。

しかし、弁護士が間に入ることで、弁護士限りの連絡先開示を条件に被害者の方も安心して連絡先を開示し交渉に応じてくださることが多く、冷静な話し合いのテーブルにつくことが可能になります。

弁護士は適切な示談金の相場を熟知しており、法的に有効な示談書を作成することができます。これにより、単に金銭的な解決だけでなく、被害者の精神的苦痛への配慮を示し、将来的な民事トラブルを防ぐことにもつながります示談が成立し、被害者からの許し(宥恕)の意思を得られれば、検察官や裁判官の処分決定において極めて有利な事情として考慮されます。

メリット2:逮捕・勾留の回避や早期釈放が期待できる

もし事件が発覚し、警察から取り調べを受けている、あるいはすでに逮捕されてしまった場合でも、弁護士の存在は非常に重要です逮捕直後から弁護士が付くことで、検察官や裁判官に対して、被疑者に逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを客観的な証拠と共に主張し、勾留請求をしないよう、あるいは勾留請求がされた場合でも却下するよう働きかけることができます。

これにより、逮捕・勾留そのものを回避したり、仮に勾留されたとしても早期に釈放されたりする可能性が高まります。早期の釈放は、会社や学校など、社会生活への影響を最小限に抑えるために極めて重要です。

メリット3:会社や家族への影響を最小限に抑えるための助言が得られる

刑事手続きが進む中で、多くの方が心配されるのが、会社や家族への影響ではないでしょうか。弁護士は、単に法律問題の解決にとどまらず、件が日常生活に与える影響を最小限に抑えるための具体的なアドバイスも提供します。

例えば、会社に事件を知られた場合にどのように説明すべきか、懲戒解雇などの不当な処分を受けないための対応策、そして大切な家族にどのように伝え、理解を得るべきかなど、法律問題にとどまらない現実的な問題について、専門家の視点から適切な助言を受けることができます。

盗撮の初犯に関するよくある質問

盗撮事件を起こしてしまった場合、多くの方が「初犯ならどうなるのか」「逮捕はされるのか」といった疑問や不安を抱くことでしょう。このセクションでは、盗撮の初犯に関して特に多く寄せられる疑問について、Q&A形式で詳しく解説します。逮捕の可能性から、示談の効果、罰金と示談金の違い、さらには会社への影響まで、皆様が知りたいであろう具体的な質問に分かりやすくお答えしていきます。

Q. 盗撮の初犯なら逮捕されませんか?

「初犯だから逮捕されないだろう」という考えは、残念ながら誤解です。盗撮の初犯であっても、逮捕される可能性は十分にあります。

現行犯で盗撮行為が発覚した場合、その場で警察官に取り押さえられ、逮捕されることは言うまでもありません。また、防犯カメラの映像や目撃者の証言などから後日特定され、逮捕状が発付されて逮捕される「後日逮捕」も頻繁に発生しています。

特に、盗撮目的で他人の住居に侵入したといった悪質な犯行態様の場合や、被疑者が犯行を否認している場合、あるいは証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断された場合は、初犯であっても逮捕されるリスクは格段に高まります。逮捕された場合、最長で23日間の身体拘束を受ける可能性があり、その間、会社や学校を休むことになり、周囲に事件が知られるリスクも増大します。

Q. 被害者と示談すれば必ず不起訴になりますか?

被害者との示談が成立したとしても、必ず不起訴処分になるわけではありません。しかし、示談の成立は不起訴処分を獲得するための極めて有利な事情であることは間違いありません。

検察官は、事件を起訴するかどうかを判断する際に、犯行の態様、被害の程度、加害者の反省の度合い、そして被害者の処罰感情など、様々な要素を総合的に考慮します。示談が成立し、特に被害者が加害者を許す意思(宥恕)を示している場合、検察官は「被害回復がなされ、当事者間で解決済みである」と判断し、あえて国の刑罰権を行使する必要性が低いと考える傾向にあります。

したがって、示談が成立すれば、不起訴になる可能性は非常に高まりますが、犯行態様が極めて悪質であったり、余罪が多数存在したりするなどの特別な事情がある場合は、示談が成立していても起訴される可能性はゼロではありません。

Q. 罰金と示談金の違いは何ですか?両方払う必要はありますか?

罰金と示談金は、その性質が全く異なるものです。

「罰金」は、刑事事件において有罪判決を受けた場合に、刑事罰として国に納めるお金を指します。これは、犯罪行為に対する国家からの制裁であり、納めない場合は労役場留置という形で身体拘束を受ける可能性もあります。

一方、「示談金」は、盗撮行為によって被害者が受けた精神的苦痛や損害に対して、加害者が被害者に支払う民事上の賠償金です。これは、加害者と被害者の間で直接合意に基づいて支払われるものであり、国の刑事手続きとは別の位置づけになります。

原則として、示談が成立し、示談金が支払われていれば、民事上の損害賠償は解決済みとみなされます。しかし、示談が成立しないまま刑事裁判で有罪となり罰金刑を受けた場合、被害者から改めて民事訴訟を起こされ、損害賠償を請求される可能性は十分にあります。その結果、罰金と示談金(または損害賠償金)の両方を支払うことになるケースも起こりえます。そのため、早期に示談を成立させることは、刑事処分だけでなく、民事上の責任を全うする上でも非常に重要です。

Q. 会社に知られずに事件を解決することは可能ですか?

会社に知られずに盗撮事件を解決できる可能性はありますが、それを保証することはできません。

最も重要なのは、事件が発覚した初期段階での対応です。刑事事件に詳しい弁護士に速やかに依頼し、被害者との示談交渉を早期に成立させることができれば、逮捕・勾留を回避し、検察官から不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。不起訴処分となれば、裁判が開かれることもなく、実名報道されるリスクも低減されるため、会社に事件が知られる可能性も小さくなります。

しかし、もし逮捕されて長期間の身体拘束を受けた場合、会社を欠勤せざるを得なくなり、事件が会社に発覚するリスクは格段に高まります。また、事件が悪質であると判断され、実名報道がなされた場合も、会社に隠し通すことは非常に困難になります。早期に弁護士に相談し、適切な対応を取ることは、会社に知られるリスクを低減させるための最も有効な手段と言えるでしょう。

まとめ:盗撮事件は初動が肝心!早期の弁護士相談で未来を守る

盗撮は「初犯だから大丈夫だろう」と安易に考えてしまいがちですが、2023年に施行された「性的姿態等撮影罪」をはじめとする法整備により、その刑罰は厳罰化の傾向にあります。決して他人事ではなく、あなたの今後の人生を大きく左右しかねない重大な問題です。場合によっては実刑が科されるリスクも十分に存在することを、この記事を通じてご理解いただけたのではないでしょうか。

大切なのは、事件が発覚した後、あるいは発覚する前の「初動」です。特に、被害者の方との示談交渉を速やかに進め、真摯な反省と再犯防止策を具体的に示すこと、そして何よりも刑事事件に精通した弁護士に早期に相談することが、未来を守る上で最も重要な鍵となります。

被害者の方との示談交渉は、感情的になっている状況ではご自身で進めることが非常に困難であり、法的な知識も必要不可欠です。また、逮捕・勾留の回避や、会社や家族への影響を最小限に抑えるためにも、専門家である弁護士のサポートは不可欠です。一人で抱え込まず、できる限り早く弁護士の力を借りることが、より良い解決への第一歩となります。弁護士は、あなたの状況に合わせて最適な行動を提案し、精神的な支えとなってくれるはずです。

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