盗撮事件の示談とは?メリットや相場金額を解説
最終更新日: 2025年09月25日

盗撮が発覚してしまったとき、多くの方が「前科がついてしまうのでは」「会社や家族に知られてしまうのでは」と強い不安を抱きます。
そんな状況でとても大きな意味を持つのが「示談」です。示談が成立すれば、不起訴処分となり前科を避けられる可能性が高まり、社会的なダメージを最小限に抑えられることもあります。
この記事では、盗撮事件における示談のメリットや相場、流れ、注意点を、できるだけわかりやすく解説します。
盗撮事件における示談とは
示談とは、加害者と被害者が話し合って「お金での賠償」や「今後の約束」を取り決め、被害者に宥恕してもらうことです。
盗撮の場合は、加害者が被害者に慰謝料(示談金)を支払い、その代わりに「もう処罰を求めない」と被害者に納得してもらう形が多いです。法律上「必ずしなければならない」手続きではありませんが、刑事事件の処分を大きく左右するため、とても重要です。
盗撮事件で示談をするメリット
示談には大きな意味があります。
不起訴になる可能性が高まる
被害者の「もう処罰しなくていい」という意思は、検察官の判断に強く影響します。
刑罰が軽くなる
万が一起訴されても、示談が成立していれば量刑が軽くなる可能性があります。
社会的ダメージを抑えられる
早期解決につながれば、職場や学校に事件が広まるリスクを減らせることもあります。
つまり「前科を避けたい」「周囲に知られたくない」という方にとって、示談は非常に大きな意味を持ちます。
盗撮事件で示談をしないとどうなる?
示談ができない場合、被害者の怒りはそのまま残り、検察官も起訴に踏み切る可能性が高まります。
初犯であっても罰金刑や拘禁刑になり、前科がついてしまうケースは少なくありません。その結果、会社に知られて解雇されたり、家族に大きな心配をかけてしまったりと、社会的にも大きな影響を受けることになります。
盗撮の示談金相場
示談金の金額はケースによって差がありますが、目安は以下の通りです。
- 比較的軽いケース:20〜50万円
- 被害者の精神的苦痛が大きいケース:50〜100万円
- 繰り返しや悪質なケース:100万円以上
被害者の年齢や状況、事件の内容によって変わるため、「相場より高い」と感じても、被害者の気持ちを考えると受け入れざるを得ないこともあります。
よくある状況と対応例
例1:電車内での初犯
20代の男性が通勤電車内でスマートフォンを使って盗撮をしたところ、周囲の乗客に気づかれ駅員に引き渡されました。
被害者は女子学生で強いショックを受けていましたが、弁護士を通じて誠意ある謝罪と50万円の示談金を提示した結果、示談が成立。
検察官に報告されたことで不起訴処分となり、前科を免れることができました。
例2:繰り返しの盗撮
40代の男性が複数回にわたり商業施設で盗撮を行い、防犯カメラ映像から特定されました。被害者は複数名に及び、悪質性が高いと判断されました。
弁護士が間に入り、複数の被害者と交渉を重ねた結果、合計で120万円を支払い示談が成立。
この事例では被害者の処罰感情が強く、弁護士がいなければ不起訴は難しかったと考えられます。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
示談金が支払えない場合はどうする?
示談金は一括で支払うのが基本ですが、どうしても難しい場合は分割払いで合意できることもあります。
被害者に直接お願いすると感情的にこじれることもあるため、弁護士を通じて条件を交渉するのが安心です。家族に相談してサポートを受けるケースも多くあります。
盗撮事件における示談の流れ
弁護士へ相談
まずは専門家に相談し、自分の状況や今後の見通しを整理します。早期に動くほど有利になります。
弁護士が被害者へ連絡
加害者本人が直接連絡すると逆効果になることが多いため、弁護士が窓口となり安全にアプローチします。
示談条件の交渉
示談金の金額や支払方法、今後の関係について弁護士が被害者と交渉します。被害者の感情を和らげる大切なステップです。
示談書の作成と署名捺印
合意内容を文書に残すことで、後のトラブルを防ぎます。法律的に有効な書面を作ることが重要です。
示談成立を検察官へ報告
成立した示談書を検察官に提出することで、不起訴処分や軽い処分につながる可能性が高まります。
盗撮の示談書に記載すべき内容
示談は口頭の約束だけでは後で「言った・言わない」のトラブルになりかねません。必ず文書(示談書)として残すことが大切です。記載すべき主な内容は次のとおりです。
- 双方の氏名・住所
- 事件の概要
- 示談金額と支払い方法
- 被害届の取り下げ、または処罰を求めない旨
- 今後一切請求しない旨
- 守秘義務の約束
形式だけの示談書では不十分な場合もあるので、弁護士にチェックしてもらうのが安全です。
被害者が連絡先を教えてくれない場合や被害者不詳の場合の対処法
盗撮事件では、被害者が「加害者と関わりたくない」と考え、警察や検察に対しても連絡先を教えないケースがあります。この場合、弁護士が介入しても被害者と直接示談交渉を進められないことがあります。
また、盗撮をしてしまったけれども、被害者が盗撮されたことに気付かずにその場を離れ、被害届が出されなかった結果、被害者不詳のまま捜査が進むことがあります。
そのようなときに代わりの方法として検討できるのが「贖罪寄付(しょくざいきふ)」です。これは弁護士会などの公的機関に一定額を寄付し、自らの反省と償いの意思を示す制度です。
軽度の盗撮事件であれば、被害者との示談が成立しなかった場合でも、贖罪寄付を行うことで検察官が情状を考慮し、不起訴処分(起訴猶予)となる可能性があります。もちろん必ず不起訴になるとは限りませんが、誠意を示す手段の一つとして有効です。
弁護士に相談するメリット
盗撮事件の示談は、加害者本人が自分で動こうとすると、かえって被害者の感情を逆なでするリスクがあります。弁護士に任せることで、以下のようなメリットがあります。
- 被害者との交渉を安全に進められる
- 適正な示談金額で合意しやすい
- 不起訴や前科回避の可能性を高められる
- 家族や勤務先に知られないように配慮した対応ができる
「示談したいけど、どう動けばいいかわからない」という状況こそ、弁護士が力になれる場面です。
FAQ(よくある質問)
Q. 示談は必ず成立するのでしょうか?
被害者が拒否すれば成立しません。ただし、弁護士が間に入ることで成立の可能性は高まります。
Q. 示談金は必ず一括払いですか?
原則は一括ですが、分割払いに応じてもらえるケースもあります。
Q. 示談をすれば前科は避けられますか?
不起訴処分になれば前科はつきません。ただし、必ずそうなるわけではありませんが、不起訴を目指すなら示談は必要な手続きとなります。
Q. 初犯でも示談なしで起訴されますか?
初犯であっても、被害者が強く処罰を望めば起訴される可能性はあります。
Q. 示談書は自分で書いても大丈夫ですか?
可能ですが、内容が不十分だと不起訴を獲得するために十分な効果を得られる示談書でない可能性があります。
まとめ
盗撮事件に巻き込まれてしまったとき、示談は「前科を避けるための大切な手段」です。
示談金は数十万円から100万円程度が目安ですが、被害者の気持ちや事件の内容によって大きく変わります。焦って自己判断で動くと状況が悪化することもあるため、まずは弁護士に相談することが安心への第一歩です。
被害者と直接示談できない場合でも、贖罪寄付などの方法があるため、諦めずに専門家に対応を任せることをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。





