起訴されるとどうなる?その後の流れと賢い対処法を弁護士が解説!
2025年02月21日
- とある罪に問われ検察官から起訴されてしまった。これから自分はどうなってしまうのだろう?
- 起訴されても何とか減刑を獲得したい。どのような対応をとったらよいのだろう?
- 起訴されたら弁護士はどのような対応をとるのだろう?
何らかの罪に問われ、検察官が起訴を決定すると、裁判所で刑事裁判が開かれます(通常起訴)。
起訴されてしまうと、日本では非常に高い確率で有罪となります。
ただし、弁護士と相談して諦めずに適切に対応すれば、減刑や執行猶予付き判決が得られる可能性もあります。
そこで今回は、刑事問題に携わってきた専門弁護士が、起訴された後はどうなってしまうのか、起訴された後の流れ等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 検察官によって起訴されると刑事裁判に移行する
- 起訴後の有罪率は非常に高く、99.9%が有罪となる可能性がある
- 起訴後も諦めずに示談交渉を進めれば、減刑や執行猶予付き判決を受けられる可能性がある
起訴されるとどうなるか
起訴とは、検察官が裁判所に対し、被疑者が問われている罪で裁判を請求する行為です。
起訴された被疑者は、刑事裁判に移行し「被告人」と呼ばれます。被告人となれば法的な立場も変化します。
刑事裁判を受ける
検察官によって通常起訴(公判請求)された場合、刑事裁判は公開の法廷で行われます。
被告人は刑事裁判に出廷しなければなりません。裁判では検察官が起訴状を朗読し、罪状認否や被告人自身への質問、検察官による論告求刑や弁護人の弁論等が行われます。
裁判官は公開の法廷での主張や証拠、事実等を総合的に判断し、次のいずれかの判決を言い渡すでしょう。
- 無罪判決:被告人の無罪を言い渡す判決
- 実刑判決:被告人を有罪とし、刑罰を言い渡し・刑罰が執行される判決
- 執行猶予付き判決:被告人を有罪とし刑罰は言い渡すが、刑罰の執行自体は猶予する判決
なお、検察側・弁護側が、判決に不服があるとき、上級裁判所に対して不服申立てが可能です。
ほぼ有罪となる
日本では起訴後の有罪率が非常に高く、99.9%が有罪となっています。
ただし、犯罪白書(令和6年版)によれば、2023年の刑法犯(検挙数)は約17万5,000人ですが、その全員が起訴され、有罪判決を受けるわけではありません。
実際に起訴されたのは約3割の約6万4,000人にとどまります。検察庁終局処理人員総数の処理区分別構成比をみると、通常起訴(公判請求)されたのは全体の9.5%、略式起訴は全体の20.6%です。
身体拘束が続く
被疑者として留置施設へ勾留中に起訴された場合、勾留の効果が維持されるため、引き続き身柄を拘束されます。
被疑者の勾留は最大20日間ですが、被告人になると勾留期間は最大2か月と、大幅に期間が長くなります。勾留期間の延長が必要な場合、特段の手続きを経ずに自動で更新が可能です。
被疑者の勾留場所は、警察署の留置施設であるケースがほとんどです。しかし、被告人となると、起訴後、拘置所へ移されることになるでしょう。
留置施設の場合は、弁護士は曜日や時間に関係なく24時間接見が可能です。一方、拘置所は原則として、平日の9時〜17時までの接見に制約されます。
保釈請求できる
被告人となった場合、勾留される期間は大幅に長くなりますが、「保釈請求」が可能になります。
「保釈」とは、保釈保証金を裁判所に納付して、被告人を釈放する制度です。保釈保証金の額は150万〜200万円程度が相場です。
保釈されると被告人は通常の日常生活を送れますが、次のような条件を付与されるでしょう。
- 住む場所の指定を受ける(制限住居)
- 被害者との接触を禁止される
一方で、保釈が認められると弁護士は時間制限なく、被告人と裁判に向けた話し合いを行えます。
起訴の種類
警察官の起訴処分には「通常起訴(公判請求)」「略式起訴」の2種類があります。
ケースによっては「即決裁判手続」が適用される可能性もあるでしょう。
通常起訴
通常起訴は正式起訴とも呼ばれますが、正式な名称は「公判請求」です。
裁判所に対し法廷での審理を求める手続きです。
通常起訴では、起訴から40日間くらいで刑事裁判が開かれます。
被告人が罪を認めている事案(自白事件)の場合、第1回公判期日で証拠調べと被告人質問が終了し、次の第2回公判期日で判決の言渡しという流れが一般的です。
一方、被告人が罪を認めていない場合や複雑な事件の場合は、より多く公判期日が設けられるでしょう。
略式起訴
略式起訴(略式命令請求)とは、公開の法廷での審理をせずに書面審理のみが行われます。
100万円以下の罰金または科料(1,000〜1万円未満)が科される手続きです。
略式起訴を行う場合は、次の条件を満たしている必要があります。
- 簡易裁判所が処理できる事件である
- 被告人の同意がある
略式起訴は簡易な手続であるため、被告人の負担は軽減されるでしょう。
ただし、略式起訴に同意した場合、必ず刑罰が科され、前科が付くため注意が必要です。
犯罪の事実関係に争いがあるときは、被告人は弁護士とよく相談して略式起訴に同意するか否かを判断しましょう。
即決裁判手続
即決裁判手続とは、複雑な事件ではなく、罪状は軽微で争いがなく、執行猶予が見込まれるようなときに適用される手続です。
被告人の同意等があれば、速やかに公判期日を指定し、原則として1回の審理で即日判決が言い渡される仕組みです。
即決裁判手続には次のようなメリットがあります。
- 刑事裁判の時間の大幅な短縮:通常裁判の冒頭陳述の省略、証拠調べ等の簡略化ができる
- 懲役刑や禁錮刑(2025年6月1日以降は拘禁刑に統一)は、必ず執行猶予付き判決となる
一方、次のようなデメリットもあるため注意が必要です。
- 事実誤認を理由とした上訴は認められない
- 必ず有罪判決が言い渡されるため、前科が付いてしまう
検察官から本手続の同意を求められた場合、弁護士と相談しメリット・デメリットを慎重に確認したうえで、同意するか否かを判断した方がよいです。
起訴された後の流れ
通常起訴が行われた場合、裁判終了までに約2〜3か月かかるケースがほとんどです。
争いのある事件や複雑な事件になると、裁判終了までに数年かかる可能性もあります。
起訴状の送達
まず検察の起訴処分から数日くらいで、被告人のもとに起訴状が送達されます。
被告人が勾留されているときは、留置施設が送達先です。
起訴状には、起訴内容が詳細に明記されています。内容に誤りがないかをよく確認しましょう。
第1回公判期日の指定
起訴から1〜2週間で、第1回公判期日の日程が決定されます。
被告人が勾留されているときは、留置施設に送達されます。
第1回公判期日は、起訴から約1〜2か月後に設定されるケースが一般的です。
裁判所への出廷
被告人が出廷し、第1回公判期日が開かれます。被告人が罪を認めている場合は、計2回(1回目で結審、2回目が判決期日)で裁判は終了します。
第1回公判期日の流れは次の通りです。
2.検察官が起訴状を朗読
3.裁判官が被告人に黙秘権の保障があることを告げる
4.罪状認否:起訴状に誤りがないか、被告人・弁護人に確認する
5.冒頭陳述:検察官が、証拠により被告人の犯罪を立証しようとする事実を読み上げる
6.証拠調べ:供述調書をはじめ書面・物の取調べ、証人への尋問や被告人質問を行う
7.検察官が論告求刑を行い、弁護人は被告人の弁論を行う
8.被告人に意見をいう機会が与えられ、結審する
裁判官は公判期日での検察側・弁護側の主張や証拠、事実等を総合的に判断し、判決を言い渡します。
判決
第1回公判期日から約1か月後に第2回公判期日(判決期日)が開かれます。
実刑判決を受けた場合の手順は、次のとおりです。
- 勾留されている場合:勾留場所に戻り判決の確定、刑務所への収容決定を待つ
- 保釈されている場合:保釈の効果が失われ直ちに身柄を拘束される(自宅に帰れない)
- 身柄拘束がなかった場合:一旦自宅に戻る→検察庁から呼出状が届く(判決から10日前後)→検察庁に出向き収監
一方、無罪・執行猶予付き判決を受けた場合は、勾留中であれば勾留の効果が失われ釈放されます。保釈・身柄拘束がなかった場合は、判決の言渡し後、そのまま自宅に帰れます。
起訴された場合の対処法
検察によって起訴されると99.9%の確率で有罪となりますが、自暴自棄になってはいけません。
減刑や執行猶予付き判決が得られるよう、冷静に検討する必要があります。
弁護士への相談
起訴された場合、弁護士と今後の対応の仕方の検討が必要です。
弁護士は主に次のようなアドバイスをします。
- 無罪判決を勝ち取れる可能性
- 略式起訴や即決裁判手続に同意するメリット・デメリット
- 被害者と示談成立させる必要性
- 刑事裁判の流れ
- 弁護士が行える弁護活動
- 控訴の手順
弁護士は被告人を弁護し、減刑や執行猶予付き判決を得るため、最善を尽くします。
保釈請求
保釈請求を行い、勾留からの解放を目指しましょう。
保釈請求は被告人本人や親族、弁護士が行えます。
ただし、軽度の犯罪で、報復や証拠隠滅の危険がなく、氏名・住所が明らかでなければ、保釈はなかなか認められません。
保釈された場合は制限住居(身元引受人の自宅等)が生活の拠点となります。制約はありますが、被告人は自由に外出し、仕事等の社会生活も可能です。
また、弁護士といつでも会えるので、裁判に向けた綿密な話し合いを行えます。
示談交渉
通常起訴された場合、すぐに被害者と示談交渉を行いましょう。弁護士に交渉役を任せた方がよいです。
保釈の他、減刑や執行猶予付きの判決を得るには、被害者との示談が大きく影響します。
弁護士は被害者に対し、加害者が誠心誠意謝罪し、示談金額を用意している点を粘り強く伝え、示談に同意するよう説得を続けます。
示談成立を裁判で考慮してもらうためには、示談書を提出し裁判の証拠として採用してもらう必要があります。
情状証人の手配
情状証人を手配し、刑事裁判で被告人に有利となる証言をしてもらいましょう。
情状証人とは、被告人の刑が少しでも軽くなるように、被告人の人間性や生活状況、今後の更生に向けて監督する旨などを証言する証人です。
情状証人となるのは主に被告人の家族です。被告人の配偶者や親等、被告人と同居している家族が適任でしょう。
被告人は情状証人がいうことをよく聞いて生活すると誓う必要があります。
起訴されるとどうなるか不安なら春田法律事務所にご相談を
今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、検察官に起訴された後の対処法等を詳しく解説しました。
春田法律事務所は刑事裁判に実績豊富な法律事務所です。起訴されても諦めずに、弁護士と今後の対応をよく話し合いましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。