離婚慰謝料を徹底解説!請求できるケース・できないケース・相場と請求の流れ

最終更新日: 2026年06月23日

離婚を考えたとき、「慰謝料を請求できるのか」「いくらもらえるのか」と気になる方は多いものです。

ただし、離婚すれば必ず慰謝料が発生するわけではありません。慰謝料は、相手に法律上の「有責行為」がある場合にのみ請求できます。

この記事では、慰謝料を請求できるケース・できないケース、原因別の相場、金額を左右する要素、請求の流れまでを弁護士がわかりやすく解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士
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職員が丁寧にお話を伺います初回無料

離婚慰謝料とは?もらえる人・もらえない人の違い

離婚慰謝料とは、婚姻関係を破綻させた原因を作った配偶者(有責配偶者)が、相手方に与えた精神的苦痛に対して支払う損害賠償金です。

「離婚したい」という意思があるだけでは慰謝料は発生せず、相手に具体的な有責行為がある場合に限られます。

慰謝料は財産分与とは異なります。財産分与は婚姻中に築いた共有財産を分け合うものですが、慰謝料は有責行為に対する損害賠償です。両方を同時に請求できるケースもあります。

慰謝料を請求できるケース

有責行為

概要

不貞行為(不倫・浮気)

配偶者が第三者と肉体関係を持った

DV(身体的暴力)

暴力・傷害など身体への有形力の行使

モラルハラスメント

暴言・無視・支配など精神的な暴力

悪意の遺棄

生活費を渡さない・一方的に別居するなど扶養義務の不履行

性的拒否・セックスレス

正当な理由なく長期間にわたる性交渉の拒否

慰謝料を請求できないケース

以下の場合は、たとえ離婚に至っても慰謝料の請求は認められにくいです。

状況

理由

性格の不一致・価値観の違い

有責行為がなく、どちらの責任とも言えない

お互いの合意による離婚

双方の合意のもとで関係を終了させる場合

自分に有責行為がある場合

自分も不倫していた場合は原則として請求できない

婚姻前の問題

婚姻関係の外で起きた問題は対象外

「性格の不一致だが相手の言動がひどい」「どちらに責任があるか判断がつかない」という場合でも、弁護士に相談することで請求できる有責行為が見つかるケースがあります。

【原因別】離婚慰謝料の相場

慰謝料の相場は有責行為の種類・内容・証拠の有無などによって異なります。以下はあくまで一般的な目安です。

有責行為

慰謝料の相場

備考

不貞行為(不倫・浮気)

50万〜300万円程度

継続期間・証拠の質で変動

DV(身体的暴力)

50万〜300万円程度

被害の程度・診断書等で変動

モラルハラスメント

50万〜200万円程度

立証が難しく証拠が重要

悪意の遺棄

50万〜200万円程度

別居期間・生活状況で変動

性的拒否・セックスレス

50万〜100万円程度

期間・状況によって判断

相場より増額されやすいケース

次のような事情があると、相場より高額の慰謝料が認められやすくなります。

  • 不倫相手と配偶者が同じ職場で長期間にわたって関係を続けていた
  • DVが繰り返され、入院・通院を余儀なくされた
  • モラハラにより精神科・心療内科への通院が必要になった
  • 子どもの前での暴力・ハラスメントがあった
  • 相手が反省せず、離婚後も嫌がらせを続けている

相場より減額されやすいケース

一方で、次のような事情があると慰謝料が減額されることがあります。

  • 自分にも不貞行為など有責行為があった
  • 婚姻関係がすでに破綻していた時期に不倫が始まった
  • 婚姻期間が非常に短い
  • 有責行為の期間が短く、一度限りだった

各有責行為の詳しい相場・増額のポイントは以下の記事もあわせてご覧ください。

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慰謝料の金額を左右する6つの要素

慰謝料の最終的な金額は、有責行為の内容だけでなく、次の6つの要素を総合的に考慮して決まります。

同じ不倫でも、状況によって請求できる金額は大きく異なります。

 

有責行為の内容・程度

不倫の継続期間・DVの頻度・暴言・暴力の程度など、有責行為が深刻であるほど慰謝料は高くなる傾向があります。「一度だけの不倫」より「数年間の継続的な不倫」のほうが高額になります。

また、配偶者と不倫相手が子どもの前で関係を持っていたなど、悪質性が高い場合は増額要因になります。

証拠の有無と質

有責行為を証明できる証拠があるかどうかが最も重要です。

不倫であれば写真・メッセージ履歴・ホテルの領収書など、DVであれば診断書・被害写真・日記などが有効です。

証拠がなければ相手が否定した場合に請求が認められにくくなります。証拠の収集方法・有効な証拠の種類については以下をご覧ください。

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婚姻期間の長さ

婚姻期間が長いほど、精神的苦痛の大きさや離婚後の生活への影響が大きいとみなされ、慰謝料が増額される傾向があります。

婚姻期間が1〜2年と短い場合は、たとえ不倫があっても慰謝料が低く算定されることがあります。

子どもの有無

未成年の子どもがいる場合は、子どもへの影響も精神的苦痛の一要素として考慮されます。

子どもの前での有責行為は特に悪質性が高いと評価されることがあります。

相手の収入・資産

慰謝料は損害賠償であるため、相手の支払い能力も現実的な考慮事項となります。

高収入・高資産の相手であれば高額な慰謝料が認められやすい傾向があります。

一方で相手に支払い能力が低い場合、認められた金額を実際に回収するための手段(分割払いや強制執行)も検討する必要があります。

離婚後の生活への影響

専業主婦(主夫)であった場合や、離婚によって生活水準が大きく下がる場合など、経済的な影響が大きいほど慰謝料が増額される傾向があります。

また、長年仕事のブランクがある場合や、子どもの養育のために就労が制限されるといった事情も考慮されることがあります。

離婚慰謝料を請求するまでの流れ

慰謝料請求は、証拠収集→協議(話し合い)→調停→裁判の順で進めます。早い段階から弁護士に相談することで、各ステップをスムーズに進められます。

ステップ1:証拠の収集

まず有責行為を裏付ける証拠を集めます。不倫であれば写真・メッセージ履歴・ホテルの領収書・探偵の調査報告書など、DVであれば診断書・被害写真・通院記録・日記・音声録音などが有効です。

証拠収集は弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。違法な方法で取得した証拠は使えないケースもあるため、注意が必要です。

ステップ2:協議(話し合い)→離婚協議書の作成

相手との直接の話し合いで解決を図ります。合意が得られれば、慰謝料の金額・支払方法・支払期限を離婚協議書に明記します。

さらに、公正証書にしておくと支払いが滞った場合に強制執行が可能になるため、安心感が高まります。

協議は通常1〜3か月程度で解決するケースが多いですが、相手が交渉に応じない場合は調停に移ります。

ステップ3:離婚調停(家庭裁判所)

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

調停委員が間に入り、双方の主張を聞きながら合意点を探します。調停は申立てから解決まで平均4〜6か月程度かかることが多いです。

調停で合意した内容は「調停調書」として記録され、強制執行力を持ちます。

ステップ4:離婚裁判(訴訟)

調停でも解決しない場合は、離婚訴訟を提起します。裁判所が証拠を審理したうえで慰謝料の金額を含む判決を下します。

解決まで1〜2年程度かかることが多く、弁護士費用も増えます。ただし、証拠が整っていれば途中で和解が成立するケースも多くあります。

慰謝料請求の時効に注意

請求の種類

時効

起算点

配偶者への慰謝料

3年

離婚成立日から

不倫相手への慰謝料

3年

相手の存在を知った日から

離婚後に慰謝料を請求する場合、時効が近づいているときは「内容証明郵便」を送ることで時効の完成猶予(督促から6か月)を図れます。

時効が迫っている場合や時効の中断・更新が必要な場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

よくある質問

Q. 離婚後でも慰謝料を請求できますか?

はい、請求できます。ただし、配偶者への慰謝料は「離婚成立から3年」、不倫相手への慰謝料は「不貞行為・相手の存在を知った日から3年」が時効となります。

離婚後に請求を考えている方は、時効に注意して早めに弁護士へご相談ください。

Q. 不倫相手にも慰謝料を請求できますか?

はい、不貞行為は配偶者と不倫相手の共同不法行為として、どちらにも請求できます。

ただし、不倫相手が「相手に配偶者がいることを知らなかった(善意)」という場合は請求が認められないケースがあります。

また、配偶者から慰謝料を受け取った場合、不倫相手への請求額は相殺・調整されることがあります。

Q. 相手にお金がない場合はどうなりますか?

相手の支払い能力が低くても、慰謝料請求権そのものはなくなりません。

分割払いの合意をしたり、給与・預貯金・不動産などへの強制執行を申し立てたりすることで回収できる可能性があります。

回収方法については弁護士にご相談ください。

Q. 自分にも不倫などの有責行為がある場合、請求できますか?

原則として、自分にも有責行為がある場合は慰謝料の請求が難しくなります。

ただし、相手の有責行為のほうが客観的に見て重大である場合や、時期が異なる場合など、個別の事情によっては一部請求が認められるケースもあります。

まずは弁護士にご相談ください。

Q. 慰謝料なしで離婚できますか?

相手に有責行為がない場合(性格の不一致など)は、そもそも慰謝料は発生しません。有責行為がある場合でも、双方の合意があれば慰謝料なしで離婚することは可能です。

ただし、後から請求したくなっても「請求しない」と合意していた場合は困難になります。慰謝料なしの離婚を検討している方はこちらもご参照ください。

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慰謝料なしで離婚できるケースとは?注意点も解説

Q. 別居中に相手が不倫した場合でも請求できますか?

別居中であっても婚姻関係が続いている限り、不貞行為として慰謝料を請求できる可能性があります。

ただし、別居の原因や状況によっては「婚姻関係が既に破綻していた」とみなされ、請求が認められないケースもあります。

Q. 慰謝料請求に内容証明郵便は必要ですか?

法律上、慰謝料請求に内容証明郵便は必須ではありません。

ただし、内容証明郵便を送ることで「いつ・どのような内容で請求したか」を証明でき、時効の完成猶予にもなります。

また、相手に対して「本気で請求する」という姿勢を示す効果もあるため、実務上は活用されることが多いです。

離婚慰謝料の請求を弁護士に依頼する3つのメリット

慰謝料請求は自分でも行えますが、弁護士に依頼することで結果が大きく変わるケースが少なくありません。

メリット1:証拠収集・評価のサポートを受けられる

どのような証拠が有効か、どのように収集するかは専門的な判断が必要です。違法な方法で取得した証拠は使えないケースもあるため、弁護士に相談しながら証拠を集めることで、請求が認められる可能性を高めることができます。

また、探偵の調査報告書の活用方法なども弁護士がアドバイスします。

メリット2:適正な金額で交渉・請求できる

相手が提示する金額が不当に低かったり、反対に不当に高い請求を受けたりする場合でも、弁護士が法的な根拠に基づいて交渉します。

自分一人での交渉では感情的になりやすく、不利な条件を飲まされるリスクもあります。増額・減額の要因を正確に評価し、最適な請求額を設定することが重要です。

メリット3:精神的・時間的な負担を軽減できる

交渉・書類作成・裁判手続きといった煩雑な作業を一任できます。

DV・モラハラを受けていた場合など、相手と直接やり取りすることが精神的に困難な状況では、弁護士が代理人として対応することで安全かつスムーズに手続きを進めることができます。

まとめ

離婚慰謝料は、相手に有責行為(不倫・DV・モラハラ・悪意の遺棄など)がある場合に請求できます。

相場は有責行為の内容・証拠・婚姻期間などによって異なり、50万〜300万円程度が一般的な目安です。

請求は証拠収集→協議→調停→裁判の順に進め、配偶者への請求は離婚成立から3年以内という時効があります。

証拠の収集が請求の成否を大きく左右するため、「慰謝料を請求したい」「請求を受けた」という場合はいずれも早めに弁護士へご相談ください。

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