セックスレスを理由に離婚できるのか!?定義・原因・方法を徹底解説
最終更新日: 2023年07月04日
- セックスレスを理由に離婚できるのか
- セックスレスで離婚が認められるための条件を知りたい
- セックスレスで離婚する手順を知りたい
夫や妻とセックスレスの状態が続いていると、その状態に不満を抱いて離婚を考えるようになるかもしれません。その場合、「セックスレスを理由とした離婚はできるのか」「セックスレスによる離婚はどのように手続きを進めればよいのか」など、知りたいことも出てくるでしょう。
そこで今回は、セックスレスとは何か、離婚の原因になるセックスレスの原因、セックスレスで離婚が認められる条件やその手順について解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- セックスレスでの離婚は、相手も合意すればできる。できない場合は調停・裁判へと発展する可能性もある
- セックスレスで離婚が認められる条件は、「正当な理由がない」「最後のセックスから1年以上が経過している」「夫婦関係が破綻している」の3つ
- セックスレスでの離婚成立に向けた手順は、「まずは話し合う(協議離婚)」→「離婚調停をする」→「審判離婚をする」→「離婚裁判をする」
離婚を考える理由の1つ!「セックスレス」とは?
セックスレスの状態は、離婚を考えてしまう原因の1つといえます。
セックスレスとは、夫婦間において性的な関係を持っていないことや、希望する性的な関係を持てないことをいいます。
日本性科学会においては、「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交、あるいはセクシュアル・コンタクトが1か月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合、セックスレス・カップルのカテゴリーに入る」と定義されています。
セックスレスになる原因は一概にはいえませんが、夫婦間での意見の相違・性の不一致に加え、ストレス・忙しさなどが考えられます。
夫婦は互いに、配偶者以外の異性と性交渉を禁じる「貞操義務」があるため、相手から性交渉を拒否されてしまうと、お互いがセックスレスの状態になります。
性的な関係がなくなり、性的な欲求を満たせないといった問題は、夫婦間の信頼・愛情、そしてコミュニケーションにも影響を与えることがあります。
出典:セックスレス|女性の健康推進室 | 厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修
離婚の原因になるセックスレスの原因
離婚の原因になるセックスレスの原因として、以下の3点から詳しく解説します。
- 結婚・同棲後
- 妊活
- 互いに性的魅力を感じなくなる
1つずつ見ていきましょう。
結婚・同棲後
離婚の原因になるセックスレスの原因の1つ目は、結婚・同棲後です。
結婚・同棲後にセックスレスになることが問題となっているカップルも多くいるでしょう。セックスレスになる原因はさまざまですが、以下のようなものが挙げられます。
- 仕事の疲れやストレス・忙しさ
- 育児・家事による疲れ
- コミュニケーション不足
- 性的な欲求や興奮に対する違い
- 妊活や不妊症の影響
- 過去のパートナーとの比較
結婚・同棲後にセックスレスになる場合、互いに理解し合い、協力しあうことで、性的な関係を回復することができる場合もあります。
もしどうしても解決できない場合には、離婚を検討することも有効です。
妊活
離婚の原因になるセックスレスの原因の2つ目は、妊活です。
妊活中は、性的な関係を持つタイミングが限定される可能性があります。妊活中に、ストレスや不安を感じることがあり、それが性的な関係に影響を与えることもあります。
また妊活中には、妊娠するための治療を受けることがあり、それに伴って体調がすぐれないこともあるため、性的な関係を持つことに対して、嫌悪感や不快感を覚えるときもあるでしょう。
妊活中にセックスレスになった場合には、妊娠するための機会がさらに減少してしまうためめ、悪循環になるともいえます。
互いに性的魅力を感じなくなる
離婚の原因になるセックスレスの原因の3つ目は、互いに性的魅力を感じなくなることです。
お互いに性的魅力を感じなくなる原因としては、新鮮味や興奮が得られなくなってしまうことが挙げられます。また、日常生活やストレスなどが影響し、性的な欲求を満たすことができなくなることもあります。
このような場合には、パートナーとコミュニケーションを大切にし、性的な関係を持つことに対しての意識を変えることが有効です。また、新しいことを試し、性的な関係を楽しむことを心がけることも有効です。
それでも改善が難しい場合は、離婚を考えることも1つの手段といえます。
セックスレスでの離婚が認められる条件
セックスレスになるには、さまざまな原因があります。どのような原因であればセックスレスによる離婚が認められるのでしょうか。
そもそも離婚は、お互いが合意することで成立します。そうでない場合は、裁判上の離婚をすることになります。ここでは、セックスレスで離婚が認められる条件を、以下の3点から解説します。
- 正当な理由がない
- 最後のセックスから1年以上が経過している
- 夫婦関係が破綻している
1つずつ見ていきましょう。
正当な理由がない
セックスレスでの離婚が認められる条件の1つ目は、正当な理由がない場合です。
民法第770条1項にある1から5号には、「裁判上の離婚」が可能な事由が示されています。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
不倫や不貞行為などはわかりやすい離婚理由になりますが、セックスレスはケースに寄ります。セックスレスの状態が「正当な理由がない」のに常態化している場合、
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
として離婚が認められます。
ただし、該当していることを証明できないなど、裁判官が判定できない場合は、離婚が認められない可能性があります。
最後のセックスから1年以上が経過している
セックスレスでの離婚が認められる条件の2つ目は、最後のセックスから1年以上が経過している場合です。
長期間のセックスレスは、ストレス・不満を引き起こす原因となり、その結果、夫婦間の信頼や愛情が損なわれ、離婚を決断する根拠となります。
セックスレスの期間としては、1~2か月の場合は、改善可能であると判断されてセックスレスとして認められにくい傾向があります。3か月でも認められる場合もありますが、半年・1年以上になるとセックスレスと認められやすくなる傾向があり、さらに慰謝料の請求にも影響します。
ただし、セックスレスの期間が長すぎると、性交渉がない常態であっても婚姻関係の維持が可能とみなされ離婚が認められない場合もあります。
夫婦関係が破綻している
セックスレスでの離婚が認められる条件の3つ目は、夫婦関係が破綻している場合です。
夫婦関係の破綻基準は、「主観的側面」「客観的側面」で判断されます。主観的側面とは、夫婦に結婚生活を維持する意思がないことを判断することです。ただし判断が難しいことから裁判所では、「客観的側面」としてセックスレスの期間の長さなどから判断することが多い傾向があります。
なお、夫婦関係の破綻は、民法第770条1項5号の
その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
に該当します。
セックスレスでの離婚成立に向けた手順
セックスレスでの離婚を成立させるためには、どのような手順があるのでしょうか?
ここでは、セックスレスでの離婚成立に向けた手順を、4つのステップで解説します。
- STEP1 :まずは話し合う(協議離婚)
- STEP2 :離婚調停をする
- STEP3 :審判離婚をする
- STEP4 :離婚裁判をする
1つずつ見ていきましょう。
STEP1:まずは話し合う(協議離婚)
セックスレスでの離婚成立に向けた1つ目のステップは、まずは話し合う(協議離婚)ことです。
協議離婚とは、夫と妻が話し合いをすることで、離婚に合意することをいいます。そのうえで市区町村役場に離婚届を提出することで離婚が成立します。
協議離婚をするときは、子どもの親権者を指定すること以外、慰謝料・養育費・財産分与などの条件を定めることは必須ではありませんが、離婚後に起こる可能性があるトラブルに備えて、離婚協議書を作成しておくことがおすすめです。
離婚協議書を公正証書で作成することで、条件が守られない場合強制執行が可能となるため、専門家の助言を受けたうえで作成することをおすすめします。
STEP2:調停委員に入ってもらう(調停離婚)
セックスレスでの離婚成立に向けた2つ目のステップは、調停委員に入ってもらう(調停離婚)ことです。
当事者同士の話し合いで合意ができない場合は、家庭裁判所の調停委員の介入により合意を目指します。この手続きを調停離婚といいます。
調停離婚では、調停期日に夫と妻のそれぞれが裁判所に出頭して、調停委員を介して話し合いを行います。お互い顔を合わせたり直接話すことなく、離婚の話を進められるというメリットがあります。
ただし、調停委員が行うのはあくまで「合意に向けた調整」であるため、強制力はありません。そのため、調停不成立に終わる可能性もあります。
STEP3:裁判所に審判してもらう(審判離婚)
セックスレスでの離婚成立に向けた3つ目のステップは、裁判所に審判してもらう(審判離婚)ことです。
審判離婚とは、調停離婚で合意に向けた調整を行い、もう一歩のところで合意できない場合、裁判所の職権で、審判を下す手続きです。調停離婚が不成立となり、裁判離婚に進むことになると、さらに時間と費用が必要になります。
審判離婚は、そのような状況を回避するために、家事事件手続法第284条「調停に代わる審判」を根拠として審判を行います。
審判離婚は、職権によって行うことが可能ですが、当事者が望む場合であっても行われることがあります。そして、審判の内容に不服がある場合は、異議申立てもできます。
ただし、「審判の告知を受けたとみなされる日の翌日から2週間」を過ぎると審判が有効になります。審判が有効になると同時に離婚が成立します。
STEP4:裁判で決める(裁判離婚)
セックスレスでの離婚成立に向けた4つ目のステップは、裁判で決める(裁判離婚)ことです。
調停離婚を行い、調停離婚が不成立になった場合に、裁判離婚の手続きが可能になります。家事事件手続法第257条1項に定められる「調停前置主義」により離婚裁判を起こす前に必ず離婚調停を行うことが必要とされます。
そのため、離婚裁判を提起するためには離婚調停が不成立であることが前提となるのです。
裁判離婚では、家庭裁判所に離婚裁判を提起し、裁判官による判決を得ることで離婚を成立させます。
なお、離婚裁判の途中で、当事者同士で「離婚すること」「離婚条件」について合意する場合があります。その場合は判決が出される前に、和解による離婚が成立します。
セックスレスで離婚を考えたらまずは弁護士に相談するのがおすすめ
セックスレスが長期にわたり夫婦間の関係に影響を与え、離婚を検討する場合は、まずは弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士は、離婚の手続きに関してわかりやすく説明し、最適な方法をアドバイスしてくれます。また、弁護士は、夫婦間の資産の分配・養育費・財産の所有権などについても適切に配分をしてくれるでしょう。
セックスレスという理由で弁護士に離婚を相談することには、抵抗があるかもしれません。しかし相談することで、「セックスレスが理由の離婚はできるのか」などの疑問を解決して、スムーズに離婚を進められることが期待できます。
まとめ
今回は、セックスレスとは何か、離婚の原因になるセックスレスの原因、セックスレスで離婚が認められる条件やその手順について解説しました。
セックスレスは結婚・同棲を機にはじまったり、あるいは妊活を原因とする場合もあります。セックスレスの状態が1年以上続いていたり、すでに夫婦関係が破綻している場合は離婚が認められやすいといえます。
誰にも相談せずに1人で悩んだり、突然相手に切り出したりしてもうまくいかない可能性があります。また、セックスレスのことを第三者に相談することに抵抗を感じる場合もあるでしょう。
弁護士であれば、秘密を厳密に守りながら解決へと導くことが可能です。離婚への一歩を踏み出すときに力になってくれる存在として、弁護士に相談することをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。