セックスレス離婚は可能?弁護士が解説する慰謝料・証拠・手続きの全知識

最終更新日: 2026年04月09日

「夫婦の営みがずっとないけれど、これって離婚理由になるの?」
「セックスレスを理由に慰謝料は請求できる?」

デリケートな問題ゆえに誰にも相談できず、一人で悩み苦しんでいる方は少なくありません。

実は、セックスレスは現代の離婚原因として上位に挙げられる深刻な問題です。

結論から言うと、セックスレスを理由とした離婚は可能であり、状況によっては慰謝料を請求することもできます。

しかし、「ただ単にレスだから」という理由だけで法的にすんなり認められるわけではなく、適切な主張と客観的な証拠が必要です。

この記事では、セックスレスが法的な離婚事由として認められる基準、慰謝料の相場、有利に進めるための証拠集めから手続きの流れまで、弁護士がわかりやすく解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士
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セックスレスは離婚理由になる?法的な位置づけを解説

そもそもセックスレスとは?

日本性科学会では、セックスレスを「特別な事情(病気など)がないにもかかわらず、カップルの合意した性交が1ヶ月以上なく、その後も長期にわたってその状態が続くと予想されること」と定義しています。

法的な手続きにおいても、この「特別な事情がないのに長期間拒否されている」という事実が重要になります。

セックスレスが法定離婚事由「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたる場合

夫婦間で離婚の合意ができない場合、裁判で離婚を認めてもらうためには民法で定められた「法定離婚事由」が必要です。

セックスレスは、この中の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由(民法770条1項5号)」に該当する可能性があります。

夫婦には「肉体的な関係を伴う共同生活を営む義務」があると考えられており、正当な理由のないセックスレスは夫婦関係を決定的に破綻させる重大な要因とみなされるのです。

セックスレスで離婚が認められるケース・認められないケース

離婚が認められやすいケース

以下のような場合、婚姻関係が破綻していると判断されやすく、離婚が認められる可能性が高まります。

  • 健康上の問題がないのに、長期間(一般的に数年単位)にわたって一方的に性交渉を拒否され続けている。
  • 歩み寄るための努力(話し合いやカウンセリングの提案など)をしても、相手が全く応じない。
  • セックスレス以外にも、長期間の別居やモラハラなど、夫婦関係を悪化させる他の要因が複合している。

離婚が認められにくいケース

一方で、以下のような正当な理由がある場合は、離婚請求が認められにくくなります。

  • 病気、ケガ、高齢など、肉体的な理由で性交渉が困難である。
  • 妊娠中や産後の一定期間である。
  • 単身赴任などで物理的に性交渉ができない環境である。
  • 夫婦双方がセックスレスの現状に納得(合意)している。

セックスレス離婚における慰謝料請求の全知識

慰謝料を請求できる条件とは?

セックスレスによる精神的苦痛に対して慰謝料を請求するためには、「相手の一方的な拒否や原因によって夫婦関係が破綻した」という違法性を証明する必要があります。

話し合いを求めても無視され続けたり、拒否する際に暴言を吐かれたりといった事情があれば、慰謝料請求が認められやすくなります。

セックスレス離婚の慰謝料相場は50万~200万円

セックスレスを理由とした慰謝料の相場は、おおよそ50万円〜200万円程度と言われています。

ただし、不倫やDVといった他の明確な不法行為に比べると、金額が低くなる傾向があります。

慰謝料が増額・減額される要因

  • 増額要因: セックスレスの期間が非常に長い、拒否の仕方が悪質(暴言・無視)、セックスレスを機に不倫やモラハラが併発している場合など。
  • 減額要因(または請求不可): 請求する側にも夫婦関係悪化の原因(家事放棄や暴言など)がある、相手に病気などの正当な理由がある場合など。

セックスレス離婚を有利に進めるために集めるべき証拠

なぜ証拠が重要なのか?

セックスレスは寝室という極めて密室で起こる問題です。

相手が「そんなことはない(合意があった)」「誘われなかっただけ」と反論した場合、証拠がなければ「言った・言わない」の水掛け論になってしまいます。

そのため、第三者(調停委員や裁判官)が見て納得できる客観的な証拠が不可欠です。

有効な証拠の具体例

  • LINEやメールのやり取り: 「なぜ応じてくれないの?」「疲れているから無理」といった、性交渉を拒否されていることがわかるメッセージの履歴。
  • 日記やメモ: いつ誘って、どのような理由で拒否されたかを継続的に記録したもの。(感情を交えず、客観的事実を具体的に記すことが重要です)
  • 録音データ: 話し合いの際に相手が一方的に拒否している音声や、「する気はない」と明言している音声。
  • 心療内科の診断書: セックスレスが原因でうつ病や不眠症になり、通院している場合の診断書。

セックスレス離婚を進めるための3つの手続き

STEP1:協議離婚

まずは夫婦間で話し合いを行います。当事者同士で離婚や慰謝料、財産分与などの条件に合意できれば、離婚届を提出して成立です。

合意した内容は、後々のトラブルを防ぐために必ず「公正証書(離婚協議書)」として残しておきましょう。

STEP2:離婚調停

話し合いで合意できない場合や、そもそも相手が話し合いに応じてくれない場合は、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てます。

男女1名ずつの調停委員が間に入り、妥協点を探ります。

STEP3:離婚裁判

調停でも解決しない場合は、最終的に「離婚訴訟(裁判)」を起こすことになります。

裁判では、法定離婚事由の有無が厳格に判断されるため、先述した「証拠」が決定的な役割を果たします。

セックスレス離婚で悩んだら弁護士に相談すべき理由

セックスレスというデリケートな問題は、一人で抱え込むと精神的に追い詰められてしまいます。

弁護士に依頼することで、以下のメリットがあります。

法的な見通しを立て、適切な慰謝料を請求できる

あなたの状況が法定離婚事由にあたるか、慰謝料はいくら取れそうかという専門的な見通しを立てます。

適切な金額を算出することで、損をせずに交渉を進められます。

相手との交渉による精神的負担を軽減できる

弁護士が代理人となることで、相手と直接話す必要がなくなります。

特にセックスレスの話題を当事者間で冷静に話し合うのは困難なため、第三者である弁護士が窓口になることで精神的ストレスが大幅に軽減されます。

必要な証拠収集のアドバイスがもらえる

「どのような日記をつければ証拠になるか」「LINEでどう誘導すれば有利な発言を引き出せるか」など、裁判を見据えた具体的な証拠収集のアドバイスを受けることができます。

セックスレス離婚に関するよくある質問

セックスレスの期間がどのくらいだと離婚できますか?

法律で明確な期間が定められているわけではありませんが、過去の判例から見ると概ね「3年〜5年」以上継続していると、婚姻関係の破綻と認められやすくなります。

ただし、期間だけでなく、拒否の理由や関係修復への努力の有無も総合的に判断されます。

子どもがいる場合、養育費や親権はどうなりますか?

離婚原因がセックスレスであっても、子どもの親権や養育費の判断には直接影響しません。

親権は「どちらが育てるのが子どもの利益になるか(監護実績など)」で判断され、養育費は双方の収入を基準に算定表に従って決められます。

相手のED(勃起不全)が原因でも慰謝料は請求できますか?

EDなどの身体的な病気や機能障害が原因の場合、それは相手の「責任(故意・過失)」とは言えないため、原則として慰謝料の請求は認められません。

ただし、EDを治すための通院や治療を頑なに拒否し、改善の努力を一切放棄しているような場合は、例外的に慰謝料が認められる余地があります。

離婚を切り出すのが怖いのですが、どうすればよいですか?

相手が逆上する恐れがある場合は、無理に直接切り出さず、別居を先行させるか、早い段階で弁護士に依頼して代理人として伝えてもらう方法が安全です。

まずは弁護士の無料相談を利用して、安全な進め方を相談してください。

まとめ

セックスレスは、夫婦関係を決定的に壊す重大な問題であり、正当な理由のない長期間の拒否は離婚や慰謝料請求の対象となります。

しかし、密室の出来事であるため立証が難しく、当事者間の話し合いでは感情的になり解決が長期化しやすいテーマでもあります。

「自分は離婚できるのだろうか」「どうやって証拠を集めればいいか分からない」と悩んでいる方は、手遅れになる前に、ぜひ一度離婚問題に強い弁護士にご相談ください。

専門家のサポートを得ることで、あなたの尊厳を取り戻し、新しい人生への一歩を踏み出すことができます。

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