違法ダウンロードの法律【2025年最新】どこからがアウト?罰則を解説

最終更新日: 2025年11月27日

違法ダウンロードに関する法律・対象コンテンツ・問われたらすべきことを徹底解説!

インターネットが生活の一部となった現代において、動画や音楽、漫画といったデジタルコンテンツを楽しむ機会は非常に増えました。しかし、その手軽さの裏には「違法ダウンロード」という、思いがけない落とし穴が潜んでいることをご存じでしょうか。「これくらいならバレないだろう」「みんなやっているから大丈夫」といった安易な考えは、刑事罰や高額な損害賠償といった深刻な法的リスクを招く可能性があります。

この記事では、違法ダウンロードが具体的に何を指すのか、どこからが法的に「アウト」となるのかを、わかりやすい言葉で徹底的に解説します。

さらに、実際に科される可能性のある罰則の種類やその重さ、そして万が一、過去の行為に心当たりがある場合に取るべき正しい対処法までを網羅的にご紹介します。ご自身のインターネット利用が安全なものか確認し、安心してコンテンツを楽しむための知識を身につけましょう。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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目次

そもそも違法ダウンロードとは?法律上の定義をわかりやすく解説

著作権法が定める「違法ダウンロード」とは、具体的にどのような行為を指すのでしょうか。簡単に言えば、「違法にアップロードされた著作物であることを知りながら、それを私的使用の目的でダウンロードすること」です。この定義には2つの重要な要件が含まれており、これらが揃って初めて違法ダウンロードが成立します。つまり、「違法にアップロードされたコンテンツ」であること、そして「それを違法であると知りながらダウンロードする」ことの2点です。

日本の著作権法第30条第1項第3号では、これらの行為が原則として認められないと規定されています。ただし、たとえ違法アップロードされたものであっても、ストリーミング再生(視聴)するだけならば、多くの場合、この条文の対象とはなりません。あくまで「ダウンロード」つまり自身のデバイスにファイルを保存する行為が問題視されるのです。この法律の目的は、著作権者の権利を保護し、文化の発展を促すことにあります。

違法ダウンロードは、インターネットの普及とともに新たな問題として認識され、2012年の著作権法改正により刑事罰の対象となりました。これにより、軽い気持ちで行われる行為でも、法的な責任を問われる可能性があるため、その定義と範囲を正しく理解することが非常に重要になります。

要件1:「違法にアップロードされたコンテンツ」であること

違法ダウンロードが成立するための最初の要件は、そのコンテンツが「違法にアップロードされたもの」であることです。

これは、著作権を持つ人(著作権者)の許可を得ずに、第三者がインターネット上に無断で公開している状態を指します。たとえば、正規の配信サービスで提供されている映画や音楽とは異なり、海賊版サイトに掲載されている映画やアニメ、有料の漫画をスキャンして公開している、いわゆる「漫画村」のようなサイトのコンテンツ、P2Pファイル共有ソフトを通じて無断で流通している音楽ファイルなどがこれに該当します。

これらのコンテンツは、著作権者に無断でアップロードされているため、著作権者の権利を侵害している状態です。正規のサービスでは、著作権者と適切な契約を結び、利用料を支払うことでコンテンツを提供しています。

これに対し、違法アップロードされたコンテンツは、著作権者に一切の利益が還元されません。したがって、どのようなプラットフォームであっても、著作権者の許諾なく公開されているコンテンツは「違法にアップロードされたもの」と見なされることになります。

要件2:「違法であると知りながら」ダウンロードすること

違法ダウンロードが成立するもう一つの重要な要件は、「違法にアップロードされたものであると知りながら」ダウンロードする、つまり故意があることです。しかし、「知らなかった」と言えば責任を免れるかというと、そう単純ではありません。法的には、「違法アップロードだと認識していた」場合に加えて、「注意すれば違法だとわかったはずなのに、認識しなかった」という過失がある場合も、違法性が問われる可能性があります。

例えば、まだ映画館で公開中の最新作が、無料で全編視聴できるウェブサイトにアップロードされていたり、発売されたばかりの有料ソフトウェアが、出所の不明なサイトで無料でダウンロードできる状況を想像してみてください。

社会通念上、これらの状況は「おかしい」「違法である可能性が高い」と判断できるはずです。このような状況で、利用者が「無料で手に入るからラッキー」と安易にダウンロードしてしまうと、たとえ「違法だと断定はしていなかった」としても、故意があったと判断されるリスクが高まります。

この要件は、利用者がインターネット上でコンテンツを利用する際に、そのコンテンツが正規のものか、違法にアップロードされたものかを見極める責任があることを示しています。あまりにも不自然な形で提供されているコンテンツには、特に注意を払う必要があるのです。

対象となる著作物:音楽や映像だけではない!

「違法ダウンロード」と聞くと、多くの人が音楽や映画、アニメといった映像作品を思い浮かべるかもしれません。しかし、日本の著作権法で保護されている著作物であれば、その種類に関わらず違法ダウンロードの対象となります。これは、音楽や映像に限定されるものではなく、非常に広範囲にわたることを理解しておく必要があります。

具体的には、漫画、小説、雑誌、写真、イラスト、絵画などの美術作品、コンピュータプログラム(ソフトウェア)、フォントデータ、学術論文、さらにデザインや建築物など、多種多様な創作物が著作権によって保護されています。

したがって、これらの著作物が著作権者の許可なくインターネット上に違法にアップロードされており、それを違法と知りながらダウンロードする行為は、すべて違法ダウンロードに該当します。普段私たちが何気なく利用しているデジタルコンテンツのほとんどが著作権の対象となりうるため、その利用には常に注意が必要です。

どこからがアウト?セーフ?違法ダウンロードの境界線をケース別に解説

著作権法に定められた条文だけでは、自身の行動が法的に問題ないのか判断に迷うことも少なくありません。

ここでは、多くの方が疑問に感じるであろう具体的なケースを挙げ、それが「セーフ」「グレー」「アウト」のどの領域に該当するのかを詳しく解説します。読者の皆様が、ご自身のインターネット利用状況と照らし合わせながら、実践的な判断基準を身につけることを目的としています。

【セーフな例】合法的にコンテンツを楽しむ方法

デジタルコンテンツを安心して楽しむためには、公式に認められたサービスを利用することが最も確実で安全な方法です。

例えば、NetflixやHuluなどの動画配信サービス、SpotifyやApple Musicといった音楽ストリーミングサービス、Kindleやコミックシーモアのような電子書籍ストアでの利用は、すべて著作権者から正式な許諾を得てコンテンツを提供しています。これらのサービスでは、利用者は月額料金を支払ったり、コンテンツごとに購入したりすることで、作品を合法的に視聴・閲覧・聴取できます。

また、アーティストや出版社が自ら運営するYouTube公式チャンネルで公開されている動画や、キャンペーンなどで無料配布されているデジタルコンテンツも、権利者が利用を許諾しているため、安心して楽しむことができます。

【グレーゾーン?】判断に迷うケース

インターネット技術の発展や多様なコンテンツ利用形態の登場により、法律的な判断が難しく、白黒がはっきりしない「グレーゾーン」のケースも存在します。このセクションでは、特に多くの方が疑問に感じるYouTubeの動画の扱いや、スクリーンショット、画面録画の法的な位置付けについて掘り下げて解説します。

YouTubeの視聴やダウンロードは違法?

YouTube上で動画を視聴する行為は、たとえその動画が著作権者の許可なくアップロードされたものであっても、視聴者側が直ちに違法ダウンロードとして罰せられることはありません。

これは、動画をストリーミング再生する行為は、一時的にデータを保存するだけであり、「ダウンロード」に該当しないと解釈されるためです。多くのユーザーが日々YouTubeを利用しており、視聴行為そのものが規制されると、インターネットの利便性が著しく損なわれるという側面もあります。

しかし、YouTubeの公式ウェブサイトやアプリ以外の、外部ツールやサービスを用いてYouTube動画を自身のデバイスにダウンロードする行為は話が異なります。もしダウンロードしようとしている動画が違法にアップロードされた著作物であることを「知りながら」ダウンロードした場合、それは著作権法上の違法ダウンロードに該当します。YouTubeの利用規約でも、動画のダウンロードは原則として禁止されており、利用規約違反となる点にも注意が必要です。

スクリーンショットや画面録画の扱いは?

スクリーンショット(スクショ)や画面録画は、著作権法上の「私的複製」(第30条)の範囲内であれば、原則として合法とされています。つまり、個人的に楽しむ目的で、ご自身やご家族など限られた範囲で利用するためにスクショや画面録画を行うことは、通常問題ありません。例えば、好きなアニメのワンシーンを記念にスクショしたり、ゲームの実況プレイを個人的に録画したりする行為がこれに当たります。

ただし、そのようにして取得した画像をSNSで公開・共有する行為は、「私的複製」の範囲を超えてしまいます。これは「公衆送信権」の侵害にあたる可能性があり、著作権侵害となるリスクが高いです。

また、Netflixなどの有料配信サービスで提供されている動画コンテンツや、オンラインライブの映像などを、DRM(デジタル著作権管理)という技術的な保護手段を回避して録画する行為は、私的利用目的であっても著作権法で禁止されています。技術的保護手段を解除して複製する行為は、たとえ私的利用であっても違法となるため、絶対に避けるべきです。

【アウトな例】明確に違法となるダウンロード行為

以下に挙げるケースは、著作権法に照らして明確に違法(アウト)と判断される行為であり、刑事罰や高額な損害賠償請求のリスクが極めて高いものです。こうした行為は絶対に避けるべきです。

例えば、著作権者の許可なくインターネット上に公開されている海賊版サイトから、最新の映画やアニメ作品、人気漫画のスキャンデータなどをダウンロードする行為は、典型的な違法ダウンロードです。

また、BitTorrentなどのファイル共有ソフトを利用して、有料の市販ソフトウェアや音楽アルバムを不特定多数のユーザーとやり取りする行為も、違法ダウンロードおよび違法アップロードに該当します。過去に社会問題となった「漫画村」のようなサイトから漫画をダウンロードする行為も、この明確な違法行為の範疇に入ります。

知っておくべき違法ダウンロードの罰則【2025年最新情報】

軽い気持ちで行ってしまいがちな違法ダウンロード行為ですが、これには「刑事罰」と「民事責任」という二つの側面から、法的な制裁が課される可能性があります。

特に、2021年の著作権法改正により規制が強化され、安易なダウンロード行為が取り返しのつかない重大な結果を招くケースも出てきています。このセクションでは、それぞれの罰則について詳しく見ていき、実際にどのようなリスクがあるのかを具体的に解説します。

刑事罰:懲役または罰金が科される可能性

違法ダウンロードに対する刑事罰は、著作権法第119条第3項に規定されており、「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方」が科される可能性があります。これは、いわゆる前科がつく可能性のある刑罰であり、決して軽視できるものではありません。

ただし、この刑事罰が適用されるのは、有償で提供されている著作物を、違法にアップロードされたものであると知りながら、反復・継続して行うなど、悪質なケースに限定される傾向があります。

例えば、営利目的で大量にダウンロードする行為や、組織的に行われる海賊版の収集などがこれに該当すると考えられます。一度ダウンロードしただけで直ちに刑事罰の対象となるわけではありませんが、著作権者の権利を侵害する行為であることには変わりありません。

民事責任:著作権者からの損害賠償請求

刑事罰とは別に、違法ダウンロードを行った場合、著作権者から民事上の責任を追及される可能性があります。著作権を侵害された権利者(個人や企業)は、民法第709条に基づき、侵害行為によって生じた損害の賠償を請求できます。また、違法にダウンロードされたファイルの削除や、ダウンロード行為の停止を求める差止請求を行うことも可能です。

この損害賠償額は、ダウンロードされたコンテンツの正規の価格やダウンロード数、著作権者が被った逸失利益などに基づいて算出されるため、場合によっては非常に高額になるケースもあります。

例えば、映画1本数百円程度であっても、それを大量にダウンロードしたり、多くの人が共有したりすることで、損害賠償額は一気に膨らみます。権利者からの内容証明郵便や、プロバイダからの意見照会書が届いた場合、このような民事責任を問われる可能性が現実味を帯びてきます。

注意!ダウンロードしたデータをアップロードするとさらに罪が重くなる

特に注意が必要なのが、ダウンロードしたデータをさらにインターネット上にアップロードする行為です。

ファイル共有ソフト(BitTorrent、Winny、Shareなど)を利用している場合、ダウンロードと同時に他のユーザーへファイルを送信(アップロード)する設定になっていることが多く、意図せずともアップロード行為に加担してしまうリスクがあります。

ダウンロードのみの場合と比較して、違法にアップロードする行為(公衆送信権侵害)は、著作権法第119条第1項に基づき「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方」という、格段に重い罰則が科されます。

これは、単なるダウンロード行為よりも、不特定多数のユーザーへの権利侵害を拡大させる行為と見なされるためです。ファイル共有ソフトの利用経験がある方は、設定を今一度確認し、アップロード機能が有効になっていないか十分に注意してください。

違法ダウンロードで逮捕されることはある?「親告罪だからバレない」は嘘

著作権侵害は、原則として権利者の告訴がなければ起訴できない「親告罪」に該当します。そのため、「権利者に見つからなければ大丈夫」「告訴されなければ捕まらない」と考えている方もいるかもしれません。しかし、この考え方は誤解であり、決して安全を保証するものではありません。

実際には、著作権者は自らの権利を守るために、インターネット上の違法なコンテンツ流通を積極的に監視しています。そして、悪質なケースや影響の大きいケースでは、躊躇なく告訴に踏み切る事例が増えています。特に、大規模な海賊版サイトの運営者や、ファイル共有ソフトを通じて大量の著作物を流通させているアップローダーに対しては、厳しく対処する傾向にあります。

また、著作権法改正により、一部の悪質な著作権侵害行為(例えば、海賊版を販売するなど、継続的・反復的に行われる侵害行為)は非親告罪化されており、権利者の告訴がなくても捜査や起訴が可能となっています。

そのため、「親告罪だからバレない」という考えは通用しない時代になっていることを認識しておく必要があります。

発信者情報開示請求とは?プロバイダから通知が届くケース

違法ダウンロードが発覚し、著作権者からその行為を特定される具体的なプロセスの一つに、「発信者情報開示請求」があります。これは、権利者がインターネットサービスプロバイダ(ISP)に対し、著作権を侵害した利用者の情報(氏名、住所など)を開示するよう求める法的な手続きです。

この手続きは通常、いくつかのステップを踏んで進められます。まず、権利者は、違法アップロードされているサイトやP2Pネットワーク上で、侵害行為を行ったと見られるIPアドレスを特定します。

次に、そのIPアドレスが利用されたプロバイダを特定し、そのプロバイダに対して契約者の氏名や住所などの情報開示を請求します。プロバイダは、このような請求を受けた際、通常、契約者本人に「発信者情報開示に係る意見照会書」という通知を送付します。これは、開示に同意するか、不同意の意見を述べる機会を与えるためのものです。

この意見照会書が自宅に届いた場合、それは権利者があなたのIPアドレスを特定し、情報の開示を求めている証拠であり、違法ダウンロード行為が発覚している可能性が極めて高い状況であることを意味します。

突然このような通知が届くとパニックになるかもしれませんが、決して無視せず、専門家である弁護士に相談するなど、適切な対応を取ることが非常に重要です。

警察による捜査と逮捕の可能性

違法ダウンロードが刑事事件として警察の捜査対象となり、逮捕に至るケースも実際に存在します。特に警察が捜査に乗り出すのは、大規模な海賊版サイトの運営や、ファイル共有ソフトを用いた大量かつ継続的なアップロード行為など、社会的な影響が大きく、悪質性が高いと判断される事案です。

このようなケースでは、権利者からの告訴を受けた警察が、サイバーパトロールや内偵捜査を通じて、侵害者の特定を進めます。過去には、P2Pソフトを利用して多数の著作物を違法にアップロードしていた者が逮捕されたり、海賊版サイトの運営者が著作権法違反で摘発されたりする事例も報じられています。

これらの事例は、違法行為が悪質であれば、警察の介入と逮捕という事態が現実のものであることを示しており、決して対岸の火事ではないことを認識すべきでしょう。

もし違法ダウンロードに心当たりがある場合の正しい対処法

これまでインターネット上で動画や音楽などをダウンロードした行為について、「もしかしたら違法だったかもしれない」と心当たりがあり、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、過去の行為がすぐに逮捕や高額な請求に繋がるわけではありませんので、まずは落ち着いて状況を確認することが大切です。ここでは、万が一違法ダウンロードに心当たりがある場合に、パニックにならず冷静に対応するための具体的なステップをご紹介します。適切な手順を踏むことで、不必要なリスクを回避し、安心したインターネット利用へと繋げることができます。

ステップ1:該当ファイルの即時削除

もし違法にダウンロードした可能性のあるファイルがパソコンやスマートフォン、外付けHDD、さらにはクラウドストレージなどに保存されている場合は、まずそれらのファイルを速やかに削除してください。

削除する際は、ただゴミ箱に入れるだけでなく、ゴミ箱からも完全に空にするのを忘れないようにしましょう。これは、さらなる著作権侵害の拡大を防ぐだけでなく、万が一問題が発覚した場合に、ご自身の誠意ある対応を示す第一歩となります。

著作権法における私的複製の規定では、違法にアップロードされたコンテンツであると知りながらダウンロードする行為が罰則の対象となります。そのため、もし「知らずにダウンロードしてしまった」という状況であれば、ファイルを削除することで侵害状態を解消し、将来的なリスクを軽減できる可能性があります。

ステップ2:ファイル共有ソフトの設定確認と停止

特にBitTorrent(ビットトレント)、Winny、Shareといったファイル共有ソフトを利用している、または過去に利用していた方は注意が必要です。

これらのソフトは、ダウンロードする際に同時に、他のユーザーへのアップロード(送信可能化)が自動的に行われる設定になっていることが多く、ご自身が意図しないうちに最も重い罪である「公衆送信権の侵害」に加担している危険性があります。

違法にアップロードされたファイルをダウンロードする行為は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」ですが、それをさらにアップロードする行為は「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方」と、格段に重い罰則が科されます。

もし現在もファイル共有ソフトをご利用の場合は、まずソフトの設定を確認し、アップロード機能を完全に停止するか、可能であればソフト自体をアンインストールすることを強くおすすめします。ご自身のインターネット利用環境を見直す良い機会と考えてください。

ステップ3:警告書や通知が届いたら無視しない

もし、プロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届いたり、権利者の代理人弁護士から警告書や通知書が届いたりした場合は、決して無視してはいけません

恐怖心や不安から通知を無視してしまうことは、事態をさらに悪化させる最悪の対応です。通知を無視した場合、相手方の主張がそのまま法的に認められてしまい、ご自身にとって不利な判決や高額な賠償請求に繋がる可能性が高まります。

このような通知を受け取った際は、ご自身で安易に返信したり、勝手な判断で行動したりせず、速やかに著作権問題に詳しい弁護士に相談することが不可欠です。弁護士は、通知内容の法的意味を正確に判断し、権利者側との交渉や適切な対処法について専門的なアドバイスを提供してくれます。早期に専門家に相談することで、問題を適切に解決し、ご自身の権利と利益を守ることができます。

違法ダウンロードに関するよくある質問(Q&A)

ここまで違法ダウンロードの定義や罰則について解説してきましたが、まだ多くの疑問が残るかもしれません。

このセクションでは、読者の皆様が抱きがちな具体的な疑問に対し、Q&A形式で分かりやすくお答えします。これまで説明しきれなかった細かい点や、特に多くの人が誤解しやすいポイントに焦点を当てて解説していきます。

Q. 海外のサイトからのダウンロードなら安全ですか?

結論から申し上げますと、海外のサイトからのダウンロードであっても、決して安全ではありません。

日本の著作権法は「属地主義」という原則を採用しており、ダウンロードという行為が日本国内で行われた場合、日本の法律が適用されます。つまり、アップロード元が海外のサーバーであっても、あなたが日本国内からその違法コンテンツをダウンロードすれば、日本の法律による罰則の対象となるのです。

「海外のサイトだからバレないだろう」という考えは誤解であり、日本の著作権法に基づく法的措置の対象となる可能性が十分にあります。安心・安全にコンテンツを楽しむためには、正規のサービスを利用することが最も重要です。

Q. VPNを使えば身元は特定されませんか?

VPN(Virtual Private Network)は、インターネット接続を暗号化し、利用者のIPアドレスを隠すことで匿名性を高める技術として知られています。そのため、「VPNを使えば身元が特定されないから違法ダウンロードしても大丈夫」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、これは絶対的な安全を保証するものではありません。確かにVPNはIPアドレスを隠すことで特定を困難にはしますが、完全に追跡不可能になるわけではないのです。

有料の信頼できるVPNサービスであっても、捜査機関からの令状など法的な手続きがあれば、利用者の情報が開示される可能性はゼロではありません

特に、無料で提供されているVPNサービスの中には、利用者の通信ログを保存しているリスクが高いものも存在します。違法行為を目的としたVPNの利用は極めて危険であり、安易な考えで行動すると重大な結果を招く可能性があります。

Q. 家族が違法ダウンロードした場合、自分も責任を問われますか?

法的な責任は、原則として実際に違法ダウンロード行為を行った本人に問われます。

しかし、発信者情報開示請求は、インターネット回線の契約者に対して行われるため、まず契約者が責任を追及される立場に置かれる可能性があります。

例えば、ご自身の知らない間に家族が違法ダウンロードを行い、その結果としてプロバイダから意見照会書が届いた場合、回線契約者であるご自身が対応を迫られることになります。

その際には、「自分はやっていない」ということを法的に証明する必要が生じ、状況によっては複雑な問題に発展することもあります。このような事態を避けるためにも、家族間でのインターネット利用に関するルール作りや、違法ダウンロードのリスクについての啓発を行うことが重要です。未成年のお子様がいる場合は、特に注意が必要となるでしょう。

Q. 知らずに違法ダウンロードしてしまった場合も罰せられますか?

違法ダウンロードの刑事罰の対象となるのは、「違法にアップロードされたものであることを知りながら」ダウンロードした場合に限られます。著作権法では「故意」が求められるため、仮にあなたが違法であると知らなかったことに無理からぬ事情がある場合(例えば、公式配布と誤認していたなど)は、基本的には罰せられることはありません。

しかし、「知らなかった」という主張が客観的に見て通用するかどうかは重要なポイントです。例えば、まだ劇場公開中の最新映画が無料で全編ダウンロードできるなど、社会通念上明らかに怪しい状況であるにもかかわらず「知らなかった」と主張しても、その言い分が認められない可能性が高いでしょう。自己防衛のためにも、ダウンロードする際には提供元の信頼性を十分に確認し、少しでも疑わしいと感じたら利用を控える賢明な判断が求められます。

安心してインターネットを楽しむために|不安な場合は弁護士へ相談を

ここまで違法ダウンロードのリスク、具体的な線引き、そして万が一の事態に直面した際の対処法について解説してきました。最も重要なのは、クリエイターが時間と情熱を注いで生み出した作品に対し、正当な対価を支払い、合法的な方法でコンテンツを楽しむという意識を持つことです。

安易な気持ちで行ったダウンロード行為が、刑事罰や高額な損害賠償といった取り返しのつかない事態を招く可能性があります。しかし、不安を感じた場合でも、適切な対応を取れば問題を最小限に抑えることは可能です。もし過去の行為に心当たりがあったり、プロバイダから通知が届いたりして不安を覚える場合は、一人で抱え込まず、専門家である弁護士に相談することを強くおすすめします。

安全なコンテンツの楽しみ方と正規配信サービス

インターネット上には、多くの正規配信サービスが存在し、多様なコンテンツを安全に、そして快適に楽しむことができます。これらのサービスは、著作権者に正当な収益を還元することで、新たな作品が生まれ続ける文化的なエコシステムを支えています。

例えば、映画やドラマではNetflix、Amazon Prime Video、Hulu、U-NEXTなどがあり、月額定額制で豊富な作品が見放題です。音楽ではSpotify、Apple Music、LINE MUSICなどが定額聴き放題を提供し、漫画や書籍ではKindle、コミックシーモア、Renta!などが手軽に電子書籍を購入・閲覧できる環境を整えています。

これらのサービスを利用すれば、画質や音質が良く、途中で広告が入ることもなく、またスマートフォンやタブレットなど様々なデバイスで視聴できる利便性も享受できます。

正規サービスを選ぶことは、クリエイターを応援し、ひいてはより質の高いコンテンツが生まれる未来を創ることに繋がるのです。

自分で判断は危険!専門家である弁護士に相談するメリット

もしプロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届いたり、著作権者側の弁護士から警告書が送られてきたりした場合、決して自己判断で対応しようとしないでください。

恐怖や焦りから安易に返答したり、反対に無視したりする行為は、事態をさらに悪化させる危険性があります。法的な知識がない方が自分で対応しようとすると、不利な証拠を提示してしまったり、相手の主張を不用意に認めてしまったりする可能性も否定できません。

このような状況に直面した際は、ITや著作権問題に精通した弁護士に速やかに相談することが最善の策です。弁護士に相談するメリットは多岐にわたります。第一に、法的に正確な状況判断と、今後の適切な対応策を提示してもらえます。

次に、権利者側との交渉を弁護士が代理で行うことで、冷静かつ専門的な対応が可能となり、過剰な請求を避けたり、和解に向けた建設的な話し合いを進めたりできます。

そして何よりも、精神的な負担が大幅に軽減されることは大きなメリットです。

法律事務所の中では無料相談を設けている事務所も多いので、少しでも不安を感じたら、早期に専門家のアドバイスを求めるようにしましょう。

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