ネット記事を削除したい!できるケース・できないケース・ポイントも紹介
最終更新日: 2024年01月11日
- インターネットに投稿された記事で誹謗中傷を受けている、悪意のある記事を削除したい!
- 悪意のある記事の削除依頼はどうすればよい、削除依頼は自分で行う必要があるのか?
- 悪意のある記事を確実に削除するコツを知りたい!
インターネットの普及により、ネット掲示板やブログ・SNS等で世界中の人たちとつながる機会が増えました。
しかし、特定の個人・団体を誹謗中傷する記事の投稿も激増し、深刻な社会問題となっています。
悪意のある記事で権利侵害を受けた場合は、速やかに記事の削除を行いたいものです。
そこで今回は、インターネットに関する法的トラブルに対応してきた専門弁護士が、ネット記事を削除できるケース・できないケース、削除のためのポイント等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- ネット記事を削除できるのは、主に名誉棄損や侮辱、肖像権侵害、プライバシー侵害に該当する場合である
- ネット記事の削除は、権利侵害を受けた本人が請求できる
- 弁護士に依頼すれば、迅速に問題の解決を進めていくので安心して任せられる
ネット記事は削除できるのか?
ネットに投稿された記事は、無条件に削除できるわけではありません。
こちらでは削除できるケース・できないケースに分けて説明します。
削除できるケース
ネットに投稿された記事が「名誉棄損」「侮辱」「肖像権侵害」「プライバシー侵害」に該当するときは、ネット掲示板やブログ・SNSの管理者に削除を依頼できます。
名誉棄損
公然と個人や法人の事実を摘示し、社会的評価を低下させる行為です。
ネット掲示板やブログ・SNS等に、たとえば「小学校教諭〇〇は日常的に女子児童の着替えを盗撮している」「〇〇企業の社長〇〇は秘書〇〇への性的暴行をお金で揉み消した」等と投稿した記事が該当します。
投稿した内容が真実でも嘘でも、名誉棄損となりえます。
たとえ記事に実名が明記されていなくとも、イニシャルやペンネーム等から、第三者が容易に個人や法人を特定できる場合は、名誉棄損になり削除の対象です。
侮辱
事実を摘示せずに公然と、個人や法人を侮辱する行為です。
ネット掲示板やブログ、SNS等に具体的事実を伴わず、相手を「馬鹿」「チビ」「ハゲ」「ブラック企業」等と投稿した記事が該当します。
実名による投稿でなくとも、イニシャルやペンネーム等で第三者が容易に個人や法人を特定できれば侮辱となります。
肖像権侵害
本人の許可なく顔や容姿等を撮影したり、それを使用・公表したりする行為が該当します。
なお、撮影されたからといって、どのようなケースでも肖像権を主張し、投稿された自分の顔や容姿等の画像の削除を要求できるわけではありません。
たとえば、公園や道路、駅等で撮影された画像・動画に、たまたま自分が映り込んでいたというときは、肖像権侵害になりにくいケースです。
プライバシー侵害に当たる場合
他人の私生活に関する情報を、無断で投稿する行為が該当します。
次のケースに当てはまると、プライバシー侵害となる可能性が高いです。
たとえば無断で顔写真や住所(番地、部屋番号等まで)が公表された、自分の犯罪歴や指紋データが投稿された、運転免許証番号やマイナンバーの番号が投稿サイトに掲載されている、というケースです。
削除できないケース
記事の投稿で個人情報や自分の顔や容姿等が公表されたとしても、違法性阻却事由に該当する投稿であれば削除はできません。
投稿が公共の利害に関わる事実で(公共性)、投稿目的が専ら公益のためであり(公益性)、投稿内容が間違っていない(真実性)という場合は、削除は困難です。
逆に、専ら特定の個人や法人を貶める目的で、個人や法人に関係する醜聞を広めるため投稿された記事は、削除の対象となります。
ネット記事を削除する方法
悪質な記事を削除したい場合は、まずサイト等の管理人に削除依頼をしましょう。削除依頼に応じてもらえない場合の対処法もあります。
フォームからの申請
ネット掲示板やブログ・SNS等に設置されている「削除依頼フォーム」から、記事の削除を申請できます。フォームからの申請であれば削除依頼に関する費用はかかりません。
ただし、管理人のアドレスやヘルプセンターの電話番号が明記されていても、削除依頼フォームからの申請でなければ対応しない場合がほとんどです。
また、規約に従い申請しても、なかなか削除を行わない管理者も多いです。
申請後、投稿された記事が削除されないときは、別の方法を検討しましょう。
弁護士への削除依頼
弁護士に削除依頼を任せる方法があります。弁護士が行う場合も、削除依頼フォームから申請します。
弁護士が削除依頼をすれば、特にサイトを運営している管理者が個人の場合、大きなプレッシャーを受け、依頼に応じる可能性は高くなります。
仮処分の申立て
権利侵害された本人や弁護士が削除依頼をしても削除しないときには、裁判所に投稿記事削除仮処分命令の申立てができます(民事保全法第23条第2項)。
申立てから削除命令が下されるまで1〜2か月程度かかるものの、命令の効果は絶大です。
正式な裁判を経なくても、裁判所の仮処分命令を受けた管理者は、それに従い記事の削除に応じる場合がほとんどです。
ただし、申立てのときは権利侵害の証拠の収集、提出が必要となります。そのため、弁護士のサポートがあればスムーズに裁判手続きを進められます。
サイト改善
悪質な記事の削除ではありませんが、悪意のあるサイトを検索されにくくする方法も検討してみましょう。
「逆SEO」と呼ばれ、専門業者に依頼し、悪意のある関連ワードを表示させない、または有害な情報が掲載されたサイトを表示されにくくする対処法です。
この方法であれば、悪意のある投稿サイトが検索結果の上位に表示されなくなるので、第三者が悪質な記事を閲覧する機会も減ります。
ただし、専門業者でなければ行えない技術的な対応である他、記事の削除も行われなければ、根本的な解決にはなりません。
ネット記事を削除するためのポイント
ネット掲示板やブログ・SNS等へ投稿された悪質な記事を削除するには、和解交渉(示談交渉)や弁護士への相談が有効な手段となります。
交渉
なるべく穏便に投稿された記事を削除したいのであれば、加害者側と和解交渉(示談交渉)をしましょう。
まずSNS管理者や経由プロバイダ(例:NTT、So-net等)に、「発信者情報開示請求」または「発信者情報開示請求命令」という手続きを行うと、投稿者(加害者)の氏名・住所等が判明します。
開示請求・命令で得た投稿者(加害者)の情報をもとに、和解交渉(示談交渉)を開始します。
交渉では次のような内容が話し合われます。
- 加害者が権利侵害となる記事等を、責任を持って削除する
- 記事等が他の人から拡散された可能性もあるので、加害者もその削除に協力する
- 加害者が被害者に支払う慰謝料(示談)の金額、支払い方法、支払期限を定める
- 被害者は加害者を許し、告訴しないまたは告訴を取り消す
一方、加害者側は交渉が成立すれば、被害者から訴訟や刑事告訴される事態を回避できるので、交渉に応じる可能性が高いです。
加害者側は、請求された慰謝料(示談)の金額が大きい場合、被害者側に減額交渉もできます。
被害者・加害者共に納得できる条件でまとまれば、和解交渉(示談交渉)が成立します。
交渉に関しては被害者・加害者が直接話し合うと、話し合いがこじれたりケンカになったりする可能性もあるので、双方とも弁護士を立てて交渉しましょう。
弁護士への相談
被害者・加害者が弁護士と相談すれば、ネットでの記事トラブルを解決する有益なアドバイスが受けられます。
弁護士は相談者の状況や希望をよく聴いた上で、次のような点について助言を行います。
(1)相談者が被害者の場合
- 投稿された記事の削除の仕方
- 投稿者を特定する方法
- 法的措置等をどう進めるか
(2)相談者が加害者の場合
- 和解交渉(示談交渉)に応じる必要性
- 訴訟を提起された場合の対処法
- 刑事告訴された場合の弁護士の対応(早期解放や不起訴を目指す等)
ネット記事削除を弁護士に相談するメリット
悪質なネット記事の削除や、これ以上の権利侵害を受けたくないのであれば、ネットトラブルの交渉・訴訟に実績のある弁護士と相談しましょう。
こちらでは弁護士に相談・依頼するメリットを説明します。
実績豊富
悪質なネット記事の相談・解決実績が豊富な弁護士ならば、知識と経験を活かして迅速に問題の解決ができます。
実績豊富な弁護士かどうかを判断する場合、まず法律事務所のホームページをチェックしましょう。
たとえばホームページに
- 「インターネットトラブル相談実績は〇〇〇〇件以上」等と明記されている
- ネットによる権利侵害の話題が数多く掲載されている
という場合は、その分野に精通した弁護士とみて間違いないです。
リスク抑止
被害者または加害者だけで問題の解決を図る場合は、様々な手続きの準備(書類の作成・証拠の収集等)を自分で行わなければなりません。専門的な知識も必要となるので準備に手間取り、手続きの進行に支障が出るリスクもあります。
しかし、弁護士にサポートを依頼すれば、様々な手続きの準備を任せられるので安心です。
炎上対策
削除依頼により管理者が投稿された記事を削除しても、投稿者(発信者)がエキサイトし、更に過激な投稿を行う可能性があります。
これ以上のサイトやブログ等の炎上を避けるため、弁護士は被害者の合意の下で、削除依頼だけではなく投稿者を特定し、法的措置をとって対応します。
損害賠償請求
相手との和解交渉を進めるときは、通常加害者に記事の削除や再び投稿しないと誓わせ、損害賠償(慰謝料)も請求します。
交渉不成立の場合は、損害賠償請求訴訟を提起します(民法第709条)。
刑事告訴
被害者が加害者を刑事告訴する場合もあります。被害者側または加害者側に立った弁護士が、次のようなサポートを行います。
(1)被害者側の弁護士の場合
- 加害者をどのような罪(名誉棄損罪・侮辱罪)で告訴できるか、告訴の手順を説明
- 告訴状の作成、提出をサポート
(2)加害者側の弁護士の場合
- 刑事告訴され加害者が逮捕された場合、早期解放を捜査機関に働きかける
- 被害者に和解交渉(示談交渉)を持ちかける
- 不起訴処分になるよう弁護活動を行う
- 刑事裁判になったときは執行猶予や減刑を目指す
ネット記事削除なら、当事務所にご相談を
今回は悪意のある記事の削除等に対応してきた専門弁護士が、削除の方法や弁護士へ相談・依頼する有効性について詳しく解説しました。
ネットで権利侵害を受けた場合、ネットに関する法的トラブルに詳しい春田法律事務所へ相談しましょう。
弁護士のアドバイスを受けながら、冷静かつ迅速に問題の解決を図ってみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。