誹謗中傷で問われる法律リスクとは?罪に問われる前にとるべき正しい対応法を解説
最終更新日: 2024年11月08日
- 私は他人に対して誹謗中傷を行った。どのような罪になるのか不安で仕方がない。
- 自分が誹謗中傷をした被害者と、何とか穏便に問題を解決したい。
- 自分が誹謗中傷の加害者であっても、弁護士に相談した方がよいのだろうか?
あなたが意図的に他人の悪口を言いふらしたり、純粋に相手を批判したりしても、誹謗中傷と判断され、責任を追及される可能性があります。
誹謗中傷が原因で罪を問われそうな場合、何らかの対策を速やかに講じた方がよいでしょう。
そこで今回は、誹謗中傷問題の解決に携わってきた専門弁護士が、誹謗中傷で問われる法律上の罪、穏便に解決する方法等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 誹謗中傷を行うと、名誉棄損罪や侮辱罪・業務妨害罪に問われるリスクがある
- 誹謗中傷を行うと、刑事責任が問われる他、社会的信用も失う
- 誹謗中傷問題を穏便に解決するため、専門弁護士に相談し対処方法を検討しよう
誹謗中傷で問われる法律上の罪
インターネットの掲示板に投稿したり、ビラを配ったりして、他人や企業の悪評を流すと法律上の罪に問われるおそれがあります。
最悪の場合は、身体の自由を奪われる「懲役刑」や「禁錮刑」に処される可能性もあるでしょう。
名誉毀損罪
あなたが公然と個人や団体の事実を摘示し、社会的評価を失墜させた場合、名誉毀損罪となる可能性があります。
事実の摘示に関して、真実の情報であるか・虚偽の情報であるかは関係ありません。対象者(個人や団体)の社会的評価を失墜させれば、本罪に該当します。
たとえば、真実か否かを問わず「スポーツ選手〇〇はホテルで女子大生を強姦した」等の適示は名誉毀損罪に該当する行為です。
あなたが名誉毀損で訴され、刑事裁判で有罪になれば「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。
侮辱罪
あなたが事実を摘示しなくても、公然と個人や団体を侮辱した場合、侮辱罪となる可能性があります。
たとえば、「〇〇は能無し」「〇〇会社はクズ」等と罵倒した場合は侮辱罪に該当します。
あなたが侮辱行為で起訴され、刑事裁判で有罪になれば「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。
業務妨害罪
あなたが、個人や団体の業務を妨害した場合、業務妨害罪となる可能性があります。
業務妨害罪は、相手を暴行・脅迫し、業務に支障を与える行為の他、次のような行為も該当します。
- 大声を上げて罵倒する等して、相手にプレッシャーをかけ、業務を妨害する→威力業務妨害罪(刑法第234条)
- 嘘を周囲に広めて、相手の業務を妨害する→偽計業務妨害罪(刑法第233条234条)
ただし、あなたが妨害するおそれのある行為をすれば、実際に相手の業務へ何ら影響が生じなくとも、業務妨害罪が成立します。
あなたが業務妨害で検察官に起訴され、刑事裁判で有罪になれば「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第233条・第234条)。
誹謗中傷に関する法律改正で強化された罰則
社会問題となっている悪質な誹謗中傷対策として、誹謗中傷に関する罰則が強化されました。
現在、インターネット掲示板やSNSを多数のユーザーが利用する中、誹謗中傷が社会問題化しています。
国民の間からも誹謗中傷の効果的な抑止が求められる中、2022年に改正刑法が施行され、悪質な侮辱行為が厳罰化されました。
- 改正前:拘留(30日未満)又は科料(1万円未満)、公訴時効期間は1年
- 改正後:1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料、公訴時効期間は3年
改正により他人を侮辱した場合、加害者は懲役刑又は禁錮刑という、重い処罰を受ける規定に変更されています。
公訴時効期間も1年から3年に延長されました。
公訴時効期間とは、犯罪から一定期間が経過すると、公訴が提起できなくなる期間です。
あなたが軽い気持ちで他人を侮辱したとしても、有罪となれば刑事施設に収容されてしまう事態も想定されます。
誹謗中傷で法律上の罪に問われた場合のリスク
あなたが個人や団体を誹謗中傷した場合、懲役刑や禁錮刑、罰金刑を受けるだけでなく、これまで築いてきた信用も失われてしまう可能性があります。
あなたが刑に服した後、元の生活に戻れるとは限りません。
刑事責任が問われる
あなたは名誉毀損罪・侮辱罪・業務妨害罪に問われる可能性があります。
名誉毀損罪・侮辱罪は「親告罪」です。被害者が警察に告訴状を提出した場合、あなたは捜査機関に逮捕され取調べを受けるおそれがあります。
もしも、あなたが逮捕・起訴され重い罪に処されるのを回避したければ、被害者に謝罪し、何とか和解する必要があります。
一方、業務妨害罪は「非親告罪」です。被害者が告訴をしなくとも、捜査機関が捜査を開始し、あなたを逮捕・取調べる場合があります。
ただし、被害者が告訴しないと、被害の存在が捜査機関に判明しないケースも多いでしょう。
名誉毀損罪・侮辱罪・業務妨害罪のいずれであっても、加害者であるあなたが何らかの対策をとらないと、検察官に起訴され、刑事裁判で有罪判決を受ける可能性があります。
社会的信用を失う
これまで培ってきた地位や名誉を失い、社会的信用が低下してしまいます。
名誉毀損罪・侮辱罪・業務妨害罪で逮捕・起訴された場合、家族の他に近所の人、友人・知人、勤務先にまでその情報が広がる可能性が高いです。
あなたに家族がいる場合、家族は動揺し、離婚に発展する事態もあるでしょう。
有罪となれば、勤務先から解雇され、職場に復帰できたとしても居辛くなり結局退職するケースも想定されます。
また、近所の人から白い目で見られ、引っ越しを余儀なくされる場合もあるでしょう。友人・知人も、これまで通りあなたと仲良くしてくれるとは限りません。
誹謗中傷で罪に問われそうな場合の対応方法
あなたが個人や団体を誹謗中傷した罪に問われそうなときは、冷静に今後の対応を考慮し、深刻な事態を避ける必要があります。
法律のプロである弁護士のアドバイス・サポートを受けながら、誹謗中傷問題の解決を図りましょう。
証拠収集
まず、あなたが個人や団体を誹謗中傷したとされる発言・投稿について確認が必要です。
誹謗中傷に該当するような以前の発言・投稿を見つけたら、被害者や捜査機関に事実を正しく説明するため保存しましょう。
保存方法は、スクリーンショットを利用し、発言・投稿内容の他、メッセージ履歴、発言・投稿した日時等がわかるように記録します。
謝罪・和解
あなたが誹謗中傷した罪に問われそうなときは、なるべく早く被害者に謝罪し、和解(示談)を目指しましょう。
和解(示談)は、当事者間での話し合いによる簡易で迅速な問題解決方法です。
ただし、加害者・被害者が直接話し合うと、双方が感情的になる場合や、被害者が話し合いに応じないケースも想定されます。
そのため、弁護士をたてて和解(示談)を図ることがおすすめです。弁護士を交渉の代理人にすれば、被害者と理性的に交渉を進められます。
和解(示談)するときに取り決める条件は次の通りです。
- 加害者が被害者へ謝罪し、これ以上の誹謗中傷はしないと誓う
- 被害者に支払う慰謝料の金額や支払方法、支払期限を決める
- 被害者は加害者を告訴しない、すでに告訴した場合は取り消す
- 今後、互いに誹謗中傷の問題を蒸し返さない
加害者・被害者間で和解(示談)が成立したら、和解の証拠として「示談書(合意書)」を作成します。
和解(示談)で重要なのは、慰謝料の金額の取り決めです。
慰謝料の金額は、投稿・発言の内容や拡散の状況によって変わりますが、おおむね次の金額が目安となります。
- 名誉毀損:個人10~50万円程度(団体50~100万円程度)
- 侮辱:1~10万円程度
- 営業妨害:100~200万円程度
弁護士が代理人となれば、被害者の提示した金額が高すぎる場合、減額交渉を行い、あなたの希望金額に近づけるよう尽力します。
弁護士への相談
弁護士に相談しサポートを得れば、被害者と和解できる可能性が高くなります。
弁護士はあなたの希望をヒアリングし、問題となった発言・投稿を確認したうえで、次のような点についてアドバイスを行います。
- 誹謗中傷とされる発言・投稿が処罰の対象となるか否か
- 和解(示談)を進める手順・コツ
- 被害者から訴訟を提起された場合の対応
- 被害者から刑事告訴されたときの弁護士の対応
- 適正な示談金額の説明・減額の可能性
早めに弁護士と相談しサポートを受け、和解や法的措置の対応を任せた方が、最低限の損失で解決できる可能性が高まります。
誹謗中傷で法律に問われそうなら春田法律事務所に相談を
今回は誹謗中傷問題の解決に携わってきた専門弁護士が、誹謗中傷で罪に問われそうなときの対応方法等を詳しく解説しました。
加害者になっても最小限の損失で問題解決を図れるよう、弁護士をたて、被害者との和解を目指しましょう。
春田法律事務所では、初回相談を無料で提供しています。まずは気軽に事務所を訪問し、誹謗中傷問題に関する悩みや不安を、弁護士に相談してみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。