家賃滞納問題の弁護士費用を徹底解説!依頼すべきケースや効果も詳しく紹介
最終更新日: 2024年11月15日
- 賃借人の家賃滞納問題を解決したい。弁護士を立てたいが費用はどれくらいかかるのだろう?
- 家賃滞納に関する交渉や裁判が長引いたときは、追加の弁護士費用が発生するのだろうか?
- 弁護士に交渉等を任せれば、費用に見合った効果が得られるのか?とても気になる。
賃借人の家賃滞納問題を解決したい賃貸人は多いでしょう。
賃貸人だけの力では、問題解決が円滑に進まない可能性もあります。費用はかかるものの、弁護士のサポートを得た方がよいです。
そこで今回は、家賃滞納問題の解決に実績のある専門弁護士が、家賃滞納問題の解決にかかる弁護士費用、弁護士のサポートを得るメリット等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 弁護士を立て、家賃滞納問題の解決を図る場合、弁護士費用は50万円以上かかる可能性がある
- 弁護士に依頼すれば、日当等の追加費用を請求される場合もある
- 弁護士に家賃滞納問題の解決を委任すれば、賃借人との交渉から裁判手続き、賃貸人の立場に立った主張・立証まで任せられる
家賃滞納問題に関する弁護士費用
弁護士費用は、主に「着手金」と「成功報酬」で構成されるのが一般的です。他に、弁護士に相談するときは相談料や、弁護士活動にかかる実費も請求される可能性があります。
法律事務所の中には、ホームページ等で立ち退き問題の弁護士費用(相場)を明記しているところもあります。
着手金
弁護士に家賃滞納問題の解決を依頼した場合、必ずかかる費用が「着手金」です。
着手金は弁護士が家賃滞納問題の解決に成功しても、失敗しても賃貸人には返還されません。
着手金の相場は22万円〜33万円程度です。着手金は基本的に一括で支払う必要があります。
なお、法律事務所の中には着手金不要で、「完全成功報酬」を採用しているところも存在します。
ただし、着手金を取らない分、成功報酬の金額が高額化する場合もあるので注意が必要です。
成功報酬
成功報酬とは、弁護士による事件処理の成果が得られたとき支払う必要のある費用です。
家賃滞納問題を弁護士が賃借人との交渉で解決した場合や、賃貸物件の明け渡しを裁判所に訴え勝訴した場合が該当します。
つまり、弁護士が問題解決に失敗した場合、成功報酬の支払いは不要です。
成功報酬の相場は22万円〜44万円程度です。ただし、報酬額を「依頼者の経済的利益の〇%」と設定している法律事務所もあります。
なお、成功報酬の支払いは、分割払いが可能な法律事務所も多いです。
相談料
弁護士に依頼をする前、家賃滞納問題を相談するときに発生する料金です。
相談料は30分で5,500円程度が一般的です。なお、初回相談を無料で受け付けている法律事務所もあります。
相談では、弁護士は家賃滞納問題に関するアドバイスや、交渉〜裁判に至る手順等を説明します。
相談者はアドバイスを聴きながら、弁護士の人柄や弁護活動への姿勢もわかるでしょう。信頼のおける弁護士と判断したら、契約を締結しても構いません。
ただし、相談に対応する担当者が弁護士ではなく、事務員の可能性もあります。法律事務所に相談予約を入れるときは、相談も弁護士が担当するのか確認しておきましょう。
実費
実費とは弁護士が事件処理を行うときの必要経費です。つまり、弁護士の収入になるわけではありません。
裁判所に納める印紙代や予納金、郵券代、通信費をはじめ、関係者の戸籍謄本や住民票等の書類を取り寄せる費用です。
法律事務所では基本的に依頼を受けたら、一定額の実費を預かります。家賃滞納問題の解決時に清算することになるでしょう。
預かった実費が余れば依頼者に返還し、実費の負担が多くなり法律事務所で立て替えたならば、立替分が請求されます。
家賃滞納問題を弁護士に依頼する費用対効果
弁護士に依頼をすれば費用はかかるものの、賃貸人に有利となる効果があります。
弁護士は自身の有する法律の知識や、交渉や裁判で培われた経験を活用し、迅速に問題解決が図られるよう力を尽くすでしょう。
法的な手続きの代行
弁護士に賃借人の家賃滞納を理由とした、賃貸物件明け渡し請求訴訟の手続きを任せられます。
訴えを提起する場合は、賃貸物件の所在地を管轄する裁判所に訴状等の提出が必要です。そのときに様々な添付書類を収集しなければいけません。
- 訴状、物件目録:裁判所の窓口等で用紙を取得
- 固定資産課税台帳登録事項証明書:市区町村役場で取得
- 登記事項証明書:法務局で取得
- 内容証明郵便の控え:郵便局で取得
- 配達証明書:郵便局で取得
- 賃貸借契約書
賃貸人と賃借人が契約したときの賃貸借契約書、賃貸人が送付した内容証明郵便の控えや配達証明書は自身の保管している書類を提供します。
それ以外の書類は弁護士が代行して作成や収集が可能です。裁判所への提出も弁護士に任せられます。
また、明け渡し請求訴訟後に強制執行を申し立てる場合も、提出に必要な申立書の作成や債務名義(裁判所の和解調書または判決書)、送達証明書、執行文の収集・提出を弁護士が賃貸人の代わりに行えます。
トラブル予防
弁護士に交渉役を依頼すれば、家賃滞納に関する賃借人とのトラブル防止が可能です。
賃貸人が賃借人と直接、滞納分の家賃支払いを要求すると、お互いが感情的になってしまうケースも想定されます。
冷静な交渉が難しくなれば、迅速に家賃滞納問題の解決は図れません。
弁護士を賃借人との交渉に当たらせれば、滞納を継続するリスクや、賃貸人と和解するメリットを理性的に賃借人へ説明します。
法律の専門家であり第三者の弁護士が交渉に当たれば、大きなトラブルもなく、賃借人が家賃支払いや自主的な退去に応じる可能性があります。
弁護士は賃貸人の希望も聴きながら、賃借人との交渉を継続するでしょう。
- 賃借人が家賃支払いに応じた場合:滞納分の家賃の確認、支払期日と支払方法の取り決め
- 賃借人が自主的な退去に応じた場合:退去日、立退料を支払うかどうかの取り決め
交渉により賃貸人側が賃借人と上記いずれかの取り決めを行った場合、合意内容を記載した「合意書」を2通作成します。もちろん、合意書は弁護士が作成します。
合意内容を書面化すれば、賃借人が取り決めた条件の履行へ前向きになる他、双方が取り決めを忘れるおそれもありません。
家賃滞納問題で弁護士に依頼すべきケース
家賃滞納問題は賃貸人と賃借人とで話し合い、解決するのが理想的な方法といえます。
しかし、話し合いがなかなかうまくいかず、問題が長期化する可能性もあるでしょう。ケースによってはなるべく早く弁護士と相談し、サポートを依頼した方がよいです。
自力での回収が難しい場合
賃貸人が説得しても、賃借人が滞納分の家賃支払いに応じない場合、弁護士に相談し交渉役を任せましょう。
賃貸人が苛立ちや怒りに任せて、賃借人に家賃の支払いを強要したり、強制的に追い出そうとしたりすると、法的なトラブルに発展する可能性があります。
たとえば、賃貸人が下記のような行動をとれば、賃借人から不法行為責任を理由に、損害賠償請求を受けるかもしれません。
- 賃貸人が電話やメール等で、1日に何度も家賃を支払うよう連絡する
- 賃借人宅の玄関ドアや外壁に、「家賃を払え!」というビラを貼り付ける
- 賃借人宅の玄関ドアの鍵を勝手に交換し、出入りをできなくして嫌がらせする
- 無断で賃借人宅に押し入り、賃借人を掴み出したり、家財道具を撤去したりする 等
また、無断で賃借人宅に押し入る行為は住居侵入罪、賃借人を掴み出したときに殴って負傷させる行為は傷害罪に問われ、刑事告訴されてしまうおそれもあるでしょう。
弁護士に交渉役を任せれば、冷静に粘り強く賃借人を説得し、家賃回収を試みます。弁護士の理性的な説得により、賃借人の抵抗や法的なトラブルもなく、家賃回収に成功する可能性が高まるでしょう。
対応が長引く場合
家賃滞納問題が長期化する場合、弁護士を代理人にした方がよいでしょう。
督促状や催告書を送付しても賃借人が家賃支払いに応じない場合、賃貸人は賃貸借契約を解除後、明け渡し請求訴訟を提起し、問題の解決を図ります。
ただし、訴訟提起から判決言渡しまでは、概ね2か月程度かかってしまいます。訴訟提起は賃貸人だけでも可能ですが、手続きに手間取ると、更に対応が長期化する場合もあるでしょう。
弁護士が賃貸人の代理人となれば、様々な対応を任せられます。滞納問題を抱える賃貸人の精神的・身体的な負担を大きく軽減できます。
関係性が悪化している場合
賃貸人と賃借人の関係が悪化している場合、弁護士を交渉窓口として利用した方が無難です。
弁護士を交渉役にすれば、賃貸人は賃借人に直接会う機会はほとんどありません。直接会うと口論になりそうな場合でも、弁護士が賃貸人の希望を賃借人に伝え、理性的に交渉が進められます。
交渉で解決を図るときは、弁護士が賃借人の言い分を聴き、賃貸人と協議する形をとるので、冷静に和解の条件を調整できます。
強制退去させたい場合
賃借人の強制退去を目指し、裁判所に強制執行の申し立てを行う場合も、弁護士に代行を依頼しましょう。
賃貸人が明け渡し請求訴訟に勝訴し、賃借人が裁判所から明け渡しの判決を受けても、依然として賃貸物件に居座り続けている場合があります。
訴訟に勝訴したからといって、賃貸人が実力を行使し、賃借人を追い出す行為は「自力救済」に該当するので禁止されます。
強制執行を行うには、申し立てを裁判所が容認しなければいけません。弁護士は面倒な申し立て手続きも賃貸人の代わりに進められます。
家賃滞納問題で弁護士がサポートできる手続き
弁護士に依頼すれば、裁判や強制執行の場合だけではなく、様々な交渉や作業を任せられます。
賃貸人は弁護士のアドバイスを受けながら、心に余裕を持ちつつ、対応方法を検討できるでしょう。
催促
弁護士に催告書の作成を任せられます。弁護士が作成すれば、賃借人が家賃対応をしている事実、支払い要求、支払いに応じない場合の措置を、簡潔に記載することが可能です。
また、弁護士が催告書を作成すれば、弁護士の名前も表記されます。催告書を受け取った賃借人は「いよいよ弁護士をたてて要求してきた。」と焦り、催告へ素直に応じる可能性もあります。
内容証明郵便の作成と送付
弁護士に委任し、催告書を送付する内容証明郵便の作成・手続きも可能です。
内容証明郵便を送付しても、家賃を支払わせる強制力は得られませんが、賃借人に精神的なプレッシャーを与えられる他、家賃滞納に関する催促を証明する効果があります。
内容証明郵便は一般郵便と異なり、次のような手続きが必要です。
- 内容証明郵便は地方郵政局長が指定した集配郵便局で申し込む
- 催告書は3通用意する(1通は賃借人への送付用、残り謄本2通は差出人用と郵便局の保存用)
手続きにやや手間がかかるものの、弁護士に任せれば、スムーズに送付の準備を進められます。
裁判所への明け渡し請求
弁護士は明け渡し請求訴訟の手続きの他、裁判の期日には弁護士が出廷し、賃貸人側の主張や主張書面(準備書面)を提出する等、勝訴判決を得られるように尽力します。
また、双方の主張や証拠が出揃い、尋問手続が終わった頃、裁判所から和解を進められる場合が多いです。
弁護士は賃貸人に和解案の内容や、納得できる条件か否かをアドバイスします。賃貸人と賃借人が和解に合意すれば、裁判は終結します。
強制執行
弁護士は強制執行の申し立ての代行も可能です。
賃借人を強制退去させるには、裁判所に強制執行を申し立てる必要があります。申し立てには次のような書類が必要です。
- 強制執行の申立書
- 債務名義:明け渡し請求訴訟のとき、裁判所から取得した和解調書または判決書
- 送達証明書:賃借人に債務名義が送達された旨を証明する文書で、裁判所に申請し取得
- 執行文:強制執行が可能である旨を証明する文書で、裁判所に申請し取得
- 収入印紙・切手等
送達証明書や執行文を得るため、裁判所に申請する必要があるので、強制執行の準備にはやや手間がかかります。弁護士へ代行を依頼すればスムーズに手続きが進みます。
家賃滞納問題の費用で弁護士に確認すべきこと
弁護士に家賃滞納問題の解決を依頼すれば、賃貸人の希望に沿ったサポートを得られるでしょう。
ただし、弁護士と委任契約を締結する前に、確認しておかなければいけない事項あるので注意が必要です。
成功報酬の条件
成功報酬の条件となる家賃滞納問題の解決は、基本的に次の結果を得られた場合が該当します。
- 賃借人との交渉で滞納家賃の回収に成功、または賃借人の自主的な退去が実現した
- 明け渡し請求訴訟に勝訴した、強制執行の申し立てが認められた
成功報酬の条件をどのように設定するかは、契約する前に確認が必要です。
追加費用の可能性
着手金や成功報酬金以外の費用が発生する可能性も、弁護士に確認しておきましょう。
弁護士が賃借人との交渉だけではなく、裁判手続きも依頼する場合は、印紙代や予納金・郵券代等も必要です。
弁護士が必要経費を立て替えた場合、追加費用が発生します。
また、日当が発生する可能性もあるでしょう。日当とは、裁判所へ弁護士が出廷するたびに発生する費用です。裁判の長期化で、追加費用が多額となる場合もあります。
家賃滞納問題の弁護士費用が気になるなら春田法律事務所までご相談を
今回は家賃滞納問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、弁護士費用や弁護士へサポートを依頼する利点等について詳しく解説しました。
弁護士費用はかかるものの、家賃滞納問題の交渉を弁護士に任せれば、賃借人との話し合いで解決できる可能性があります。
話し合いで解決できるなら、裁判費用や強制執行の費用も不要となるので、賃貸人は重い費用負担を軽減できるでしょう。
春田法律事務所は初回相談を無料で提供しています。家賃滞納問題に悩んだら、まずは気軽に弁護士と相談し、対応を協議してみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。