名誉毀損で逮捕されたら?罪の内容・逮捕後の流れと早急に取るべき対応策
2024年11月21日
- 他人を誹謗中傷し名誉毀損で逮捕されてしまった。自分がどうなるのか心配で、途方に暮れている。
- 名誉毀損で逮捕された場合、どのように手続きが進められていくのか知りたい。
- 名誉毀損の問題を何とか穏便に解決したい。弁護士に相談した方がよいだろうか?
ネット上の掲示板への投稿やビラを配る等して、特定の個人や団体を誹謗中傷した場合、名誉毀損罪で逮捕される可能性もあるでしょう。
名誉毀損罪で逮捕されても、弁護士に依頼すれば、最低限の損失で問題を解決できる可能性もあります。
そこで今回は、名誉毀損問題の解決に携わってきた専門弁護士が、名誉毀損罪とはどのような罪か、穏便に解決する方法等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 名誉毀損で逮捕されると、送検・勾留を経て、起訴され、最終的に刑事裁判で判決が下される可能性がある
- 名誉毀損で有罪判決を受ければ、最悪の場合は懲役刑や禁錮刑を受けるおそれがある
- 弁護士に弁護を依すれば、起訴されても執行猶予付き判決や、刑の減刑を得るために尽力する
名誉毀損の逮捕で問われる罪と責任
ネット上の掲示板で、気に食わない個人や団体への誹謗中傷を書き込んだ場合、想定外の重い罪に問われるおそれがあります。
不用意な書き込みが、あなたの人生に大きな影を落とす事態も想定されるのです。名誉毀損の責任を追及された場合、あなたは刑事責任と賠償責任を負う可能性があります。
名誉毀損罪
名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示して、特定の個人・団体の名誉を毀損する罪です。
事実の摘示には、全くの嘘や裏付けが取れない内容だけでなく、本当の情報も含まれます。つまり、嘘でも真実でも、特定の相手の社会的評価を失墜させた場合、名誉毀損罪に該当します。
名誉毀損罪に当たる誹謗中傷とは、たとえば次のようなものです。
- 「小学校教諭〇〇は小児性愛者だ。体操の時間や部活動の合間に、指導と称し女児の身体を触っている」
- 「化学薬品会社〇〇はテロリスト集団だ。毒ガス兵器を製造し、第三国に密輸している」
名誉毀損罪で起訴され有罪判決を受けた場合、加害者は3種類の刑罰のいずれかに処されます(刑法第230条第1項)。
- 3年以下の懲役→懲役刑:加害者を刑事施設に収容、強制労働をさせる刑罰
- 3年以下の禁錮→禁錮刑:加害者を刑事施設に収容するが強制労働はさせない刑罰
- 50万円以下の罰金→罰金刑:強制的に一定の金額を国へ納めさせる刑罰
損害賠償
加害者は刑事責任を追及されるだけでなく、被害者から損害賠償(慰謝料)請求を受けるおそれがあります。
被害者から損害賠償請求された場合、話し合いで解決できるケースもありますが、いきなり裁判所に訴えられてしまう事態もあるでしょう。
被害者は、加害者であるあなたの不法行為責任を理由に、損害賠償を請求できます(民法第709条)。
損害賠償(慰謝料)の請求額は、名誉毀損行為の悪質性や、被害者の損害の程度にもよりますが、100万円以上となることもあるでしょう。
名誉毀損で逮捕された後の流れ
名誉毀損の疑いで逮捕された場合、厳しい取り調べが待っています。黙秘し続けるのも1つの方法ですが、どんどん不利になっていくので注意しましょう。
黙秘しても、刑事手続きは進められていきます。
送検
逮捕後に警察が留置の必要があると判断した場合、被疑者として警察署の留置施設や拘置所に留置されます。
警察は逮捕・留置した後、48時間以内に検察官へ送検(送致)しなければいけません。
検察庁に送られると、検察官の取り調べを受けます。その後、検察官は24時間以内に、引き続き留置施設や拘置所へ拘束する「勾留」を裁判所に請求します。
検察官があなたを「勾留する必要はない」と判断したときは、釈放される可能性もあります。
勾留
裁判官は被疑者であるあなたに逃走や証拠隠滅の恐れがあるかどうか判断し、勾留を決定します。勾留を決定した場合、勾留期間は最長20日間です。
勾留期間中、警察官や検察官はあなたから詳しく事情聴取し、名誉毀損行為に至った経緯を調査します。
起訴・不起訴
検察官は、あなたを名誉毀損で起訴するか、不起訴にするかを決めます。被害者が告訴を取り下げた場合は、不起訴処分になります。
検察官は取り調べで知り得た事実の他、加害者であるあなたが初犯か・深く反省しているかといった点や、被害状況等を総合的に判断し、不起訴にする可能性もあるでしょう。
裁判
起訴された場合、刑事裁判が公開の法廷で開かれます。
弁護人は、無罪判決や執行猶予付き判決または減刑を獲得できるよう、全力で弁護活動を行うでしょう。
裁判所は、被告人(あなた)や検察官、弁護人の主張を聴いたうえで、十分に審理し、判決を言い渡します。
判決
裁判所は一切の主張や証拠、事実等を総合的に考慮し、次のいずれかの判決を下すでしょう。
- 無罪判決:名誉毀損罪について裁判で審理した結果、無罪とする判決
- 実刑判決:裁判で審理した結果、有罪とし刑罰が言い渡され、かつ刑罰が執行される判決
- 執行猶予付き判決:審理の結果、有罪とし刑罰が言い渡されるが、刑罰の執行が猶予される判決
判決に不服があるときは、上級裁判所に不服申立てが可能です。
刑の執行
裁判所から実刑判決を言い渡され、懲役刑または禁錮刑となった場合、刑事施設に収容されてしまいます。罰金刑の場合は、言い渡された金額の支払いが必要です。
執行猶予付き判決が言い渡された場合は、刑事施設に入る必要はなく、自宅に戻れます。
執行猶予の期間(1〜5年)を無事に経過すると、刑の言渡しの効力は失われます。
名誉毀損で逮捕されたら早急に取るべき対応策
名誉毀損で逮捕された場合、決して抵抗はせず警察官の指示に従い、警察署へ向かいましょう。
警察署に向かったら、弁護士(私選弁護人)との連絡を警察官に要求しましょう。事前に弁護士へ依頼していれば、速やかに面会が可能です。
弁護士への相談
逮捕前に弁護士と話し合い契約を締結していれば、心強い私選弁護人としてあなたのサポート役になります。
もしも弁護士へ依頼する前に逮捕された場合は、家族に弁護士を選んでもらい、サポートを依頼しましょう。
弁護士は速やかに、あなたが逮捕・連行された警察署に向かい、次のようなアドバイスを行います。
- 警察官の取り調べを受けるコツ
- 名誉毀損をしたかどうかの確認
- 刑事手続の流れ
- 被害者との示談交渉の必要性
- 警察や検察への弁護活動
弁護士は、あなたが証拠隠滅や逃亡しない旨を検察官に伝え、早期の釈放を行うように説得します。
事実確認
あなたが名誉毀損で逮捕されたら、全く身に覚えがない場合でも、冷静に警察官へ逮捕理由を聴きましょう。
被害者があなたを加害者と勘違いしていないか、事実確認が必要です。
弁護士を私選弁護人としているなら、弁護士に被害者の告訴した内容が事実かどうかの確認を任せられます。
もしも、あなたが名誉毀損を行ったと自覚しているなら、弁護士にどのような対応をとればよいか相談し、解決方法を検討しましょう。
示談交渉
あなたが逮捕されてしまった後でも、被害者に謝罪し、示談の申し込みが可能です。
示談とは、加害者であるあなたと、被害者である相手方との間で話し合い、和解を図る、簡易・迅速な解決手段です。
示談交渉に精通した弁護士であれば、迅速に相手方が同意しそうな条件を選択し、あなたの了承のうえで交渉を開始します。
名誉毀損に関する示談の条件は次の通りです。
- あなたが相手に謝罪し、以後、名誉を毀損する行為はしないと誓う
- 支払う示談金(慰謝料)の金額、支払方法、支払期限の決定
- 相手が告訴を取り下げる旨(加害者の処罰を望まない旨の条項も入れる)
- 今後、当事者双方が名誉毀損の問題を蒸し返さない
示談が成立したら弁護士は「示談書(合意書)」を作成します。示談書(合意書)に条件をまとめれば、示談が成立した証明を捜査機関に提示できます。
名誉毀損罪は親告罪なので、被害者が示談書に従い告訴を取り下げた場合、検察官は不起訴処分を行います。
名誉毀損での逮捕を弁護士に相談するメリット
名誉毀損で逮捕されたときは、なるべく早く弁護士に連絡を取り、対応について相談しましょう。
弁護士は私選弁護人として、あなたに最後まで法的なサポートを行う他、心の支えともなります。
終始支えとなる
弁護士に私選弁護人の依頼をすれば、逮捕後、速やかに連絡が取れる他、早い段階で弁護活動を開始できます。
あなたは弁護士から取り調べのときの対処方法や、今後の刑事手続の流れを聞き、被害者との示談交渉を進めていく計画について伝えられるでしょう。
弁護士は唯一面会が可能な頼もしい味方として、あなたの心の支えになります。
交渉を代行する
弁護士に被害者との示談交渉の委任が可能です。名誉毀損は親告罪なので被害者が告訴を取り下げれば、刑事手続はこれ以上進まなくなり、検察官は不起訴処分を決めます。
そのため、弁護士は示談が成立するよう、被害者と粘り強く話し合いを継続します。
時には被害者側から法外な示談金額を要求されるかもしれません。しかし、弁護士は理性的に被害者側と交渉し、示談金額の減額に努めます。
あなたと相手方双方が、納得できる示談内容となるように調整を図っていきます。
法的なアドバイスをもらえる
示談交渉がうまくいかず検察官から起訴された場合、弁護士は刑事裁判でどのように主張していけばよいのかを、あなたに助言します。
裁判では被告人であるなたが初犯である事実、あなた自身が名誉毀損をした事実について認め、後悔と謝罪の意思を示していると、あなたの立場にたった弁護を行うことでしょう。
たとえ有罪判決が言い渡される可能性は高くとも、執行猶予付き判決、刑の減軽を得るため、最後まで尽力します。
損害賠償請求への対応をする
弁護士は損害賠償請求に関する対応も行います。
被害者から刑事告訴の他、民事裁判で損害賠償請求訴訟を提起される場合もあるでしょう。加害者であるあなたは被告側となりますが、訴訟での主張、証拠提出は弁護士に任せられます。
判決前に裁判所から和解を進められる場合も多いので、あなたや相手方が和解案に納得したなら、合意しても構いません。
名誉毀損での逮捕なら春田法律事務所にお任せを
今回は名誉毀損問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、名誉毀損で逮捕された場合の対応方法等を詳しく解説しました。
春田法律事務所は、示談交渉に豊富な実績を有しています。名誉毀損で逮捕された場合でも、安心して弁護士と今後の対応を話し合えます。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。