離婚調停の費用はどれくらい?内訳・節約術・よくある疑問を徹底解説
最終更新日: 2025年01月23日
- パートナーと離婚の交渉がうまくいかない。何とか和解できる方法はないだろうか?
- 調停で離婚問題を解決したい。費用は総額でどのくらいになるのだろう?
- 調停を弁護士に依頼する場合、弁護士費用が高額になると聞いた。何とか費用を安くできる方法はないだろうか?
パートナーとの協議離婚が進まない場合、家庭裁判所に場所を移し、調停による和解を目指す方法があります。
調停を行う場合、事前に提出書類を揃え、必要な費用も準備しておかなければなりません。
そこで今回は、離婚調停に詳しい経験豊富な専門弁護士が、調停に必要な費用の内訳や、弁護士費用をかけるメリット等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚調停は弁護士費用を除けば、かかる費用は手数料等だけで非常に安くすむ
- 調停で弁護士を代理人にしなければ、有利な条件で離婚できない場合がある
- 弁護士費用を支払えば、専門的なアドバイスを得られ、手続きの負担も軽減できる
離婚調停の意味と流れ
パートナーと離婚の協議がうまくいかない場合、家庭裁判所で調停による和解が可能です。
調停を利用する場合、家庭裁判所に申立てを行い、所定の費用を支払う必要があります。
離婚調停とは
調停は夫婦双方が裁判所に出席して、話し合いによる解決を図る制度です。
協議による解決が目的のため、家庭裁判所の調停委員が、合意が得られるよう調整に努め、和解を目指します。
調停では、離婚するか・しないかだけでなく、離婚後の子の親権者をどちらにするか・非親権者と子との面会交流の方法・養育費の金額・財産分与や慰謝料等の離婚給付等の問題も話し合います。
調停を経た後でなければ、裁判による離婚問題の解決は認められません(調停前置主義)。
流れ
相手方の住所地か当事者が合意で決めた家庭裁判所に、「夫婦関係調整調停(離婚)」の申立てを行います。
調停の流れは次の通りです。
1.申立てに必要な書類(申立書と写し・夫婦の戸籍謄本・年金分割のための情報通知書(必要な場合)等)を準備
2.家庭裁判所に必要書類を提出
3.2週間前後で、家庭裁判所から申立人・相手方に調停期日通知書(呼出状)が届く
4.調停開始:調停期日に双方が出席し、調停委員が言い分を聴く
5.夫婦が和解に合意した場合、裁判所は調停調書を作成する
6.調停成立から10日以内に、市区町村役場へ調停調書謄本と離婚届を提出する
申立てから調停成立(和解)または不成立となるまでに、約3〜6か月かかります。
離婚調停にかかる費用の内訳と相場
自身で独力で調停に臨む場合は、かかる費用は数千円程度ですみます。
ただし、弁護士を代理人とする場合は、別途、弁護士費用が必要です。ケースによっては、総額100万円以上の多額の費用がかかることもあるでしょう。
申立手数料
夫婦関係調整調停(離婚)の申立てを行う場合は、収入印紙1,200円分を申立書に貼る必要があります。
収入印紙は、法務局や郵便局・コンビニ等で購入できます。額面は1円〜10万円までありますが、コンビニでは200円の収入印紙しか扱っていないことが多いので、注意が必要です。
申立書に200円の収入印紙を6枚も貼り付けるのが面倒な場合は、法務局か郵便局で1,000円分と200円分の収入印紙を1枚ずつ購入し、貼るとよいでしょう。
切手
家庭裁判所への連絡用として、申立て時に予納郵便切手を納めます。
夫婦関係調整調停(離婚)の申立てに必要な切手代は、「別表第二事件、一般調停」に該当し、700円分(110円×5枚、50円×2枚、10円×5枚)が必要です。
弁護士費用
弁護士を代理人として調停に臨む場合は、弁護士費用だけで100万円以上かかる可能性もあります。
弁護士費用は、法律で「一律〇〇万円」と決まっているわけではなく、法律事務所が自由に設定できます。
主な弁護士費用は、「着手金」「成功報酬」と「日当」です。
着手金は、弁護士に依頼したときに必ず支払うものです。通常、一括で支払います。着手金は依頼内容が成功しても失敗しても、返還されません。
着手金の相場は約44万円〜66万円です。法律事務所の中には着手金不要で、依頼内容が成功したときに報酬を受け取るところもあります(完全成功報酬制)。
ただし着手金が不要でも、その分、高額な成功報酬を請求される可能性もあるので注意しましょう。
成功報酬は依頼内容が成功した場合(調停成立・勝訴等)、弁護士に支払う報酬です。
成功報酬の相場は、約11万円〜55万円です。「経済的利益の〇%」という形で報酬を設定している法律事務所もあります。
日当は、調停等のために弁護士が時間的な拘束を受けた場合に発生する費用です。
調停期日の同席や出張時に請求される可能性があります。日当の相場は1日あたり約3万円〜5万円です。
離婚調停の費用の節約術
経済的な事情から、「弁護士費用が高額で、とても弁護士に依頼できない」と悩む人も多いでしょう。
弁護士費用を抑えたい場合、法テラスや法律事務所の無料相談を利用する方法があります。
法テラスの利用
日本司法支援センター(通称:法テラス)は、離婚をはじめとした法律問題に悩む多くの人が、気軽に法律相談を受けられる窓口です(法務省所管の法人)。
法テラスでは無料相談の他、経済的に余裕のない人を対象として、「民事法律扶助制度」を設けています。
法テラスを通して弁護士に代理人を依頼した場合、離婚調停の弁護士費用の目安は、着手金8万8,000円〜13万2,000円・成功報酬6万6,000円〜13万2,000円・実費2万円となります。
概ね総額30万円未満に収まるでしょう。なお、利用者が弁護士費用を一括で支払うのではなく、法テラスが費用を立て替えて、毎月返済していく仕組みです(月額約5,000円〜1万円の返済)。
経済的な事情で弁護士費用が支払えない人には、頼もしいサービスといえるでしょう。
参考:無料法律相談・弁護士等費用の立替 | 日本司法支援センター
無料相談
法テラスの他に、法律事務所でも無料相談を行っているところがあります。
法律事務所の無料相談は、初回のみに限定される場合がほとんどです。離婚調停に関するアドバイスを受けたいときは、利用してみましょう。
また、事前に弁護士費用の見積もりを依頼できる場合があります。見積金額をみて、弁護士費用を支払えそうであれば、委任契約を締結してもよいでしょう。
なお、法律事務所によっては成功報酬が発生した場合は、分割払いに応じるところも多いです。
分割払いであれば無理なく支払えるという場合は、担当者に相談してみましょう。
離婚調停に弁護士費用をかけるメリット
調停でも弁護士費用は、かなり高額となる可能性があります。一方で、弁護士を代理人として依頼すれば、スムーズに和解を達成できる可能性が高くなります。
また、弁護士がサポート役となれば、様々なアドバイスを得られるので、精神的にも安定するでしょう。
専門的なアドバイス
弁護士から、離婚調停の進め方をはじめ様々なアドバイスを受けられます。
- 調停を有利に進めるコツ
- 証拠収集の方法
- 離婚条件を決めるときのポイント
- 離婚条件をどこまで譲歩するかの調整
- 調停不成立となった場合の対応
調停に臨むときの自分の言い分や証拠の準備、調停が不成立となった場合の対処方法もアドバイスされるので、不安や悩みを軽減できるでしょう。
手続きの負担軽減
弁護士に依頼すれば、夫婦関係調整調停(離婚)の申立ての代行も可能です。
申立書の必要事項の記載や添付書類の収集も弁護士は手慣れているので、スピーディに申立てを行えます。
自力で手続きを行うとすると、仕事や子育ての合間に、申立て手続きを済ませる必要があります。
申立てた提出書類に不備があれば、裁判所から修正や追加の要求を受けるかもしれません。弁護士が代理人となれば、面倒な手続きは全て任せられます。
有利な話し合い
弁護士が代理人となれば、調停期日に同席し、そばでアドバイスや依頼者の立場にたった主張が可能です。
弁護士は豊富な法律の知識と、過去の調停参加で培った経験をいかし、相手と交渉を行います。
説得力のある主張と、それを裏付ける証拠の提出で、有利に相手と話し合いができることでしょう。
相手も弁護士の提示する条件に納得し、和解に同意する可能性が高くなります。
親身な対応
弁護士が代理人となれば、依頼人の立場にたって離婚条件の主張を行う他、悩みや不安をヒアリングし、的確なアドバイスを行います。
調停がスムーズに進まないと、「離婚できなければどうしよう。」「子の親権が相手側にいってしまうのではないか。」等、いろいろと心配してしまうかもしれません。
しかし、弁護士は依頼人の心のケアを行いつつ、有利な調停成立のため、全力を尽くします。
弁護士は法律の面でも、精神的な面でも心強い存在となります。
離婚調停の費用に関するよくある質問
離婚調停の費用に関するよくある質問に回答します。よくある質問は、裁判所に支払う費用と、調停が長引いた場合の費用の負担です。多額の費用がかかるケースもあるので、注意が必要です。
どちらが払うのか
夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てる場合、裁判所に払う費用は基本的に申立人が支払います。
必要な費用は概ね3,000円以内に収まるので、大きな負担ではないでしょう。もちろん、相手と協議して折半してもよいです。
弁護士費用は、もちろん代理人を依頼した側が支払います。ただし、調停での和解のときに相手が納得すれば、弁護士費用を分担してもらうことも可能です。
調停が長引いた場合の費用
調停が長引いてしまうと、弁護士費用がそれだけ多額となる可能性もあるので注意しましょう。
長期化してしまうと、その分弁護士に支払う日当が多くなってしまうからです。
日当は、調停期日1回につき約3万円〜5万円が相場です。ケースによっては、調停期日が10回以上開かれる可能性もあります。
調停期日が10回ともなれば、日当だけで約30〜50万円もかかってしまうのです。ただし、法律事務所の中には、「〇回まで日当無料」と設定している事務所もあります。
法律事務所を選ぶときは、日当等の追加費用の条件もしっかり確認したうえで、判断した方がよいです。夫婦がすでに別居している場合は、「婚姻費用」が高額化する可能性にも注意しましょう。
婚姻費用とは、夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用です。たとえ別居していても、婚姻費用を分担しなければならないケースがあります。
たとえば自分の収入がパートナーより多い場合は、自分が婚姻費用を負担しなければなりません。
自身が婚姻費用を支払う側の場合、調停が長引けば、費用負担が重くなる可能性があるので、注意が必要です。
離婚調停の費用でお悩みなら春田法律事務所までご相談を
今回は離婚調停での和解に尽力してきた専門弁護士が、調停ではどれくらい費用が必要になるのか等を詳しく解説しました。
調停で最も多くかかる費用は弁護士費用です。「とても今の経済状態では、弁護士費用を支払えない」と感じたら、法テラスの民事法律扶助制度の利用を検討しましょう。
春田法律事務所は、離婚調停に実績豊富な事務所です。まずは気軽に相談し、弁護士へ調停に関する不安や悩みを打ち明けてみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。