自首すれば事件化しない?事件化する可能性とメリット・注意点を解説
最終更新日: 2025年03月09日
- 自首しても事件化されない可能性があるのだろうか?事件化されないケースがあれば知りたい。
- 自首すれば逮捕されない場合がある他、どのようなメリットがあるのだろう?
- 自首するときの注意点があれば教えてほしい。自首しない方がよいケースもあるのだろうか?
自首は自分の犯罪行為を警察に申告し、罪を償うため、今後の取り調べに誠実に応じる用意がある、という意思表示です。
ただし、事件性がない、被害届が出ていないという場合は、事件化されない場合もあります。
また、事件として扱うほどではない軽微なトラブルの場合は、警察は微罪処分とする可能性もあるでしょう。
自首を検討しているときは、前もって弁護士と相談する方がよいです。
そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた弁護士が、自首しても事件化されないケース、自首するときの注意点等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 自首をしても事件性がない、証拠がない等という場合、事件化されない可能性が高い
- 自首すれば逮捕の回避や、不起訴処分を得られる場合がある
- 自首を自分で判断するのは避け、まずは弁護士と話し合おう
自首しても事件化されないケース
罪を犯してしまったと深く反省し、警察署に自首しても事件化されない場合があります。
事件化されなければ、逮捕・留置はもちろん検察官にも送致されず、すぐに帰宅を許されるでしょう。
事件性がない
警察署に自首しても、事件性がなかったときは自首として受け付けず、帰宅を許されるケースです。
たとえば、親族間の窃盗で自首した場合などが該当します。親族間の窃盗には、親族間の犯罪に関する特例(刑法第244条)が適用され、刑が免除されます。
家族の問題は家族同士で話し合うよう、警察官に諭されるでしょう。
出典:刑法|e-GOV法令検索
被害届が出されていない
警察署に自首しても、被害届や告訴状が出ていないケースです。
警察は自首として受け付けずに、自首した本人に口頭注意や警告するだけで、帰宅を許されるでしょう。
特に親告罪(例:名誉毀損罪や侮辱罪等)は、被害者が被害届や告訴状を提出しなければ捜査は開始されません。
また、非親告罪であっても被害者の被害届がなければ、自首を認めない場合がほとんどでしょう。
たとえば、電車内で被害者のスカートの中を盗撮したが、被害者は盗撮の事実に気づかず、そのまま電車を降りたというケースです。
このような場合は、盗撮画像の消去だけでなく、警察から再犯しない旨の誓約書等の記載を要求されることもあります。
証拠がない
証拠がなくても事件性があれば、警察は捜査を開始します。
ただし、自首後に警察が捜査しても、証拠がまったく見つからなかったときは、送致されずに「微罪処分」として処理される可能性が高いでしょう。
微罪処分とは、刑事事件の捜査を警察の段階で終える手続きです。
微罪処分と決まれば警察が事件捜査を終了するため、自首した本人に対する捜査や取り調べは行われません。
自首しても事件化されるケース
重大な犯罪の自首であれば、警察は自首した本人を逮捕し、捜査を行うでしょう。
たとえば、殺人や放火のような犯罪を警察が把握しているものの、犯人が特定されていない状況で、本人が自首したケースです。
また、被害者が後から被害届を提出した場合や、新たな証拠が発見された場合も事件化されるでしょう。
そのような場合は、警察が自首した本人を任意に呼び出したり、逮捕したりする可能性があります。
自首のメリット
自首とは、証拠を隠滅し逃げ回らず、真摯に反省し償うという行動で、自首した本人にとっても様々なメリットがあります。
逮捕の回避
自首すれば、逃亡・証拠隠滅のおそれはないと判断され、在宅事件となる可能性があります。
在宅事件とは、自首した本人を逮捕・身柄拘束しないまま捜査が行われる事件です。
ただし、警察や検察からの任意の呼び出しを受けたときは、誠実に応じる必要があります。
在宅事件では、検察庁に書類送致された後、検察官から少なくとも1回程度、取り調べを受けるでしょう。
自首して在宅事件となるのは、自首した本人が初犯であり、被害者のケガや被害が軽微な事件が多いです。
実名報道の回避
自首して在宅事件として捜査が進められている場合、逮捕されていないため、実名報道はされない可能性があります。
在宅事件となれば、マスメディアが警察から情報提供を受ける可能性が低いため、実名報道されるリスクは軽減されるでしょう。
一方、殺人や放火等、重大な事件の自白であった場合、自首した本人は逮捕され、実名報道される可能性は高くなります。
家族・周りに知られずに解決
自首して在宅事件となれば、そのまま帰宅できるため、近所の人や友人・知人等に気づかれずに、問題を解決できる可能性があります。
在宅事件の場合、捜査機関から任意の呼び出しを受け、捜査に協力するのが基本です。頻繁に警察が自宅を訪れるケースは稀でしょう。
ただし、自首後は身元引受人に警察署へ迎えに来てもらう必要があります。身元引受人が家族の場合は、自首した事実が当然家族に知られてしまいます。
家族にも知られたくないのであれば、弁護士を身元引受人として指定した方がよいでしょう。
自首前に弁護士と相談し、あらかじめ代理人を依頼しておけば安心です。
不起訴処分獲得
検察官が自首を評価し、情状酌量により「不起訴処分」とする可能性があります。
捜査終了後、検察官は自首した本人(被疑者)を起訴するか、不起訴にするかを決定します。
起訴された場合、刑事裁判に移行し、公開の法廷で審理されるでしょう。
一方、不起訴が決まれば、新たな犯罪を行わない限り、逮捕や勾留されるおそれはありません。
ただし、自首すれば必ず不起訴処分となるわけではなく、検察官は次のような事実も考慮します。
- 自首した本人が初犯である
- 自首した本人が深く反省している
- 捜査には協力的だった
- 被害者の負傷の程度や被害が軽い
- すでに被害者と示談が成立し、被害届が取り下げられた
スムーズな示談交渉
自首したという事実は加害者の反省の表れとして被害者から受け入れられ、示談交渉につながる可能性があります。
示談が成立して被害者が被害届を取り下げれば、不起訴処分になる場合もあります。
ただし、加害者と被害者が直接示談交渉をすると、お互い感情的になり交渉は決裂するかもしれません。
そのため、弁護士を交渉役として、被害者との示談成立を任せた方がよいでしょう。法律に精通し、交渉経験が豊富な弁護士に任せれば、円滑に交渉が進められます。
示談交渉では主に次のような内容を取り決めます。
- 加害者は加害行為を反省し、被害者に謝罪する
- 示談金に関する決定(金額・支払方法・支払期限)
- 被害者は被害届を取り下げる
- 被害者が検察官に嘆願書を送付し、加害者に寛大な処分を求める
- 示談成立後、加害者と被害者は再び問題を蒸し返さない
示談に合意したら示談書を2通作成し、加害者と被害者双方が1通ずつ大切に保管しておきましょう。
自首するときの注意点
自首をすれば、必ずしも本人に有利な結果になるわけではありません。
自首する前に慎重に検討する必要があります。自分だけの判断では不安なときは、弁護士と相談しましょう。
犯罪が表に出る可能性も
自首しない方が事件化されずに、被害者と穏便に問題を解決できるケースがあります。
自首しようと考えている罪が親告罪だった場合、自首ではなく示談による解決を考えた方がよいでしょう。
被害者が誰かわかっているときは、速やかに示談を申し出て和解が成立すれば、被害届の提出や告訴されることもないため、事件化を避けることもできるでしょう。
自身で判断するのは危険
自分の行為が犯罪かどうか判断に迷うときは、軽率に自首することは避けた方がよいでしょう。
自分が罪を犯したと後悔していても、事件化しない可能性もあります。自首するか否かで悩むときは、弁護士に相談した方がよいです。
弁護士は法律に精通しているので、自首すべき内容かどうかを判断し、今後の対応についてわかりやすくアドバイスします。
自首で事件化を回避するためにすべきこと
「自首した方がよいか判断に悩む」「自首したいけれど方法がわからない」という場合、まず弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談すれば、自首に関する法的なアドバイスやサポートも得られます。
弁護士への相談
弁護士は自首を考えている本人の事情をよく聴いて、次のようなアドバイスを行います。
- 犯した罪は自首した方がよい罪か
- 自首した場合のメリットや注意点
- 自首後、取り調べを受けるときの注意点
- 在宅起訴になる場合の刑事手続
- 自首して逮捕・勾留されたときの弁護活動
弁護士と相談後、委任契約を締結してもよいでしょう。
弁護士が自分の代理人になれば、警察側に「証拠隠滅・逃亡のおそれはない」と説得し、逮捕回避を目指します。
自首するときに弁護士が付き添う「自首同行」、警察署から帰宅するときの身元引受人、そして被害者との示談交渉も委任できます。
弁護士に代理人を依頼するのであれば、刑事事件に強い弁護士を選びましょう。
法律事務所のホームページ・サイト上で、具体的な相談実績や、自首に関する話題、刑事手続の流れなどが具体的に掲載されているのかを確認して選任するのがよい方法です。
自首同行
依頼者本人が希望すれば、弁護士が自首に同行できます。
弁護士に付き添われて自首できれば、警察での手続きを任せられる他、不安も軽減できるでしょう。
自首同行の手順は次の通りです。
2.準備が整ったら、弁護士から警察に自首する旨を連絡
3.弁護士が担当者と自首する日時を調整
4.決めた日時に本人が弁護士とともに警察署へ自首
5.自首が受理されれば、取調官の取り調べに移る
自首後の取り調べは1〜2時間程度となるでしょう。弁護士は警察署内で待機するため、取調官からの質問の返答に迷ったときは、弁護士と相談できます。
自首後に逮捕されない場合、弁護士が身元引受人となるため、本人は家族に知られず自宅へ戻れます。
自首しても事件化されないために
今回は数多くの刑事事件を担当してきた弁護士が、自首しても事件化されない可能性や、自首するときの注意点等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は、刑事事件の示談交渉や弁護活動に力を入れている法律事務所です。自首に関して不安があるときは、弁護士に相談しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。