不倫相手に慰謝料請求できる?条件・相場・請求手順を弁護士が解説
2026年06月11日

配偶者が不倫をした場合、慰謝料の請求先は「配偶者だけ」ではありません。不倫相手(第三者)に対しても、条件を満たせば慰謝料を請求できます。
ただし、不倫相手への請求は「知っていたか(故意・過失)」という要件が関係するため、無条件に請求できるわけではありません。
本記事では、不倫相手への慰謝料請求が認められる条件・相場・請求の流れを弁護士が解説します。
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不倫相手に慰謝料請求できる3つの条件
不倫相手(配偶者以外の第三者)への慰謝料請求は、不法行為(民法709条)に基づきます。以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
条件 | 内容 | 注意点 |
①不貞行為があった | 配偶者と不倫相手の間に肉体関係(性的関係)があったこと | デートや食事のみでは不貞行為と認められない |
②故意または過失があった | 不倫相手が「相手が既婚者であること」を知っていた、または知り得た状況だったこと | 「独身と聞いていた」でも過失と判断されるケースあり |
③時効が完成していない | 不倫の事実と相手を知った日から3年以内であること(民法724条) | 3年を超えると原則として請求できなくなる |
「知らなかった」は免責にならない場合がある
不倫相手が「既婚者とは知らなかった」と主張しても、過失(知り得た状況での不注意)があれば慰謝料責任を負います。
たとえば、相手が結婚指輪をしていた・SNSに家族の投稿があった・友人から既婚者と聞いていた、といった状況では「知り得た」と判断されることがあります。一方で、「独身と積極的に偽られた」「確認できる事情が一切なかった」場合は免責になることもあります。この判断は証拠と状況によって異なるため、弁護士への相談が重要です。
不倫相手への慰謝料相場
慰謝料の金額は、不倫の期間・深刻度・離婚の有無などによって大きく変わります。以下が一般的な相場の目安です。
状況 | 慰謝料の目安 |
離婚しない・不倫期間が短い(1年未満) | 50〜100万円 |
離婚しない・不倫期間が長い(1年以上) | 100〜150万円 |
離婚する・不倫期間が短い | 100〜200万円 |
離婚する・不倫期間が長い・悪質 | 150〜300万円 |
妊娠・出産があった | 上記に50〜100万円程度加算 |
※これらはあくまで目安です。実際の金額は事案の詳細・交渉の結果・裁判所の判断によって異なります。
慰謝料を増減させる主な要素
増額につながる要素 | 減額につながる要素 |
不倫関係が長期間継続していた | 不倫期間が短い・1回のみ |
既婚者と知りながら積極的に関係を続けた | 既婚者と知らなかった(かつ過失が軽微) |
妊娠・中絶・出産があった | 不倫発覚後すぐに関係を断った |
夫婦関係が良好だったのに破壊された | 夫婦関係がすでに悪化していた |
不倫相手が関係解消に応じない・連絡を無視する | 不倫相手が深く反省・謝罪している |
不倫慰謝料の示談金の相場や金額の決まり方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
配偶者と不倫相手、両方に請求できる?
結論からいうと、配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求することは可能です。二人は「共同不法行為」(民法719条)として連帯して責任を負うためです。
「二重取り」にはならない仕組み
ただし「配偶者から100万円・不倫相手から100万円で合計200万円」という二重取りはできません。判例上、慰謝料は「損害の総額」を上限として、配偶者と不倫相手が連帯して支払う義務(不真正連帯債務)を負う関係です。
たとえば裁判所が認めた損害額が150万円であれば、配偶者・不倫相手のどちらから受け取る方法でも合計150万円が上限になります。一方から全額回収できれば、もう一方への請求は終了します。
求償権の問題
一方(たとえば不倫相手)が全額支払った場合、不倫相手は配偶者に対して「あなたにも責任があるから一部負担してください」と求償(請求)できます(求償権)。これは配偶者と不倫相手の間の内部的な問題であり、あなたの慰謝料請求自体には影響しません。
なお示談書に「求償権を行使しない」旨の条項を入れることで、不倫相手が配偶者に求償することを防ぐことも可能です。弁護士に依頼することで、こうした細かい条項も適切に対応できます。
不倫相手への慰謝料請求の流れ
不倫相手への慰謝料請求は、一般的に以下のステップで進みます。
ステップ | 内容 | 目安期間 |
①証拠収集 | ラブホテルの写真・性的なLINE・探偵報告書など不貞行為の証拠を確保 | 〜数週間 |
②弁護士に相談 | 証拠の評価・請求額の見通し・戦略の立案 | 1〜2週間 |
③内容証明の送付 | 弁護士名義で慰謝料を請求する内容証明を送付 | 送付後2〜4週間で返答 |
④示談交渉 | 相手・相手弁護士と金額・条件を交渉。合意したら示談書を締結 | 1〜3カ月 |
⑤調停 | 示談がまとまらない場合、家庭裁判所に申立て | 3〜6カ月 |
⑥訴訟 | 調停不成立の場合、地方裁判所・簡易裁判所に提訴 | 6カ月〜1年以上 |
多くのケースは④示談交渉の段階で解決します。
弁護士名義の内容証明を受け取った不倫相手は、訴訟リスクを避けるため示談に応じることが多いためです。
請求の第一歩となる内容証明郵便の書き方や法的効力については、こちらの記事で詳しく解説しています。
示談書に盛り込むべき主な条項
条項 | 内容 |
慰謝料の金額・支払期限 | 一括払いか分割払いかも明記する |
接触禁止条項 | 今後、配偶者および家族への接触を禁止する |
口外禁止条項 | 合意内容・不倫の事実を第三者に口外しない |
求償権放棄条項 | 不倫相手が配偶者へ求償しないことを約束させる |
違反した場合のペナルティ | 条項に違反した場合の追加支払いを定める |
弁護士に依頼するメリット
不倫相手への慰謝料請求は、自分で行うことも不可能ではありませんが、弁護士に依頼することで以下のメリットがあります。
メリット | 内容 |
証拠の評価・戦略立案 | 手元の証拠で請求可能か・追加収集が必要かを判断 |
相手との直接交渉が不要 | 精神的ストレスを軽減。弁護士が窓口になる |
適正な慰謝料額の獲得 | 相場を踏まえた交渉で増額につながるケースが多い |
示談書の適正な作成 | 求償権放棄・接触禁止など重要条項を漏れなく盛り込む |
不倫相手が弁護士を立てた場合も対応 | 弁護士同士の交渉になっても対等に対応できる |
不倫問題で弁護士に依頼するメリットや費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
よくある状況と対応例
「独身と聞いていた」と主張する不倫相手から慰謝料を回収したケース
状況
配偶者と不倫相手の関係が発覚。不倫相手は「既婚者とは知らなかった、独身と言われていた」と主張し、慰謝料の支払いを拒否した。証拠はLINEのスクリーンショットと通話記録のみだった。
対応
弁護士が証拠を精査したところ、不倫相手のSNSに配偶者との旅行写真が複数投稿されており、配偶者のプロフィールには「既婚者」であることを示す情報が残っていた。また二人の通話が深夜・早朝に集中していたことも確認。「知り得た状況にあった(過失あり)」として弁護士名義の内容証明を送付した。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
配偶者と不倫相手の両方から慰謝料を回収したケース
状況
3年以上続いていた不倫が発覚。配偶者との離婚を決意し、配偶者・不倫相手の両方への慰謝料請求を希望した。証拠は探偵の調査報告書(ラブホテル入退出写真複数回分)があった。
対応
弁護士が配偶者・不倫相手の双方に内容証明を送付し、並行して交渉を開始。配偶者とは離婚協議の中で慰謝料・財産分与をまとめて解決し、不倫相手とは別途示談交渉を実施。示談書に求償権放棄条項を明記した。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
よくある質問(FAQ)
Q:不倫相手の住所がわからなくても請求できますか?
A:弁護士に依頼すると、職場住所や調査会社を通じて送付先を特定する方法があります。また内容証明を職場に送付することも法的には可能ですが、プライバシーへの配慮が必要です。まず弁護士に相談することをおすすめします。
Q:不倫相手に「お金がない」と言われた場合はどうなりますか?
A:資力がないことは慰謝料請求の妨げにはなりません。分割払いで合意することや、支払いが滞った場合に備えて強制執行認諾条項付きの公正証書を作成することで対応できます。また訴訟で勝訴判決を得れば給与や預金の差押えも可能です。
Q:不倫が終わって数年経っていますが、まだ請求できますか?
A:不倫の事実と相手を知った日から3年以内であれば請求可能です(民法724条)。ただし時効が近い場合は内容証明(催告)で6カ月間延長できます。また不倫行為から20年が経過すると時効(旧・除斥期間)によって請求権が完全に消滅します。まず弁護士に時効の状況を確認することをおすすめします。
Q:不倫相手が既婚者だと知っていた証拠はどうやって示しますか?
A:SNSのプロフィール・共通の知人からの証言・結婚指輪が映った写真・家族の話が出てくるLINEのやり取りなどが有効です。また「独身だと積極的に偽られた」という事情がなければ、調査すれば知り得た状況として過失が認められるケースも多いです。弁護士に証拠を評価してもらうのが確実です。
Q:相手が「肉体関係はなかった」と嘘をついた場合、どう対抗しますか?
A:ラブホテルへの出入り写真(滞在時間が分かるもの)や、性交渉があったことを前提とするLINEのやり取り、旅行の宿泊履歴などは強い証拠になります。
手元の証拠で「不貞行為」を立証できるかどうかは、弁護士が精査すればすぐに判断が可能です。相手が嘘をついている段階で感情的に問い詰めると、証拠を隠滅されるリスクがあるため、まずは弁護士に証拠を見せてください。
不倫の事実を立証するための証拠収集の方法や、探偵に依頼する場合の費用相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
Q:配偶者に慰謝料を請求すると、不倫相手への請求はできなくなりますか?
A:なりません。配偶者と不倫相手は共同不法行為として連帯して責任を負うため、双方に請求できます。ただし受け取る慰謝料の総額は「損害の総額」を超えることはできません。配偶者から全額回収した後に不倫相手への請求を続けることはできません。
Q:弁護士費用はどのくらいかかりますか?
A:一般的に着手金(10〜30万円程度)と成功報酬(回収額の10〜20%程度)がかかります。ただし事務所によって料金体系は異なります。弁護士費用を差し引いても十分なメリットがあるかは、回収見込み額と合わせて初回相談で確認することをおすすめします。春田法律事務所では初回相談無料です。
まとめ
不倫相手への慰謝料請求について重要なポイントを整理します。
ポイント | 内容 |
請求できる条件 | ①不貞行為あり ②既婚者と知っていた(故意・過失) ③時効3年以内 |
「知らなかった」は要注意 | 過失(知り得た状況)があれば責任を負う。証拠と状況次第で判断 |
慰謝料の相場 | 50〜300万円。離婚の有無・不倫期間・悪質性で変わる |
配偶者との両方請求 | 可能。ただし慰謝料の総額(損害額)を超える二重取りはできない |
求償権への対応 | 示談書に求償権放棄条項を入れることで配偶者への求償を防げる |
請求の流れ | 証拠確保→弁護士相談→内容証明→示談交渉→調停→訴訟 |
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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