建築アスベスト給付金の受け取り方と申請の流れ|専門家に相談する重要性
2025年08月14日
アスベストによる健康被害は、発症まで数十年かかることが多く、診断を受けたときには既に長年仕事を離れている方も少なくありません。突然の病気の宣告は身体的にも精神的にも大きな負担となり、治療費や生活費の心配も出てきます。
こうした方やご遺族を支える制度が建築アスベスト給付金です。
給付金を受け取れば、治療や生活の負担を大きく軽減できます。しかし、申請には過去の職歴や曝露歴を証明する書類、複雑な申請手続きが必要です。
この記事では、建設アスベスト給付金制度の概要・対象者・申請の流れ・弁護士に依頼するメリットを分かりやすく解説します。
建築アスベスト給付金制度とは
建設アスベスト給付金制度は、建材や断熱材として長年使用されていたアスベストにより健康被害を受けた方、そのご遺族を支援するために設けられた制度です。
アスベストは非常に細かい繊維で、一度吸い込むと肺に残りやすく、中皮腫や肺がんといった重篤な病気の原因になることがあります。こうした病気は潜伏期間が長く、曝露してから20年〜40年経過してから発症するケースも多くあります。
建設アスベスト給付金は病状と存命・死亡によって550万円から1300万円の支給金額が設定されてます。
主な制度は以下の2種類です。
- 特別一時金:アスベストが原因で病気になった本人に支給される
- 特別遺族給付金:アスベストが原因で亡くなった方の遺族に支給される
なお、その他の制度として労災給付や石綿健康被害救済制度も併用できる場合もあります。
給付金を受け取るためには病気とアスベストとの因果関係を証明しなければなりません。
過去の勤務記録や現場資料が必要ですが、数十年前の職歴を証明するのは難しいこともあります。そのため、専門知識を持つ弁護士のサポートを受ける方が増えています。
給付金の対象者と必要書類
対象となる方
医師から下記いずれかの診断を受けた方
- 中皮腫
- 肺がん
- 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
- 石綿肺(じん肺管理区分が管理2~4)
- 良性石綿胸水
下記期間に対応する業務を行っていた方
- 1972年10月1日~1975年9月30日:石綿の吹付け作業に係る建設業務
- 1975年10月1日~2004年9月30日:一定の屋内作業場で行われた作業に係る建設業務
アスベストが原因で亡くなった方の遺族
必要書類の例
- 医師の診断書
- 雇用保険記録など勤務先の記録
- 建設現場での作業日報、写真など
- 戸籍謄本や住民票など身分関係を示す書類
しかし、これらの書類を自力で集めるのは容易ではありません。既に会社が廃業していたり、当時の資料が残っていないケースも多いのです。
そこで、弁護士や専門機関のサポートが役立ちます。過去の職場を調査し、資料を集めるノウハウがあるため、受給の可能性が大きく広がります。
申請の流れと注意点
基本的な流れ
- 医師に所定の様式で診断書(意見書)を作成してもらう
- 過去の職歴・曝露歴を確認し、必要書類を揃える
- 厚生労働省に申請書を提出
- 書類審査
- 給付金の決定と支給
注意点
- 時効に注意:診断や死亡から20年以内に申請しなければならない
- 証明が不十分だと不支給になる
- 申請手続に時間がかかり過ぎると給付を得るまでに長期を要する
こうしたリスクを回避するためには、初期の段階から専門家に相談することが重要です。弁護士であれば、期限が迫っている案件でも迅速に動いてくれます。
よくある状況と対応例
中皮腫を発症した元内装工の男性
60代まで建設現場で内装工として働いていた男性が70代で中皮腫を発症。すでに勤務先は廃業していました。
弁護士に依頼したところ、元代表者の連絡先を調査し、建設建築アスベスト給付金の協力を獲得することができました。当時の業務に関する資料や元代表者の証言を基に曝露歴を証明しました。
その結果、1150万円の給付金を受給できました。
肺がんで夫を亡くした遺族の女性
60代女性は、空調設備工といて働いていた夫が肺がんで亡くなったあと、アスベストが原因ではないかと疑い弁護士に相談しました。
死亡から2年を経過していましたが、弁護士が元勤務先に協力を依頼して必要書類を収集して申請した結果、依頼から約1年後に1300万円の給付金を受給しました。
このように本人が他界している場合には資料収集の難易度が高まりますが、弁護士が介入することで結果を得られる可能性が高まります。
弁護士に相談するメリット
建築アスベスト給付金の申請では、数十年前の現場資料を集めることが大きな課題になります。
例えば、当時勤務していた会社が既に廃業していたり、古い資料が廃棄されているケースは珍しくありません。弁護士に相談すれば、こうした難しい証明作業を専門的な知見で調査を代行してくれます。
弁護士ができることの具体例
勤務先・建設業務の調査
廃業した会社や当時の建設現場の情報を、関係機関を通じて調査し、アスベスト曝露を裏付ける資料を集めます。
証拠書類の整理・作成
診断書や住民票といった基本書類だけでなく、注文書・請書、作業日報、元同僚の証言など複数の証拠を組み合わせて書類を作成します。
書類不備を防ぐ
申請書の書き方ひとつで不支給になるリスクもあります。弁護士は過去の事例を踏まえて適切な記載内容を判断し、不支給や減額の可能性を最小限に抑えます。
期限間際の対応
時効ギリギリの場合でも、優先度を上げて迅速に動いてくれるため、期限切れで権利を失うリスクを避けられます。
代理での手続き
仕事で忙しい、体調が悪く動けない場合でも、委任により弁護士が代理で申請を進めてくれるため、負担が大幅に軽減されます。
よくある質問(FAQ)
Q. 給付金の対象になるかわかりません
診断された病気や過去の仕事の内容により対象か判断します。まずは弁護士や専門機関に相談し、対象かどうかを確認することが大切です。
Q. 亡くなった家族のために申請できますか?
可能です。死亡から20年以内であれば建設建築アスベスト給付金の対象となります。
Q. 必要書類が見つからない場合は?
弁護士が調査を行い、会社の記録や関係資料を探します。資料が見つからなくても、証言や間接証拠を活用して立証できる場合があります。
Q. 申請から給付までどのくらい時間がかかりますか?
申請から約1年で支給されることが多いです。ただし、資料が不足している場合は時間がかかることもあります。また、事前に労災認定を受けている場合には、申請から3か月ほどで支給される場合もあります。
Q. 弁護士費用は高額ではありませんか?
多くの事務所では相談料無料・成功報酬制を導入しているため、初期費用の負担はありません。まずは相談して見積もりを確認するのがおすすめです。
まとめ
建築アスベスト給付金は、被害を補償し、治療や生活を支える大切な制度です。
しかし、申請には過去の職歴証明や因果関係の立証が必要で、個人で対応するのは難しい場合が多くあります。弁護士に相談すれば、複雑な調査や書類作成を代行してもらえるため、受給の可能性を高められます。
時効による期限もあるため、早めの相談・準備が重要です。迷ったときは一人で悩まず、専門家に相談してみてください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。