トレントの開示請求:「弁護士がいないと不利」は本当か?徹底解説

最終更新日: 2025年11月11日

トレントの開示請求:「弁護士がいないと不利」は本当か?徹底解説

トレント(Torrent)などのファイル共有ソフトを利用していたところ、突然プロバイダから「発信者情報開示請求に関する意見照会書」が届き、どう対応すべきか分からず不安に感じている方が増えています。

実際、このような通知は単なる「確認書」ではなく、放置したり誤った対応を取った場合、高額な損害賠償請求や刑事事件化といった深刻な結果を招くこともあります。

結論から申し上げると、トレント関連の開示請求においては、著作権法やプロバイダ責任制限法に精通した弁護士のサポートがないと、著しく不利な立場に追い込まれるリスクが高いです。

以下では、なぜ弁護士の有無で結果が大きく変わるのか、そしてどのように対応すれば被害を最小限に抑えられるのかを詳しく解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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弁護士がいないと不利になりやすい理由

トレントを利用した場合の開示請求や示談交渉は、単なる「話し合い」ではなく、先例やその後の法的手続の見通しなどを考慮して行う駆け引きの場です。

ちょっとした判断ミスが後々の交渉を大きく不利にするため、早い段階での正確な対応が不可欠です。

初期対応の失敗が「不利な証拠」になることも

プロバイダから届く意見照会書への回答は、開示の可否や今後の交渉方針を大きく左右します。

不適切な回答による不利な自認

「同意する」「拒否する」といった選択や、その理由付けを誤ると、自分が著作権侵害をしたと認めてしまうような記載になってしまうことがあります。

また、争う余地のないにもかかわらず自身の判断で開示に同意しないと回答してしまうことによって、その後の示談交渉や法的手続きにおいて不利な立場に立たされる可能性があります。

回答期限を過ぎると自動的に不利になる可能性

意見照会書には期限があり、これを放置すると「同意しない」として開示手続きが進んでしまうケースがほとんどです。

そして、一度開示されてしまうと、著作権者側が裁判や損害賠償請求を起こす可能性が格段に高まり、対応が後手に回ってしまいます。

示談の対応力不足

著作権者側が提示する示談金の金額は、賠償相場よりも高いことがあります。一方で相場の範囲内の場合もあります。

一般の方が個人で交渉すると、その金額が適正かどうかの判断もつかず、言われるままに支払ってしまうケース、反対にそれ以上の減額が難しいのに争ってその後に裁判になってしまうケースが後を絶ちません。

知識・経験の差

弁護士がいない場合、その示談金額で示談すべきなのか、示談するとしてもどのような条件で示談すべきなのかといった点について的確な判断ができません。弁護士がいれば最適な示談をすることができます。

請求に根拠があるのか見抜けない

トレントに関する請求の中には、その法的根拠が成り立たない可能性が高いケースもあります。そのような場合、果たして本当に法的根拠として成り立つものであるのかどうか弁護士でないと判断が困難です。

民事訴訟・刑事事件化のリスクを正しく管理できない

トレント関連の開示請求は、対応を誤ると損害賠償訴訟や刑事事件に発展することがあります。

訴訟リスクの増大

意見照会書を放置したり、開示後の対応を怠った場合、著作権者側が裁判所に開示命令を申し立て、最終的に損害賠償請求訴訟に至るケースがあります。

裁判に発展すると、金銭的負担だけでなく、社会的信用にも影響を及ぼすことがあります。

刑事罰の回避

著作権侵害は、悪質と判断されれば刑事罰の対象にもなり得ます。

弁護士が示談を適切にまとめることで、被害届や告訴の取り下げにつながることも多く、刑事事件化を未然に防ぐ可能性が高まります。

弁護士に依頼する主なメリット

トレントの開示請求対応では、弁護士の存在が「防御」と「交渉」の両面で大きな力になります。

専門的な視点からの対応方針策定

弁護士は、法的リスクと交渉上のメリット・デメリットを踏まえ、開示に同意すべきか拒否すべきか、どのような根拠で対応すべきかを明確にします。

交渉を一任できる安心感

弁護士が窓口となることで、著作権者側の代理人からの電話・メール・書面での直接の連絡が止まり、依頼者は心理的な負担から解放されます。

「相手と話すのが怖い」「どう返答していいかわからない」といったストレスを感じる必要がなくなります。

賠償金額の適正化と早期解決

弁護士は、先例や実務相場を踏まえ、不当な高額請求に対しては減額を求め、適正な金額で示談を成立させます。

また、示談がスムーズに成立すれば、訴訟や刑事告訴に発展する前に問題を終結させることが可能です。

よくある状況と対応例

誤った対応で不利な立場に

40代男性(会社員)は、AVのダウンロード(アップロード)を理由とする発信者情報開示請求の意見照会書に対して、実際は心当たりはあったものの「身に覚えはない」と記載して回答書を返送しました。

その後、裁判所の決定によって発信者情報は開示されました。回答書を返送してから1年以上経ったある日、突然警察官が複数人で家宅捜索に来ました。何事も無く終わったものと思っていたので大変驚き、即座に弁護士に相談して、相手方との示談交渉を依頼しました。

示談は成立して刑事告訴は取り下げられましたが、刑事告訴の手続きまで進んでいる案件であったため通常の示談金額よりも高い金額での示談となりました。

裁判まで発展したが、弁護士が損害額を大幅に減額

50代男性(公務員)は、トレントで映画を数本ダウンロードしたとされ、開示請求後に著作権者から200万円の損害賠償を求める訴訟を提起されました。

裁判になるとは思っていなかったことから即座に弁護士に示談の対応を依頼しました。示談は成立しましたが、裁判の準備と費用が相手にはかかっていたことから通常よりも高い示談金額での示談となりました。

 

※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。

FAQ(よくある質問)

Q. トレントの開示請求が来たけど、「放置」や「自己対応」でも大丈夫?

A: 放置は絶対に避けてください。開示手続きが自動的に進み、その後に刑事告訴や裁判に進む恐れがあります。放置すれば相手が諦めるということはまずありません。

Q. 弁護士に依頼するタイミングはいつがベスト?

A: 意見照会書が届いた時点ですぐが理想です。回答期限内であれば、弁護士が文面の作成やその助言を行い、示談すべき案件は速やかに示談を成立させるなど最も有利な形で対応できます。

Q. 裁判になったらどうなりますか?

A: 裁判では、ダウンロードの事実・範囲・被害額などが問われます。弁護士がいれば、立証不足や損害額の妥当性を徹底的に争うことができ、大幅な減額につながることを期待できます。

まとめ

トレントを巡る開示請求は、対応を誤ると「高額な賠償」や「刑事事件化」といった深刻な結果につながる可能性がありますので極めて慎重な対応が求められます。

弁護士に依頼すれば、

  • 不利にならないための的確な初期対応
  • 精神的負担を軽減する交渉代理
  • 相場に基づいた適正な示談金での早期解決

が期待できます。

もし開示請求や示談金請求に関する通知が届いた場合は、決して放置せず、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが何より重要です。迅速な初動が、今後の結果を大きく左右します。

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