後遺障害等級(1級〜14級)の違いとは?症状別の認定基準と慰謝料の差

2026年02月27日

後遺障害等級(1級〜14級)の違いとは?症状別の認定基準と慰謝料の差

「むちうちで半年通院したけれど、何級になるのだろうか?」

「等級が1つ違うと、もらえる慰謝料はどれくらい変わるの?」

交通事故でお怪我をされ、治療を続けても症状が残ってしまった場合、「後遺障害(こういしょうがい)」の認定手続きを行います。

後遺障害には、症状の重さに応じて「1級から14級までの等級」が定められており、どの等級に認定されるか(あるいは非該当になるか)によって、最終的な示談金は数百万円、重傷の場合は数千万円単位で大きく変わります。

この記事では、後遺障害等級の違いや代表的な症状ごとの目安、そして等級によって慰謝料がどれほど違うのかを、弁護士がわかりやすく解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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後遺障害の等級(1級〜14級)とは?全体像を解説

交通事故の後遺障害等級は、自賠責保険の基準によって「第1級」から「第14級」までの14段階に分類されています。

  • 第1級: 最も症状が重く、常に介護が必要な状態(植物人間状態、両目の失明など)
  • 第14級:後遺症が残ったとしても、 最も症状が軽いものもの(むちうちの痛みやしびれなど)

数字が小さくなるほど症状が重く、受け取れる賠償金(慰謝料や逸失利益)も高額になります。

また、複数の後遺障害が残った場合は「併合(へいごう)」といって、等級が繰り上がる等(例:14級が2つで併合14級、13級以上が複数あると重い方の等級が1〜3級繰り上がる)のルールがあります。

【症状別】よくあるケガの後遺障害等級の違い

「自分の症状はどの等級になる可能性があるのか?」

交通事故で特に多い代表的な症状について、認定されやすい等級の違いを見ていきましょう。

むちうち(首の痛み、手のしびれなど)

追突事故などで最も多い「むちうち(頸椎捻挫・腰椎捻挫)」の場合、主に以下の2つの等級のいずれかになります。

  • 第14級9号(局部に神経症状を残すもの): レントゲンやMRIで異常がはっきり写らないが、通院実績や症状の一貫性から、痛みの存在が医学的に「説明・推定できる」場合。むちうちの多くがここを目指します。
  • 第12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの): MRI画像などで神経の圧迫がはっきりと確認でき、痛みの原因が医学的に「証明できる」場合。14級よりもハードルが高くなります。

骨折・関節の動かしづらさ(機能障害)

腕や脚の骨折などで、関節が曲がりにくくなった(可動域制限)場合の等級です。健側(ケガをしていない方の関節)と比べて、どのくらい動かなくなったかで等級が変わります。

  • 第12級6号・7号: 関節の可動域が、健側の「4分の3以下」に制限された場合。
  • 第10級10号・11号: 関節の可動域が、健側の「2分の1以下」に制限された場合。
  • 第8級6号・7号: 関節が全く動かなくなった、または健側の「10%程度」しか動かなくなった場合。

顔や体の傷跡(外貌醜状・がいぼうしゅうじょう)

交通事故によって、顔や首、手足に目立つ傷跡(瘢痕)が残ってしまった場合の等級です。傷の大きさで決まります。

  • 第12級14号: 顔に「長さ3cm以上」の線状痕、または「10円玉大(直径2cm)」以上の傷跡が残った場合。
  • 第9級16号: 顔に「長さ5cm以上」の線状痕。
  • 第7級12号: 顔に「鶏卵大」以上の傷跡や10円銅貨大以上の組織の陥没が残った場合。

等級が違うと「もらえるお金(慰謝料)」はいくら違う?

後遺障害の等級が認定されると、これまでの「入通院慰謝料」に加えて、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益(将来の収入減の補償)」という高額な賠償金が加算されます。

等級が違うだけで、金額はどれくらい変わるのでしょうか。「弁護士基準(裁判所基準)」で後遺障害慰謝料の相場を比較してみましょう。

  • 非該当(認定されない): 0円
  • 第14級(むちうち等): 110万円
  • 第12級(骨折後の痛みなど): 290万円
  • 第10級(関節の機能障害など): 550万円
  • 第8級(関節の用廃など): 830万円
  • 第1級(要介護など): 2,800万円

いかがでしょうか。

例えば、同じむちうちでも「非該当なら0円」「14級なら110万円」「12級なら290万円」と、雲泥の差が出ます。さらに、ここに「逸失利益」が加わるため、実際の賠償金総額の差は数百万円に及びます。

適切な等級を獲得するための2つの鉄則

本来なら12級がもらえるはずの症状なのに、対策を知らなかったばかりに14級や「非該当」になってしまい、損をしてしまう被害者が多くいらっしゃいます。適切な等級を獲得するためには、以下の鉄則を守ってください。

後遺障害診断書は「医師任せ」にしない

審査は提出された書類(診断書)のみで行われます。医師は治療のプロですが、認定のプロではありません。自覚症状や必要な検査結果(MRIや神経学的検査など)が漏れなく記載されているか、提出前に専門家(弁護士)のチェックを受けることが必須です。

申請は「被害者請求」で行う

加害者側の保険会社に手続きを任せる「事前認定」は、被害者に有利な資料をつけてくれないため、低い等級になりがちです。弁護士に依頼して、被害者側で必要な証拠を徹底的に集めて申請する「被害者請求」を行うことで、適正な等級を獲得できる確率が跳ね上がります。

後遺障害の等級に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、被害者の方から多く寄せられる等級に関する具体的な疑問にお答えします。

Q.むちうちで14級と12級の違いは何ですか?

痛みの原因が「画像で証明できるか(12級)」、「推定にとどまるか(14級)」の違いです。

MRI画像ではっきりと神経が圧迫されている所見があり、かつ神経学的検査の結果と自覚症状が完全に一致していれば「他覚的に証明できる」として12級が認定される可能性があります。画像に明確な異常がなくても、事故の規模や通院実績から「痛みがあるのはもっともだ」と推定されれば14級となります。

Q.すでに保険会社任せ(事前認定)で14級の認定結果が出ました。本当は12級だと思うのですが、今から等級を上げることはできますか?

はい、「異議申し立て」を行うことで結果を覆せる可能性があります。

ただし、同じ書類を再提出しても結果は変わりません。なぜ12級にならなかったのかを分析し、新たなMRI画像の撮影や、医師に詳しい医学的意見書を作成してもらうなど、「12級に該当する新たな証拠」を提出して異議申し立てを行う必要があります。専門的な手続きになるため、弁護士へご相談ください。

Q.事故のときは痛みがなかったので警察では「物損事故」のままです。半年経った今、むちうちで14級の申請はできますか?

いいえ、物損事故のままでは、どんなに症状が重くても後遺障害(1〜14級すべて)の申請はできません。

後遺障害の申請は、法的にケガ人が出た「人身事故」であることが絶対条件です。審査機関は「物損程度の軽い事故で後遺障害が残るわけがない」と判断するため、入り口で弾かれてしまいます。もし現在も物損事故のまま通院されている場合は、早めに、病院の診断書を持って警察で「人身事故への切り替え」を行ってください。

納得のいく等級認定・慰謝料獲得は弁護士にご相談を

「自分の症状だと何級になるのか知りたい」

「保険会社から症状固定と言われたが、これからどう手続きすればいいかわからない」

後遺障害の等級認定は、人生を左右するほど重要な手続きです。申請の準備は「症状固定(治療終了)」になってから慌てて行うのではなく、「治療中」の早い段階から、必要な検査や通院頻度のアドバイスを弁護士から受けておくことが、適正な等級獲得への最大の近道です。

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