交通事故の慰謝料相場|入通院・後遺障害・死亡の計算方法と弁護士基準【早見表つき】

最終更新日: 2026年06月11日

交通事故の慰謝料相場はいくら?計算方法と適正金額(弁護士基準)を受け取るポイント

交通事故の慰謝料は、大きく分けて「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類があります。

そして同じケガ・同じ通院期間でも、どの「基準」で計算するかによって金額は2〜3倍変わることがあります。保険会社が最初に提示する金額は、必ずしも裁判で認められる水準(弁護士基準)とは限りません。

この記事では、3種類の慰謝料それぞれの相場と計算方法を、通院期間別の早見表後遺障害の等級別一覧を使って整理します。あわせて、慰謝料以外に請求できる損害や、適正な金額を受け取るためのポイントも解説します。

ここで紹介する金額は、過去の裁判例をもとにした一般的な目安(弁護士基準)です。実際の金額は、ケガの内容・過失割合・個別の事情によって変わります。ご自身のケースの見通しは、無料相談でご確認いただけます。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士
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目次

交通事故の慰謝料は3種類

「慰謝料」とは、事故で受けた精神的な苦痛に対する賠償です。交通事故では、次の3つに整理できます。

  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料):ケガの治療のために入院・通院したことへの慰謝料。
  • 後遺障害慰謝料:治療を続けても症状が残り、後遺障害として認定された場合の慰謝料。
  • 死亡慰謝料:被害者が亡くなった場合の、ご本人とご遺族に対する慰謝料。

これらは別々に算定され、たとえば「入通院慰謝料+後遺障害慰謝料」のように合算されます。

なお、慰謝料は損害賠償の一部にすぎず、治療費・休業損害・逸失利益なども別途請求できます(後述)。

慰謝料額を左右する「3つの基準」

交通事故の慰謝料には、計算に用いられる3つの基準があります。どの基準を使うかで金額が大きく変わる点が、交通事故の慰謝料の最大の特徴です。

自賠責基準

自賠責保険(強制保険)が支払う、法令で定められた最低限の補償の基準です。

被害者の救済を目的とした最低保障のため、3つの基準の中で最も低くなる傾向があります。

任意保険基準

各保険会社が独自に設けている社内基準です。内容は公開されていませんが、一般に自賠責基準と同程度か、やや上回る程度にとどまることが多いとされます。

保険会社が示談交渉で最初に提示してくる金額は、この水準であることが少なくありません。

弁護士(裁判)基準

過去の裁判例の蓄積をもとにした基準で、日弁連交通事故相談センター編「損害賠償額算定基準(通称・赤い本)」などにまとめられています。

裁判をすれば認められる可能性が高い水準であり、3つの基準の中で最も高くなるのが通常です。弁護士が代理人として交渉すると、この基準を前提に話を進められます。

3つの基準でこれだけ変わる(例)

同じケガでも、基準によって金額が変わります。下表は「むちうちで通院3ヶ月(実通院日数40日)」を例にした目安です。

基準入通院慰謝料の目安
自賠責基準約34万円(4,300円 × 80日)
任意保険基準自賠責と同程度〜やや上
弁護士(裁判)基準約53万円(赤い本・別表II)

※自賠責基準は、対象日数を「治療期間」または「実通院日数×2」の少ない方で算定します(例:実通院40日×2=80日)。1日あたりの金額は2020年4月以降の事故で4,300円です。

入通院慰謝料の相場と計算方法

弁護士基準の入通院慰謝料は、入院・通院の期間に応じて算定します。むちうちなど他覚的所見の乏しい軽症かどうかで、用いる表が異なります。

  • 別表I:骨折など、通常のケガ
  • 別表II:むちうち(頚椎捻挫)・打撲など、他覚的所見の乏しい軽症

通院期間別の早見表(弁護士基準・通院のみ)

入院がなく通院のみの場合の目安です(単位:万円)。

通院期間別表I(通常のケガ)別表II(むちうち等)
1ヶ月2819
2ヶ月5236
3ヶ月7353
4ヶ月9067
5ヶ月10579
6ヶ月11689
7ヶ月12497
8ヶ月132103
9ヶ月139109
10ヶ月145113
12ヶ月154119

入院がある場合は、入院期間に応じて別表の金額がさらに上がります。具体的な金額は赤い本の各別表で算定します。

計算例(むちうち・通院3ヶ月)

  • ケガ:むちうち(別表II)
  • 通院期間:3ヶ月、実通院日数:40日

このケースの弁護士基準の入通院慰謝料は、別表IIの「通院3ヶ月」で約53万円が目安です。一方、自賠責基準では約34万円となり、弁護士基準の方が約19万円高くなる計算です。

むちうちの慰謝料は、通院の頻度や期間の取り扱いで金額が変わりやすい分野です。治療で仕事を休んだ場合は、休業損害も別途請求できます。

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後遺障害慰謝料の相場(等級別一覧)

治療を続けても症状が残り、後遺障害等級(1級〜14級)が認定されると、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料を請求できます。等級が重いほど金額は高くなります。

弁護士基準の後遺障害慰謝料 一覧

等級弁護士(裁判)基準
第1級2,800万円
第2級2,370万円
第3級1,990万円
第4級1,670万円
第5級1,400万円
第6級1,180万円
第7級1,000万円
第8級830万円
第9級690万円
第10級550万円
第11級420万円
第12級290万円
第13級180万円
第14級110万円

自賠責基準との差は大きい

たとえば最も軽い14級でも、弁護士基準は110万円であるのに対し、自賠責基準は32万円です。約3倍以上の差が生じます。

後遺障害が残る事案では、どの基準で交渉するかが金額に大きく影響します。

等級自賠責基準弁護士基準
14級32万円110万円
12級94万円290万円
9級249万円690万円
1級(介護不要)1,150万円2,800万円

そもそも後遺障害として認定されなければ、後遺障害慰謝料は受け取れません。認定の仕組みや等級ごとの違い、認定されなかった場合の対応については、関連記事もあわせてご覧ください。

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症状別の慰謝料相場の目安

慰謝料は、ケガの内容によって通院期間や後遺障害の等級が変わるため、結果として相場も変わります。代表的な症状別の目安をまとめます(いずれも弁護士基準。実際は通院状況や認定された等級によって変動します)。

症状慰謝料の目安(弁護士基準)
むちうち(通院3ヶ月)入通院 約53万円(14級認定なら+110万円)
骨折(通院6ヶ月)入通院 約116万円(後遺障害が残れば等級に応じ加算)
高次脳機能障害など重度後遺障害後遺障害 1,400万〜2,800万円規模(+逸失利益・将来介護費)
軽傷(打撲・擦過傷など/通院1ヶ月)入通院 約19万円

むちうち(頚椎捻挫)

他覚的所見が乏しい場合は別表IIで算定し、通院3ヶ月で約53万円が目安です。痛みやしびれが残り後遺障害14級が認定されれば、後遺障害慰謝料110万円が加わります。

骨折

通常は別表Iで算定します。治療・リハビリが長引きやすく、通院6ヶ月で約116万円が目安です。変形や関節の機能障害が残れば、等級に応じた後遺障害慰謝料が加算されます。

高次脳機能障害・重度の後遺障害

意識障害を伴う頭部外傷などでは、重い後遺障害(1〜5級など)に該当することがあり、後遺障害慰謝料は1,400万〜2,800万円規模になります。逸失利益や将来の介護費も大きな項目になります。

軽傷(打撲・擦過傷など)

短期間の通院で済むことが多く、別表IIをベースに算定します。通院1ヶ月であれば約19万円が目安です。

死亡慰謝料の相場(被害者の立場別)

被害者が亡くなった場合は、ご本人と近親者に対する死亡慰謝料が問題になります。弁護士基準では、被害者の家庭内での立場に応じて、おおよそ次の金額が目安とされています。

被害者の立場弁護士(裁判)基準の目安
一家の支柱2,800万円
母親・配偶者2,500万円
その他(独身者・子ども・高齢者など)2,000万〜2,500万円

※上記は近親者固有の慰謝料を含めた総額の目安として用いられることが多い金額です。自賠責基準では、被害者本人分が400万円、遺族の慰謝料が請求者の人数等に応じて550万〜750万円(被扶養者がいる場合はさらに加算)と、弁護士基準より低くなります。

死亡事故では、慰謝料に加えて死亡逸失利益も大きな項目になります。詳しくは関連記事をご覧ください。

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慰謝料以外に請求できる損害賠償項目

慰謝料は損害賠償の一部です。交通事故では、慰謝料のほかに次のような損害も請求できます。

  • 治療費・付随費用:診察・投薬・手術費、通院交通費、入院雑費など
  • 休業損害:ケガの治療で仕事を休み、収入が減ったことへの補償(専業主婦・自営業者も対象)
  • 逸失利益:後遺障害や死亡により、将来得られたはずの収入が失われたことへの補償
  • 物的損害(物損):車両の修理費、評価損(格落ち)、代車費用など

これらは慰謝料とは別枠で算定されるため、見落とすと総額が大きく変わります。休業損害の計算方法は、関連記事で詳しく解説しています。

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慰謝料が増額・減額されるケース

同じケガでも、事情によって慰謝料は増えたり減ったりします。ご自身のケースに当てはまるものがないか確認しましょう。

増額されることがあるケース

  • 加害者に飲酒運転・ひき逃げ・著しいスピード違反など、悪質・重大な過失があった
  • 加害者に反省が見られない、虚偽の主張をするなど不誠実な対応があった
  • 後遺障害により、就労や日常生活に重大な影響が生じた

こうした事情は、裁判例で慰謝料の増額が認められることがあります。

減額されることがあるケース

  • 過失相殺:被害者にも過失がある場合、その割合分だけ賠償額が減らされます。影響が大きいため、提示された過失割合が適正かの確認が重要です。
  • 素因減額:被害者の既往症や体質的な素因が損害の拡大に寄与したと判断される場合、減額されることがあります。
  • 損益相殺:すでに受け取った保険金など、二重取りにあたる分が差し引かれます。

慰謝料を適正な金額にするためのポイント

弁護士基準で交渉する

保険会社の提示額は、弁護士基準を下回っていることが少なくありません。

弁護士が代理人として交渉することで、弁護士基準を前提とした金額を求めやすくなります。

適切な通院と後遺障害等級の認定

入通院慰謝料は通院の期間・頻度が、後遺障害慰謝料は認定された等級が金額を左右します。

症状に応じた適切な通院と、正確な後遺障害診断書による等級認定が、適正な賠償につながります。

弁護士費用特約を活用する

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慰謝料を受け取るまでの流れ

慰謝料は、治療が終了(または症状固定)した後、損害額を確定させ、示談交渉を経て支払われるのが一般的です。後遺障害がある場合は、等級認定の手続きを挟みます。

また、過失割合は最終的な受取額に直結するため、提示された割合に疑問がある場合は早めにご相談ください。

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よくある質問

Q. 交通事故の慰謝料相場はいくらですか?

A. 慰謝料は「入通院」「後遺障害」「死亡」の3種類に分かれ、それぞれ相場が異なります。

たとえばむちうちで通院3ヶ月なら弁護士基準で約53万円、後遺障害14級なら110万円が目安です。実際の金額はケガの内容や個別事情で変わります。

Q. むちうちの慰謝料はどのくらいですか?

A. 弁護士基準では、通院3ヶ月で約53万円、6ヶ月で約89万円が目安です(赤い本・別表II)。通院の頻度や期間によって変わります。

Q. 弁護士基準と自賠責基準の違いは何ですか?

A. 自賠責基準は法令で定められた最低限の補償、弁護士基準は裁判例にもとづく水準です。同じケガでも弁護士基準の方が高くなるのが一般的で、後遺障害では数倍の差が生じることもあります。

Q. 慰謝料はいつ受け取れますか?

A. 多くは治療終了(症状固定)後に損害額を確定し、示談が成立してから支払われます。後遺障害がある場合は等級認定の手続きが入るため、その分時間がかかります

Q. 通院しないと慰謝料はもらえませんか?

A. 入通院慰謝料は治療のための入通院を前提に算定されるため、通院実態が乏しいと金額が下がる傾向があります。医師の指示に沿った適切な通院が重要です。

Q. 保険会社から「通院3ヶ月で30万円」と提示されました。これは相場どおりですか?

一概に高い・低いとは言えませんが、通院3ヶ月の場合、弁護士基準では約53万円前後が一つの目安になります(症状や通院状況によって変動します)。

提示額が任意保険基準で計算されている場合、裁判例を基準とした金額より低くなることがあります。
示談書に署名する前に、弁護士を入れて対応した方がよいのか確認することが大切です。

Q. 通院期間と実際に通った日数、どちらで慰謝料は計算されますか?

基本的には「通院期間」を基準に算定されますが、実際の通院日数が極端に少ない場合には減額されることがあります。

例えば、6ヶ月間のうち数回しか通院していない場合、形式的な期間よりも実態が重視される傾向があります。
適切な頻度と期間での治療実績が重要です。

Q. 後遺障害14級と言われました。110万円は必ずもらえますか?

110万円は弁護士基準の目安です。

実際の交渉では、
・後遺障害が正式に認定されているか
・どの基準で示談するか
によって金額が変わります。

任意保険基準で示談した場合は、目安より低い提示となることもあります。

Q. 弁護士に依頼すると本当に慰謝料は増えますか?

弁護士が介入することで、裁判例を基準とした金額で交渉できる可能性が高まります。

結果として増額につながるケースは少なくありませんが、事故状況や過失割合等によっては増額幅が限定的な場合もあります。

まずは提示内容を確認し、見通しを聞くことが現実的な判断につながります。

Q. 自分にも過失があると言われています。慰謝料は減りますか?

はい、過失割合に応じて慰謝料を含む賠償額は減額されます。

例えば、過失が20%であれば、最終的な損害額から20%差し引かれます。
そのため、過失割合の妥当性も重要な争点になります。

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