交通事故の休業損害はどう計算する?職業別の相場と専業主婦がもらうためのポイント

2026年03月24日

交通事故の休業損害はどう計算する?職業別の相場と専業主婦がもらうためのポイント

交通事故のケガが原因で仕事を休むことになった場合、その期間の収入減を補償してくれるのが「休業損害」です。

しかし、保険会社から提示される休業損害の金額を見て、「実際の給料より少ない」「パートを休んだ分が十分に計算されていない」と感じる被害者の方は少なくありません。

さらに、「専業主婦」や「有給休暇を使った人」でも休業損害が請求できることを知らず、提示額のまま示談してしまうケースも見受けられます。

この記事では、適正な休業損害(弁護士基準)の計算方法を職業別にご紹介し、損をしないための請求のポイントを解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士
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休業損害とは?慰謝料との違いと3つの計算基準

「休業損害」とは、交通事故のケガによって働くことができず、本来得られるはずだった収入が減ってしまった(または家事ができなかった)ことに対する補償です。精神的苦痛に対する「慰謝料」とは別の項目であり、それぞれ請求できます。

慰謝料と同様に、休業損害の計算にも「3つの基準」があります。

自賠責保険基準

原則として「1日あたり6,100円」で計算されます。収入の証明があれば増額される場合もありますが、上限があります。

任意保険基準

加害者側の保険会社が提示する独自の基準です。自賠責基準と同程度であることが多く、実際の収入減より低くなることがあります。

弁護士基準(裁判所基準)

過去の裁判例に基づく基準です。実際の収入をもとに計算するため、他の基準より高額になる傾向があります弁護士が介入した場合に用いられる基準です。

【職業別】休業損害の計算方法(弁護士基準)

休業損害の基本的な計算式は次のとおりです。

【基本の計算式】
1日あたりの基礎収入 × 休業日数 = 休業損害

以下では、弁護士基準を用いた計算方法を職業別に解説します。

会社員(サラリーマン・アルバイト・パート)の場合

給与所得者の場合、事故前3か月間の給与をもとに1日あたりの基礎収入を算出します。

基礎収入の算出方法

(事故前3か月の総支給額)÷ 90日
※手取りではなく額面額で計算します。

休業日数

実際にケガで休んだ日数。遅刻・早退をした場合も、その時間分を請求できる場合があります。

有給休暇を使用した場合

有給を使って給与が減っていない場合でも、休業損害を請求できることがあります。本来であれば自由に利用できた有給休暇を、事故により使用せざるを得なかったと評価されるためです。

専業主婦・主夫(家事従事者)の場合

外で働いていない場合でも、家事労働は経済的価値のある労働と評価されます。そのため、主婦(主夫)でも休業損害を請求できます。

基礎収入の算出方法

国の「賃金センサス(女性労働者の全年齢平均賃金)」を用いて計算します。概ね1日あたり約1万円強となります。

休業日数

ケガの影響で家事に支障が出た日数を基準にします。回復状況に応じて、「最初の1か月は100%、次の1か月は50%」というように段階的に評価されることもあります。

実務上、保険会社が自賠責基準(1日6,100円)で提示することもありますが、弁護士基準で再計算すると増額が見込まれるケースがあります。

自営業・個人事業主(フリーランス)の場合

前年度の確定申告書の所得を基礎に計算します。

基礎収入の算出方法

(前年度の所得金額 + 固定費)÷ 365日
※固定費とは、家賃や従業員給与など、休業中も支払いが必要な経費を指します。

休業日数

治療や症状により業務ができなかった日数を基準とします。

赤字申告の場合でも、帳簿などから実際の収入状況を立証できれば、休業損害が認められる可能性があります。

よくある質問(FAQ)

Q:通院のために半日休みを取りました。この分も請求できますか?

A:請求できる場合があります。
1日単位だけでなく、遅刻・早退・半休による減収分も対象になります。有給の場合も、消費した時間分について請求できることがあります。勤務先に「休業損害証明書」を作成してもらう必要があります。

Q:専業主婦ですが、家族が家事を手伝ってくれました。それでも請求できますか?

A:原則として請求可能です。
家族の支援があったとしても、ご本人が家事労働を行えなかった事実は変わりません。また、家事代行サービス等を利用した場合、その費用を請求できる場合もあります。

Q:事故が原因でボーナスが減りました。補償されますか?

A:因果関係が証明できれば請求可能です。
賞与の減額分や昇進の遅れによる損害も対象となる場合があります。勤務先の証明書が必要になります。

Q:事故直後は物損事故の扱いでした。その後むちうちで休業していますが、請求できますか?

A:人身事故として扱われる必要があります。
休業損害は人身事故が前提です。物損事故のままでは請求が認められません。医師の診断書を取得し、人身事故への切り替え手続きを行うことが必要です。

提示額に疑問がある場合は弁護士へ相談を

保険会社から提示された示談書の「休業損害」の金額が、実際の減収より少ない場合や、有給休暇分が反映されていない場合は、内容を十分に確認することが重要です。

弁護士に依頼することで、

  • 弁護士基準での再計算
  • 必要書類の整備に関する助言
  • 慰謝料や後遺障害等も含めた総合的な見直し

が可能になります。

「提示額が妥当なのか分からない」
「専業主婦だが金額が低い気がする」

このような場合は、示談前に一度弁護士へ相談することを検討してみてください。職業や状況に応じた適正な金額の見通しを確認することができます。

交通事故の慰謝料相場については、以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。

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