不正アクセスで逮捕されたら?流れと末路、弁護士相談の重要性

2026年05月13日

不正アクセスで逮捕されたら?流れと末路、弁護士相談の重要性

「出来心で他人のSNSやLINEを見てしまった」「退職した会社のシステムにログインしてしまった」——そんな軽い気持ちの行動でも、発覚すれば「不正アクセス禁止法違反」として突然逮捕される可能性があります。

実際に警察から連絡が来たり、家族が逮捕されたりして、「これからどうなってしまうのか」「会社はクビになるのか」「前科がついてしまうのか」と不安でパニックになっている方も多いのではないでしょうか。

不正アクセス事件は、逮捕されると最大23日間に及ぶ長期間の身柄拘束や、最悪の場合は実刑判決、そして多額の損害賠償など、今後の人生を大きく狂わせる悲惨な末路を招く恐れがあります。しかし、早い段階で正しい対応をとることで、早期釈放や不起訴処分(前科を避けること)を獲得できる可能性は十分にあります。

この記事では、どのような行為が不正アクセスで逮捕されるのか、逮捕された後の具体的な流れやリスク、そして最悪の事態を回避するために今すぐやるべき対処法を詳しく解説します。あなたやあなたの大切な人の未来を守るため、まずは落ち着いてこの記事をご一読ください。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士

「家族が逮捕された」「示談したい」など、300件以上の刑事事件のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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目次

「少しだけ」のつもりが逮捕?不正アクセスで問われる罪

不正アクセス禁止法とは?

不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)は、インターネットなどのネットワークを通じて、他人のコンピューターに不正に侵入したり、他人のIDやパスワードを無断で使用したりする行為を処罰する法律です。

近年、サイバー犯罪の増加に伴い、警察の取り締まりも非常に厳しくなっています。「少しだけ中を見たかった」という軽い気持ちであっても、法律に触れれば逮捕される可能性があります。

こんな行為も対象に!不正アクセスとみなされる具体例

不正アクセス行為には、主に以下のようなものが該当します。

  • 他人のSNS(X、Instagram、LINEなど)やメールアカウントに、本人に無断でログインする行為
  • 元恋人や配偶者のスマホやPCに、推測したパスワードを使ってアクセスする行為
  • 会社のシステムに、退職後に元同僚のIDを使って侵入する行為

これらの行為は、相手に実害が起きていなくても、ログインした時点で犯罪が成立します。

「技術的興味」や「出来心」でも犯罪になる理由

「自分のハッキング技術を試したかった」「浮気していないか確かめたかった」といった理由であっても、不正アクセス禁止法違反に問われます。

犯罪の成立において、悪意の有無や金銭的な被害の有無は絶対条件ではありません。他人のプライバシーやシステムの安全性を侵害したという事実そのものが、重い罪として扱われるのです。

不正アクセスで逮捕された後の流れ

警察による逮捕・取り調べ(最大48時間)

警察に逮捕されると、まずは警察署の留置場に入れられ、取り調べを受けます。

逮捕から48時間は、家族であっても面会することはできず、連絡を取ることも許されません。この期間に面会できるのは弁護士(当番弁護士など)のみです。

検察への送致(最大24時間)

警察は逮捕後48時間以内に、事件の記録や身柄を検察官に引き継ぎます(送検)。

検察官は、被疑者の身柄を受け取ってから24時間以内に、引き続き身柄を拘束する「勾留(こうりゅう)」が必要かどうかを裁判所に請求します。

勾留・勾留延長(最大20日間)

裁判所が勾留を認めると、原則として10日間の身柄拘束が続きます。

捜査が完了しない場合はさらに最大10日間の延長が認められ、逮捕から数えると最長で23日間も社会から隔離されることになります。この間、会社や学校に通うことはできず、社会生活に甚大な影響が出ます。

検察官による起訴・不起訴の判断

勾留期間の満了までに、検察官は被疑者を刑事裁判にかける(起訴する)か、裁判にかけない(不起訴にする)かを決定します。

日本の刑事司法において、起訴された場合の有罪率は99%以上と言われているため、不起訴処分を獲得できるかどうかが非常に重要になります。

刑事裁判と判決

起訴されると「被告人」となり、公開の法廷で刑事裁判が行われます。

裁判では、検察官が提出する証拠をもとに審理が行われ、最終的に裁判官から拘禁刑や罰金刑などの判決が言い渡されます。

不正アクセスが招く悲惨な末路|刑事罰だけではないリスク

刑事罰|懲役または罰金刑の可能性

不正アクセス禁止法違反の法定刑は「3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」です。

他人のパスワードを不正に取得・保管しただけでも「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科される可能性があります。

会社からの懲戒処分|解雇や降格のリスク

逮捕されたことや犯罪の事実が会社に発覚すれば、就業規則に基づき懲戒解雇や降格、減給などの厳しい処分を下される可能性があります。長期間の身柄拘束による無断欠勤も、解雇の正当な理由になり得ます。

民事上の損害賠償請求|被害者から高額な賠償を求められるケース

刑事罰とは別に、被害者から民事訴訟を起こされるリスクがあります。

システムの復旧費用、情報漏洩による損害、精神的苦痛に対する慰謝料など、請求額が数百万円から数千万円と高額になるケースも珍しくありません。

家族や社会的信用の失墜|前科による将来への影響

有罪判決を受ければ「前科」がつきます。前科がつくと、特定の職業(国家公務員や一部の資格職)に就けなくなるほか、海外渡航が制限されることもあります。

また、逮捕報道がネット上に残る(デジタルタトゥー)ことで、家族が肩身の狭い思いをしたり、再就職が極めて困難になるなど、社会的信用を完全に失うことになります。

逮捕や起訴を避けるために今すぐやるべきこと

警察から連絡が来たら?任意同行と逮捕の違い

警察から「話を聞きたい」と連絡が来た場合、任意同行を求められている段階と、すでに逮捕状が出ている段階があります。

任意同行の場合は拒否することも法的には可能ですが、拒否することで逃亡や証拠隠滅の恐れがあるとみなされ、結果的に逮捕状が請求されるリスクが高まります。

連絡が来た時点で、速やかに弁護士に相談し、同行に付き添ってもらうのが最善です。

被害者との示談交渉を進める

不正アクセス事件において、逮捕や起訴を回避する最も有効な手段は、被害者との示談を成立させることです。

被害者に謝罪し、適切な賠償金を支払って「処罰を望まない」という合意(宥恕付き示談)を得られれば、検察が不起訴処分にする可能性が高まります。

反省の意と再発防止策を示す

取り調べにおいて素直に事実を認め、深い反省の態度を示すことが重要です。

また、PCやスマホを処分する、専門のカウンセリングを受けるなど、二度と再犯しないための具体的な再発防止策を捜査機関や裁判官に提示することも、処分の軽減に繋がります。

なぜ弁護士への相談が不可欠なのか?早期相談のメリット

逮捕・勾留からの早期釈放を目指せる

弁護士は、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを客観的な証拠とともに検察官や裁判官に主張し、勾留を阻止するための活動を行います。

早期釈放が実現すれば、会社や学校に知られずに日常生活に復帰できる可能性が高まります。

不起訴処分を獲得し、前科を回避できる可能性が高まる

前科を避けるためには、検察官が起訴の判断を下す前に動く必要があります。

弁護士が代理人として示談交渉を行い、被害者との和解を成立させることで、不起訴処分を獲得できる確率が飛躍的に上がります。

被害者との示談交渉をスムーズに進められる

不正アクセス事件では、被害者が加害者に対して強い怒りや恐怖を抱いているため、当事者同士での直接の交渉は困難なケースが多いです。

弁護士が間に入ることで、被害者も冷静に話し合いに応じやすくなり、適正な金額での示談成立が期待できます。

取り調べへの適切な対応方法がわかる

密室での取り調べでは、捜査官の誘導に乗ってしまい、事実以上に不利な供述調書にサインしてしまうリスクがあります。

弁護士は、どのような供述をすべきか、黙秘権をどう使うべきかなど、法的な観点から的確なアドバイスを提供し、あなたの権利を守ります。

不正アクセスに関するよくある質問

Q:初犯でも実刑になりますか?

A:初犯であり、かつ被害が小規模である場合は、罰金刑や執行猶予付きの判決になるケースが多いです。

しかし、悪質性が高い場合(大規模な顧客情報の流出や、金銭的な実害が甚大な場合など)は、初犯であっても実刑判決が下される可能性があります。示談の有無も大きく影響します。

Q:弁護士費用はどのくらいかかりますか?

A:法律事務所や事件の複雑さによって異なりますが、一般的な刑事事件の相場としては、着手金が30万円〜50万円程度、不起訴や執行猶予を獲得した際の報酬金が30万円〜50万円程度です。

これに加えて、被害者への示談金が別途必要になります。初回相談を無料で行っている法律事務所も多いため、まずは見積もりを取ることをお勧めします。

Q:家族や恋人のスマホを見ただけでも逮捕されますか?

A:スマホのロックを解除して中を見ただけなのか、ネットワークを経由してアカウントにログインしたかによって法的な扱いが異なります。

単に相手のスマホのパスコードを勝手に入力し、端末内に保存されている写真やメモ帳を見ただけであれば、ネットワークを介していないため「不正アクセス禁止法違反」には問われないと考えられます。しかし、スマホにインストールされているLINEやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNSアプリを開き、ネットワークを通じてサーバー上にある新しいメッセージやデータを受信して閲覧した場合は、不正アクセス行為とみなされる可能性が高くなります。また、相手のIDとパスワードを使って、自分のスマホやパソコンから相手のアカウントに勝手にログインする行為は、明確な不正アクセス禁止法違反となります。

家族や恋人同士であってもプライバシー権は存在するため、刑事罰の対象にならなくても、民事上の不法行為として慰謝料を請求されるリスクや、関係性が悪化して離婚トラブルなどに発展する危険性があるため、絶対に行うべきではありません。

Q:会社に知られずに解決することは可能ですか?

A:事件の状況や対応の早さによっては、会社に知られずに解決することは十分に可能です。特に重要なのは「逮捕されているかどうか」と「示談の成否」です。

警察に発覚する前に、弁護士を通じて被害者と示談を成立させることができれば、刑事事件化を防ぐことができるため、会社に知られる可能性は極めて低くなります。また、警察の捜査が始まっている場合でも、逮捕されずに日常生活を送りながら捜査を受ける「在宅事件」となれば、警察から会社へ連絡がいくことは原則としてないため、内密に解決できる見込みがあります。

一方で、逮捕・勾留されてしまうと、最大23日間にわたって身柄を拘束されます。その間は出社できず、家族からも「急病」などの理由で誤魔化し続けることは難しいため、結果的に無断欠勤や不自然な長期休暇となり、会社に発覚するリスクが跳ね上がります。さらに、実名報道されてしまった場合は、ニュースを通じて知られる危険もあります。

会社に知られず穏便に解決するためには、速やかに弁護士に依頼し、逮捕の回避や早期釈放、そして被害者との示談交渉を進めることが最善の対処法です。

まとめ

不正アクセスは「ちょっとした出来心」では済まされない重篤な犯罪です。逮捕されれば長期間の身柄拘束を受け、前科がつけば社会的信用を失い、人生に修復困難なダメージを与えます。

もし警察から連絡が来たり、逮捕されてしまったりした場合は、速やかに刑事事件に詳しい弁護士に相談してください。早期に適切な対応をとることで、早期釈放や不起訴処分による前科の回避、会社解雇の防止など、最悪の事態を免れる可能性が高まります。一人で悩まず、まずは専門家に助けを求めましょう。

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