警備員の債務整理|欠格事由と仕事を続けられる方法を解説

2026年05月18日

警備員の債務整理|欠格事由と仕事を続けられる方法を解説

借金の返済にお困りの警備員の方へ。 「債務整理をすると、警備員の仕事をクビになってしまうのでは?」と不安に感じていませんか?

結論からお伝えします。債務整理には複数の種類があり、適切な方法を選べば、警備員の仕事を続けながら借金問題を解決することが可能です。

債務整理には、主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの手続きがあります。このうち、警備員の資格が制限される「欠格事由」に該当するのは「自己破産」の手続き中のみです。

つまり、任意整理や個人再生を選べば、仕事に影響を与えることなく返済の負担を軽くできます。また、たとえ自己破産を選んだとしても、すぐに職を失うわけではありません。一時的に業務から外れるなどの対処法があります。

この記事では、警備員の方が債務整理をする際の注意点や、ご自身の状況に合った手続きの選び方、そして仕事を失わずに借金問題を乗り越えるための具体的な方法を詳しく解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士
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目次

警備員が注意すべき債務整理の「資格制限」とは?

債務整理を検討する上で、警備員の方が最も注意すべきなのが「資格制限」です。資格制限とは、特定の職業や資格について、一定期間その業務に就くことができなくなる制度のことです。そして、警備員もこの資格制限の対象となる職業の一つです。

警備業法で定められた欠格事由

なぜ警備員が資格制限の対象になるのか、その根拠は「警備業法」にあります。警備業法第3条では、警備員になることができない人の条件(欠格事由)が定められています。

その中の一つ、第3条第7号に「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」という規定があります。

これは、簡単に言うと「自己破産の手続き中で、まだ法律上の権利が回復していない人は警備員になれない」ということです。現役の警備員の方がこの状態になった場合も同様で、一時的に警備業務に従事することができなくなります。

資格制限を受けるのは「自己破産」の手続き中のみ

ここで非常に重要なポイントがあります。警備業法で定められた欠格事由に該当するのは、数ある債務整理の方法のうち「自己破産」だけだということです。

  • 任意整理
    裁判所を通さず、貸金業者と直接交渉する手続きです。破産者にはならないため、資格制限はありません。
  • 個人再生
    裁判所に申し立てて借金を大幅に減額する手続きです。こちらも破産者にはならないため、資格制限はありません。

したがって、「任意整理」や「個人再生」といった手続きを選択すれば、警備業法の欠格事由には当たらず、仕事を続けながら借金問題を解決することが可能です。

【手続き別】どの債務整理を選ぶべき?メリット・デメリットを比較

それでは、あなたにとってどの債務整理が最適なのでしょうか。ここでは、「任意整理」「個人再生」「自己破産」それぞれのメリット・デメリットを、警備員の視点から比較解説します。

任意整理|会社に知られずに将来の利息をカットして返済を楽に

任意整理は、裁判所を介さず、弁護士や司法書士が代理人となって消費者金融やクレジットカード会社などの債権者と直接交渉する手続きです。将来発生する利息(将来利息)をカットしてもらい、残った元金を3〜5年程度で分割返済していくことを目指します。

【メリット】

  • 資格制限がなく、警備員の仕事を続けられる
  • 裁判所を通さないため、手続きが比較的スピーディ
  • 会社や家族に知られる可能性が極めて低い
  • 保証人がついている借金を除外するなど、整理する対象を選べる

【デメリット】

  • 元金そのものは減らないため、安定した収入と返済能力が必須
  • あくまで交渉のため、債権者が応じないケースもある

→こんな方におすすめ:「借金の総額はそれほど多くないが、利息のせいで返済が苦しい」「会社には絶対に知られたくない」という方。

個人再生|仕事を続けながら借金を大幅に減額

個人再生は、裁判所に申し立てを行い、再生計画の認可を得ることで借金を大幅に(およそ5分の1〜10分の1程度に)減額してもらう手続きです。減額された借金を、原則3年で分割で返済していきます。

【メリット】

  • 資格制限がなく、警備員の仕事を続けられる
  • 借金の元金が大幅に減るため、返済が非常に楽になる
  • 住宅ローン特則を利用すれば、持ち家を手放さずに済む可能性がある
  • 借金の理由(ギャンブルや浪費など)は問われない

【デメリット】

  • 手続きが複雑で、弁護士費用も比較的高額になる
  • 国が発行する「官報」に氏名・住所が掲載される(ただし、一般の人が見ることは稀)
  • 継続的な収入が見込まれることが条件

→こんな方におすすめ:「借金が高額で任意整理では返済が難しいが、自己破産は避けたい」「持ち家を残したい」という方。

自己破産|借金をゼロにするが、一時的に警備業務が不可

自己破産は、裁判所に支払い不能であることを認めてもらい、借金の返済義務を免除(免責)してもらう手続きです。税金などを除くほぼ全ての借金がゼロになります。

【メリット】

  • 借金の返済義務が原則として全てなくなる

【デメリット】

  • 手続き期間中、警備業法の欠格事由に該当し、警備業務ができなくなる
  • 持ち家や車など、一定以上の価値がある財産は手放す必要がある
  • 官報に氏名・住所が掲載される

資格制限の期間はいつからいつまで?

自己破産による資格制限の期間は、「破産手続開始決定」から「復権」するまでです。 具体的には、裁判所が「破産手続開始決定」を出した日から資格制限が始まり、その後「免責許可決定」が確定すると終了します。 この期間は手続きの内容によって異なりますが、目安として半年程度です。財産が多いなど複雑なケース(管財事件)では、1年以上かかることもあります。

「復権」すれば再び警備員として働ける

「復権」とは、破産したことによって制限されていた法律上の資格が元通りに回復することです。裁判所から免責許可決定が確定すれば、特別な手続きをしなくても自動的に復権します。 復権すれば、警備業法の欠格事由ではなくなるため、再び警備員として働くことが可能になります。資格制限は、あくまで一時的なものなのです。

債務整理は会社にバレる?バレずに進める方法

「手続きのせいで会社に借金のことがバレてしまうのでは…」という心配は、多くの方が抱える悩みです。どの手続きを選ぶかによって、会社に知られるリスクは大きく異なります。

自己破産は会社への報告が原則必要

自己破産をする場合、前述の通り資格制限によって一時的に警備業務ができなくなります。法律で禁じられている業務を続けることはできないため、会社に対して正直に事情を説明し、報告することが原則として必要です。 隠したまま業務を続けると、警備業法違反となり、ご自身だけでなく会社にも大きな迷惑をかけてしまう可能性があります。

個人再生・任意整理はバレる可能性が低い

任意整理は、裁判所を通さず、専門家と債権者との間で手続きが進むため、会社に知られる可能性はほとんどありません。 個人再生は、裁判所の手続きですが、裁判所から会社に連絡がいくことは基本的にありません。官報には掲載されますが、会社の担当者が日常的に官報をチェックしているケースは非常に稀なため、そこからバレるリスクも低いと言えるでしょう。

会社に債務整理が知られてしまうケースとは?

バレる可能性が低い手続きでも、以下のようなケースでは会社に知られてしまうことがあります。

  • 会社から借金をしている場合
    会社も債権者となるため、債務整理の対象にすると会社に通知が届き、必ずバレます。
  • 給与を差し押さえられている場合
    弁護士に依頼すれば差し押さえはストップできますが、すでに会社に裁判所から通知が届いているため、借金問題があることは知られてしまいます。
  • 共済組合や労働組合から借り入れがある場合
    会社経由での手続きになることが多く、知られる可能性があります。
  • 自分から同僚に話してしまう
    悩みを誰かに聞いてほしい気持ちは分かりますが、噂が広まる原因になり得ます。

自己破産をしても警備員の仕事を失わないための対処法

もし借金額が大きく、自己破産を選択せざるを得ない場合でも、すぐに解雇されるわけではありません。仕事を失わずに乗り切るための対処法があります。

方法1:配置転換を会社に交渉する

まずは、資格制限の期間中、警備業務以外の部署に一時的に異動させてもらえないか会社に交渉してみましょう。例えば、事務職、営業所の内勤、交通整理など警備業法上の「警備業務」に該当しない仕事への配置転換です。 会社の規模や体制にもよりますが、理解のある会社であれば、復職を前提として一時的な配置転換に応じてくれる可能性があります。

部署異動の相談タイミングと伝え方のポイント

相談のタイミング

弁護士に依頼し、自己破産の方針が固まった後、裁判所に申し立てる前に相談するのが理想です。早めに相談することで、会社側も対応を検討する時間ができます。

伝え方のポイント
  1. まずは上司など信頼できる方に、誠実な態度で事情を説明します。
  2. 自己破産の手続きにより、一時的に警備業務ができないことを法律上の義務として伝えます。
  3. 「復権後は必ず警備員として復帰し、会社に貢献したい」という前向きな意思を強く示します。
  4. 会社に迷惑をかけることについて、真摯にお詫びしましょう。

伝え方に不安があれば、事前に依頼した弁護士に相談し、アドバイスをもらうと良いでしょう。

方法2:一時的に休職し、復権後に復職する

配置転換が難しい場合の次の選択肢が、休職です。会社の就業規則に休職制度があるかを確認し、復権するまでの数ヶ月間、休職させてもらえないか交渉します。 休職期間中は無給になる可能性が高いですが、解雇されて職を完全に失うよりは、将来的な復帰の道を残すことができます。

自己破産を理由とした解雇は不当解雇にあたる可能性

「自己破産した」という事実だけを理由に、会社が従業員を解雇することは、原則として「不当解雇」にあたる可能性が高いです。これは、解雇権の濫用(労働契約法第16条)とみなされるためです。

ただし、資格制限があることを隠して警備業務を続け、会社に損害を与えた場合などは、懲戒解雇の正当な理由となる可能性があります。 だからこそ、正直に会社に報告・相談することが非常に重要なのです。もし不当な解雇を迫られた場合は、すぐに弁護士に相談してください。

借金問題を抱える警備員が弁護士に相談すべき理由

借金問題は一人で抱え込んでいると、精神的に追い詰められ、正常な判断が難しくなりがちです。弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

最適な債務整理の方法を提案してもらえる

あなたの借金の総額、収入、財産状況、そして「警備員の仕事を続けたい」という希望を総合的に考慮し、任意整理、個人再生、自己破産の中から最も適した解決策を提案してくれます。自分一人で最善の道を選ぶのは非常に困難です。

会社との交渉や複雑な手続きを任せられる

債権者との交渉や、裁判所に提出する膨大な書類の作成など、複雑で時間のかかる手続きを全て代行してもらえます。また、自己破産する際の会社への説明方法についても、的確なアドバイスをもらえるため、安心して手続きを進められます。

督促がストップし精神的に楽になる

弁護士に依頼すると、すぐに「受任通知」が各債権者に送付されます。この通知が届いた時点から、貸金業者からの電話や手紙による督促が完全にストップします。 日々の取り立てのプレッシャーから解放されるだけで、精神的に大きく楽になり、冷静に今後の生活再建について考えることができるようになります。

まとめ:一人で悩まず、まずは弁護士に相談を

警備員の方が借金問題を抱えた場合でも、債務整理の方法を正しく選べば、仕事を続けながら解決することが可能です。

  • 任意整理・個人再生なら、資格制限がなく、会社に知られずに手続きを進められます。
  • 自己破産は一時的に警備業務ができなくなりますが、配置転換や休職といった方法で乗り切り、復権後に復職できる可能性があります。

どの方法があなたにとってベストなのかは、専門家でなければ正確な判断はできません。借金問題は、放置しても解決することはなく、時間とともに事態は悪化する一方です。

多くの法律事務所では、無料相談を実施しています。まずは勇気を出して、あなたの状況を話してみることから始めてみませんか。専門家に相談することが、平穏な日常を取り戻すための最も確実な第一歩です。

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