不起訴にするには?条件・確率・弁護士に頼む効果を解説
2026年06月01日

「逮捕されたが、できれば前科をつけたくない」「不起訴になれるのかどうか知りたい」「弁護士に頼むと何が変わるのか」
刑事事件で起訴されると法廷で裁かれ、有罪・無罪の判断を受けます。一方、不起訴になれば前科はつかず、裁判も行われません。また勾留されていた場合は釈放されます。
この記事では、不起訴の種類・条件・確率・弁護士ができることを刑事弁護士が詳しく解説します。
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不起訴とは何か?
不起訴の意味
不起訴とは、検察官が「この事件は裁判にかけない(起訴しない)」と判断することです。不起訴になれば裁判は行われず、前科もつきません。また逮捕・勾留されていた場合は直ちに釈放されます。
不起訴と無罪の違い
不起訴は「裁判をしないという判断」であり、無罪は「裁判を経て有罪ではないと判断された」結果です。不起訴では有罪・無罪の判断が出ません。
- 無罪:起訴→裁判→無罪判決という流れ
- 不起訴:起訴自体をしないという検察官の判断
前科がつかないという点では両者は同じですが、不起訴のほうが裁判という負担を回避できます。
不起訴になれば逮捕歴は残る?
不起訴処分になっても、逮捕歴は警察の記録に残ります。これは一般に公開されることはありませんが、警察・検察の内部記録には残ります。ただし一般的な身元調査・採用選考で前科と同様に扱われることは原則ありません。
不起訴の種類
不起訴にはいくつかの種類があります。どの種類の不起訴になるかによって、今後の見通しが異なります。
種類 | 意味 | 主な条件・状況 |
嫌疑なし | 犯罪をしていないことが明らか | 証拠がなく犯人とは言えない状態 |
嫌疑不十分 | 犯罪の証拠が不十分 | 証拠が弱く有罪立証が難しい |
起訴猶予 | 犯罪は疑われるが起訴しない判断 | 初犯・示談成立・反省・被害軽微など |
訴訟条件不備 | 告訴取消・親告罪等の条件欠如 | 被害者が告訴を取り消した場合など |
時効完成 | 公訴時効が成立している | 罪名に応じた時効期間が経過 |
最も多い「起訴猶予」
実務上最も多いのが「起訴猶予」です。犯罪の疑いはあるものの、諸般の事情(初犯・反省・示談・被害の程度など)を考慮して「今回は起訴しない」という判断です。
法務省「令和5年検察統計年報」によると、通常事件(交通事犯を除く一般刑事事件)における起訴率は約30〜40%であり、残りの約60〜70%が起訴猶予を含む不起訴処分となっています。不起訴処分のうち件数が最も多いのが「起訴猶予」です。
不起訴になるための条件・要素
被害者との示談成立
被害者との示談成立は、不起訴を目指す上で最も重要な要素です。特に親告罪(告訴がないと起訴できない罪:一部の性犯罪等)では、告訴取消が不起訴の要件になります。
示談が成立すると、被害者が「処罰を望まない」という意思を明示でき、検察官の起訴猶予判断に大きく影響します。被害者との示談成立が不起訴を左右する最大の要因と言っても過言ではありません。
刑事事件における示談の進め方・タイミング・金額の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
初犯であること
前科がない初犯は、起訴猶予の重要な判断要素です。前科がある場合、特に同種の前科があると不起訴の難易度は上がります。一方、過去の軽微な前科(罰金刑のみ)でも、反省の態度・再発防止策があれば不起訴になるケースがあります。
被害が軽微であること
財産的被害が小さい(数千円〜数万円程度)、被害者の怪我が軽い(全治数日程度)といった事情は不起訴に有利に働きます。被害回復が完了しているかどうかも重要な考慮要素です。
反省の態度・再犯防止策
深く反省していること、再発防止のための具体的な取り組み(カウンセリング受講・職場環境の変化・家族のサポート体制など)を示すことが重要です。単なる「反省しています」という言葉より、行動に移していることが効果的です。
身元の安定
家族の監督・保証、安定した職業・住居があることも考慮されます。社会に定着した生活基盤があることは、再犯リスクの低さを示す要素になります。
不起訴の確率はどのくらい?
罪名 | 起訴率目安 | 不起訴率目安 | 主な理由 |
窃盗(万引き等) | 約40% | 約60% | 初犯・被害軽微・示談で不起訴多い |
傷害 | 約35% | 約65% | 示談成立で不起訴率が高い |
詐欺 | 約60% | 約40% | 被害額が大きく不起訴は難しい |
痴漢 | 約45% | 約55% | 示談成立で不起訴になりやすい |
覚醒剤(所持・単純) | 約85% | 約15% | 再犯は特に起訴率が高い |
強盗 | 約90%以上 | 少数 | 重大犯罪のため不起訴は稀 |
※出典:法務省「令和5年検察統計年報」・「令和5年版犯罪白書」をもとにした概算値です。事件の状況・示談の有無・年度によって大きく異なります。
早期に弁護士が介入すると不起訴率が上がる
弁護士が逮捕直後から介入した場合と、介入しなかった場合では、不起訴率に有意な差が生じます。特に以下の点で差が出ます。
- 被害者との示談交渉
弁護士なしでは実現が難しいケースがほとんど - 意見書・反省文の質
弁護士が作成した意見書は法的に整理されていて効果的 - 取調べ対応
不用意な自白・不利な供述を防げる - 勾留阻止
身柄が自由になることで示談交渉が進めやすくなる
弁護士が不起訴のためにできること
被害者との示談交渉
弁護士は被害者側と交渉し、治療費・慰謝料・謝罪を通じて示談書を締結します。被害者が被疑者と直接交渉することを拒んでいる場合でも、弁護士を通じることで交渉が可能になります。
示談書には宥恕条項(「被害者は処罰を求めない」旨)を盛り込むことが、不起訴につながる重要な要素です。
検察官への意見書・上申書の提出
弁護士は検察官に対して「起訴猶予を求める意見書」を提出します。示談書・反省文・家族の誓約書・再犯防止プログラム受講記録などを証拠として添付し、不起訴判断を促します。
身柄の早期解放
逮捕・勾留中は、弁護士が準抗告・勾留取り消し申立を行うことで早期釈放を目指します。身柄が自由になれば示談交渉も進めやすくなります。また在宅捜査に切り替えることで職場への影響を最小限に抑えられます。
逮捕直後に弁護士を呼ぶ当番弁護士制度の仕組みと利用方法については、以下の記事をご覧ください。
証拠の確保・アリバイ立証
「嫌疑なし」「嫌疑不十分」による不起訴を目指す場合は、アリバイ証拠・防犯カメラ映像・証人確保などを迅速に行います。時間が経過するほど証拠が失われるため、早期の弁護士介入が重要です。
取調べへの対応指導
弁護士が接見し、取調べで何を話すか・何を話さないかを事前に指導します。不用意な自白や不利な供述は、不起訴を難しくする大きな要因になります。
刑事事件で逮捕された直後の流れと取調べで不利にならない対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。
よくある状況と対応例
万引きで逮捕されたが示談成立で不起訴になったケース
状況
20代女性。近所のスーパーでの万引きで現行犯逮捕。初犯。被害額は1,800円程度。家族が「前科をつけたくない」と弁護士に相談した。
対応
弁護士がスーパーの法務担当に被害弁償と謝罪の申し入れ。被害額の5倍の金額を弁償し示談書を締結。宥恕条項(「処罰を求めない」)を盛り込んだ。また反省文・家族の監督誓約書を検察官に提出。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
痴漢事件で被害者との示談により不起訴になったケース
状況
35歳会社員男性。通勤電車内で痴漢として逮捕。初犯。被害者は示談に応じるか不明な状況で、弁護士へ「なんとか前科をつけないようにしたい」と依頼。
対応
弁護士が被害者側の弁護士と複数回交渉。被害者の精神的負担に配慮しながら、誠実な謝罪と適正な慰謝料を提示した結果、示談書を締結(告訴取消含む)。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
嫌疑不十分で不起訴になったケース
状況
40代男性。詐欺の共犯者として疑われ逮捕。本人は「実態を知らずに書類に署名していた」と一貫して主張。弁護士に無実の証明を依頼。
対応
弁護士がメール履歴・書類の署名経緯・関係者の証言を精査し、故意がないことを示す証拠を収集。検察官に詳細な意見書(「被疑者に故意・共謀がないことを示す証拠一覧」)を提出。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
覚醒剤所持で不起訴を目指したが起訴された後に執行猶予を獲得したケース
状況
覚醒剤所持(単純所持)で逮捕された50代男性。前科(同種)あり。家族が「なんとか不起訴に」と相談したが、再犯のため起訴率が非常に高い状況。
対応
弁護士が方針を丁寧に説明。覚醒剤の再犯は不起訴がほぼ不可能であると伝え、弁護方針を「起訴後の執行猶予獲得」に切り替えることを提案。依存症専門クリニックへの通院を即座に開始し、治療継続の証拠を積み上げた。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
不起訴に関するよくある質問(FAQ)
Q:不起訴になれば前科はつきませんか?
A:はい、不起訴処分では前科はつきません。ただし「逮捕歴」は警察の内部記録に残ります。一般には公開されませんが、再び事件を起こした際に考慮される場合があります。
不起訴後も残る逮捕歴と前科の違い、会社への影響については、以下の記事をご覧ください。
Q:逮捕されてから不起訴の決定まで何日かかりますか?
A:在宅事件(逮捕なし)は数週間〜数ヶ月かかるケースもあります。逮捕・勾留された場合は最大で逮捕から23日以内に起訴か不起訴かが決まります(勾留延長を含む最大日数)。ただし複雑な事件では再逮捕・勾留延長でさらに長引くことがあります。
Q:示談なしで不起訴になることはありますか?
A:あります。「嫌疑なし」「嫌疑不十分」による不起訴は示談とは関係なく発生します。また、被害が極めて軽微で初犯の場合は示談なしで起訴猶予になることもあります。ただし確率は下がります。
Q:不起訴になった後、改めて起訴されることはありますか?
A:一度不起訴になった事件でも、新たな証拠が発見された場合は再捜査・再起訴される可能性があります(一事不再理の例外)。ただし実務上は非常に稀です。
Q:略式起訴(略式命令)と不起訴はどう違いますか?
A:略式起訴は起訴の一種であり、罰金刑を科すための簡略化した手続きです。前科はつきます。一方、不起訴は起訴自体がされず前科はつきません。「略式で罰金を払えば不起訴と同じ」という誤解がありますが、前科の有無で大きく異なります。
略式起訴(罰金刑)が会社に知られるリスクと不起訴との違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ:不起訴を目指すなら逮捕直後の弁護士介入が鍵
不起訴を実現するために最も重要なのは「早期に弁護士に依頼し、被害者との示談を進める」ことです。
不起訴を目指すためのポイントをまとめます。
- 逮捕直後に弁護士に依頼する
示談交渉・意見書提出のためにも時間が重要 - 被害者との示談を最優先に
示談成立が不起訴の最強の理由になる - 反省の態度・再犯防止策を具体的に示す
反省文・誓約書・治療受講など行動で示す - 取調べで不用意な自白をしない
弁護士の指示を受けてから供述内容を決める
「不起訴になれるか不安」という方は、まず初回無料相談でご相談ください。
不起訴獲得に向けた弁護士への相談タイミングと選び方については、以下の記事をご覧ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
職員が丁寧にお話を伺います初回無料
刑事事件の実績











