不倫で慰謝料を請求するための証拠とは?請求の流れ・NG行動・証拠がない場合の対策を徹底解説

最終更新日: 2025年04月01日

不倫で慰謝料を請求するための証拠とは?請求の流れ・NG行動・証拠がない場合の対策を徹底解説

  • パートナー(配偶者)がどうやら不倫をしているようだ。どのように証拠を集めたらよいのだろう?
  • パートナーや不倫相手へ慰謝料請求を行う方法について詳しく知りたい。
  • 不倫の証拠を収集するとき、気を付けなければならない点を知りたい。

パートナーの不倫に気づいたら、まずは不倫の証拠を収集しましょう。

十分な証拠が集まらないと、パートナーや不倫相手に慰謝料を請求しても、無視されたり拒否されたりする可能性が高いです。

ただし、不倫の証拠を収集するときは注意しなければならない点もあります。

そこで今回は、不倫問題の解決に実績のある弁護士が、不倫に対する慰謝料請求で有利となる証拠や、証拠収集から不倫に対する慰謝料請求までの流れ等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談できます。

  • パートナーが不倫をしている写真や動画、調査会社の報告書は不倫に対する慰謝料の有力な証拠となる
  • 不倫に対する慰謝料は、相手との話し合い、調停・裁判で解決を図れる
  • 不倫に対する慰謝料を請求するために証拠を捏造や偽造してはいけない

不倫慰謝料に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

不倫に対する慰謝料の請求に必要な証拠

不倫に対する慰謝料を請求する前に、できるだけ多くの証拠を収集する必要があります。

不倫相手との写真や動画、メール、レシート等、不倫の証拠となるものをしっかり集めましょう。

写真・動画

パートナーと不倫相手が不倫をしている写真や動画は、有力な証拠となり得るものです。

特に次のような写真・動画を撮影またはデータが取得できれば、パートナーや不倫相手は言い逃れができなくなるでしょう。

  • パートナーと不倫相手の性行為中の写真や動画
  • パートナーと不倫相手がラブホテルに出入りする写真や動画

性行為中の写真や動画を自分で撮影することは極めて困難ですが、パートナーに送られてきたメールに、悪ふざけで撮影した写真や動画が添付されているかもしれません。メールを確認して、添付写真や動画を見つけたときは、保存しておきましょう。

また、パートナーがどのような店で何をしていたか等、2人の行動を撮影した写真や動画も、パートナーが異性と付き合っている証拠となる可能性があります。

音声の録音

パートナーや不倫相手に不倫を問い質し自白させれば、その音声も証拠の1つとなり得ます。

次のようなパートナーや不倫相手の謝罪や釈明などの音声を録音しましょう。

  • 不倫相手と性行為をしたことを認める発言
  • 不倫された側や家族への謝罪
  • いつから不倫をしていたか、性行為の回数などの釈明
  • 真摯に慰謝料(パートナーの場合は離婚も含む)の話し合いに応じる旨の発言
  • 協議が難航するときは調停や裁判で解決を目指す旨の意思表示

ただし、無理に釈明や自白を強要してはいけません。パートナーが、調停や裁判で「責められて、仕方なくしてもいない不倫を認めた」と反論する可能性があるからです。

パートナーや不倫相手の釈明や自白などを録音する前に、まずはできるだけ不倫の証拠を集めましょう。

証拠をパートナーや不倫相手に示せば、不倫を自白する可能性が高くなります。

通話履歴

パートナーのスマートフォンの通話履歴を確認すれば、不倫相手らしき人物と連絡を取っているかどうかがわかる場合があります。

自分や家族の電話番号とは異なる番号へ頻繁に通話している場合、不倫相手と連絡を取りあっているのかもしれません。

ただし、通話履歴だけでは確実な証拠とはいえず、さらに不倫調査を進めていく必要があるでしょう。

メール・SMSのやり取り

パートナーの利用しているメール、SMS等を確認してみましょう。メールやSMS等を、不倫相手との連絡に利用している可能性があります。

不倫相手との待ち合わせ場所・時刻、性行為をしたときの感想等が確認できれば、その内容を画像で保管しておきましょう。

レシート・カード利用明細

不倫のときに利用した施設等のレシート、カード利用明細等も集めておいた方がよいです。

次のような領収書・明細記録を保管しておきましょう。

  • 自分とパートナーが利用した覚えのないホテル(2人部屋)等のレシート
  • カード決済の場合は利用明細書(Web明細書)
  • ラブホテルのスタンプカード

ただし、領収書等もそれだけでは有力な不倫の証拠にはなりません。レシートや利用明細書、スタンプカードのような書類は、あくまで証拠の1つとして保管しておきましょう。

乗車履歴等

通勤用ICカードの乗車履歴や、カーナビの検索履歴・地点登録・走行履歴も、不倫の疑いを確認する参考資料となるでしょう。

ICカードの履歴を調べれば、パートナーが勤務先と関係のない場所で降りたとわかります。

また、パートナーが自分や家族と行ったことがない地点を、カーナビで登録・走行している場合、不倫相手の自宅や待合場所を訪問している可能性があります。

ただし、通勤用ICカードやカーナビの履歴だけでは、不倫の確たる証拠とはなりません。

調査会社の報告書

調査会社(探偵事務所)から提出された報告書は、不倫に対する慰謝料に関する裁判で有力な証拠として認められる可能性があります。

報告書は通常「いつ・どこで・だれ(パートナー)が・だれ(不倫相手)と・何をしたか?」を、わかりやすく記載した書類になっています。

たとえば、次のような調査内容が記載されているでしょう。

  • 分単位のパートナーの行動
  • パートナーの決定的な不倫の証拠となる添付画像
  • パートナーと不倫相手が立ち寄った場所や施設名

自分の力だけで証拠を収集することが難しいようであれば、調査会社(探偵事務所)に調査を依頼するとよいでしょう。

証拠収集から不倫に対する慰謝料請求までの流れ

パートナーや不倫相手に慰謝料を請求したいのであれば、不倫の証拠をしっかりと集めたうえで実行に移す必要があります。

まず弁護士と相談し、慰謝料請求の方法・手順を検討することから始めましょう。

弁護士への相談

不倫問題の解決に実績のある弁護士と相談すれば、次のようなアドバイスを行うでしょう。

  • 不倫に対する慰謝料の請求は認められるか
  • 証拠収集は十分か
  • 慰謝料請求の流れ:協議→調停→裁判で進む旨
  • 慰謝料の金額の目安や算定方法等

証拠収集

不倫に関する証拠をできるだけ収集しましょう。

パートナーや不倫相手の性行為、または性行為が推認できる写真や動画が得られれば、有利に協議・調停・裁判を進められます。

ただし、自分の力だけで証拠を収集するのには限界があるでしょう。「不倫現場の撮影はとても無理」と感じたときは、調査会社(探偵事務所)に任せた方がよいです。

内容証明郵便

すでに別居しているパートナーや不倫相手へ慰謝料請求を行う場合、調停・裁判に移るときの証拠とするため、内容証明郵便で通知しましょう。

通知内容は主に次の通りです。

  • 不倫に対する慰謝料を請求する旨
  • 不倫が原因で夫婦関係が崩壊した旨
  • 不倫の証拠をすでに収集している旨
  • 慰謝料の金額、支払い方法・期限の明記
  • 慰謝料の支払いに応じなければ、調停を申し立てる旨

内容証明郵便にすれば、慰謝料を請求したという証明になるだけでなく、パートナーや不倫相手に心理的なプレッシャーを与えられるでしょう。

協議

不倫の証拠をつかめたら、パートナーや不倫相手との慰謝料に関する協議を始められます。

協議で取り決めた内容は、次のように書面化しておきましょう(書式は自由)。

  • パートナーとの協議の場合
    慰謝料の他に離婚の取り決めを行うときは「離婚協議書」を、離婚はせずに慰謝料だけ取り決めるときは「示談書」を作成する
  • 不倫相手との協議の場合
    慰謝料の額・支払方法や、パートナーと二度と会わない旨を約束させる「示談書」を作成する

書面は2通作成し、自分と協議した相手が1通ずつ大切に保管しましょう。

協議がまとまらない場合や協議を拒否された場合は、調停での解決を目指しましょう。

調停

内容証明郵便を送付しても反応がないときや、協議が決裂したときは、裁判所に場所を移し、調停での和解を試みることができます。

パートナーや不倫相手と調停で離婚慰謝料を話し合いたいときは、次のような申立てを行うとよいでしょう。

  • パートナーとの調停
    離婚前なら「夫婦関係調整調停(離婚)」、離婚後なら「慰謝料請求調停」(相手方の住所地または当事者が合意した家庭裁判所へ申し立てる)
  • 不倫相手との調停
    「慰謝料請求調停」(不倫相手の住所地を管轄する簡易裁判所へ申し立てる)

決められた調停期日に当事者双方が出席し、裁判官や調停委員に言い分を述べ、意見を調整しつつ、慰謝料問題の解決を図ります。

参考:慰謝料請求調停|裁判所

訴訟

調停が合意に至らず不成立となった場合は、訴訟を提起して慰謝料の請求を行えます。

  • 離婚前にパートナーに慰謝料を請求する訴訟
    「離婚訴訟」(原則として夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所に提起)
  • 離婚後にパートナーに慰謝料を請求する訴訟
    「損害賠償請求訴訟」(請求金額が140万円以下なら簡易裁判所に、140万円を超えるときは地方裁判所に提起)
  • 不倫相手に慰謝料請求を行う訴訟
    「損害賠償請求訴訟」(請求金額が140万円以下なら簡易裁判所に、140万円を超えるときは地方裁判所に提起)

慰謝料の支払いの有無や金額は、訴訟当事者の合意で決まるのではなく、裁判所の判決で言い渡されます。

被告が不倫していた明確な証拠を提示しなければ、原告(不倫された側)が敗訴することもあり得るので、注意が必要です。

不倫に対する証拠収集で避けるべき行動

不倫の証拠収集は、訴訟の判決を左右する重要な前提です。

しかし、証拠をでっち上げたり、違法な方法で証拠を得たりしてはいけません。

偽造・捏造

証拠を偽造・捏造すれば、自分が不利になるだけです。

たとえば、パートナーと不倫相手と思われる人物の写真をつなぎ合わせ、不倫現場の証拠として裁判所に提出する行為はもちろんNGです。

写真の加工やメールの偽造が裁判所に発覚すれば、慰謝料請求が認められないだけでなく、「私文書偽造罪」に問われ3月以上5年以下の懲役(2025年6月1日以降は拘禁刑に変更)に処される可能性があります(刑法第159条)。

出典:刑法|e-Gov法令検索

違法な方法での収集

違法な方法で証拠を集めた場合は、証拠として認められません(違法収集証拠)。

たとえば、パートナーと不倫相手の性行為を撮影するため、不倫相手の自宅の庭へ勝手に侵入した場合、「住居侵入罪」となる可能性があります。

住居侵入罪で有罪となれば、3年以下の懲役(拘禁刑)または10万円以下の罰金に処されるでしょう(刑法第130条)。

感情的な行動

感情的になり、パートナーや不倫相手を強引に自白させようとする行為もNGです。

「自白しなければ、家族や近所、勤務先に言いふらす」と脅迫し、自白させたとしても、証拠とは認められません。

逆に自白を迫った行為が「脅迫罪」になる可能性があります。脅迫罪で有罪になれば、2年以下の懲役(拘禁刑)または30万円以下の罰金に処されるでしょう(刑法第222条第1項)。

不倫の証拠が集められない場合の対策

自分の力だけではパートナーの不倫の証拠が集められない場合でも、焦りは禁物です。

弁護士に証拠の不足を相談すれば、次のような提案を行います。

  • 不倫の疑いを示す状況証拠の整理
  • 適切な証拠収集方法
  • 有力な証拠を得るため、提携している探偵を紹介する

弁護士のアドバイスを受けて不倫に対する慰謝料の請求の準備をすれば、協議や調停、裁判を有利に進められる可能性が高まるでしょう。

不倫の慰謝料請求でお悩みの方は春田法律事務所へ

今回は不倫問題の解決に尽力してきた弁護士が、不倫で慰謝料を請求するための証拠収集方法・注意点等について詳しく解説しました。

春田法律事務所は不倫問題の解決に力を入れている法律事務所です。まずは弁護士と、不倫に対する慰謝料の請求の方法等についてよく話し合いましょう。

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