不倫を認めない?認めるよう説得する方法も専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月22日
- なぜ不倫を認めないの?
- 不倫を認めさせるにはどうすればいいの?
- 不倫を疑われているけど認めるべき?
不倫しているのに相手が決してそれを認めない場合にはその対応に頭を抱えることでしょう。また、確かに不倫をしていたけれども安易に認めてしまって良いのかその判断に悩む場合もあるでしょう。
今回は不倫問題を数百件解決してきた専門弁護士が、不倫を認めない場合の対処法や不倫を認めるべきか否かなどについて解説します。
不倫を認めないのはなぜ?
配偶者や不倫相手が不倫を認めないのはなぜなのでしょうか。相手が認めないのには必ず理由があります。ここでは、相手が認めない理由の代表的なパターンについてご紹介します。
- 証拠がないと高をくくっている
- 慰謝料を払いたくない
- 不倫相手をかばっている
- 離婚したくない
- 認めないのが優しさと思っている
証拠がないと高をくくっている
まずは、最も多いパターンですが、確たる証拠はないだろうと高をくくっている場合です。
LINEのやり取りは都度消すようにしていた、探偵に依頼するようなお金はないだろう、だから証拠なんてあるわけがない。このように考える方は多くおられます。
この場合、証拠がないのに認めるのは損だと考えて不倫を認めないのです。
慰謝料を払いたくない
次に、不倫を認めることで慰謝料を払わないといけなくなるのを避けたいという場合です。
不倫を認めてしまっては慰謝料を払わないといけなくなる、証拠があっても認めなければ慰謝料の支払いを免れられるのではないか。このように考えるのです。
このパターンには、どうせ証拠はないだろうと高をくくっているパターンも含まれるでしょう。
不倫相手をかばっている
不倫を認めないパターンには、不倫相手をかばっている場合もあります。
夫婦関係を悪化させてしまうことを避けるために既婚者である不倫相手をかばっている場合もあれば、独身である不倫相手が責任を問われないようにかばっている場合もあります。
配偶者が不倫相手をかばっている場合には配偶者である自分よりも不倫相手を優先している印象を受けるでしょうが、必ずしもそうではないようです。
不倫はあくまで遊びで、夫婦関係を壊すつもりはなかったという場合にも、大事にならないように不倫を認めないということがあります。
離婚したくない
離婚したくないから不倫を認めないというパターンもあります。
不倫は軽い気持ちでしていたのもので、真剣な交際ではなく、配偶者との関係を悪化させることは本意ではなかったという場合は多くあります。
このような場合、遊びで始めた不倫が大事になるとは思っていなかったことから、不倫を認めてしまうと離婚になるのではないかと恐れて不倫を認めないのです。
認めないのが優しさと思っている
最後に、不倫を認めないのが配偶者への優しさと思っているパターンです。
配偶者が本当は不倫をしていないのではないかという最後の信頼に応えることで、配偶者を傷つけないようにしたいという思いから不倫を認めない場合があります。
保身の気持ちもあるでしょうが、安易に不倫をしてしまった罪悪感から、大切に思っている配偶者をこれ以上傷つけたくないと考え、不倫を認めないことがせめてもの誠意と考える方もおられます。
不倫を認めない?認めるべき?
以上のように不倫を認めない理由にはいくつかのパターンがありますが、そのまま不倫を認めない方が良いのでしょうか、それとも不倫を認めてしまった方が良いのでしょうか。
- 証拠がある場合には不倫を認めるべき
- 不倫の証拠があるかわからない場合
- 不倫を証明する証拠
証拠がある場合には不倫を認めるべき
結論としては、不倫の証拠がある場合には不倫を認めてしまうべきです。
不倫を証明する証拠がある場合には不倫を否定していても、不倫を証明されてしまいます。そうしますと、慰謝料の請求も離婚の請求も認められることとなります。
また、証拠がある場合には不倫をしていないのではないかという信頼はもはやありませんので、不倫を否定することが優しさにはなりません。
さらに、不倫を否定していて不倫が証明された場合、裁判ではそのように不倫を否定していた態度を慰謝料の増額事由として考慮されてしまいます。増額金額としては10万円から50万円ほどです。
よって、不倫の証拠がある場合に不倫を認めないことにメリットはなく、不倫を認めてしまうことが得策ということになります。
不倫の証拠があるかわからない場合
このように不倫の証拠がある場合には認めてしまうべきなのですが、問題は不倫の証拠があるかどうかわからない場合でしょう。
不倫の証拠があると思っていたのに実は証拠がなかったという場合には、認め損になってしまうと考える方もおられるでしょう。
不倫をされた配偶者が、どのような証拠があるのか開示している場合には、それをもって不倫を証明できる証拠なのか判断できます。
他方、どのような証拠があるのか開示しない場合には、証拠を開示するように求めてみましょう。
頑なに証拠を開示しない場合には、証拠がなかったり、証拠が不十分な可能性があります。しかし、完璧な証拠がある場合にも自発的に自白をさせたい、開示すると何かしらの言い逃れをされるかもしれないと考えて開示しないことがあります。
裁判になれば全ての証拠を開示せざるを得ませんので、裁判になるまでは不倫を認めないという方針も考えられます。もっとも、不倫を証明するだけの証拠があった場合には、不倫を否定していたという事情を慰謝料の増額事由として考慮されてしまいます。
結局、不倫の証拠が開示されない場合には、不倫を証明する証拠をもっているか否かの判断はできませんので、不倫をされた配偶者の言動からどのような証拠をもっているのか推測し、最後は、慰謝料増額のリスクを踏まえて不倫を認めるのか認めないのか決定することとなります。
不倫を証明する証拠
不倫を証明する証拠の有無を判断するにあたって、どのような証拠があれば不倫を証明できるのか確認しておきましょう。
法律上責任を問われる不倫とは、婚姻関係の平穏を侵害する行為です。その中核は性交渉ですが、性器を触るなどの性交類似行為やキスなども不倫に該当します。
このような不倫を証明する証拠として代表的なものは以下の証拠です。
- 性交渉の動画や写真
- ホテルや相手宅に泊まっていることがわかる動画、写真、探偵の調査報告
- 性交渉をしたことがわかるLINEなどのメッセージのやり取り
- ラブホテルを利用したことのわかる領収書やクレジットカードの明細
不倫を認めない相手に認めるよう説得する方法
次に、不倫を問い詰めているのに配偶者や不倫相手が不倫を認めない場合の対処法です。相手に不倫を認めさせるにはどのような方法があるのかご説明します。
不倫の証拠がある場合
不倫を十分に証明できる証拠がある場合には、裁判で勝つことができます。そのため、相手としては不倫を認めないことにメリットはありません。
そこで、不倫の証拠を提示して言い逃れができないことを分からせて不倫を認めさせることが基本となります。この場合、言い逃れができない証拠であるのかどうかは、事前に弁護士に相談をして確認をしておきましょう。
なお、不倫の証拠があるのに敢えて提示しない戦略もあります。これは不倫を認めない態度をとらせておいて、訴訟において慰謝料の増額事由するものです。
不倫の証拠が無いか不十分な場合
他方、不倫の証拠が無いか証拠として不十分な場合には、当然、証拠を開示する手はありません。
この場合、不倫を認めさせるためには、不倫の証拠が揃っていると相手に思わせて、観念させることが必要です。そのためには、知っているはずのないことを知っていると思わせる物的証拠や様々な情報を集めることが重要です。
それをどのように突き付けていくのが効果的かについては、ケースバイケースですし、交渉のノウハウが必要ですから、弁護士に相談、依頼することをお勧めします。弁護士に依頼していること自体が証拠に自信があるという態度を示すことになります。
不倫を認めない場合は求償請求を拒否できる?
さて最後に、不倫を認めていない場合の不倫相手からの求償請求についてです。
求償権とは?
ご存知の方もおられるかと思いますが、まず簡単に求償権、求償請求についてご説明します。
不倫の慰謝料は、不倫をした当事者二人が連帯責任として支払うものです。連帯責任のため、例えば一方が慰謝料100万円を払った場合、不倫相手に対してそのうちの5割を請求することができます。これを求償請求といい、このような請求をする権利を求償権といいます。
求償請求を拒否できる?
自分は不倫を認めていないけれども、不倫相手は不倫を認めて慰謝料を支払った、あるいは不倫相手も不倫を否定していたけれども裁判所が不倫を認定したため慰謝料を支払ったという場合があります。慰謝料を支払った不倫相手から求償請求を受けた場合に、それに応じて支払う必要はあるのでしょうか。
不倫相手が不倫を認めて慰謝料を支払った場合も、不倫相手が不倫を否定していたものの裁判所が不倫を認定したので慰謝料を支払った場合も、求償請求を受けた者としては、不倫の事実はないことを不倫相手との裁判で証明していく必要があります。
ただし、いずれも裁判の難易度は高いですが、後者の場合には裁判所の認定を覆す必要がありますので現実的には求償請求を拒否できる可能性はありません。
まとめ
以上、不倫を認めない場合の対処法や不倫を認めるべきか否かなどについて解説しました。
配偶者や不倫を認めない、不倫を追及されていて不倫を認めるべきか迷っている、これらの場合には最適な対応をとるために、不倫問題を専門とする弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。