自転車窃盗の示談金の相場は?専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月05日

自転車窃盗の示談金の相場は?専門弁護士が解説

  • 自転車を盗んでしまった!
  • 自転車窃盗は示談金で解決できるのか
  • 自転車窃盗の示談金の相場を知りたい

令和2年度犯罪白書の統計によると、令和元年の窃盗事件の認知件数(被害届など警察が犯罪として認知した件数)は53万2,565件、このうち検挙数(被疑者を検挙した件数)は18万97件でした。検挙率は32%、約3人に1人が検挙されていることになります。

このうち自転車窃盗の認知件数の割合は全体の31.7%と一番多く、反対に検挙件数の割合は全体の6.1%にすぎませんでした。

自転車窃盗は、窃盗罪の中でも特に多い犯罪類型の1つですが、犯人が成人か少年かにより、その後の法的手続きが異なります。万が一、自転車窃盗で捕まった場合でもその後の示談交渉によって逮捕や不起訴を免れる可能性が高くなります。

そこで今回は、数多くの窃盗事件を解決に導いてきた実績のある刑事事件専門の弁護士が、自転車窃盗事件を起こしてしまった場合でも、示談金を支払うことで事件が解決できるのか、示談金の相場や前科にならないためのポイントなどについて解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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起こしてしまった自転車窃盗と示談金の関係

起こしてしまった自転車窃盗と示談金の関係を以下の観点から解説します。

  • 自転車窃盗に適用される「窃盗罪」とは
  • 自転車窃盗での「示談金」とは

1つずつ解説します。

自転車窃盗に適用される「窃盗罪」とは

1つ目は、自転車窃盗を起こした場合に適用される「窃盗罪」について解説します。

他人の自転車を盗む行為には、刑法上の窃盗罪が適用されます。窃盗罪とは他人の物を盗む行為を罰する規定です。窃盗罪が成立すると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます(刑法第235条)。

窃盗行為が常習化し、過去10年以内に3回以上、懲役6ヶ月以上の刑の執行を受けた、またはその執行の免除を受けたことがある場合には常習累犯窃盗として刑罰が重くなり、3年以上の有期懲役が科せられます。

窃盗罪は7年で公訴時効となり、この時期をすぎると検察官による公訴ができなくなります(刑事訴訟第250条)。

窃盗罪で逮捕された場合、成人と未成年の場合ではその後の法的手続きが異なります。14歳未満は刑法上犯罪とはなりませんが、一時保護という名目で身柄を拘束される場合があります。

自転車窃盗での「示談金」とは

2つ目は、自転車窃盗での「示談金」について解説します。

窃盗罪の示談金とは、被害者と和解するために支払われる被害金額の損害代金や迷惑料などを指します。

成人の場合は起訴・不起訴を決定するのは検察官ですが、示談が成立している場合は不起訴になる可能性が高くなります。また、未成年の場合は家庭裁判所が処分を決定しますが、示談が成立していると審判不開始、不処分となる可能性が高くなります。

さらに自転車窃盗が発覚する前に示談が成立していれば、逮捕も回避できる可能性が高まります。

示談金はその金額が法律で決められているわけではありません。示談金は弁護士と被害者の交渉により決定されますが、盗まれた自転車の賠償金額に迷惑料が含まれた金額が相場とされています。

どのような自転車を盗んだのか、賠償金額はいくらなのか、被害者が和解のために何を求めているのかによって、示談金額も変わってきます。

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自転車窃盗での逮捕・起訴・前科を回避するためのポイントは示談金

自転車窃盗での逮捕・起訴・前科を回避するためのポイントは示談金という観点から以下の3つを解説します。

  • 逮捕された場合の流れは年齢によって異なる
  • 初犯の場合は刑罰は軽くなるのか
  • 自転車窃盗を示談金の交渉で逮捕を回避して刑事罰を軽くできるのか

1つずつ解説します。

逮捕された場合の流れは年齢によって異なる

1つ目は、万が一逮捕された場合の流れは年齢によって異なるということを解説します。

成人の場合

成人が自転車窃盗で逮捕されると、警察による取調べが行われます。事件と身柄は48時間以内に検察に書類送検され、検察官は勾留請求を行うか否かの処分を決定します。

勾留請求は、送致を受けてから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に行わなければなりません。

裁判官が検察官の勾留請求を認めると10日間、勾留が延長された場合はさらに最大10日間、逮捕から合計で最大23日間、身柄が拘束されることになります。

勾留中に検察官が起訴・不起訴を決定します。不起訴となれば釈放されますが、起訴されるとさらに被告人勾留が続くことになります。起訴された場合、約99%の確率で有罪となり、略式裁判で罰金刑が科されるか公判で懲役刑が科されることになります。

未成年の場合

未成年の自転車窃盗の犯行が発覚すれば成人と同様に逮捕されます。

しかし逮捕後は、成人とは異なり刑事裁判を受けるのではなく、少年法により家庭裁判所に送致され、少年鑑別所に収容されて調査を受けた後に、少年審判を受けて4つの保護処分のいずれかが適用されることになります。

5つの処分は以下のとおりです。

試験観察 家庭裁判所で少年に対する処分を直ちに決めることが困難な場合、少年を相当期間、家庭裁判所調査官の観察に付する処分。
少年に対して更生のための助言や指導を与え、少年が問題点を改善しようとしているのかを観察する。
検察官送致 家庭裁判所が犯罪少年のうち、死刑・懲役又は禁錮に当たる罪の事件について調査又は審判の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときの決定。
保護処分 ・保護観察
保護観察官や保護司の指導・監督を受けながら社会内で更生できると判断された場合に付される処分。決められた約束事を守りながら家庭などで生活し、保護観察官や保護司から生活や交友関係などについて指導を受ける。
・少年院送致
再非行のおそれが強く、社会内での更生が難しい場合には、少年院に収容して矯正教育を受けさせる処分。
不処分  処分をしなくても調査・審判等における様々な教育的働きかけにより、少年に再非行のおそれがないと認められた場合に、少年を処分しないとする決定。
都道府県知事または児童相談所送致 少年を児童福祉機関の指導に委ねるのが相当と認められた場合に、知事または児童相談所長に事件を送致される処分。児童相談所では
18歳未満の児童をめぐる各種の相談に応じ、児童福祉司による指導、児童福祉施設への入所や里親への委託措置を行う。

初犯の場合は刑罰は軽くなるのか

2つ目は、初犯の場合は刑罰は軽くなるのか、ということを解説します。

一般的に初犯の場合であれば、警察に捕まった後も真摯に謝罪し、反省しており、自転車を返還していたり、示談が成立していたりなどの場合であれば、微罪処分としてもらえる可能性があります。

しかし、何度も自転車窃盗を繰り返していたり悪質な手口であったり、または、前科があるなどして再犯の可能性が極めて高い場合においては、逮捕後の刑事手続きにより身柄が拘束されることもあります。

自転車窃盗を示談金の交渉で逮捕を回避して刑事罰を軽くする

3つ目は、自転車窃盗を示談金の交渉で逮捕を回避して刑事罰を軽くする、ということについて解説します。

自転車窃盗で捕まってしまった場合、弁護士に示談金の交渉を依頼することで逮捕を回避して刑事罰を軽くすることができます。また、示談が成立していれば「不起訴」となる可能性が高くなります。できるだけ早い段階で被害者との示談交渉に動くべきでしょう。

日本の刑事裁判では、一度起訴されてしまうとほぼ確実に有罪となり前科がついてしまいます。示談が成立していれば検察もそれを考慮して略式裁判で罰金刑を科すか、起訴猶予となる可能性が高まります。

このように、示談をすることは不起訴を獲得しやすくなる、執行猶予付きの判決や量刑などを考慮してもらえる、などのメリットがあるといえます。

示談金は、盗難自転車の被害額の弁償と迷惑料を合算して支払うのが一般的です。また示談金と共に謝罪文を提示することで謝罪の意思が被害者に伝わります。謝罪文を書き慣れておらず、どのようなことを書いてよいのかわからない場合は、対応になれた弁護士に相談することがお勧めです。

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自転車窃盗の示談金の相場はいくら?

自転車窃盗での示談金の交渉に必要な知識として、以下の2つを解説します。

  • 示談交渉に欠かせない示談書とは何か
  • 自転車窃盗の示談金の相場とは

1つずつ解説します。

示談交渉に欠かせない示談書とは何か

1つ目は、示談交渉に欠かせない示談書とは何か、についての解説です。

示談交渉に欠かせない示談書とは、示談交渉を行ったときの被害金額についての賠償や、迷惑料の金額、被害者の要望事項など、加害者と被害者が協議してまとまった示談の条件を記載した書証です。

示談書に入れておくべき主な事項は、支払う示談金の金額、加害者に対して刑事処分を求めないことの表明、加害者と被害者の間に債権債務関係がないことの明記の3点です。

加害者と被害者の間に債権債務関係がないとは、この示談金以外に被害者から追加で請求できるものがないということを表しています。弁護士が作成したほうがよいですが、インターネット上にある雛形をもとに作成することもできます。

自転車窃盗の示談金の相場とは

2つ目は、自転車窃盗の示談金の相場とは、についての解説です。

自転車窃盗の示談金は、法律で金額が決められているわけではなく、弁護士と自転車の持ち主である被害者との交渉により決定されます。一般的には、被害金額と迷惑料の総額が相場とされています。

被害者の中には「盗まれた自転車を返してくれればそれでよい」と言う方もいれば、「代わりの自転車を買うためのお金が必要だ」という方もいます。自転車が被害者にとって貴重なものであり、盗んだ行為を許すことができないような場合は、被害金額の他に迷惑料を請求される可能性もあるでしょう。

自転車窃盗の示談金の相場は、被害に遭った自転車の賠償金額や、被害者が和解により何を求めているのかによっても異なってきます。

まとめ

今回は自転車窃盗事件を起こしてしまった場合に、示談金を支払うことで事件が解決できるのかという疑問についてや、示談金の相場や前科にならないためのポイントなどについて解説しました。

示談交渉を行うときには自転車の持ち主である被害者の状況をよく理解することが、示談交渉をスムーズに進めるにあたっての重要な条件だといえます。示談金額は法律で決められていませんが、被害者の損害賠償額と迷惑料を支払うことが必要です。被害者の状況や心情に応じた賠償額と迷惑料を算出したうえで、検討をすすめましょう。

自転車窃盗を起こした加害者が被害者と直接交渉をすると、話がうまく進まないことが多々あります。少しでも不安に感じることがあるようでしたら、専門の弁護士に早めに相談することを強くお勧めします。

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