夫婦間契約

最終更新日: 2023年06月13日

夫婦間契約とは

夫(妻)が不倫をした場合、妻(夫)は不倫相手に対して慰謝料請求をすることができます。

そして、夫婦間では、離婚をするか、しないかの話し合いになるかもしれず、離婚をする場合には、慰謝料や財産分与、親権、養育費などについて協議し、離婚協議書が作成されます。

一方、離婚はせずに夫婦関係を続けていく場合には、再び不倫をするのではないかという心配がつきまといます。

このように不倫をした配偶者と婚姻関係を続けていく場合に作成することを推奨されるのが夫婦間契約です。

以下では夫婦間契約と法律との関係、夫婦間契約の具体的内容、作成方法についてご説明します。

夫婦間契約の取消権

民法には、「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。」という条文があります(754条)。

この条文を踏まえると、夫婦間契約を締結しても、いつでも一方から取り消すことができることになり、契約を締結した意味がないのではないかとも思えます。

この条文の趣旨は、婚姻中は夫婦の一方が他方から威圧されたりするなど、自由な意思に基づかない契約がなされやすいことを理由に、夫婦間での契約は取り消すことを可能にしたことにあります。

しかし、最高裁判所は、本条文の「婚姻中」とは形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも実質的にもそれが継続していることを意味すると解釈し、本条文が適用される場面を制限しました。

そのため、婚姻関係が実質的に破綻している場合には、形式的に婚姻関係が継続していたとしても本条文の「婚姻中」には該当しないことになります。

そして、実際に取消権が問題となるのは、夫婦関係が破綻した状態にある場合がほとんどですから、結局、本条の取消権が認められることはほとんどないことになります。

このように夫婦間契約の取消権の条文にかかわらず、夫婦間契約の効力は維持できる可能性は非常に高いと考えてよいでしょう。

夫婦間契約の内容

夫婦間契約の内容は、原則として自由です。もっとも、法律や公序良俗に反するような内容の場合には法的効力が否定されます。

不倫をした配偶者との間で締結する夫婦間契約には、再び不倫をした場合のペナルティを定めます。これによって、再び不倫することを抑止するとともに、万が一、不倫をしたときには、有利な条件で離婚することが可能になります。

夫婦間契約の内容の一例は以下のようなものです。

  • 不倫をした場合には、離婚の申込に応じること
  • 不倫をした場合の慰謝料の金額
  • 財産分与の割合を半分ではなく、8割とすること
  • 養育費を通常の金額の1.2倍とすること
  • 養育費の支払いを20歳までではなく、大学卒業までとすること
  • 離婚後も妻子が自宅に居住することを認め、住宅ローンは夫が支払い続けること

夫婦間契約の作成方法

先ほどご説明した夫婦間契約の取消権の趣旨にもありましが、夫婦間では自由な意思によって契約を締結したのか不明確になりやすいということがありました。

この点は、確かにその通りで、実際に夫婦間契約の効力が争われた場合に、本当に契約内容を理解していたのか、脅されたり、騙されてサインしたのではないかということが問題となる可能性があります。

そのため、夫婦間契約を作成、締結する場合には、夫婦だけで作成するのではなく、第三者として弁護士が介在し、適正なプロセスで作成された契約であることを担保することが非常に重要です。

もちろん、契約内容自体が法律や公序良俗に違反しないように、また契約内容の文言が曖昧で後日争いになったりしないようにするためにも弁護士が作成するべきです。

そこで、夫婦間契約を作成する場合には、まずは夫婦のどちらか一方が弁護士に依頼し、その方と一緒に夫婦間契約の案を作成していきます。

その後、他方の配偶者にも夫婦間契約の案を確認してもらい、加除修正を検討します。

そして、夫婦ともに夫婦間契約の内容に納得したら、弁護士の面前でサインをして、契約成立となります。

なお、離婚協議書の場合には公正証書にすることがありますが、このような夫婦間契約の場合、離婚は将来の不確定な出来事のため、強制執行を可能とするような公正証書を作成することはできません。

公正証書にせずとも上記のプロセスで作成した夫婦間契約には法的効力が認められますのでご安心ください。

夫婦間契約の弁護士費用

当事務所では、夫婦間契約を11万円(消費税別)にて作成しております。

離婚となった場合の慰謝料や財産分与は比較的大きな金額となりますので、予めこれらの点を有利に、明確にしておけること考えると高すぎるということはないでしょう。

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