不倫の示談書でトラブル回避!作成の流れ・記載項目・ポイントを徹底解説
最終更新日: 2025年03月31日
- 不倫したパートナー・不倫相手と示談で解決を目指したい。示談書の作成方法を知りたい。
- 示談書にはどのような内容を記載すればよいのだろうか?
- 不倫したパートナー・不倫相手と示談交渉する前に、誰かに相談しておきたい。
不倫したパートナー・不倫相手と示談で和解できれば、面倒な調停や裁判手続きは不要となります。
ただし、口頭のみで示談内容を決めても、パートナー・不倫相手が約束を守らず、また不倫関係を続けるおそれがあるでしょう。
そこで今回は、数多くの不倫問題に携わってきた弁護士が、不倫の示談書を作成するメリット、不倫の示談書の書き方等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談できます。
- 不倫の示談書を作成すれば、不倫の証拠となる他、再発防止にも役立つ
- 示談書には不貞行為の事実や謝罪の文言、慰謝料の額等を明記する
- 示談交渉や示談書作成の前に弁護士とよく相談した方がよい
不倫の示談書とは何か
示談書とは、示談の合意内容を書面化した文書を指します。
不倫の示談書は、不倫をしたパートナー・不倫相手(加害者)と、不倫をされた者(被害者)が、取り交わす示談書です。
示談書には、主に不倫慰謝料の金額や支払い方法・期限、加害者同士が二度と会わない旨を明記します。
書式は自由で、手書きでもパソコンによる作成でも構いません(署名は手書きが望ましい)。
不倫の示談書を作成するメリット
示談書を作成しておけば、加害者が再び不倫するリスクを軽減できるでしょう。
後々、再び不倫の事実が確認されたときは、被害者側にとって有利になる可能性もあります。
トラブル防止
合意した示談内容を書面化すれば、お互いが合意内容をしっかり把握できます。
口頭で示談の合意をしても、時間が経てば内容を忘れることや、内容の認識等の違いで、後日トラブルが発生するかもしれません。
書面化しておけば、当事者がいつでも示談内容を確認できるため、認識の違いが発生するリスクも避けられるでしょう。
不倫の証拠として提示可能
示談書を作成していれば、被害者にとって有利な証拠として活用できる可能性があります。たとえば、次のような活用方法が考えられます。
- 今後、離婚の交渉や調停・裁判を行うとき、示談書にパートナーが不倫を認めている事実が明記されているので、証拠として提出できる
- 加害者側が約束を破り調停や裁判に移行したとき、「示談書を作成していたのに加害者側が一方的に約束を破った」と主張できる
再発防止策
示談書を作成しておけば、不倫の加害者側に対しプレッシャーとなり、再発防止につながる効果も期待できます。
再発防止策として、次のような加害者側の誓約文を入れておくとよいでしょう。
- 不倫を完全に終わらせ、関係を解消することを誓う
- 以後、不倫相手と会わないのはもちろん、メールや電話でのやり取りもしない
- 加害者側が約束を破った場合、違約金の支払いの他、被害者側はパートナーとの離婚手続きを進められる等
不倫の示談書作成の流れ
示談書の作成前に、不倫したパートナーや不倫相手と示談交渉を行う必要があります。
自分を裏切った2人との交渉ですが、感情的になるのを抑え、冷静に交渉を進めましょう。
示談交渉
示談交渉のスタイルは特に決まりはなく、当事者が自由に交渉できます。たとえば、次のような方法が考えられるでしょう。
- 「パートナーと被害者」「不倫相手と被害者」という形で個別に交渉する
- 加害者側(パートナー・不倫相手)と被害者側で交渉する
ただし、「直接当事者で話し合うと冷静さが保てない」「加害者側が交渉に応じてくれるか不安だ」と感じることもあるでしょう。
そのようなときは、法律の専門家である「弁護士」を代理人に選任し、自分の代わりに加害者側と交渉してもらうこともできます。
示談内容確認
示談内容に当事者が合意したときは、取り決めた内容を示談書に記載し、同じ示談書を2部(3者間で交渉の場合は3部)作成します。
弁護士に代理人を依頼していた場合は、弁護士が示談書を作成する場合が多いでしょう。
示談内容の確定後に示談書を作成するのが一般的ですが、口頭で合意しても、時間が経つと示談を反故にされるケースもあり得ます。
そこで示談交渉前から、あらかじめ示談書を作成しておき、交渉を重ねつつ、内容を適宜修正し合意に達したら、署名押印へ進むという対応もおすすめです。
署名押印
示談書の完成後に当事者同士が署名・押印しましょう。
加害者と被害者が対面し、互いに署名・押印をすれば示談書の作成は終了です。
ただし、「加害者側とこれ以上顔を合わせたくない」と思う被害者も多いでしょう。
そのような場合は、加害者側に示談書を郵送し、署名・押印を求め返送してもらう方法もあります。
返送された示談書は内容が改ざんされていないかどうか、よく確認しましょう。
保管
当事者が示談書に署名押印を終えたら、大切に保管しておきましょう。
たとえ示談が成立しても、今後、加害者側が示談書の内容に違反する事態もあり得ます。
示談書に記載された措置(例:違約金の請求、離婚調停・裁判への移行)が必要になる可能性もあるので、失くさないようにしっかり保管しておきましょう。
不倫の示談書の書き方
不倫の示談書を作成するときは曖昧な表現は避け、不倫(不貞行為)の内容、今後不倫を行わない旨、慰謝料の額、約束を破った場合の措置等について、具体的に明記しましょう。
示談内容に不備はないか、弁護士に相談するのもよい方法です。
不貞行為の事実
示談書には、まず加害者側が不貞行為を行っていたという事実について記載します。
たとえば、次のような文言で明記しましょう(A:被害者である妻・B:不倫した夫・C:不倫相手)。
「Aの夫BおよびCは、令和2年4月1日から令和7年2月28日までの間、不貞関係にあった。夫Bは1週間に1〜2回の出勤が必要であると偽り、自宅を出てC宅やホテルで性行為を行った」
謝罪の文言
加害者側の不倫を謝罪する文言も示談書に明記しましょう。
たとえば、不倫相手が被害者に謝罪するときは、次のような文言を記載します(A:被害者である妻・B:不倫した夫・C:不倫相手)。
「Cは、令和2年4月1日から令和7年2月28日までの間、Aの夫Bと不貞関係にあった事実を認め、これについて謝罪する。」
さらに「二度とAの夫Bとは会わない」旨の文言を記載すれば、不倫の再発防止策となるでしょう。
慰謝料の額
加害者側が被害者側に支払う慰謝料の額を記載しましょう。
慰謝料に関して、次のように取り決めた旨を明記します。
- 慰謝料の金額(具体的に記載)
- 求償権の放棄
不倫の慰謝料は、不倫したパートナーと不倫相手双方への請求も、どちらか一方だけに慰謝料全額を請求することもできます。
ただし、不倫(不貞行為)は共同不法行為となるため、慰謝料の支払い義務は不真正連帯債務になることに注意が必要です。
不真正連帯債務の場合、たとえば不倫相手だけが慰謝料の全額を支払ったときは、不倫相手はパートナーが本来支払う金額分をパートナーに請求できます(求償権)。
パートナーとこれからも夫婦関係を継続する場合、不倫相手から求償権を行使されると、自分たちの家計に影響が出る可能性があるでしょう。
そのため、不倫相手が慰謝料全額を支払うときは示談書に求償権の放棄を明記しておく必要があります。そうすれば、パートナーが不倫相手から慰謝料を請求されることはなくなります。
支払い方法
慰謝料の支払い方法の明記が必要です。銀行振込や手渡し、現金書留での郵送等、当事者が合意した方法を記載しましょう。
また、支払回数も明記しておく必要があります。慰謝料を一括で支払うか、複数回で支払うかは示談交渉で決めておきましょう。
手数料負担者
慰謝料の支払いのときに発生する手数料を誰が負担するかも記載が必要です。
振込手数料等をどちらが持つか明記しておけば、後々のトラブルを回避できます。
どちらが負担するかは交渉で自由に決められますが、不倫した側の負担とするのが妥当でしょう。
支払期限
支払う側が支払いを放置したり、忘れたりする場合もあるので支払期限を明記しましょう。
たとえば、次のような文言を記載します。
- 一回払の場合:「慰謝料は、令和7年4月15日までに、(指定銀行)口座に振り込みで支払う」
- 分割払の場合:「慰謝料は令和7年4月・5月・6月の3回に分け、各月末までに、(指定銀行)口座に振り込みで支払う」
支払いが滞った場合の措置
慰謝料の支払いが滞ったときの措置も、明記しておきましょう。
強制執行を申し立てて慰謝料を回収する旨の記載が考えられます。
ただし、実際に強制執行をするときは、まず支払いを求めて訴訟提起し、勝訴後に強制執行を申し立てなければなりません。
訴訟提起のときの煩雑な手続きを避けたいのであれば、示談書の作成時に工夫が必要です。たとえば、後ほど説明する強制執行許諾条項(「本合意に違反した場合、直ちに強制執行を受けることに同意する」旨)を入れて公正証書にしておく方法があります。
加害者側は強制執行をおそれ、誠実に義務を履行するでしょう。
口外禁止条項
不倫の事実を口外しない旨(守秘義務)も明記した方がよいでしょう。
たとえば、次のような内容です。
- 家族や親族、友人・知人、近隣住民、勤務先・学校関係者に至るまで、第三者へ口外しない
- インターネット上の掲示板やSNSで不倫の事実を口外しない
口外禁止条項には加害者の他、被害者も従わなければなりません。
示談書作成時のポイント
不倫の示談書は当事者だけで作成できます。しかし、重要な示談内容が抜けてしまえば、示談書を作っても意味がありません。
実効性のある示談書にするために、作成にあたって注意すべきポイントがあります。
公正証書としての作成
公正証書とは、個人や法人からの嘱託により、公務員である公証人が権限に基づき作成する公文書です。
不倫の示談書を公正証書として作成すれば、真正であるとの強い推定(形式的証明力)が働きます。つまり、訴訟等において強力な証拠力を有する文書となるのです。
公正証書に債務者(加害者)が慰謝料を支払わないときは、強制執行を受けることに同意する旨の文言が記載されていれば、裁判手続を経ることなく、すぐに強制執行が可能となります(強制執行認諾文言付き公正証書)。
弁護士への相談
不倫したパートナーやその相手と示談交渉を行い、示談書を作成するときは、弁護士と事前に相談した方がよいです。
弁護士は相談者の事情を聴いたうえで、次のようなアドバイスやサポートを行います。
- 交渉すべき示談内容の整理
- 示談書に記載する項目の説明
- 公正証書にする有効性
- 加害者側が交渉に応じない場合の対応
- 弁護士を代理人にするメリット
弁護士を代理人にすれば、法律の知識と豊富な交渉経験をいかし、迅速に示談内容をまとめ、示談書の作成に移れます。
ただし、相談相手は、弁護士なら誰でもよいわけではありません。
弁護士にも得意分野があるため、不倫や家族問題に数多く携わってきた実績がある弁護士を選任しましょう。必要な情報は、インターネットで検索できます。
- ホームページに不倫・家族問題の解決実績数、相談実績数が具体的に明示されている
- 不倫問題の示談交渉や、示談書の作成等に関するコラムが充実している
- 不倫問題に関する相談事例が多数掲載されている 等
上記のような内容が確認できれば、不倫問題のサポートに力を入れている法律事務所とみて間違いないでしょう。
不倫の示談書作成は春田法律事務所へご相談を
今回は数多くの不倫問題の解決に尽力してきた弁護士が、不倫の示談書を作成するときのポイント等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は不倫問題に関する交渉、調停・裁判に実績豊富な法律事務所です。示談交渉や示談書の作成に悩んでいるときは、弁護士と今後の対応の仕方をよく話し合いましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。