不倫に強い弁護士の条件や費用は?専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月22日
- 夫(妻)が不倫をしたから不倫相手に慰謝料を請求したいけど、弁護士に依頼した方がよいのか?
- インターネットで検索したら弁護士がたくさんヒットしたけど、不倫に強い弁護士かどうかはどうやって判断すればよいのか?
- 弁護士費用ってどれくらいかかるのか?
初めて不倫問題に直面した方、弁護士に依頼したことがない方は、多くの場合このような疑問を持つでしょう。
不倫問題の悩みを弁護士に依頼すべきなのか、依頼するとしても誰に依頼すればいいのか、分からないという方も数多くいらっしゃると思います。
今回は数百件の解決実績がある不倫問題に強い弁護士が、弁護士に依頼すべきケースや不倫問題に強い弁護士の探し方などをご説明いたします。
不倫で弁護士に相談すべきケース
不倫問題も様々なパターンがあり、ご相談内容も様々で、弁護士に相談すべきケースもあれば、相談先として弁護士が適切ではないケースもあります。
以下では、不倫した方が相談すべきケース、配偶者に不倫された方が相談すべきケース、弁護士に相談できないケースについて、それぞれご説明します。
不倫した方が相談すべきケース
不倫した方が弁護士に相談すべき場合はいくつかあります。いずれも依頼をするかどうか、また弁護士から不倫相手の配偶者に連絡をするタイミングについては要検討ですが、相談自体は直ぐにすべきです。
配偶者から慰謝料請求された
不倫関係にある相手の配偶者(夫、妻)から慰謝料請求を受けた場合には直ぐに弁護士に相談するべきです。
ご自身ではどのような発言が不利になるかの判断は困難ですし、強引に示談書(和解書、合意書)にサインをさせられ、取り返しのつかない事態になることもあるからです。
不倫関係を解消したい
連絡を絶っても自宅や会社におしかけてくる、別れるなら家族や会社にばらすと脅されている、別れ話をすると自傷行為をしようとするなどの事情で、別れることができないというご相談はよくあります。
このような場合、当事者同士での話し合いで別れられることは稀ですから、直ぐに弁護士に相談すべきケースといえます。
不倫相手が妊娠した
不倫相手が妊娠した場合、本当に妊娠しているのか、ご自身の子なのかなどの確認や、出産と中絶のいずれを選択するのか、出産する場合は認知や養育費はどうするのかなど、様々な問題があります。
専門知識が必要な点もありますし、後に中絶を強要されたとして法的問題に発展するおそれもありますので、このような場合も直ぐに弁護士に相談すべきケースといえます。
不倫された方が弁護士に相談すべきケース
配偶者(夫、妻)が不倫している場合、不倫をされた配偶者としては、不倫相手に慰謝料請求するという以外にも、不倫関係を解消させたい、あるいは離婚したいという要望があるのが通常です。
何をしたいかある程度固まった後は、配偶者や不倫相手に対して行動を起こす前に、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
不倫相手に慰謝料請求をしたい
配偶者が不倫をしているので、不倫相手に慰謝料を請求したいという場合、慰謝料を請求するための証拠が十分かどうかを確認するために、直ぐに弁護士に相談しましょう。
証拠が不十分な段階で配偶者に不倫を追及すると、それ以降、証拠を得ることが難しくなりますので、配偶者に不倫を追及する前に弁護士に相談した方が良いです。
不倫関係を解消させたい
配偶者が不倫をしている場合に、不倫相手との関係を解消させるためには、慰謝料請求の方法が効果的です。慰謝料請求をすることで不倫相手に法的責任を自覚させ、不貞関係を解消する法的書面を作成させます。
不倫関係を解消させたのちに、夫婦関係を修復できるかどうかは夫婦間の話し合いによりますが、再び不倫をした場合のペナルティを設定した夫婦間契約の作成を弁護士に依頼することもお勧めします。
離婚したい
配偶者が不倫をしているので離婚したい場合、まずは配偶者が言い逃れをできない証拠があるかどうか、弁護士に相談をして確認が必要です。
また、親権や養育費、財産分与、慰謝料などの問題も夫婦、家族によって気を付けるべき点は異なりますので、合わせて弁護士に相談をしましょう。
弁護士に相談できないケース
他方、ほとんどの弁護士が相談に応じてくれないケースもあります。
例えば、交際相手から別れを切り出されたが別れたくないというご相談、婚約関係にもなく交際しているだけの恋人が浮気をしたというご相談は、いずれも法的問題ではありませんので、弁護士は相談に応じられません。
不倫問題を弁護士に依頼するメリット・デメリット
不倫問題で扱う法律はさほど難しくはありませんし、インターネット上の情報も豊富ですから、弁護士に依頼せずともご自身で解決できてしまうこともあります。
しかし、弁護士に依頼すると、ご自身で対応するよりも大きなメリットが得られることがありますので、以下ご説明します。
慰謝料請求する側のメリット
ご自身で不倫相手に電話をすること、インターネットで調べたひな形を使って通知書を作成し、内容証明郵便で発送すること自体は、弁護士に依頼せずともご自身でできます。
それでも不倫問題において弁護士に依頼をするメリットがありますので、以下ご説明します。
慰謝料を最大限に増額できる
インターネットで検索をしたり、弁護士に無料相談をしてみるとご自身のケースではどれくらいの慰謝料が妥当なのかわかります。
しかし、その金額は訴訟になった場合に裁判官が判断する見込みの金額であり、訴訟になる前の話し合い、交渉の段階では必ずしもその金額にはなりません。
交渉ではそのような相場の金額は一応の参考となりますが、相手方の言葉遣いや様々な情報を踏まえ、戦略を考えて交渉をしていきますので、相場以上の慰謝料を得られるケースはよくあります。
多くの不倫問題の交渉をしてきた弁護士に依頼することで、このように相場以上の慰謝料を得られる可能性が高まります。
逃げられたり不倫を否定されるのを防げる
ご自身で不倫相手に連絡をしたところ最初は応答があったが、その後音信不通になったというケースや、不倫自体を否定されたというケースはよく聞きます。
弁護士から連絡があってそれを無視する不倫相手は稀ですし、無視をしていても訴訟を起こせば対応してくるのがほとんどです。
また、不倫を否定してくるケースには、証拠を持っていないだろうと考えて否定してくる場合や、ホテルには行ったけれど性交渉はしていないから不倫ではないと考えて否定してくるケースが多くあります。
これらの場合も最初の連絡の際にどのように伝えるかによって、不倫を否定される可能性を大きく低下させられます。特に証拠が不十分で、不倫相手に不倫を認めさせることが重要なケースでは、最初の連絡から弁護士に依頼をするべきでしょう。
法的に有効で実効性のある示談書をつくれる
不倫相手との間で慰謝料金額について話がまとまった後は、通常、示談書(合意書、和解書)を作成します。
ご自身で相手と示談書を交わした場合、特に相場の慰謝料金額よりもかなり高額な慰謝料金額を定めた場合、後に強迫されてサインしたと主張され、その後、長い裁判に突入するケースがよくあります。
このように後に示談書の効力を争われないようにするためには、弁護士に代理人となってもらって相手と示談書を交わすべきです。
また、実は、ご自身で作成した示談書に抜け道があり、思いもよらない事態に至るというケースがしばしばあります。抜け道のない法的に有効で、実効性のある示談書を作成するためには、不倫問題を多数扱ってきた弁護士に依頼をするのが良いでしょう。
慰謝料請求された側のメリット
慰謝料請求をされた側についても、インターネットの情報や弁護士の無料相談で得た情報をもとに、相手と交渉することはできます。
しかし、弁護士に依頼した場合とは大きく異なる点がありますので、以下では弁護士に依頼するメリットについてご説明します。
慰謝料を最大限に減額できる
インターネットで検索をしたり、弁護士に無料相談をすればご自身のケースでどれくらいの慰謝料が妥当なのかはわかります。
確かに、訴訟になれば妥当な慰謝料金額に落ち着くことになりますが、訴訟になる前の交渉の段階では必ずしもそうではありません。
相手は相場よりも高い金額を支払わせようとするのが通常ですから、直ぐに妥当な慰謝料金額で和解に至ることは稀で、押したり引いたりの駆け引きが必要になります。その際には相手の言葉遣いやその他の様々な情報から相手の意図を推測して交渉の戦略を立てる必要があります。
このような戦略的な交渉によって最大限に慰謝料を減額することができるのが、不倫問題を多数扱ってきた弁護士に依頼をするメリットでしょう。
家族や勤務先にばれるのを避けられる
不倫相手の配偶者が不倫をばらすために、自宅や会社に連絡をしたり、押しかけてこようとするケースはよくあります。また、そうでなくても弁護士から自宅に慰謝料請求をする書面を送って来ることで、家族に不倫がばれてしまうことはよくあります。
このように家族や会社に不倫がばれてしまうことを避けるためには、ご自身も弁護士に依頼をして、相手からの連絡先を弁護士にする、また弁護士から相手に家族や会社にばらせば法的責任を追及することになると釘を指してもらうことが必要です。
100%とは言いませんが、これによって家族や会社にばれる事態はほとんどの場合回避できます。
こちらの要望も入れた示談書をつくれる
不倫をした側からは示談書にご自身の要望を盛り込むことを求めるのは容易ではありません。そのため、不倫をした側ばかりが義務を負い、相手は何ら拘束されない内容の示談書が作成されていることが多くあります。
弁護士に依頼をすることで、弁護士が代理人として不倫をした側の要望も盛り込み、できる限り対等な内容の示談書を作成することが可能となります。
相手や弁護士とのやり取りのストレス回避
不倫をした手前、電話があれば直ぐに折り返さないといけない、呼び出されれば断ることができないなど、不倫相手の配偶者とのやり取りはとてもストレスがかかるものです。
また、不倫相手の配偶者に弁護士がついている場合、かなり高圧的に話をしてくる弁護士も多いことから、そのような弁護士とやり取りをすることも非常にストレスです。
弁護士に依頼をすることで、このようなストレスを回避でき、またできる限りご自身の言い分、要望も相手に主張することが可能となります。
不倫問題を弁護士に依頼するデメリット
以上のとおり、不倫問題を弁護士に依頼することには様々はメリットがあります。
他方でやはり弁護士費用がかかる点は弁護士に依頼するかどうかを判断する際の最大の検討事項になるでしょう。デメリットといえるかもしれません。弁護士に依頼してもなお経済的にメリットがあるのかどうか弁護士に無料相談をして確認することをお勧めします。
なお、弁護士に依頼をしたことによって相手の怒りを買うのではないかと心配をする不倫した当事者の方もおられます。しかし、不倫をしたことで既に相手は怒っていますし、怒っているからといって支払う慰謝料が増えたり、交渉が難航することもありませんので、この点はあまり気にする必要はありません。
不倫問題に強い弁護士の条件は?
せっかくなら不倫問題に強い弁護士に依頼をしたいとどなたも考えることでしょう。「不倫問題に強い」という表現は、人によってその意味合いが多少異なるかもしれませんが、ほとんどの方の意味合いとしては、「自分の希望に最大限沿った結果を出してくれる」というものかと思います。
このように最高の結果を出してくれそうな弁護士か否か、どのように判断すれば良いのでしょうか。以下では不倫問題に強い弁護士の条件について説明します。
100件以上は担当している弁護士
まず、不倫問題をどれだけ担当してきたかは重要な指標です。不倫問題は専門性の高くない分野ですから、弁護士であれば誰でも対応は可能です。
しかし、法律の専門性が高くないとはいえ、不倫問題に特有のテクニックや留意点があり、これらは数多くの案件を担当することで身に付くものです。
したがって、数件担当したことのある弁護士と100件以上担当したことのある弁護士では提案できる解決策や交渉戦略が大きく異なります。
必ず100件というわけではありませんが、不倫問題に強い弁護士を探すのであれば、それくらいの担当件数の有無は確認するべきでしょう。
弁護士が対応してくれる法律事務所
不倫問題について電話問合せをすると、事務員の方やカウンセラーという方が対応し、依頼をした後も基本的にそれらの方が対応して、なかなか弁護士と直接話ができないという法律事務所もあります。
そのような法律事務所の傾向として、業務効率、案件を早く終わらせて回転率を高めることを重視していることがあり、1件1件の案件への取り組みが省力化されていることがあるようです。
多数の案件を取り扱っていたとしてもそのような法律事務所の場合には、依頼者の要望よりも早期解決を優先されてしまい満足のいく結果、サービスを得られない可能性があります。
不倫問題に強い弁護士を探すのであれば、弁護士が直接対応してくれる法律事務所を探すべきでしょう。
訴訟も対応してくれる
不倫問題で訴訟まで至るケースは1割ほどで、ほとんどは訴訟には至らず和解で終わります。このように訴訟になるケースは少ないのですが、逆を言えば、訴訟にした方が依頼者にとってメリットのあるケースが訴訟になっているということです。
慰謝料を請求する側であれば、訴訟にした方が弁護士費用を考慮しても多くの慰謝料を得られるケース、慰謝料を請求されている側であれば、訴訟にした方が弁護士費用を考慮しても支払金額が低くなるケースは訴訟にした方が良いでしょう。
ところが、このような経済的なメリットがあるケースでも、頑なに訴訟にすることを拒否する弁護士、法律事務所があります。訴訟になった場合には弁護士の業務負担が増える、解決までの期間が長くなり成功報酬が入るのが遅くなるという懸念から訴訟にした方が良いケースでも訴訟を避けることがあるようです。
そのため、不倫問題に強い弁護士を探すときには、依頼者にとってメリットがあるときには、訴訟をしてくれるかどうかを確認することも大事です。
説明がわかりやすい
不倫問題の法律はさほど難しくないとはいえ、法律の専門家ではない依頼者には馴染みのないものです。不倫問題に詳しく、よく理解している弁護士であれば、専門的なことも平易な言葉でわかりやすく説明できます。
そのため、不倫問題に強い弁護士を探すときには、専門的な言葉をそのまま使って説明するのではなく、平易な言葉でクリアに説明しているかどうかも注目すると良いでしょう。
不倫問題では「求償権」というものがありますが、これについてわかりやすく説明しているかどうかは、このような判断基準の一つになりそうです。
きちんと気持ちを理解してくれる
依頼者の方の「最高の結果」の内容がシンプルに慰謝料金額の多い少ないであれば、依頼者の気持ちを汲み取るかどうかは、不倫問題に強い弁護士かどうかとはあまり関係がないかもしれません。
もっとも、不倫問題においては、不倫された方であれ不倫をした方であれ、何らかの感情、気持ちを抱えています。
金額面であれその他の条件面であれ、あるいは交渉の進め方であれ、そのような依頼者の気持ちへの理解なくして「最高の結果」を実現することはできないでしょう。
したがって、不倫問題に強い弁護士を探す際には、依頼者の気持ちを理解してくれる弁護士かどうかも判断基準になるでしょう。ただし、依頼者と同化してしまうほどの姿勢ですと、案件を客観視できず、良い結果は望めませんので、あまりに感情的な弁護士は避けた方が良いでしょう。
司法書士や行政書士に相談?
実は、不倫問題を扱う法律の専門家は弁護士だけはありません。行政書士や司法書士も不倫問題を扱っていることがあります。
しかし、まず行政書士は代理人になることができません。弁護士であれば依頼者の代理人として直接、相手方と交渉ができますが、行政書士の場合、書面作成はできますが、交渉をするのはあくまで依頼者本人です。
他方、司法書士は慰謝料140万円以下の案件であれば代理人となることができます。
このように司法書士に依頼をする場合には請求する金額に上限ができますし、請求された側であれば、当初は140万円の請求だったのがその後に140万円以上の請求になった段階で司法書士との契約は解除となり、改めて弁護士に依頼することになります。
本来はさらに請求できる案件でも140万円が上限になったり、改めて弁護士に依頼しなければならなくなる可能性があることから、司法書士への依頼もお勧めできません。
不倫問題を弁護士に依頼するには不倫相手の名前や住所が必要?
弁護士が不倫相手に慰謝料請求をする場合、電話や手紙で不倫相手に連絡をすることが通常です。不倫相手の自宅や勤務先に押し掛けて不倫相手と話すような方法は、トラブルに発展する可能性が高いため、普通の弁護士はしません。
弁護士が不倫相手に慰謝料を請求する場合、いくつか情報が必要となりますので、以下では必要となる情報やその取得方法についてご説明します。
慰謝料請求に必要な不倫相手の情報
不倫相手に慰謝料請求をする場合、不倫相手の氏名と住所(又は勤務先)の情報が必要です。苗字だけや下の名前だけでは不十分で、苗字と名前の両方が必要となります。内容証明郵便を送ったり、訴訟をする場合には必ずこれらの情報が必要となります。
確かに、慰謝料を支払うよう電話をするだけであればこれらの情報は必要ありません。しかし、不倫相手が請求に応じない場合には訴訟をする必要がありますので、最終的にはやはりこれらの情報が必要となります。
以下、これらの情報が揃っていない場合の調査方法を含め、ご説明します。
不倫相手の氏名と勤務先がわかる
不倫相手の氏名と勤務先がわかるけれども、住所はわからないというケースもあります。内容証明郵便は自宅に送ることが多いのですが、勤務先に送ることも可能です。
ただし、この場合、不倫で訴えられたことを勤務先の人が知ると、不倫相手からプライバシー侵害や名誉棄損だと主張されて面倒なことになりますので、勤務先に送るときは本人限定受取の方法で送るのが無難です。
不倫相手の携帯電話番号がわかる
不倫相手の氏名や住所はわからないが、携帯電話番号はわかるというケースがあります。
この場合、弁護士に依頼をすれば弁護士会照会という方法で、ドコモなどの携帯電話会社に不倫相手の契約者情報を照会することができます。これによって、不倫相手が携帯電話会社に登録している氏名と住所を調べることが可能です。
不倫相手の氏名はわからないが住所や勤務先はわかる
不倫相手の氏名がわからず、住所や勤務先だけがわかるという場合、不倫相手を特定することができず、電話をすることも、内容証明郵便を送ることもできません。
この場合、弁護士に依頼をしても不倫相手の氏名を調査することはできませんので、ご自身で、配偶者の所持しているものなどから何とか不倫相手の氏名を調べる必要があります。
不倫相手のEメールアドレスだけわかる
不倫相手と配偶者がEメールでやり取りをしており、Eメールアドレスだけがわかるというケースもしばしばあります。
Eメールアドレスがドコモなど携帯電話会社のアドレスであれば、弁護士会照会をすることで契約者の氏名や住所を調べることができます。
他方、gmailなど外国企業の発行しているアドレスの場合には、弁護士会照会によって回答を得ることは期待できません。
不倫相手のLINEのプロフィール名だけわかる
配偶者のLINEから不倫相手のプロフィール名がわかります。プロフィール名が本名であっても、それだけでは弁護士がLINEの会社に弁護士会照会をしても登録者の情報を得ることはできません。
不倫相手のLINEのIDがわかれば、弁護士会照会によって登録者情報を得ることができるのですが、配偶者のLINEアプリを触っても、不倫相手のIDは通常わかりませんので、やはりLINEの情報だけでは不倫相手の氏名や住所を調べることはできません。
不倫を弁護士に相談して解決するまでの流れ
ここでは弁護士に依頼をした場合の解決までのおおまかな流れについて、慰謝料を請求する側と慰謝料を請求される側に分けてご説明します。
不倫慰謝料を請求する側
慰謝料請求をする場合、まずは不倫相手に電話をして請求内容を伝えたり、内容証明郵便にて請求内容を記載した通知書を不倫相手に送ります。
このようにして慰謝料請求の交渉を始めていきます。交渉は通常は2、3か月以内で終わり、その間に和解が成立すれば解決となりますし、和解が成立しなければ訴訟を提起することとなります。
訴訟を提起すると概ね1か月に1回のペースで裁判期日が入ります。弁護士を依頼しているのであれば裁判期日には弁護士が出席しますので依頼者本人は出席する必要はありません。交互に主張反論を記載した書面や証拠を提出していき、お互いの主張や証拠が出尽くしたところで、裁判官を交えて和解協議が行われます。
そこで和解が成立すればそれで解決となります。和解が成立しなければ裁判所が判決を出します。
判決が出ればその金額を不倫相手は支払ってくるのが通常ですが、稀に判決を無視して支払ってこないことがあります。その場合、不倫相手の勤務先がわかっていれば、不倫相手の給料を差し押さえたり、不倫相手が預貯金口座をもっている金融機関がわかればその預貯金を差し押さえることで慰謝料を回収していきます。
不倫慰謝料をされる側
慰謝料を請求される側は、慰謝料を請求する電話や手紙が届いてから弁護士に依頼する場合が多いですが、職場や自宅にばれないように予め弁護士に依頼をしておく場合もあります。
交渉や訴訟の流れは慰謝料を請求する側のところでご説明したとおりです。交渉においても訴訟においても慰謝料を一括で支払うことができないときは、分割払いの交渉が可能で、ほとんどの場合、分割払いを了承してもらうことができます。
不倫問題の弁護士費用
不倫問題は弁護士に依頼した方がメリットのあるケースは多いのですが、依頼をした場合にかかる弁護士費用によっては依頼をしない方が良いケースもあります。
弁護士費用にはどのような項目があって、どれくらいの金額になるのか見当がつかない方もおられると思いますので、以下、順番にご説明します。
不倫問題の弁護士費用の内訳と相場
まずは、弁護士費用の内訳についてです。法律事務所によって弁護士費用の体系は異なりますが、一般的には以下のような項目があります。
相談料
不倫問題については初回の法律相談料を無料にしている法律事務所は非常に多く、初回の法律相談料を設定している法律事務所の方が少ないです。
2回目以降の法律相談料は30分5000円や1時間で1万円が相場でしょう。
着手金
着手金は委任契約を締結した段階でいただく弁護士費用です。不倫問題の場合、着手金は20万円ほどが相場でしょう。慰謝料を請求する側のご依頼の場合は着手金を無料としている法律事務所も多くあります。
不倫問題で着手金が30万円以上の場合には、相場よりもかなり高いです。弁護士費用が高いから不倫問題に強いとは限りません。
成功報酬金
和解成立時や訴訟の判決が出たときにいただく弁護士費用が成功報酬金です。獲得した慰謝料や請求された慰謝料を減額した金額の15~20%が相場でしょう。
50万円や1000万円など不相当に高額な慰謝料を請求される場合もありますので、そのような場合には、慰謝料を請求された側の成功報酬金は例えば、相手の請求金額を300万円とみなして計算するなど調整をするのが通常です。
事務手数料・日当
不倫問題を弁護士が対応する場合、例えば、内容証明郵便を発送する通信費など諸々の経費が発生します。
これらの経費を実際にかかった金額だけ依頼者にお支払いいただく法律事務所もあれば、実費の精算事務の省略のために事務手数料や実費相当額として1万円~3万円を設定している法律事務所も多くあります。
また、弁護士が裁判所に出廷する場合に、1回につき3万円などの日当を設定している法律事務所もあります。
確かに遠方まで出向く場合はやむを得ませんが、そうでない限りは日当の設定はしていない法律事務所の方が多いのではないでしょうか。日当が多くなることを懸念して訴訟で十分な弁護活動ができなくなる事態は避けるべきですから、日当の設定がない法律事務所の方が良いでしょう。
実際に不倫問題で弁護士費用はいくらになる?
以上のとおり、弁護士費用にはいくつかの項目がありますが、依頼をした場合、実際にいくらくらいになるのかシミュレーションしてみましょう。
慰謝料100万円を獲得した場合
着手金が20万円、事務手数料が1万5000円、成功報酬金が慰謝料の18%の法律事務所ですと、慰謝料を100万円獲得した場合の弁護士費用は39万5000円です。
慰謝料を200万円減額した場合
着手金が20万円、事務手数料が1万5000円、成功報酬金が慰謝料の18%の法律事務所ですと、慰謝料を100万円減額した場合の弁護士費用は以57万5000円です。
弁護士費用が高い方が不倫問題に強い?
弁護士費用は法律事務所によって自由に設定しています。
弁護士費用を高く設定する場合、法律事務所には以下のような考えがあります。
- ・あまり多くの事件数を抱えたくないので弁護士費用を高く設定する
- ・依頼件数が少ないことから1件あたりの弁護士費用を高く設定する
- ・高く設定した方が不倫問題に強いと思われるかもしれないと考えて弁護士費用を高く設定する
他方、弁護士費用を安く設定する場合、法律事務所には以下のような考えがあります。
- ・依頼しやすくして多くの依頼を受けたいので弁護士費用を安く設定する
- ・多くの依頼を受けているので、1件あたりの弁護士費用を安く設定できる
弁護士費用の設定にはこのように様々な理由がありますので、弁護士費用の高い安いは、不倫問題に強いか否かと関係はありません(ただし、依頼件数が少ないから高く設定している事務所は避けた方が良いかもしれません。)。
不倫問題の解決事例
以上、不倫問題と弁護士について色々とご説明しましたが、最後に、不倫問題を弁護士に依頼した場合の解決事例をいくつか見てみましょう。
交渉で150万円増額した事例
約1年の間、妻が不倫をしていたことが発覚し、Aさんは、別居を開始した。Aさんは、不倫相手に300万円の支払いを求めたものの、不倫相手は分割で100万円しか払えないと言うことから、Aさんは当事務所に依頼した。
不倫相手と交渉を重ねた結果、250万円を一括で支払う内容で示談書を作成することができ、示談成立から10日ほどで250万円が支払われ解決となった。
離婚事案で80万円に減額した事例
Bさんは、夫婦関係は破綻していると聞いていたことから交際していた女性の夫から、不倫が原因で離婚をしたという理由で、500万円の慰謝料請求を受けたことから当事務所に依頼をした。
客観的に夫婦関係の破綻と評価することは難しいかもしれないが、夫婦関係が相当悪化していたことはLINEなどの証拠から証明できそうだったことから、交渉段階では50万円以上の提案はしなかったところ、訴訟を提起された。
訴訟では証人尋問まで見据えた戦略を立てて、主張立証を行ったところ、証人尋問後、慰謝料80万円が相当という裁判官の心証が示され80万円で和解が成立し解決となった。
4者和解に持ち込み支払い慰謝料をゼロとした事例
既婚者のCさんは、同じく既婚者の男性といわゆるダブル不倫の関係にあったところ、不倫相手の奥さんから慰謝料300万円を請求する内容証明郵便を受け取った。
内容証明郵便が自宅に届いたことでCさんの夫にも不倫関係はばれてしまった。Cさんは減額交渉を当事務所に依頼した。
Cさんの夫も不倫相手に慰謝料を請求することができるため、不倫相手の奥さんに、双方の夫婦4者間でお互いに慰謝料請求をしないこと、今後お互いに接触をしないことを内容とする和解を打診したものの、不倫相手の奥さんはこれを拒否した。
そこで、Cさんの夫からも依頼を受け、不倫相手に対して慰謝料請求の内容証明郵便を送った。すると、不倫相手の奥さんは、本当に夫が慰謝料請求を受けるとは思っていなかったようで、一度は拒否した4者間の和解を受け入れ、慰謝料請求を取り下げ、Cさんは慰謝料を支払わずに済んだ。
示談書を強引に書かされたけれど示談し直した事例
不倫相手の夫に呼び出されたDさんは、求められるがまま慰謝料500万円を支払う示談書にサインをさせられてしまった。そのような大金を支払えないことから、その翌日、Dさんは当事務所に相談した。
強迫によって作成された示談書であり、法的効力はないことを主張して交渉した結果、改めて50万円を分割払いで支払う内容の示談書を作成し、解決となった。
不倫相手と別れさせた事例
不倫をした夫が自宅を出て不倫相手と同棲するようになったことから、Eさんは夫と不倫相手を別れさせて欲しいと当事務所に相談した。
不貞関係の証拠は揃っていたため、不倫相手に慰謝料請求をするとともに、有責配偶者であるEさんの夫からの離婚は認められず、Eさんの夫との結婚は望めないことを不倫相手に示すことで不倫関係を解消させることとした。
不倫相手との話し合いの結果、今回は慰謝料の支払いは免除するが今後Eさんの夫と接触したときには慰謝料200万円を支払う内容の示談書を作成し、Eさんの夫は不倫相手と別れて自宅に戻ってきた。
不倫関係は解消させたものの、Eさんは、夫が再び不倫することを心配していた。そこで、不倫をした場合には通常の離婚よりも慰謝料、養育費、財産分与の負担を重くする内容の夫婦間契約を作成し、夫との間でも一応のけじめを付けた。
まとめ
以上、不倫問題を弁護士に依頼するメリットや不倫問題に強い弁護士の探し方などをご説明しました。
不倫問題を扱う弁護士は沢山いますので誰に依頼をすべきか悩むことがあるでしょうが、後悔のない結果を得るために、本記事を参考にしていただければ幸いです。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。