違法ダウンロード後に削除すれば大丈夫?―トレント利用者が知るべきリスクと正しい対処法

最終更新日: 2025年05月01日

違法アップロードは非親告罪?罪に問われる条件や対処法を徹底解説!

トレントを使ってアニメ・映画・漫画などをダウンロードしたあと、「もう削除したから大丈夫だろう」と考えていませんか?

しかし、削除したからといって違法性がなくなるわけではなく、通知が届くリスクは残ったままです。

実際、削除後でもIPアドレスや通信履歴が記録されており、数か月後にプロバイダ経由で発信者情報開示請求に関する書類が届くケースも多数あります。

この記事では、削除しても安心できない理由や実際のトラブル事例、今から取るべき行動まで詳しく解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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違法ダウンロードは削除しても「違法」のまま

ダウンロード、そしてトレントソフトによるアップロードをすれば、たとえその後にファイルを削除したとしても違法行為の事実は消えません。削除した後であっても加害者として特定されてしまうケースはあります。

ですから、「すぐ消したからセーフ」「開いただけだから無関係」という主張は、法的には通用しないというのが実情です。

削除後もIPアドレスから特定されるリスク

トレントネットワークでは、ファイルを共有するたびにユーザーのIPアドレスが他者に公開される仕組みです。

著作権者や専門業者はそのIP情報を収集し、通信記録と照合してプロバイダに「発信者情報開示請求」を行います。

これにより、たとえファイルを削除していたとしても、過去の通信ログから個人情報(氏名・住所など)が特定される可能性があります。

確かに、ログ保存期間は3か月から6か月ほどです。しかし、その間に著作権者側がログの保全措置を行えばその後もログは残りますので発信者情報開示請求が可能です。

その結果、ログ保存期間が経過して半年、1年が経って忘れた頃に発信者情報開示請求に関する書類が届くケースがあります。

実際の相談事例

削除から1年後に通知(20代男性)

深夜にアニメをトレントでダウンロードし、翌朝には削除した。
ダウンロードしたこと自体忘れていたその1年後にプロバイダから開示請求に関する通知が届いた。

弁護士が介入し、著作権者との交渉で示談金30万円で和解が成立し、裁判は回避できた。

複数ファイルを削除しても通知(30代女性)

人気漫画をトレントで一気にダウンロードしたが、翌日に削除。
半年後、著作権者の代理人から損害賠償請求(150万円)の連絡が届く。

弁護士に依頼して交渉した結果、50万円で示談。支払い回数の相談にも応じてもらえた。

削除済でも「常習性あり」とされたケース(60代男性)

過去にも開示請求を受けた履歴があり、今回も削除していたが再度通知を受けた。
著作権者側は「繰り返し違反している」として態度を硬化。

弁護士が交渉し、70万円で口外禁止の条件付きで和解成立。社会的信用を守ることができた。

削除しても安心できない理由まとめ

「ファイルを削除すれば問題ない」と考える方が多いですが、実際には以下のような理由で削除だけでは不十分です。

  • 削除してもダウンロード・アップロードの記録は残る
  • 削除しても過去の違法行為の事実は消えない

つまり、「削除した=問題解決」ではなく、 通知が届いた段階での対応こそが、トラブル回避のカギになるのです。

よくある質問(FAQ)

Q: 削除した証拠があれば開示請求を止められますか?

基本的には止められません。

通信ログやIP情報が証拠として重視されるため、「削除した」という主張だけでは開示請求を止める決定的根拠になりません。

Q:削除してから何か月経てば安全ですか?

一概には言えません。

プロバイダのログ保存期間は3〜6か月ですが、その間にログの保全をした上で発信者情報開示請求の準備をして、更に開示請求を受けたプロバイダにおいても事務処理の時間がかかりますから、削除した後でも1~2年はリスクが残ると考えた方がよいです。

Q:削除したのに開示請求が来たらどうすれば?

速やかに弁護士に相談してください。

削除済であっても、示談交渉・拒否回答・減額交渉など適切な対応を取る必要がありますので、早期対応が重要です。

Q:削除すれば損害賠償額は下がりますか?

基本的には削除するのが当たり前だと思われてしまうので下がることはないでしょう

Q:削除していても裁判になることはありますか?

はい、可能性はあります。

削除していてもダウンロード・アップロードの証拠が残っていればそれに基づき発信者情報開示請求、損害賠償請求の裁判になる可能性があります。

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