違法ダウンロードは削除したら問題ない?問われる罪と対処法を徹底解説

最終更新日: 2025年02月01日

違法アップロードは非親告罪?罪に問われる条件や対処法を徹底解説!

  • 違法ダウンロードをすれば逮捕されてしまうのだろうか?削除すれば大丈夫な気がするが?
  • 違法ダウンロードで逮捕された場合、どのような罪に問われるのだろう?
  • 著作権者や警察から違法ダウンロードの疑いをかけられた場合、誰に相談すればよいのか?

違法にアップロードする行為はもちろん、違法ダウンロードをする行為も著作権法違反にあたります。

違法ダウンロードが発覚した場合、違法ダウンロードをした人は懲役刑(2025年6月1日以降は拘禁刑)や、罰金刑を受ける可能性があるので注意が必要です。

そこで今回は、違法ダウンロードの問題解決に携わってきた専門弁護士が、違法ダウンロードを削除すれば問題は解決するのか、違法ダウンロードを削除した場合に問われる罪等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 違法ダウンロードをすれば罪に問われるので、注意が必要
  • 違法ダウンロードを削除しても、民事責任や刑事責任を問われる可能性がある
  • 違法ダウンロードで責任を追及されたときは、弁護士に相談しよう

発信者情報開示・削除に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

違法ダウンロードは削除したら問題は解決するか

「ネット上で配信されている画像・動画をダウンロードするだけなら、問題はないだろう」と、安易に考えている人は要注意です。

違法ダウンロードに該当すると、罪に問われる可能性があります。

違法ダウンロードとは

違法ダウンロードは、2010年に施行された改正著作権法によって違法とされました。

ネット上で不正にアップロードされた画像・動画・音楽・ソフトウエア等のコンテンツを、不正なものであると知りつつダウンロードする行為が該当します(著作権法30条1項4号)。

不正なものであると知らずにダウンロードした場合を除き、著作権法違反に問われる可能性があります。

ただし、この条文(著作権法30条1項4号)は民事上で違法となる行為を指しており、刑事上の違法ダウンロードは範囲が限定されます。

  • 不正なものであると知りつつダウンロードした
  • 正規版が有償で提供されている著作物をダウンロードした(同法119条3項1号)
  • 反復・継続してダウンロードを行った(同法119条3項2号)

上記の3要件すべてに該当する場合、刑事責任を問われる可能性があります。

出典:著作権法 | e-Gov法令検索

ダウンロードした時点で罪にあたる

違法ダウンロードはダウンロードした時点で罪に該当し、たとえダウンロード後に削除しても、著作権法違反に問われる可能性があります。

ダウンロードの定義はよく確認しておく必要があります。

ダウンロードとは録画と録音を伴う行為です。違法にアップロードされた画像・動画・音楽を再生するだけの行為は、著作権法違反にはなりません。

ただし、違法な動画サイトにアクセスすると、コンピューターウイルスの攻撃を受ける可能性があります。著作権法違反とは別の深刻な事態に遭遇するリスクがあるため、違法な動画サイトを利用してはいけません。

削除した証拠が残る場合もある

実際のところ、違法ダウンロードはなかなか発覚しにくいものです。

しかし、違法ダウンロードを削除しても、当該コンテンツをX(旧Twitter)やInstagram(インスタグラム)等で外部に発信・拡散すると、違法ダウンロードが発覚し、アカウントから個人を特定されてしまうケースもあります。

また、発信者情報開示請求・命令という開示手続きにより、違法ダウンロードを行った人の契約プロバイダや、氏名・住所等が開示される場合もあります。

違法ダウンロードを削除すれば罪に問われないと考える理由

違法ダウンロードをあまり深刻に考えていないユーザーは多いでしょう。

ユーザーが「違法ダウンロードを削除すれば、罪に問われない」と考えてしまう理由はいくつかあります。

証拠が残らない

録画と録音した画像・動画・音楽を削除すると、罪に問われないと考えている人は多いでしょう。

違法ダウンロードしたファイルを削除すれば、著作権を侵害している状態から一応回復できます。

しかし、違法ダウンロードで利益を侵害された著作権者が「発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法第5条)」または「発信者情報開示命令(同法第8条)」の手続きを進めるかもしれません。

いずれの情報開示手続きを行った場合でも、著作権者の申立てが認められれば、違法ダウンロードをした人が利用するプロバイダや、個人情報等が特定されるでしょう。

「削除してしまえば証拠は一切残らない」というわけではないので、注意が必要です。

未使用なので問題ない

「違法ダウンロードしたコンテンツを見ていないから大丈夫」と考えている人もいるでしょう。

違法ダウンロードは、違法と知りながらダウンロードした時点で、著作権法違反になります。

ただし、刑事責任が追及されるのは、正規版が有償で提供されている著作物をダウンロードした場合や反復・継続してダウンロードした場合です。

1回またはわずか数回違法ダウンロードしただけで、罪に問われることはまずありません。

他の人もしている

違法ダウンロードを行うユーザーが数多くいるのは事実です。

著作権者が違法ダウンロードしている人を次々と刑事告訴したところで、違法アップロードするものがいる限り、問題の根本的な解決にはつながらないかもしれません。

しかし、次のような行動をとると違法アップロードしたとして、損害賠償請求や刑事告訴される可能性があります。

  • 違法ダウンロードのコンテンツを他人とファイル共有した
  • 別の動画サイト等にアップロードした

他の人もしているからと安易な気持ちで著作権侵害を行うと、厳しい責任追及を受ける可能性があるのです。

違法ダウンロードを削除しても問われる罪

違法ダウンロードを削除しても、著作権者から民事責任・刑事責任を追及される場合があります。

特に違法ダウンロードしたコンテンツを、更にアップロードして拡散するような行為をすれば、損害賠償請求や刑事告訴される可能性があります。

民事責任

違法ダウンロードをすると、著作権を侵害している状態となっており、ダウンロードした著作物の削除請求や、損害賠償請求を受ける可能性があります。

損害賠償金額は数万〜数十万円程度となるでしょう。

ただし、違法ダウンロードの他アップロードも行っていた場合は、著作権侵害の差止め(配信停止措置)、不当利得返還(著作権者が損失を被った分の返還)、賠償金等を請求されることになるでしょう。

違法アップロードの損害賠償金額の相場は、数十万円〜100万円程度です。

刑事罰

著作権者が刑事告訴し、違法ダウンロードした人物が逮捕・起訴され、刑事裁判で有罪になると、次のいずれかの刑に処されます(著作権法第119条3項)。

  • 2年以下の懲役(2025年6月1日以降~拘禁刑)
  • 200万円以下の罰金
  • 2年以下の懲役(2025年6月1日以降~拘禁刑)と200万円以下の罰金の併科

違法ダウンロードした人(被告人)は、刑事施設に収容される懲役刑(拘禁刑)や罰金刑を受ける可能性があります。

違法アップロードの場合は更に罪が重く、10年以下の懲役(2025年6月1日以降は拘禁刑)もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらの刑の併科(著作権法第119条第1項)となるので注意が必要です。

出典:著作権法 | e-Gov法令検索

削除した違法ダウンロードでも罪に問われる主な著作物

ヒットしている音楽や映画、漫画を楽しみたい気持ちはわかります。

しかし、正規の方法でサービスを利用しないと、違法ダウンロードした本人が罪に問われてしまう可能性があります。

音楽

人気POPアーティストやアイドルグループ、アニソン、演歌等すべての音楽の違法ダウンロードは禁止です。

ただし、ダウンロードした音楽の精度等に照らして「軽微な構成部分となる場合」は規制対象外とされています(著作権法第30条の2第1項)。

たとえば、ダウンロードした音楽の分量がわずか、音質が低く聴くにたえないという場合、著作権法違反にはあたらない可能性が高いです。

出典:著作権法 | e-Gov法令検索

映像

映画やアニメ等の映像作品の違法ダウンロードは禁止です。

自分がどんなに見たい作品でも、正規の方法でサービスを利用する必要があります。

ただし、映像作品もダウンロードされる分量がわずかな場合や、ダウンロードしても画質が悪く鑑賞はほぼ不可能に近い場合、著作権法違反にはあたらない可能性が高いです。

漫画

漫画の違法ダウンロードも禁止です。

ただし、次のようなケースでは著作権法違反となりません。

  • 漫画の1コマだけダウンロードした
  • 画面のスクリーンショットをしたら、漫画の一部が写り込んだ 等

また、著作権者ではない人が描いた漫画の二次創作、パロディーをダウンロードする行為自体は、著作権者の権利を侵害していません。

ただし、漫画の二次創作やパロディーを描いた人にも著作権があります。無許可でダウンロードすれば、同様に著作権法違反になる可能性があるでしょう。

違法ダウンロードを削除した後の対処法

違法ダウンロードを削除しても、著作権者から民事責任・刑事責任を追及される可能性があります。

著作権者とトラブルになりそうな場合は、事前に弁護士と対応を相談しましょう。

弁護士への相談

違法ダウンロードも著作権侵害にあたるので、警察に逮捕されてしまう可能性があります。

著作権者が刑事告訴や民事訴訟を提起する可能性があるときは、弁護士にアドバイスを求めましょう。

弁護士は、著作権者と穏便に問題を解決する方法や、逮捕されたときの対応等を、わかりやすく説明します。

相談の上、弁護士に私選弁護人を依頼すれば、著作権者との交渉、捜査機関への説得を続け、依頼者の側に立った主張・立証を進めていきます。

証拠収集

違法ダウンロードを認めるのであれば、著作権者に謝罪し、ダウンロードした著作物の削除、賠償金の支払い、捜査協力をしましょう。

ただし、違法な動画サイトと知らずダウンロードした場合は、著作権者や捜査機関に証拠も交えて反論しましょう。

たとえば、正規の動画サイトとあまりに酷似していて騙された場合です。当該サイトをスクリーンショットで撮影後、著作権者側や警察に提示し、違法を認識してダウンロードしたわけではないと主張しましょう。

示談交渉

著作権者が刑事告訴をする前に示談に合意すれば、告訴することもなく事件にはなりません。

違法ダウンロードした自覚があるときは、速やかに示談成立を目指しましょう。弁護士を代理人にすれば、交渉役を委任できます。

弁護士は示談金額の相場や、交渉の進め方にも精通しているので、円滑に著作権者の同意が得られるでしょう。

示談が成立すれば、依頼者側は最低限の負担で、違法ダウンロードの問題を解決できます。

違法ダウンロードを削除したら春田法律事務所までご相談を

今回は違法ダウンロードの問題解決に尽力してきた専門弁護士が、違法ダウンロードを削除しても問われる責任等について詳しく解説しました。

春田法律事務所は著作権問題の解決に関して実績豊富な法律事務所です。まずは弁護士と相談し、冷静に解決方法を検討しましょう。

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